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読書記録:ミルトン『失楽園』(岩波文庫)

2016-08-27 15:13:57 | 雑文
読書記録:ミルトン『失楽園』(岩波文庫)

C.S.ルイスの『悪魔の手紙』を読み、これの背後にミルトンの『失楽園』があると感じる。それで、『失楽園』を読もうとしたが、これはそう簡単なことではないことに気づく。岩波文庫版で上下合わせて、訳注も入れると850頁を超えている。正直なところ、読もう読もうと思いながら、なかなか読み始める勇気は出て来ませんでした。何しろ「詩文」ですから、読むのが大変です。
という訳で、長い間書棚に放置されていたのを取り出して見ました。何と幸いなことに、全部で12巻ある全巻の「梗概」がそれぞれの巻の最初の1頁分の長さで収められているじゃないですか。ところが、これがまた小さなポイントで目がちらついて読めません。最後の手段として、「梗概」だけを、スキャンして「拡大」すると何とか読めますが、それではと言うことで、これをテキストに変換しました。アンチョコであるが、これを注意深く読み、『失楽園』を読んだことにする。

第1巻 梗概
この第1巻は先ず簡単にこの詩全体の主題、即ち、人間の反逆と、その結果彼がそれまで置かれていたパラダイスが失われたことを呈示する。ついで、彼の堕落の主要な原因であった蛇、というより蛇に宿ったサタンのことに触れる。サタンは神に背きおびただしい天使の軍勢を味方に引き入れたが、神の命令によってそれらの一味徒党もろとも天国から迫放され、大いなる深淵に落されたのであった。その間の経緯は省略するとして、この時はそのあと直ちに事件の核心に迫り、輩下の天使たちと共に今や地獄に墜ちたサタンの状況を示す――ただし地獄といっても、地球の中心にあるものとしてではなく(未だ天と地は創造られてはいなかったし、いわんや呪われてもいなかったことは確実だと思われるからだ)、何よリも混池と呼ぶのにふさわしいいや果ての暗黒の世界の一角にあるものとして、ここでは描かれている。雷霆(いかずち)にうたれ茫然自失の体であったサタンは、天使たちとともにこの地獄の炎々たる火の池に横たわっていたが、暫くして潰滅的な打撃から立ち直るといった様子で、ようやく元気を取り戻し、階級と権威の点で自分の次ぎに位する者が傍らに横たわっているのを見、この者を呼び起す。彼らは自分たちの悲痛な転落について語り合う。ついでサタンは、同じようにそれまで潰滅状態で横たわっていた麾下(きか)の全軍勢を呼び起す。一同、立ち上がる。その人数と陣容。主な指導者らの名がその後カナン及びそれに隣接する諸国で知られるにいたったもろもろの偶像の名に準拠してあげられる。サタンは彼らに向かって話しかけ、天国を再び手中に収める希望がまだ残されている、といって慰める。しかし、最後に、天国における昔からの予言乃至は噂によれば、やがて新しい世界と新しい被造物が創造されるはずだ、と彼らに告げる(われわれの眼に映っているこの天地が創造される遙か以前から天使は既に存在していた、というのが昔の多くの教父たちの意見であったからだ)。この予言の真否を確かめ、かつ、そうするのにはどういう措置を決定すべきかについて、サタンは全体会議を開くことを提唱する。腹心の部下たちがそれに応じて企てたこと。サタンの宮殿である万魔殿が深淵のなかで造営され、忽然として姿を現わす。地獄の首領たちが万魔殿の中で会識を開く。

