鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

「永遠の青い夜」の下で生きた、御子になれなかった御子のこと

本ブログの連載小説『アルフェリオン』、いつもご愛読いただきありがとうございます。
遅れて来たメインヒロイン、エレオノーア。彼女がルキアンの仲間になる「ハルスの邂逅編」が、現在連載中の第57話で完結します。その57話も、いよいよ終幕に近づいて参りました。
 
 
え? この画像は、何でしょうか……。なんだか知らないキャラがいますし、しかも見た目の点でファンタジーっぽくないですね。実は、彼、第50話に出てきた人です。第50話に掲載といえば、本作が長きにわたって休止していた期間をはさんでいますので、今から約10年前の話です(苦笑)。宇宙服のような防護服を着て、「永遠の青い夜」に閉ざされた旧世界にいた人ですね。
 
『アルフェリオン』を途中の連載分から(たとえば「邂逅編」の始まった第53話から)ご覧になっている方の場合、そもそも「永遠の青い夜」というのが何なのか、御存じないかもしれません。
 
そこで今回は、旧世界の「永遠の青い夜」について振り返りつつ、当時の世界に生きた御子、つまり冒頭の画像のキャラのことについて紹介です。異なる時代や異なる世界のキャラが絡み合う、こういう「多重世界」的な展開も『アルフェリオン』の魅力だと思います。
 
 ◇
 
『アルフェリオン』という物語は、現在のお話から時系列をさかのぼるかたちで言うと、次のような流れになっています:
 
「現世界・新陽暦時代」(ルキアンたちのいる今の物語の舞台)→「現世界・前新陽暦時代」(レマリア帝国が世界を席巻した時代)→何らかのかたちで「旧世界」が「リセット」された時点→「旧世界・解放戦争の時代」(先代の闇の御子エインザールがいた時代)→「旧世界・「永遠の青い夜」の時代」(今回はココが問題!)→「ケレスタリウム炉」が暴走・爆発した時点→「旧世界・それ以前の時代」→「旧世界」以前の様々な時代(多数あり。何度もリセットされている。ルチアやルカのいた時代)
 
このような歴史の流れの中で、地球に似た(苦笑)惑星エルトランドが、「永遠の青い夜」によって魔の世界と化してしまう前の時代、まだ世界が比較的幸福だった時代に生まれたのが、先々代の闇の御子(だが本人は結局気づかなかった)アマトです。
 
 
これから起こることを考えると、少年の無垢な瞳がせつない(涙)。
星空が大好きな少年、アマト・コドゥエ君。彼のような宇宙大好きっ子にとって、運命的な、とても刺激的な、いや、人類史上とんでもない出来事が起こります。当時の人類は、歴史上初めて人類以外の知的生命体と遭遇したのです。
 
 
イルファーと呼ばれる彼らは、要するに「宇宙人」です。しかも、その外見はいわゆるエルフに極めて酷似しています。それが「旧世界」滅亡後にまで生き残って、厳密にいえば宇宙に帰らず惑星に定着した子孫たちが、後の現世界になってから「エルフ」と呼ばれるようになります。この物語におけるエルフというのは、実はですね、宇宙人の子孫なのです!(エレオノーアっぽい口調で)
 
宇宙人の到来によって、広がる世界の可能性に胸躍らせるアマト。しかし、いつか望遠鏡で新しい星を発見したいというアマト君の夢は、やがて起こった巨大な災いによって潰えます。
 
 
日光がほとんど差さない「永遠の青い夜」のもと、ケレスタリウム灰がもたらした「魔染」が広がる絶望の世界。その地上を見捨て、「天空植民市群」(要するにスペースコロニー)に移った上流階級の人々。それが、「地上人」と「天空人」への分裂を人類にもたらしたのでした。
 
その少し前、成人になったアマトは、天空への移民が始まる前に、陽の光の届かない地上に人工太陽のような仕組みを作ろうとする「ノーヴァス・ゾール」計画の技術者になっていました。そして人類の命運は、「ノーヴァス・ゾール」計画の実施か、人類すべての滅亡を避けるために一部の人々を宇宙に送るという「方舟計画」(天空植民市群)の実施か、いずれかを選択するという世界的な議論に委ねられました。
 
結果的に人類は後者を選択し、前述のような歴史の流れになりました(ただ、「方舟計画」の採択をめぐっては、関係諸機関にかかわる莫大な献金・汚職の事実がありましたが)。そして、このような分岐が人類史に生じたことは、「あれ」の自己展開の方向性にも適っていたことなのです。因果の定めです。
 
その後、大地・自然のもつ驚くべき回復力によって、母なる惑星において再び花が咲き、実が結ばれるようになった頃、天空人がその圧倒的な科学力でもって地上人を支配し収奪するようになったのは、御存じの通りです。
地上界がよみがえり始めたことについては、地上人がその後も自分たちの手で「ノーヴァス・ゾール」を開発し、完成させ、利用していたことも影響しています。天空人は、この「ノーヴァス・ゾール」の管理権をも奪い取ったのでした。アマトの失望はどれほど大きかったでしょうか……。
 
 
アマトは、御子としての己の使命も力も知ることなく、そして地上界の解放を見ることもなく、失意のうちに生き、人生を終えました。
 
ちなみにその後、ついに反旗を翻した地上人が解放戦争を起こし、自らも天空人でありながらそこに寝返ったのが、先代の闇の御子でもあったリュシオン・エインザールです。もう本編でも何度も明かされているように、「アルファ・アポリオン」は、そのときに対天上界用の戦略兵器(実際には殲滅兵器)群を操るコアとして造られたものです。
 
アマトのように嘆きながらこの世から去っていった御子は、他にも過去の世界に沢山います。あるいは勿論、御子でなくとも不遇や絶望の中で生を終えた人々は数え切れません。
その想いが時空を超えてルキアンに、つまり真の闇の御子、「ノクティルカの鍵の器」のもとに届くとき、御使いの神竜と戦う彼らに奇跡が起こるかもしれません。そういえば、前回更新分の小説本編の中で、エレオノーアが「こしょこしょ」(笑)と言っていたのは、もしかしてそれの……。
 
 
詳しくは小説本編にて、今後の第57話でご覧ください。
いつも鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございます。
今週から来週にかけては、公私ともに鬼のような多忙が予想され、なかなか小説本編を書ける気分になれないかもしれませんが……今回のような特集記事も取り入れつつ、「ハルスの邂逅編」の完結を読者様とともに盛り上げていきたいと思います!
 
ではまた。
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