鏡海亭 Kagami-Tei ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石? | ||||
孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン) |
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生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。
第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29
拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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「深淵」編の山場、AIさんが画像化に成功です!
連載小説『アルフェリオン』の名場面をAIで画像化する企画、今晩深夜にも更新予定です。画像化が非常に難しくもあり、しかし、物語上は非常に盛り上がるところでもある「深淵」編の第47話分、ご期待ください!
鏡海
映像化困難と言われた「深淵」の回の画像生成に、AIさんが挑戦!
いや、生成AIのオボロさん(*)やChatGPT、そしてDALL-E3さんがここまでやるとは……。正直、驚いています。本ブログの連載小説『アルフェリオン』、問題の第46話「深淵(前編)」の画像化を実現です。
(*)オボロさんとは「Editorial Oboro」(GPTsの機能を通じて小説広報支援用にカスタマイズされたChatGPT)のことです。多彩な機能のひとつとして、小説を読んでその内容を画像化することができます。
人の心の限界を超えた世界が待ち受ける、ソルミナの魔力の結界の中に向かおうとするルキアンに、魔少女エルヴィンが告げる暗示的な言葉。その場面をオボロさんが見事に画像化してくれました。なぜか「ブタ」(笑)がいることには、実は深い伏線があります。
ソルミナの狂気の迷宮に立ち向かうルキアン。
一方、ソルミナの見せる幻に囚われたメイ。
クレヴィスを慕うメイの密かな気持ちに、ソルミナの闇が容赦なく手を伸ばす。
現実世界では決して届かない想いが満たされた状況に、幻と気づきつつも取り込まれるメイ。
メイ、バーン、プレアー、そしてレーイ、仲間たちがソルミナの幻の世界に次々と呑み込まれた中、最後の希望はルキアン・ディ・シーマー、本当の主人公の君だ!!
扉一枚を隔てた向こう、これまでに下りてきた階段の様子は、ルキアンにはもう分からない。そこでは……。壁の松明の明かりが一斉にかき消え、暗黒がすべてを支配する。壁の中から、いっそう黒い闇がしみ出てきたような気がする。いや、いたるところの壁から、現に何かが流れ落ちている。それは血のように見えた。ぬめりを帯びた、どす黒い液体が床にまで次第に広がってゆく。
もうひとつ上にあった扉も、辺りに誰もいない中でにわかに動きだし、それ自体が生きているかのように閉じられた。扉の奥、先ほどルキアンが通ってきたときには何もなかったはずの階段には、無数の白骨が転がっていた。大小無数の骨片が、足の踏み場もないほどに。
そして、最初の小部屋からの出口となった扉。
薄暗くて見えにくいが、扉の上の方、壁に何か書かれている。
あのとき冷静さを欠いていたルキアンが見落としたものだ。
子供がクレヨンで描きなぐったような、乱雑で、単純で、しかし本能的に寒気を感じさせる不気味な落書きが無数に描かれていた。
壁にしみついたような絵は、どれも暴力的で血まみれで、狂気じみている。
悪夢のごとき落書きで埋め尽くされた壁面には、こう刻まれていた。
《闇の生まれたところへ》
部屋のドアに近寄ってゆくと、錆びて色褪せた真鍮製のようなプレートが打ち付けられていた。そこには魔道士たちの使う古典語の文字が並んでいる。
《真昼の光の間》
「それにしても、どうしてこんな手の込んだ、しかも意味の分からない幻を僕に見せるんだろうか」
彼は不思議に思った。結界の創り出す幻が、もっと露骨な支配力を及ぼしてくるものだとばかり考えていたのだが。
――おそらく、この扉は開く。僕に何かを見せようとしている。
直感的に予測したルキアンは、右手にサーベルを握ったまま左手でドアを開けようとした。彼の予想通り扉は造作もなく開いた。
AIの凄まじい「想像力」……。それが単なる形式論理の積み重ねによって、あたかも「心」をもっているかのように疑似的に形成されているとは。人の心って何なのでしょうね、と考え込んでしまいそうになります。