第2巻 梗概
謀議が始まると、サタンは天国を奪還するため再び一戦を試みるべきか否かについて討諭を促す。或る者はそれを慫慂(しょうよう)し、或る者は中止を求める。第三の提案がなされ、採択される。これは、先にサタンが言い出したもので、要するにもう今頃には創造されていると思われるもう一つの別な世界と、彼ら自身と同等か少なくとも余り劣っていない別な種類の被造物とについての天における予言乃至言い伝えが、果たし真実かどうかをただしてみるという提案である。この困難な探索の任務に誰を派遣するかということになると、一同は困惑する。首領であるサタンが、単身この遠征の途につこうと言い、一同の称賛と喝采を博する。こんな風にして会議は終了する。サタン以外の者は、彼が帰ってくるまでの時間を有効にすごそうと、各自気の向くままにいろいろな方角へ出かけたり、また好きなことをしたりする。サタンは旅をつづけ、地獄の門に達する。門は閉ざされており、その傍らにその番をしている者たちが座っている。結局、彼らが門を開けてくれる。サタンの眼前に、地獄と天国との中間に横たわる巨大な深淵が展聞する。そこの支配者である「混沌」に指示された通り、困難を冒しながら深淵を翔(か)けぬけ、ついに、求めていたこの新しい世界を遙かに望見できる所まで到達する。

第3巻 梗概
王座に坐しておられた神は、サタンが新しく創造されたばかりのこの世界に向かって飛翔しているのを見られ、右手に坐しておられた御子に彼の姿を指し示され、人類を陥れることにサタンが成功することを予言される。人間を自由で、誘惑者に対し充分抵抗できる者として造ったのであるから、御自分の正義と知恵が非離をうけるいわれはない旨を、述べられる。しかし、神は、さらに、人間はサタンのように自らの悪意からでなく、サタンによって誑(たぶら)かされて堕落したのであるから、彼に対しては恩寵を与える意向である旨を、宣言される。神の御子は、神が人間に対する恩寵にみち溢れた意向を明示されたことに対し、御父に賛美の言葉を述べられる。しかし、神はさらに、聖なる正義が充たされない限り恩寵を人間に与えることはできない、と宣言される。人間は自ら神たろうとして神の尊厳を傷つけたのだ。したがって、もし人間の罪を贖い、そして自らその罰を受けるにたる充分な資格のある何者かが見出されない限り、その子孫もろとも死の宣告を受けて死ななければならない。神の御子は、自分が人間の贖いになろうと自発的に申し出られる。神はその申し出を受け入れ、御子の受肉を命じ、天と地におけるすべての名に優るその栄光を高らかに告げ、すべての天使が彼を崇めることを命じられる。 天使たちは神の命令に従い、全員合唱隊となって堅琴にあわせて賛美の声をあげ、御父と御子とを誉め讃える。その頃、他方では、サタンがこの世界を包む一番外側にある球の寂しい凸面部に降り、そのあたりを徘徊しているうちに、その後「虚栄の辺境(りんぽ)」と呼ばれることになる或る場所を初めて発見する。そこに向かって、いかなる人や物が飛んでゆくか、ということ。そこからサタンは階段によって上方に昇るようになっている天国の門に、そしてまた、青空の上にあってそれをとりまいて流れている大洋(わだつみ)の所に到達する。そこからさらに太陽球に赴く。そこへ着くと、太陽球を統べることを命じられていたウリエルの姿を見つける。しかし、サタンは彼に会う前に先ず身分の低い天使の姿に身をやつし、新しく創造された世界と、そこに神が置かれた人間とを見たい強い欲求に自分はかられている、と嘘をつく。そして、人間が住んでいる場所を尋ね、教えてもらい、先ずナイファティーズの山に降り立つ。

