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■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?(週刊現代:講談社 2017.08.05)

2021-10-06 05:44:41 | 日記


■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?

~知ってはいけないウラの掟~


「日本の空は、すべてアメリカに支配されている」

「日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある」

「国のトップは“米軍+官僚”である」

「自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」


週刊現代(講談社)
2017.08.05
矢部宏治

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466

 

 

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事実か、それとも「特大の妄想」か

 

それほどしょっちゅうではないのですが、私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、「また陰謀論か」「妄想もいいかげんにしろ」「どうしてそんな偏った物の見方しかできないんだ」などと批判されることが、よくあります。

あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。

自分が調べて本に書いている内容について、いちばん「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。

「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」いつもそう思っているのです。

けれども、8月17日発売の新刊『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』をお読みになればわかるとおり、残念ながらそれらはすべて、複数の公文書によって裏付けられた、疑いようのない事実ばかりなのです。

ひとつ、簡単な例をあげましょう。

以前、田原総一朗さんのラジオ番組(文化放送「田原総一朗 オフレコ!」)に出演し、米軍基地問題について話したとき、こんなことがありました。

ラジオを聞いていたリスナーのひとりから、放送終了後すぐ、大手ネット書店の「読者投稿欄」に次のような書き込みがされたのです。


<★☆☆☆☆〔星1つ〕 UFO博士か?
なんだか、UFOを見たとか言って騒いでいる妄想ですね。
先ほど、ご本人が出演したラジオ番組を聞きましたが(略)なぜ、米軍に〔日本から〕出て行って欲しいというのかも全く理解できないし、〔米軍〕基地を勝手にどこでも作れるという特大の妄想が正しいのなら、(略)東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議〔なのでは〕?>


もし私の本を読まずにラジオだけを聞いていたら、こう思われるのは、まったく当然の話だと思います。

私自身、たった7年前にはこのリスナーとほとんど同じようなことを考えていたので、こうして文句をいいたくなる人の気持ちはとてもよくわかるのです。

けれども、私がこれまでに書いた本を1冊でも読んだことのある人なら、東京のまさしく「ど真ん中」である六本木と南麻布に、それぞれ非常に重要な米軍基地(「六本木ヘリポート」と「ニューサンノー米軍センター」)があることをみなさんよくご存じだと思います。

そしてこのあと詳しく見ていくように、日本の首都・東京が、じつは沖縄と並ぶほど米軍支配の激しい、世界でも例のない場所だということも。

さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。

なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル(「日米地位協定の考え方 増補版」1983年12月)のなかに、

○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

○ 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

という見解が、明確に書かれているからです。

つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」ということはできない。

そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。


北方領土問題が解決できない理由


さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、この極秘マニュアルによれば、そうした法的権利をアメリカが持っている以上、たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、次のような大原則が存在するというのです。

○ だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かないというような約束をしてはならない。

こんな条件をロシアが呑むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、ほぼ間違いなく日米のあいだに、この問題について文書で合意した非公開議事録(事実上の密約)があることを意味しています。

したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、担当部局が頑張って素晴らしい条約案をつくったとしても、最終的にはこの日米合意を根拠として、その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、大きな注目を集めました。

なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと報道されたのですから、人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

官邸のなかには一時、この北方領土と米軍基地の問題について、アメリカ側と改めて交渉する道を検討した人たちもいたようですが、やはり実現せず、結局11月上旬、モスクワを訪れた元外務次官の谷内正太郎国家安全保障局長から、「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」という基本方針が、ロシア側に伝えられることになったのです。

その報告を聞いたプーチン大統領は、11月19日、ペルー・リマでの日ロ首脳会談の席上で、安倍首相に対し、「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、それでは交渉は終わる」と述べたことがわかっています(「朝日新聞」2016年12月26日)。

ほとんどの日本人は知らなかったわけですが、この時点ですでに、1ヵ月後の日本での領土返還交渉がゼロ回答に終わることは、完全に確定していたのです。

もしもこのとき、安倍首相が従来の日米合意に逆らって、「いや、それは違う。私は今回の日ロ首脳会談で、返還された島には米軍基地を置かないと約束するつもりだ」などと返答していたら、彼は、2010年に普天間基地の沖縄県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫首相(当時)と同じく、すぐに政権の座を追われることになったでしょう。


