☆映画の旅の途中☆

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『陸軍登戸研究所』(2012)

2013年10月06日 | 邦画(1990年以降)
『陸軍登戸研究所』(2012)

楠山忠之監督


【STORY】
戦前から戦中にかけて、防諜、謀略、秘密兵器の開発拠点として極秘裏に存在した陸軍登戸研究所。終戦時の証拠隠滅によって歴史から姿を消したこの組織の実態に、当時の研究員や作業員たちの証言から迫ったドキュメンタリー。6年もの時間をかけて関係者の証言を収集したのは、「メコンに銃声が消える日」も手掛けた楠山忠之監督。2012年キネマ旬報ベスト・テン文化映画第三位。

【感想レビュー】@theater
3時間にも及ぶ本編は6年もの歳月をかけて作られたものでした。

よく電車で通るこの場所に、かつて研究所はあった。
身近に感じるからこそ、もう絶対観なければ、と思っていた1本です。


人懐こい笑顔で気さくに当時の様子を話す男性。

当時の建物の一部や消火栓を残す明治大学の生田キャンパスにて、懐かしそうに、本当に懐かしそうに、こうだった、ああだった、とお話しされます。

当時、登戸研究所には日本の頭脳が集結したのだ、と。

当時を知る、沢山の方のインタビューで構成された本作。
男性も女性も、います。

興味深かったのは、女性にはあっけらかんと、お話しされる方が少なくないこと。

風船爆弾は秘密裏に進められた、と言われているが、陸軍が人里離れた場所に駐屯していて、風船が空を飛べば、なぜ秘密裏に進める事など出来よう、出来るわけがないじゃいないか、というような内容を笑って仰るのです。

そ、そりゃそうですよね…。

また、ニセ札偽造の内幕のお話し。
さすがに…人体実験の話は少ないように思いました。。

終戦後、登戸研究所の中から戦犯になった者はなく、かわりにGHQで秘密の任務に就いた者も多かった、と。
GHQがその技術を欲しがった、と。

インタビューでお話しされた方の中にも、秘密の任務に就いた方のお話しがありましたが、『話さない。墓場まで持っていく。』とこの事に関しては固く口を閉ざされました。

墓場まで持っていかなくてはならない秘密…。

また、当時18歳位で研究所で働くことになった方は、『無駄な時間だった』と振り返ります。

『人生において、無駄な時間だった』と。

3時間の長尺でしたが、話し手のお話しを編集する事も少なく(もっと撮っているのかもしれませんが、かなり間が開いたり、何を仰っているかよく分からない場面でも、切らないでいたので…)、空気が直接伝わってくるようでした。

『登戸研究所の真実』、近いうちに読みたいと思います。