第4巻 概要
サタンは今やエデンを一望のうちに収める場所に、つまり神と人とに対して単身企てようとする大胆不敵大な陰謀を実行する場所に、近づくが、いざとなって、自分自身に対する数々の疑惑に陥り、恐怖、嫉妬、絶望といった数々の激情に襲われる。しかし、結局、悪に徹しようという決意を固める。彼は楽園(パラダイス)をめざして進む。楽園の外観と地勢の描写。彼はそこの境界を飛びこえ、周辺を見渡すのに都合のよい、園内でも一番高そうな生命の樹の上に、 鵜の姿に身をやつしてとまる。この園の描写。サタンは初めてアダムとイーヴを見る。
彼は二人の優美な姿と幸福にみちた有様を見て驚嘆する。しかし、彼らを堕落させる決意だけは変えない。彼らの話しているのを盗み聴きして、知識の樹が彼らに禁じられており、この禁を犯せば罰として死が課せられていることを知り、それでは、この禁を犯すようにしむけることによりて誘惑の目的を達成しようと計画する。
なお、彼らの状況を何か他の手段でもっと知ろうと思い、しばらく二人の傍を離れる。一方、ウリエルは、太陽の発する一条の光芒に乗って地上に降りてきて、楽園の門の警備に当たっていたガブリエルに、或る一人の悪霊が地獄を脱出し、味方の善き天使に扮装して自分が司る太陽圏を正午に通過してこの楽園に降下したが、そのことはそのあと山上で彼が恐ろしいしぐさをしたので分ったのだ、と言い、警告を発する。ガブリエルは、夜が明けぬうちにその者を見つけ出すつもりだ、と約束する。夕闇がせまってくる。アダムとイーヴは休むことについて語り合う。彼らの四阿(あずまや)の描写。彼らの夕べの礼拝。ガブリエルは、数個の夜警隊に出動を命じ、楽園内を巡回させるが、眠っているアダムとイーヴに例の悪霊が害を加えるのを防ぐために、強い二人の天使に特にアダムの四阿の警固に当たるように命ずる。この二人の天使が彼らが眠っている所へ行ってみると、イーヴの耳の傍で、夢を通して彼女を誘惑している悪霊を見つける。そして、その者を無理矢理ガブリエルの許へ引きたててゆく。悪霊は、ガブリエルに肌間されると、嘲るように答え、抵抗の構えを示すが、その折、天から示された徴に妨害され、楽園から逃げ出す。

第5巻 梗概
朝になり、イーヴは、自分が見た嫌な夢のことをアダムに話す。彼はそれを快いものとは思わなかったが、彼女を慰めてやる。二人は昼間の労働に出かけようとする。四阿の入口における、神に対する彼らの朝の賛美の歌。神は、人間に責任のがれをさせないために、ラファエルを遣わし、神に対する人間の服従について、人間の自由な境遇について、近くに迫っているその敵について、つまり、その敵とは誰であるか、何故人間の敵なのであるか、その他人間が知っておくべきいろんなこと、について忠告をさせ給う。ラファエルは楽園に降りてくる。その様子の描写がある。四阿の入口に座っていたアダムは、遙か遠く離れていたにもかかわらず、ラファエルがやってくる姿を認める。彼は出かけていって天使を迎え、自分の住み処に案内し、イーヴが集めてきた楽園に生ずる果物の中でも最も美味しい果物を供してもてなす。食卓における彼らの話合い。ラファエルはその使命を果たす。つまり、アダムにその置かれている境遇や彼の敵について注意を喚起する。また、アダムの求めに応じて、その敵とは誰であるか、どのようにしてそのようなことになったかを、天国におけるその者の最初の反乱とその誘因に遡って話し、さらに彼が麾下の軍勢を引き連れて北境に向かったこと、そこで自分に加担して反乱を共にするよう彼らを煽動したこと、ただし、熾天使(セラフ)であるアブデルだけは彼の説得に応ぜず、激綸を闘わして彼に中止を求めて反対し、結局、彼の陣営を離れたこと、などを物語る。

第6巻 梗概
ラファエルはなお話し統け、サタン及びその麾下の天使たちと一戦を交えるために、ミカエルとガブリエルが派遣されたことを物語る。最初の戦闘の描写。サタン及びその軍勢は、夜に乗じて退却する。彼は会議を招集する。また悪魔的な武器を発明する。これらの武器は、第二日目の戦闘でミカエルとその軍勢の間に相当な混乱を引き起こすが、ミカエルの軍勢は、結局、おびただしい山々をを引き掴み、根こそぎにして投げ、サタンの軍勢もろともその武器を粉砕する。しかし騒擾(そうじょう)は依然として収まらない。そこで、第三日日に、神は救世主である御子を遣わされるが、それは、勝利の栄光を御子に与えようと考慮されていたからである。御子は委ねられた神の御力を身にまとい、戦場に駆けつけ、味方の全軍を左右両側に停止させ、自らは戦車を駆り雷霆(いかずち)を引っさげて敵陣の真只中に乗り込み、もはや抵抗するすべを失った彼らを天の城壁まで追いつめられる。城壁が開き、彼らは地獄の中に前もって設けられていた処罰の場へと、恐怖と混乱のうちに墜ちてゆく。救世主は父なる神の御許に凱旋される。

