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■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念 Business Journal 2014.12.13

2021-10-28 03:32:42 | 日記

 

■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念

Business Journal 2014.12.13

https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html


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衆院選投票日が今週末14日に迫っているが、国民の関心は薄く、報道機関の世論調査でも「関心がある」と答えているのは全体の6割でしかない。

 

年代別でみると、70代以上が最も関心が高く8割に迫る水準だが、20代は4割強でしかなく、実際に投票に行くかどうかとなると世代間の差はさらに広がる可能性が高い。

このことは、70代以上の意思が国民の意思になり、若年層の利益と高齢者の利益が相反しても、国政には高齢者の利益しか反映されないことを意味する。

 

そんな若年層が投票日までに目を通しておくべきだと考えられるのが、『自民党憲法改正草案にダメ出し食らわす!』(合同出版)である。

著者は司法試験予備校伊藤塾の塾長であり、憲法研究をライフワークと位置づけている護憲派の伊藤真弁護士と、改憲論者で「コバセツ」の愛称で知られる小林節慶応義塾大学法学部教授。

 

2人の対談形式になっており、実際に読む部分は137ページしかない薄い本で文字も大きい。

内容も平易な上に衝撃的で、決して眠くなるような内容ではない。

 

2~3時間で読めるので、特に20~50代の方にはぜひとも読んでほしい。

なぜ20~50代なのか。

 

それは安倍晋三首相という政治家の悲願実現の暁には、最も被害を被る層だからなのだが、詳細は後述する。

同書は昨年7月に刊行されたもので、自民党がまだ野党だった2012年4月に発表した、同党の、というよりは安倍首相が考えた憲法改正草案を批判した本である。

 

ポイントは、改憲論者の小林氏ですら徹底的に批判しているという点だ。

 

『NEWS 23』(TBS系)キャスターで毎日新聞政治部特別編集委員の岸井成格氏も、テレビ番組でこの改憲案を「あまりにも幼稚な内容で、いくら野党になったからといって、こんな無分別なものをつくるとは、とあきれ、政治部の記者は相手にしなかった。だがそれがいけなかった。即座に徹底的に批判すべきだった」と語っている。

 

筆者は経済専門の記者で、社会部系でも政治部系でもなく、人権に関する報道を熱心にやってきたわけでもない。

 

従ってこの憲法改正案の内容をほとんど知らなかったのだが、同書を読んで仰天した。安倍首相は、改憲こそが最終目標であり、集団的自衛権容認は何がなんでも実現したいという悲願を持ち、それが国家にとって最善の道だと信じて疑わない政治家なのだということがわかる。

 

強い信念を持って正しいと信じて突き進む政治家ほど怖いものはない。

2年間の政権運営で、自分の信念は国民受けが悪いこともすでに承知している。

 

受けがいい経済政策を隠れ蓑にしながら票をかき集めないと、自分の信念は実現できない。

自民党総裁選が来年9月では、それまで安倍人気は持たない。だから今なのだ。

 

 

・権力者を縛る憲法があってこその立憲主義

 

同書で小林氏と伊藤氏の2人ともが一致して批判しているポイントは、憲法96条と99条に関する改正案。

両条文に共通するのは、「安倍首相は憲法を憲法とは別のシロモノに変え、立憲主義を捨てたがっている」という点だ。

 

「国民を縛るのは法律。その法律のつくり手である権力者を縛るためのものが憲法」であり、「法の上に憲法があるのが立憲主義」だと記憶している人は少なく、両氏はそれこそが問題であり、日本国民は「立憲主義とは何か」を理解していないと指摘する。

 

憲法は英語で「constitution」であり、権力をカサに着て国民の人権を不当に侵害するような法律を、権力者につくらせないためのものだ。

そもそも権力者を縛ることを目的にしているのだから、主語は基本的に権力者でなければならない。

 

よって、国民については権利を盛り込むことはあっても義務を盛り込む余地はない。

ちなみに義務教育のくだりは「教育を受ける権利」を意味する。

 

現行憲法では、99条で「天皇、摂政、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負う」としているのに、改憲案ではわざわざ102条を新説し、国民に対し憲法を守れとしている。

国民の義務を謳った新設条文はほかにもあり、「家族は互いに助け合わなければならない」として、本来憲法が踏み込むべきではない道徳に踏み込んでいたりする。

 

96条で憲法改正に必要な衆議院、参議院での賛成数を3分の2と定めているが、これも過半数に緩和するとしている。

だが、これでは憲法が一般の法律程度の賛成多数で変えられるようになってしまい、それでは憲法は憲法でなくなる。

 