「戦後日本」に存在する「ウラの掟」


私たちが暮らす「戦後日本」という国には、国民はもちろん、首相でさえもよくわかっていないそうした「ウラの掟」が数多く存在し、社会全体の構造を大きく歪めてしまっています。

そして残念なことに、そういう掟のほとんどは、じつは日米両政府のあいだではなく、米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

私が『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』を執筆したのは、そうした「ウラの掟」の全体像を、「高校生にもわかるように、また外国の人にもわかるように、短く簡単に書いてほしい」という依頼を出版社から受けたからでした。

また、『知ってはいけない』というタイトルをつけたのは、おそらくほとんどの読者にとって、そうした事実を知らないほうが、あと10年ほどは心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。

なので大変失礼ですが、もうかなりご高齢で、しかもご自分の人生と日本の現状にほぼ満足しているという方は、この本を読まないほうがいいかもしれません。

けれども若い学生のみなさんや、現役世代の社会人の方々は、そうはいきません。

みなさんが生きている間に、日本は必ず大きな社会変動を経験することになるからです。

私がこの本で明らかにするような9つのウラの掟(全9章)と、その歪みがもたらす日本の「法治国家崩壊状態」は、いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、猛烈な勢いで広がり始めています。

今後、その被害にあう人の数が次第に増え、国民の間に大きな不満が蓄積された結果、「戦後日本」というこれまで長くつづいた国のかたちを、否応なく変えざるをえない日が必ずやってきます。

そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、ぜひこの本を読んでみてください。

そしてこれまで明らかにされてこなかった「日米間の隠された法的関係」についての、全体像に触れていただければと思います。

 


【各章のまとめ】


「日本の空は、すべてアメリカに支配されている」

「日本の国土は、すべて米軍の治外法権下にある」

「日本に国境はない」

「国のトップは“米軍+官僚”である」

「国家は密約と裏マニュアルで運営する」

「政府は憲法にしばられない」

「重要な文書は、最初すべて英語で作成する」

「自衛隊は米軍の指揮のもとで戦う」

「アメリカは“国”ではなく、“国連”である」

 

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■なぜ日本はアメリカの「いいなり」なのか?
~知ってはいけないウラの掟~
週刊現代(講談社)
2017.08.05
矢部宏治
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/52466?page=4

 


■株式比率3割…民放各社は米国に乗っ取られているのか 「外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%」 日刊ゲンダイ(2015/11)

2021-10-06 05:44:10 | 日記

 

■株式比率3割…民放各社は米国に乗っ取られているのか

「外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%」

日刊ゲンダイ(2015/11)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954


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外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%


大筋合意のTPPではバラ色の未来をたれ流し、南シナ海にある中国の人工島周辺に米軍艦が向かえば「待ってました」とばかりに大ハシャギ――。

最近のテレビニュースは、やたらと米国ベッタリ報道が目立つ。

TPPも南シナ海情勢も米国批判の材料は山ほどあるのに、民放の報道姿勢は米国びいき一辺倒に映る。

放送法の中立公正の原則に反しないかと心配になるが、民放各社の株主構成を知れば納得だ。

すっかり外資の影響下に置かれている。

証券保管振替機構によると、6日現在の民放各局の外国人株主の比率は、テレビ朝日が12.7%、TBSは13.34%、日本テレビは22.01%。フジテレビにいたっては29.85%と、ほぼ3割を外資に握られている。

ここで「おやっ?」と思ったアナタは正しい。

テレビやケータイの電波を管理する電波法には外資規制があり、放送事業者の外国人株主の比率を20%未満と義務づけている(第5条)。

議決権ベースで20%を超えると、放送免許は取り消しだ。

なぜなら公共の電波は国有財産。

よその国に乗っ取られたら大変なので定めた厳罰だが、日テレもフジも20%をゆうに超える。

どうして放送免許を剥奪されないのか。

「バブル期以降に民放各局が株式上場したのに伴って、政府は放送法を改正。20%を超えた時点で外国人株主の名義書き換えを拒めるようにしたのです。20%以上に該当する外国人は株主名簿に記載されず、議決権は行使できない。この“荒業”により、電波法の外資規制は有名無実化しています」(民放関係者)