第7巻 梗概
ラファエルはアダムの求めに応じて、この世界が初めどのようにして、またなぜ、創造されたかを語る。つまり、サタンとその配下である天使らを天から追放されたあと、神は、もう一つ別な世界と、そこに住む別な生けるものたちを造ろうという意向を表明され、六日間で天地創造の仕事を遂行するようにと、栄光のうちに天使ともども御子を遺わされたこと、天地創造の完成と御子の天国への帰還とを天使たちが賛美の歌を唱しつつほめたたえたこと、などを語る。

第8巻 梗概
アダムは天体の諸運行について尋ねるが、必ずしも明快な答えはえられず、かえって、そういったことよりももさらに知っておくに価するいろんなことを探求した方がよい、と天使に勧められる。アグムは納得する。が、なおもラファエルを引き留めたいと思い、自分が造られた時以来、自分の記憶に残っていること、――楽園に置かれたこと、孤独と好ましい交わりについて神と話し合ったこと、初め てイーヴに会った時のこと、その後の彼女との結婚生活のこと、などを話す。結婚生活についての天使との話し合い。天使は再度忠告を述べたあと立ち去ってゆく。

第9巻 梗概
サタンは、地球を歴廻(へめぐ)ったのち、ますます悪意をかため、夜陰(よいん)に乗じ霧のように楽園に帰ってきて、眠っていた蛇の体内に入りこむ。朝になり、アダムとイーヴは仕事に出かけようとするが、イーヴが、二人それぞれ別な場所で仕事を分担し、互いに離れて働きたい、と言い出す。アダムはそれに対し、よく注意するようにとすでに警告を受けている例の敵が、もしイーヴが独りでいるのを見つけたら誘惑する危険がある、と主張して反対する。彼女は、自分が慎重さにおいて欠けるところがある、乃至はそれほど強くはない、と思われるのに反撥し、むしろ自分の力を試してみたいという欲求にかられ、あくまで独りでゆくことを主張する。アダムはついに屈服する。蛇が独りでいるイーヴを見つける。蛇はいかにも狡そうに近づいてゆき、初めはただ凝視るだけであったが、やがて話しかけ、イーヴを他のあらゆる生きとし生けるものに優った者よと言葉巧みに誉めそやす。彼女は、蛇が人間の言葉を話すのを聞いて訝り、ついぞ今までなかったことだが、どうして人語を話し、またそれほどの理解力をもつにいたったのか、とそのわけを訊ねる。蛇はそれに答えて、この国の中にある或る一本の樹の果物を味わったおかげでそれまでは身に備わっていなかった言葉と理性の両方を得ることができたのだ、言う。イーヴはその樹の所へ案内して欲しいと、蛇に頼む。行ってみてそれが禁じられていた知識の樹であることを知る。蛇はいよいよ大胆になり、しきりに悪知恵と弁舌を弄して彼女を説得し、結局その樹の実を食べさせる。その味に驚喜したイーヴは、アダムにもこれを頒つべきかどうか暫く思案するが、ついに果物を彼の所にもっていく。そして、自分を説得しこれを食べさせた者について話をする。初め、アダムは愕然とするが、彼女が失われたのを知り、激しい愛情にかられて、彼女とともに亡びる決意をする。罪をわざと軽く見、自らも果物を食べる。そのことの結果が覿面(てきめん)に二人に現われる。彼らはその裸体を蔽おうとする。ついで、仲違いをして互いに相手を非難し合う。

