<毎日新聞より>
冬季国体:スピードスケート 震災で福島から避難の古農さん、秋田代表で出場 家族や親類の声援を受け /秋田
毎日新聞 1月30日(水)11時14分配信
第68回国体スピードスケート競技2日目は29日、福島県郡山市であり、福島第1原発事故で浪江町から秋田市に避難中の秋田中央高2年、古農りつ子選手(17)が、少年女子1500メートル予選と同1000メートル予選に出場。決勝進出は果たせなかったものの、「秋田に避難したから、私はスケートをやることができた」と感謝し、福島県代表ではなく秋田県代表として出場を決めた胸の内を語った。
「そこだあ。行けえ!」。1500メートル予選敗退後の1000メートル予選。家族や親類約20人が声援を送る中、古農選手はゴール手前で1人を抜き去り5位。父満さん(47)は「よくやった」と感激し、しみじみと言った。「それにしても、家族や親戚がこんなに集まるなんて(原発事故の後)初めてだなよなあ」
浪江町に住んでいた家族や親戚は、原発事故でばらばらになった。同居していた父方の祖母古農セキイさん(75)は知人のいる福島市にいる。母方の祖母木幡ミヨ子さん(70)は息子を頼って東京で暮らす。古農選手と両親ら家族5人は秋田市内に避難中だ。
「りつ子のおかげで、疎遠になっていた友達からも激励の電話をもらったのよ」。この日、約10カ月ぶりに古農選手と再会し、抱き合ったセキイさんが、涙をこぼしながら言った。「りつ子にお年玉を持ってきた。『いつか一緒に暮らそう。それまで頑張ろうね』って手紙を入れてね」
古農選手は11年4月、避難先にある秋田中央高に転入、指導教諭の勧めでスピードスケートを始めた。瞬く間に上達し、国体出場選手に選ばれた。福島県代表と秋田県代表どちらでも選べると言われた時、「ここまで育ててくれた秋田の人々に感謝したい」ときっぱりと言った。
自宅のある地域は、避難区域再編で長期間帰宅できなくなる帰還困難地域になる。古里への思いは捨てきれないが、古農さんは今、「秋田に来てよかったって思える」青春を懸命に駆け抜けている。「ばらばらになったけど家族や親戚の絆は深まったような気がする。私もスケートに打ち込むことで、いろんなことを気にせずにいられる」【栗田慎一】
1月30日朝刊
*久しぶりに浪江町にとって明るい話題。
古農さん「あなたはすごい」。今後のますますのご活躍を期待しています。
<福島民報ニュースより>
新年度 新入生ゼロ 二本松に移転中の浪江小など
浪江町教委によると、原発事故前の22年度の同校の新入生は74人だった。事故後の23年度は4人、24年度は2人まで減少した。25年度の入学者がいなかった場合、全校児童は18人となり、事故前の約30分の1となる。
浪江小の石井賢一校長は「1人でも児童がいる限り、子どもを大事にした教育をしていく。児童と町民が触れ合う機会をさらに増やし、浪江を意識した学校を目指す」と話している。
一方、南相馬市教委によると、警戒区域となっている同市小高区に自校がある鳩原、金房、福浦の3小学校は児童数の減少に伴い、4月の新学期から同市鹿島区の鹿島中の敷地内にある仮設校舎で合同で授業を行う。
また、市内で唯一、津波で被災した同市鹿島区の真野小も25年度の新入生はゼロになる見通し。真野小は津波被害を受けた学区内で児童数が減少傾向にあるため、早ければ26年4月にも隣接する鹿島小に統合する方針で検討が進められている。
◇ ◇
31日現在の福島民報社の調べによる避難区域のある市町村や地区の小学校の25年度の新入学予定者数は次の通り(双葉町は小学校を開設しない)。
◇田村市都路町▽古道小=14人▽岩井沢小=6人
◇南相馬市小高区▽小高小=11人▽福浦小=5人▽金房小=1人▽鳩原小=0人
◇楢葉町▽楢葉南小=3人▽楢葉北小=9人
◇富岡町▽富岡一小=2人▽富岡二小=1人
◇川内村▽川内小=6人
◇大熊町▽熊町小=10人▽大野小22人
◇浪江町▽浪江小=0人
◇葛尾村▽葛尾小=1人
◇飯舘村▽草野、飯樋、臼石合同仮設小=25人
( 2013/02/01 09:21)