書き換え拒否によって、日テレもフジも外国人株主の議決権比率は19.99%(9月30日時点)に収めているとはいえ、ともに電波法の「乗っ取り制限」までギリギリなことに変わりはない。

日テレは上位大株主の9位(2.2%)と10位(2.1%)に、フジは7位(3.01%)と10位(1.45%)に米国系の投資ファンドが名を連ねている。

特に民放で最も外国勢に株を買われている現状について、フジは「法に従った手続きをしています」(財経局担当者)と答えるのみ。


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■株式比率3割…民放各社は米国に乗っ取られているのか
「外国人株主比率は日テレ22%、フジ約30%」
日刊ゲンダイ(2015/11)
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/168954

 

 

 


<参考>【テレビ局株式の外国人直接保有比率】(2020/09/29時点)

フジテレビ 32.28%
日本テレビ 21.82%
TBS    14.4%
テレビ朝日 13.98%

参考)外国人保有制限銘柄期中公表

 

 

 


サイバー攻撃、狙われるのはカプコンだけじゃない。「IT後進国」~日本の国際競争力が失墜する理由~

2021-10-06 05:42:28 | 日記

■狙われるのはカプコンだけじゃない 
サイバー攻撃で最大35万件の個人情報流出も

AERAdot.(朝日新聞)2020.11.17

https://dot.asahi.com/wa/2020111700048.html

 

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ゲームソフト大手のカプコン(大阪市)が、サイバー犯罪集団による攻撃を受け、大量の情報が流出した可能性があることを明らかにした。

今回は攻撃対象がカプコンだったものの、どんな会社でも“標的”になり得る、と専門家たちは警告する。

カプコンの発表によると、2日未明に社内システムに接続障害を確認し、システムを遮断して状況把握に着手。

「ラグナロッカー」を名乗る集団から、身代金の要求があったという。

ラグナロッカーは、世界に十数グループある攻撃集団のうち「大きなグループではない」(サイバーリサーチの藤田有悟代表)。

カプコンから盗んだ情報の一部がサンプル公開され、今回は一般サイトにも公開。

「SNSを見ると誰もがダウンロードしているようです」と、トライコーダの上野宣代表は指摘する。

実は、カプコン以外にも、日本企業数社ほどから盗んだとみられる情報が、「ダークウェブ」と呼ばれる闇サイトにサンプル公開されているというのだ。

カプコンから流出した可能性がある情報は膨大だ。国内外の顧客や取引先、株主名簿情報、退職者やその家族など最大約35万件の個人情報に加え、社員ら約1万4千人の人事情報、さらには売り上げや営業資料なども流出した可能性がある。