「ねえ、あなた……あんな子なんてもらわなければ良かったわ」
「声が高いぞ。あの子が聞いていたらどうするんだ」
「大丈夫ですわ。もう寝てますよ」
これまでに何度思い起こしたか分からない惨めな記憶を、ルキアンは今、あのときの現実と寸分違わぬ状態で再び目にすることになった。あのとき、幼いルキアンは声も立てずに鳴きながら、そっと自分の部屋のベッドへと戻っていった。だが今の彼は、苦しむどころか怒りに震え、これが幻であることなど忘れて部屋の中に入っていこうとしている。
冷静さを失いかけていたルキアンだったが、そのとき、何かの偶然で彼は不意に考えた。いま思えば、両親のあの会話に奇妙な点があったと。そう、父親の次の言葉だ。
「まあ、やむを得まい。金になるんだ。わが家を守るためには……」
――《金になる》? そういえば、変だよ。
己の辛い体験を、いくらか突き放して見つめることができるようになった今、ルキアンは初めて気づいたのだ。
――お金に困ってたのは知っていたけど、僕を引き取って育てたことがどうしてお金に結びつくんだろう。逆に、僕みたいな《いらない子》を養うのはお金の無駄だったんじゃないのか。父さんと母さんが僕をカルバ先生のところに弟子入りさせたのだって、口減らしのためだと思っていた。
《盾なるソルミナ》の創り出す幻は、ルキアン自身が現在まで忘れていた記憶を、彼の頭の中から引き出して紡がれているようであった。そういえば、確かにあのとき、両親はこんなことも話し合っていた。
「とにかく16歳まで面倒を見れば大金が手に入る。あとは、とっとと追っ払って」
「えぇ、あんなどうしようもない子とも、あの薄気味悪い連中とも、早く縁を切ってしまいたいもの」
「その話は出すな。彼らのことは決して口にしないようにと言われたじゃないか」
――はじめから僕は、16歳になったとき、家から出されることになっていた?
忘れもしない16という歳。2年前、カルバ・ディ・ラシィエンの研究所にルキアンが内弟子として引き取られたときだ。
――それに《薄気味悪い連中》って……。
ルキアンの中でますます疑問が大きくなったとき、彼はまた目まいを感じる。
無言で立ち尽くすルキアンのすぐそばで、金属がひび割れ、小さく弾ける音がした。どういうわけか、彼は再び部屋の前に戻っていた。《近づく日暮れの間》と書かれた例のプレートの破片が床に散らばっている。
呆然と足元を見つめる彼。
そのとき、別の扉がきしみながら開く音がした。そう、ドアのノブすら動かすことのできなかった、件のもうひとつの扉である。ルキアンは急に背筋が寒くなった。瞬間、形のはっきりとしない様々なイメージが彼の脳裏を飛び交う。今まで感じなかった恐れがルキアンの全身を支配した。
開かずの扉は、そこには誰もいないはずなのに、ルキアンを招き寄せるかのごとく自ら開いた。その先に見えるものに彼は直感的に戦慄を感じたのだ。扉の奥にはもうひとつの扉があった。そして、これまでの二つの部屋と同様、入口にプレートが掲げられている。
《落日の間》
影に塗りつぶされた夕暮れの曖昧な景色の中、ルキアンの前方に、彼が無意識のうちに最も恐れていたものが現れた。
――扉だ。あの先には。
周囲の薄闇を圧倒する一段と重々しい漆黒色の扉が、あたかも地面から突き出してきたかのように、ぽつんとそこにあった。ドアと表現するより城門とでも呼ぶ方が相応しい、見上げるほどの巨大な石造りの扉である。
これまでの三つの部屋のことを考えると、新たな扉の向こうには、ルキアンのさらに昔の記憶が待っているのであろう。唇を振るわせながら、彼は呆然とつぶやいた。
「これよりも先の記憶なんて……僕には、無い、はずだ。いや、あの《夕暮れ》の記憶だって、あまりにもぼんやりとして、本当なのか嘘なのか分からない」
うなだれて地面を見つめていたルキアンが、ぼんやりと頭を上げると、なぜか黒い扉が先ほどよりも近くにあるような気がする。いや、そういう気がするのではなく、実際に扉は近づいている。そして扉には、やはり、くすんだ真鍮色のプレートが付けられている。そこに刻まれた最後の部屋の名前は、ただひとこと。
《夜》
ますます深まるソルミナの迷宮。これに呼応するかのごとく、ルキアンの回想も彼の心の奥底にまで達してゆく。
その果てに彼が見たものは。精神の獄の深淵。そこで待ち受ける真実とは……。
次回、第47話「深淵(後編)」からのAI画像生成にご期待ください。
本日もブログ「鏡海亭」にお越しいただきありがとうございました! 世間では、そろそろGWも始まってきておりますが、鏡海は当分のところは仕事もブログ更新も平常運転です(苦笑)。
ではまた!