入院してからもう4ヶ月近くなります。
4ヶ月前、老人ホームの職員さんが受診に連れて行ってくれ「入院になるので御家族の立ち会いが必要です」と連絡を受けました。
老人ホームはコロナ禍で面会禁止になっており、母に会うのは半年ぶり(姉は一年ぶり)でした。
予想より元気で母は笑っていました、現状が分かっていないと言うのもありましたが、久しぶりに娘たちに会えて嬉しそうでした。
ドクターから病状の説明を受け、母の余命が僅かと知りました。
老人ホームでは医療的ケアが受けられない、入院が適切と納得しそれを望みました。
ドクターより「ご存知とは思いますが…、コロナ禍で病院は面会禁止になっています。お母さんと会えるのはこれが最後かと…」
言い辛い言葉を言わなければならないドクターの声…
「分かっています。宜しくお願いします。」と言うしかありませんでした。
半年ぶりに会えて、コレが最後の別れですって突然言われて納得できるわけ無いよね。
でもどうもにもならないんだ、自宅に連れて帰れるならそうしたいが、私にはどうにもできないんだから…。
慌ただしく手続きをして書類にサインして、病棟まで母の車いすを押して行く。
病棟の入り口には数人の看護師さんが迎えに出てきてくれた。皆さん、優しい笑顔で迎えてくれた。
「看護師さんを困らせちゃ駄目だよ、言う事きくんだよ」母の頭を抱きしめる。
「分かってるよ、これ(私)は怖いんだよ。こっち(姉)は優しいんだよ。」と看護師さんに言う。
「さんざん面倒みさせておいて最後の言葉がそれかよ」苦笑いするしかない。
父が亡くなり間を空けずに母の介護が始まった。
母の認知症が進むと毎日喧嘩だった。
介護の限界を感じ老人ホームに預けてから三年、ホームの方々のお陰で大きな体調不良もなく穏やかに暮らせていたのだが…
長い長い介護生活だ、語り尽くせるものじゃない。介護はやった人でなければ分からない。
介護士として20年以上、親の介護は30年近く、全く違うものだ。
老人ホームでは電話で様子を聞くしかなかったが、病院では2週間に一度20分程のオンライン面会が出来る。
入院するときは余命僅かと言われたが、ドクターや看護師さん、スタッフさんのお力で予想より元気になっていた。
しかし…面会の回数を重ねる毎に弱っていくのは分かる。
やはり殆ど食事はとれず、点滴が頼りだ。
苦しまなければいい、痛い思いしなければいい、なるべく静かに穏やかに過ごせればいい。
「姉妹で仲良くやってね」
「ちゃんとご飯食べてるかい?」
いくつになっても親は親だ、寝たきりの親が60歳近い娘を心配する。
こんな時代に本当の幸せってなんだ?と考える。
自分の大切な人達のことを思う…
命の火が消えようとしている人
遠くて会えない人
怪我や病気で会えない人、会いに行けない時間、
災害で姿を変えてしまった懐かしい場所
自分の大切な人が幸せでいること、笑顔で過ごせること、それが幸せ。
今は会えなくても会いに行けなくても、元気でいれば会えると希望を持てる。
会えないのは辛いけど寂しいけれど、貴方がこの世に存在していてくれる、たとえ会えなくても貴方が生きていてくれる、それが私には支えなのだ。
お母さん、一日でも長く生きてください。
私の大切な人達、元気でいてください。
貴方が元気でいてくれる、それが私の幸せです。