同社は「一通りのセキュリティー対策は講じていた」(広報担当者)と説明しつつ、警察が捜査中だとして身代金要求の詳細は公表していない。

「バイオハザード」シリーズなどのヒット商品で知られるカプコンは、直近の業績は売上高が800億円超、本業のもうけを示す営業利益200億円超と堅調だった。

その株価は、情報流出を公表した翌17日午前の取引で一時、前日比4・6%安の4915円まで急落した。

今回の攻撃では、ランサムウェア(身代金ウイルス)による不正アクセスで、感染するとパソコンのデータが暗号化されたり、画面にロックがかかったりする手口が使われた。

暗号化の解除などと引き換えに、身代金を要求するのが一般的。

今回はさらに情報も盗んでサンプル公開される“二重攻撃”だった。

前出の上野さんによれば、こうした攻撃での身代金要求は、犯人の足取りがつきやすい現金などでなく、ビットコインが使われるケースが多いという。

カプコンのケースは「1千万ドル相当のビットコインで身代金を要求されているようだ」。

とはいえ、セキュリティー対策を講じていた同社が、どうして簡単に攻撃されてしまったのか。

「攻撃者がパソコンの脆弱(ぜいじゃく)性やバグという不具合を狙い、遠隔操作できるようにしてデータを盗んだのではないか」とみるのは前出の藤田さんだ。

誰かがウイルスに感染したメールを開くと、そこから遠隔操作が始まるというものだ。

ウィンドウズなどの基本システム(OS)は複雑になり過ぎて、どんどん更新されている。

大手企業は何千台ものパソコンを抱え、1台でも古いシステムが残っていると、大量攻撃でひっかかる可能性がある。

パソコンの感染は誰にでも起こり得ることで、本来は誰かのパソコンが感染しても、そこからネットワークに広がらないような対策が必要だという。

カプコンについては「おそらく古いネットワークだったのではないか」と上野さん。

ただ、カプコンが受けた攻撃は決して特殊なケースではないとみられ、「どこの会社でも起こる可能性がある」と警鐘を鳴らす。

 

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狙われるのはカプコンだけじゃない 
サイバー攻撃で最大35万件の個人情報流出も
AERAdot.(朝日新聞)2020.11.17
https://dot.asahi.com/wa/2020111700048.html?page=1

 

 

 

 

 

