Quelque chose?

医療と向き合いながら、毎日少しずつ何かを。

「大気汚染と自己免疫疾患」

2019-04-10 | 医学・医療・健康
Annals of the Rheumatic Diseasesに掲載予定の記事一覧から。
台湾から、大気汚染と全身性自己免疫疾患との関連についてのletterが出るようです。

Kuo-Tung Tang et al.
Relationship between exposure to air pollutants and development of systemic autoimmune rheumatic diseases: a nationwide population-based case–control study

大気汚染暴露と全身性自己免疫疾患との関連についての症例対照研究ということで、自己免疫疾患(SLE、関節リウマチ、強皮症、自己免疫性筋炎)の患者さんと、これらの疾患のない対照群について、住んでいる場所における長期間の大気汚染との関連を検討したものです。

大気汚染については、二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)、オゾン(O3)、一酸化炭素(CO)、 PM10の各濃度、およびこれらの濃度から算出されるPollutant Standards Index (PSI)を用いて、台湾各地368地区における年間の平均的な汚染度を推定しています。

その結果、
SLEについて、二酸化窒素(NO2)暴露レベルとSLE発症との間に正の相関 (OR 1.46, 10 ppb増加ごとに95% CI 1.03〜2.08)、また一酸化炭素(CO)レベルとは負の相関 (OR 0.29, 95% CIは1 ppm増加ごとに0.12〜0.70)が見られました。多変量解析でも同様の結果が得られ、長期間の二酸化窒素(NO2)への暴露が炎症反応を起こす一方、一酸化炭素はなんらかの内因的な抗炎症作用を示すのであろうと推測されています。

(ただ、figureを見るとCOに関しては、他の疾患ではあまりはっきりした傾向がないように思えるのでちょっとどうかな・・・と(個人の感想です))

一方、二酸化硫黄SO2への平均暴露レベルは、リウマチと筋炎の患者さんで対照に比べ有意に低く、その他の疾患でも有意でないものの低い傾向であったということです。 ・・が、こちらについても「その他の疾患」のデータは結構ばらけているようで、まだまだ今後の検討が必要に思います。

ちなみに、PM2.5についての検討も結果には出ていますが、特に有意な所見は見られていません。

うーんどうなのか。

ということで、結果としては今回、SLEについて、大気汚染と発症との間に関連が示されたということです。とは言え個人的には、リウマチについても何らかの(ぱっと見てすぐに明らかになるものではないかもしれませんが)病態との関連があってもおかしくないと思っていますし、少なくとも、皆様、気管支や肺の健康に気をつけていただきたいです。

さらなる検討が(まだまだ)必要ですね。