第10巻 梗概
人間が罪を犯したことが分り、守護天使達は楽園を捨てて天国に帰り、命じられていた警戒の任務に手落ちはなかったことを説明する。神は、サタンの侵入を彼らが防ぐのは不可能であった旨を宣言され、了承される。神は罪人となった彼らを審くために御子を遣わされる。御子は地上に降り定めに従って、彼らに宜告を下される。しかし、彼らを憐れに思い、裸身を覆うものを与え、再び天に昇ってゆかれる。一方、「罪」と「死」は、それまで地獄の門の所に座っていたが、不思議な感応力によって、サタンがこの新しい世界で所期の目的を達成し、人間が罪を犯したことを知る。そこでこれ以上地獄に幽閉されていること潔しとせず、両者の父であるサタンの跡を追って人間の住む世界へ行く決心をする。地獄とこの世界との間の往来を一層容易にするために、彼らはサタンが最初に辿った軌道に従って、混沌の上に大きな道を、というより橋をかける。そしてまさに地球に向かって出発しようとした時、成功を収めて意気揚々と地獄に帰還してきたサタンに出逢う。彼らは互に祝し、喜び合う。サタンは万魔殿に到着し、堂に溢れた聴衆に向かい、人間に対する陰謀が成功した旨を誇らしげに語る。すると喝采の代わりに、聴衆全員の発する叱正をもって迎えられる。楽園で示された定めに従って、彼はもちろん全員が突然蛇の形に変えられたからだ。彼らの眼前に禁断の樹が突如現われる。彼らはそれに幻惑されてその果物を貪欲に手に入れようともがくが、結局に手したものは塵と苦い灰にずぎない。「罪」と「死」の動静。神は御子が彼らに対して最後には決定的な勝利を収めること、万物が新しく生まれかわること、を予言される。しかし、当面、緒天体と諸元素にそれぞれ若干の変化を生ぜしめるよう、天使達に命じられる。アダムは、自分の堕落を一層痛切に感じ、深く嘆き悲しみ、イーヴの慰めも拒けるが、なおも彼女が切々と訴えるのを聞き、心が和やかになる。彼女は、子孫が恐らく受けるに違いない呪詛を避けるために、自殺という非常手段をとりたいとアダムに提案する。しかし彼はそれを肯んぜず、むしろ希望の念が次第に強まるのを感じ、彼女の末裔があの蛇に復讐を加えるはずだという。先に自分たちに示された約束を思い起すようにと、言う。そして、自分と共に悔い改めと哀願とによって神の御怒りを鎮めようと勧める。

第11巻 梗概
神の御子は、今や悔い改めたわれわれの祖アダムとイーヴの祈りを父なる神に示し、二人のために執り成される。神は彼らを受け入れられるが、これ以上楽園に住むことは許されないと宣言され、その追放のために智天使(チエラブ)の一隊とともにミカエルを遣わされる。しかし、追放の前にアダムに未来に起る事柄を示すことをミカエルに命じ給う。ミカエルは地上に降りてゆく。アダムは不気味な前兆を見、それをイーヴに示して彼女の注意を促す。彼はミカエルの近づくのを認め、迎えに出る。天使は二人が楽園からでてゆかなければならぬことを告げる。イーヴの悲嘆。アダムは哀願するが、結局従う。天使は彼を或る高い山の頂上に連れてゆき、今後これから大洪水にいたるまでの間に起こる様々な出来事を、幻を通じて彼の前に示す。

第12巻 梗概
天使ミカエルは、洪水のあと続いて何が起るかを話しつづける。ついで、アブラハムの話に関連して、アダムとイーヴが堕落した際二人に約束された「女の末裔」というのは誰のことであるかを順次説明する。その方の受肉、死、復活、昇天。その方の再臨の時にいたるまでの教会の状況。アダムはミカエルのこういった説明や約束に心から納得し、慰められる。そして二人は共々に山から下りイーヴを起す。彼女はそれまでずーと眠っていたのだが、眠っている間も穏やか夢を見、それによって心の静けさと従順さとをとりもどしていた。ミカエルは左右の手で二人を引きつれ、楽園の外へ導いてゆく。彼らの背後では焔の剣がのうちふるわれ、智天使の一隊がこの場所を守るために部署につく。

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