■アフターコロナに「IT後進国」~日本の国際競争力が失墜する理由~

ダイヤモンド・オンライン(週刊ダイヤモンド)2020.5.12

真壁昭夫:法政大学大学院教授

https://diamond.jp/articles/-/236862


~~~

 

IT分野で発展した国とそうでない国に競争力の格差


最近、今年1~3月期の主要企業の業績が発表され、コロナ禍の渦中での各国の主要企業の収益状況が明らかになりつつある。

その中で、わが国と欧州の主要企業の業績が前年同期比で7割から8割減と大きく落ち込む一方、5Gや通信分野に強みを持つ米国や中国では企業の純利益が前年同期比で4割程度減少と健闘していることが注目される。

現在、世界的にテレワークや巣ごもり消費の増大から、多くの主要国で通信量が顕著に増加している。

それに伴い、米・中のサーバー需要獲得競争が一段と激化している。

米国GAFA、中国BATHのようにIT先端企業の収益力は、経済の落ち込みをカバーすると同時に、アフターコロナの変化に対応するために一段と重要性が増している。

一方、自動車、汎用機械、素材などに相対的な優位性を持つわが国では、企業の利益が同78%減だった。

世界的に見て日本経済はかなり厳しい状況にある。わが国は“ものづくり”に強みを持つが、5Gやスマホ分野などでの競争力は十分ではない。

加えて、感染対策が後手に回り、GDPの60%程度を占める個人消費が落ち込んでいる。

コロナショックの発生によって、世界全体で人の動線が遮断され、経済は大きく混乱している。

回復にはかなり時間がかかるだろう。

4~6月期、米国の経済成長率はマイナス20%超に落ち込むとみられ、その後も世界経済の停滞は避けられないだろう。

今後、IT先端分野を中心に力を発揮してきた経済と、そうではない国の差がこれまで以上に明確化するはずだ。

今後、5G通信関連を中心にIT先端分野の需要は徐々に高まるとの見方は多い。

わが国はそうした変化に対応するために、産業構造を転換することを考える必要がある。

 


(中略)

 


今後、わが国が目指すべき改革の道


コロナショックによって世界全体で人の動線が遮断・寸断された影響は非常に大きい。

それによって、人々が外出しなくてもできるだけ快適に過ごすことを重視し始めている。

言い換えれば、わが国が強みを発揮してきた自動車、各種部品や素材産業の回復には時間がかかる。

これまでの産業構造を維持し続けた場合、わが国の経済は米中を中心とするIT先端分野などでの新しい取り組み、それによる変化に取り残されてしまう恐れがある。

仮にその展開が現実のものとなれば、内需の低迷には拍車がかかり、経済と社会全体でかなりの閉塞感が広がるだろう。

歴史を振り返ると、疫病との戦いは世界経済を大きく変えた。

14世紀に世界を襲ったペストは、欧州における封建制度の崩壊を通して教会の影響力を低下させ、ルネサンスにつながった。

1918年に発生したスペイン風邪は、第1次世界大戦の終結を早めたとの見方がある。

コロナショックを受け、米国では産学連携などを起点に、大学が開発したフェースシールドを自動車メーカーが生産するなど、部分的にオープンイノベーションが起きている。

中国では、国家資本主義体制の下で経済活動だけでなく医療などのデジタル化が進んでいる。

ある意味、わが国はコロナショックをチャンスに変えなければならない。

これまでの発想や価値観にとらわれずに、新しい取り組みを積極的に進めなければ世界全体の構造変化に遅れてしまう。

感染を早期に食い止めた韓国でさえ、鉄鋼、金融、石油化学、航空など在来分野の業況は悪化している。

感染対策が後手に回ってしまったわが国は、内需、外需の両面においてそれ以上に厳しい状況を迎えていることを直視しなければならない。

わが国の政府は今後の経済運営をどう進めるか、国としての基本方針を固めるべき時を迎えている。

5Gやデータセンター関連の新しい機器や基盤などの部材開発と生産に向け、産学連携の強化や専門知識と技術を持つ人材が活躍できる環境の整備は急務だ。

政府は基礎分野での新しい取り組み推進に向けて、規制緩和や構造改革を大胆に進める必要がある。

今後、わが国がそうした課題をいかに乗り越えることができるか、今、大きな岐路に立たされている。

 

 

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アフターコロナに「IT後進国」~日本の国際競争力が失墜する理由~
ダイヤモンド・オンライン(週刊ダイヤモンド)2020.5.12
真壁昭夫:法政大学大学院教授
https://diamond.jp/articles/-/236862

 

 

 

 


■日本が「第4次産業革命」で欧米や中国に大幅な遅れをとっている理由「デジタル経済の嘘とホント」

ダイヤモンド・オンライン(週刊ダイヤモンド)2020.6.9

岩本晃一:経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員

https://diamond.jp/articles/-/239415

 


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デジタル化は、グローバル化と並んで、国と国の経済格差、競争力の格差を生み出す最も大きな要因だ。

とりわけITビジネスはGAFAに象徴されるように、独自の技術でデファクトを握り、ビジネスで「独り勝ち」できてしまう。

イノベーションが企業競争力の源泉で、高度なIT人材をどう養成するかが、鍵になる。

だが日本は人材投資で米欧や中国に圧倒的に差をつけられている。

 

高度IT人材を育てる投資
圧倒的に多い米国と好対照


AI、ビッグデータなどの活用で産業やビジネスが根本的に変わる「第4次産業革命」をにらんで、各国では90年代後半から、IT高度人材を養成する人材投資が行われてきた。

とりわけ米国では、優秀な人材が必要との認識の下で積極的に人材育成に投資が行われてきたことがわかる。

1995-2004年の投資額の伸びは2.3%増、2005-2012年では2.1%増だ。

それに対して日本は、1995-2004年の伸びは0.4%増、2005-2012年も0.1%増と欧州各国に比べても少なさが際立つ。

人材の育成を怠っていたことがわかる。

バブル崩壊や金融危機などで企業収益が悪化し、人材投資の余力がなかったことやIT投資はしても、省力化・コスト削減投資など「守りの投資」と呼ばれる後ろ向きのものが多かったからだ。

 

 

(中略)

 


大学での養成体制も遅れる
米国はIT企業との連携定着

 

企業に入る前の段階ではどうなのか。

日本では大学でも高度IT人材を養成する体制が遅れている。

例えば、高度なIT技術を駆使してビッグデータなどを分析・解析し、ビジネスの方向や変革を経営者らに提案するデータ・サイエンティストの大学での養成課程を日米独で比較すると明らかだ。

ドイツは、約2年前に筆者が現地調査を行ったが、ミュンヘン工科大学、ミュンヘン大学、ミュンヘン専門大学の3大学で、2016年からデータ・サイエンティストを養成する修士課程が設置され、修士課程を終えた者がすでに2018年から社会に出て働き始めている。

これら3大学の教授会で、第4次産業革命を牽引するリーダー人材の育成が必要との議論が始まったのは、ドイツ政府が「インダストリー4.0構想」を発表した2013年4月の直後からで、現在では取り組みはさらに進んでいると思われる。

米国では、約2年前の時点ですでにデータ・サイエンティストを養成する修士課程が70以上の大学で設置されていた。

インターンシップに力を入れる大学や社会人向けにオンラインで受講できる授業を充実させている大学など、大学によってそれぞれ特色があり、多様なキャリアプランに合わせて学習課程を選択できる環境が整備されている。

例えばカーネギーメロン大学では、グーグル、アマゾンなどがインターンシップの場を提供し、学生は16から20カ月間という長期にわたって実地での訓練を受けられる。

またノースウエスタン大学では製造業向けのデータサイエンスコースが用意されるなど、AIなどの先進技術の開発を世界に先駆けて行っている大企業が、実践的トレーニングの場になっている。

新しく養成コースを作る段階をとうに過ぎ、現在は、どの大学が優れたカリキュラムを提供しているかをフォーブスなどがランキングをつけて紹介している。

これに対して、日本では、滋賀大学が2017年4月に日本で初めてAI、データ・サイエンティスト養成のための学部を開設、次いで横浜市立大学が学部を(2018年4月)、滋賀大学が大学院を(2019年4月)、立教大学が大学院を(2020年4月)開設したが、まだ、3大学にとどまっている。

東大大学院情報理工学系研究科が最近、2020年度の修士課程入学定員を、5割増の243人とし、教員ポストも3割増やして130人にすると発表したが、いずれにしろ米国などに比べると、大学などでの高度IT人材養成の体制整備は大幅に遅れている。

 


IT人材の不足が国際競争のかせになる恐れ

 

カナダのAI分野の調査会社であるElement AI社が発表した「世界の人工知能人材に関する報告書2019(Global AI Talent Report 2019)」によれば、AI人材は、過去数年間で驚く増加を示したが、米国に集中している。

全世界の46%が米国の企業や研究機関に在籍し、2位が中国の11%で、日本は3.6%しかおらず6位にとどまっている。

また、NRIセキュアテクノロジーズが行った「企業における情報セキュリティ実態調査2019(NRI Secure Insight 2019)」によれば、セキュリティ人材が不足していると回答した日本企業は87.8%だが、米国企業は18.1%となっており、日本企業には優秀な人材が圧倒的に不足している状況が見て取れる。

日本企業としては、国際競争を勝ち抜くためには、早急な人材確保が必要だ。大学・大学院でのデータ・AI人材育成の整備を黙って待っている訳にはいかない。

企業の中にはデータ・AI人材の育成に関して、大学と連携し始めているところも出てきている。

例えば、2018年11月に京都大学は、NTTデータやANAシステムズ、東京海上日動火災などの数社と共同で、ITとビジネスの人材を育成することを目的に産学共同講座「情報学ビジネス実践講座」を設立した。

NTTデータは京都大学と人材養成で連携を始めた。

こうした連携は、NECと滋賀大学、東芝メモリと電気通信大学、IHIと横浜国立大学、みずほ証券と東京理科大学、大和総研と同志社大学などでも始まっている。

一方で学生にとっては、大学で本格的なデータ・AI関連の教育が進んでいないため、データ・AI関連の企業への就職やデータ・AI関連の仕事がどういったものかなど、なかなか想像がつきにくいようだ。

マイナビが全国の大学の2020年3月卒業予定の学生(4年生、大学院2年生)7342名を対象に行った「マイナビ AI推進社会におけるキャリア観に関するアンケート」(2019年6月4日)によれば、回答した学生の75.4%がAIやITに関連した職種を志望していない。

AIやITに関連した職種について、全体の75.4%、理系男子の67.1%、理系女子の81.0%が「志望しない」と回答。

AIやITに関連した職種の中で、最も志望する割合が低かった職種はセールスエンジニアで、全体の1.1%。データ・サイエンティストも全体の3.3%と低い。

 

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■日本が「第4次産業革命」で欧米や中国に大幅な遅れをとっている理由「デジタル経済の嘘とホント」
ダイヤモンド・オンライン(週刊ダイヤモンド)2020.6.9
岩本晃一:経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員
https://diamond.jp/articles/-/239415