一般の法律は定足数が総議員数の3分の1で、その過半数の賛成で成立する。

これと同じレベルにするということは、権力者である安倍首相が自らを縛る規律を大幅に緩めようとしているわけで、これは間違いなく立憲主義の否定になる。

 

天皇の権限を大幅に増やす条文が新設されていることについても、小林氏は「政治利用が行われ得ない様にすべき」と批判的だ。

公務員による拷問や残虐な刑罰を禁じた36条では、「絶対にこれを禁ずる」から「絶対に」だけが削除されている。

 

明確に「国防軍」という条文も新設されている。

とにかく全体的に、戦前の家父長制度を基本とし、国家の利益が個人の利益に優先する明治憲法への回帰を志向しているとしか思えない細かい「改正」箇所が随所に登場するのである。

 

 

・現実味帯びる徴兵制

 

当然、集団的自衛権を容認する前提で必要な改正も盛り込まれている。

今回の選挙の争点である経済政策、原発再稼働容認の有無、集団的自衛権容認の有無は、3点がセットである。

 

経済政策には賛成でも残り2つには反対という人が自民党に投票すれば、もれなく反対である残り2つにも賛成したことになってしまう。

自民党内に反対派が事実上おらず、政権与党内に誰も安倍首相を牽制できる政治家がいないからだ。

 

集団的自衛権について、安倍首相は海外の紛争地域での邦人保護など、耳当たりの良い事例だけを引き合いに出して説明しているが、要するに国民が国家から「海外へ行って人殺しをしてこい」と命じられることなのだ。

人間の約95%は人殺しをすると心を病むということが、科学的に立証されている。ボタン一つで人殺しができる現代でも、心を病む兵士は後を絶たない。

 

それでは海外へ行って人殺しをしろと国から命令されるのは一体誰か。多くの人は自衛隊員と答えるはずだ。

それでは「自衛隊員にあなたは志願しますか」「あなたの子供を自衛隊員にしますか」という質問をされたらどう答えるのだろうか。

 

自衛隊員には、任期がない隊員と、任期がある隊員がいる。防衛白書によれば、任期がない隊員は14年3月末時点で20万5333人、任期がある隊員は2万379人いる。

「曹」「准尉」「将」といった幹部クラスの人数は18万4983人と、5年前に比べると1230人増えている。

 

定員に対する充足率も96.8%と高水準だ。

だが、最下層の「士」は4万729人と、5年前に比べて4783人、率にして1割減っている。

 

この「士」は任期付きの隊員が半数を占め、その任期付きの隊員に限っていえば、2割も減っている。

「士」全体としての定員に対する充足率も72.6%と低水準だ。

 

集団的自衛権の容認が実現すれば、おそらく自衛官への志願者は激減するだろう。

ただでさえ18歳以下の人口は減少の一途を辿っている。

 

必要な頭数が揃わなくなれば、にわかに徴兵制度が現実味を帯びてくる。

実際に海外から派遣要請が来たときに、「頭数が揃わないので派遣できません」などと言えるわけがない。

 

 

・まったく戦争を経験していない世代

 

なぜ20~50代に本書を読んでほしいのかといえば、徴兵の対象になるのは、まさにこの年齢層だからだ。

今、小学校4年生の子供も10年たてば成人である。

 

だがこの層には選挙権はない。

30~40代は自分のことに加え、自分の子供の将来も考える必要がある。

 

太平洋戦争当時、応召の対象になった年齢は当初は20~40歳だったが、1943年に下は19歳に引き下げられ、上は45歳に引き上げられた。

翌44年に下は17歳に再度引き下げられている。

 

ストレプトマイシンが発見されるのは戦後なので、このときはまだ結核が死の病。

平均寿命は男性42歳、女性43歳。

 

それでも45歳まで応召されている。

今なら上は50歳、場合によっては55歳くらいまで引き上げられてもおかしくない。

 

男女平等だから女子もという話もあり得るかもしれない。

絶対安全なところにいて、なおかつまったく戦争を経験していないのが60代から上の世代だ。

 

戦前生まれでも、昭和一桁年後半あたり以降に生まれている世代は応召されていない。

それどころか、子供だったので疎開していて空襲すら経験がない人も少なくない。

 

35年(昭和10年)生まれは今79歳。

応召年齢が引き上げられた43年生まれは73歳。

 

第一次就職氷河期が到来した95年当時、雇用を守ってもらえた世代そのものだ。

若者の就職難は、中高年社員の雇用維持の反作用であった。

 

 

・憲法解釈の変更を閣議決定でできる、と語った安倍首相

 

筆者の肌感覚では、この60~70代以上の層には、安倍首相と同じ考えを持つ人が他の世代に比べて多い気がする。

 

この層には「若者を叩き直すためには戦地へ行かせるのがよい」などと発言する人が多いが、自分は戦争を経験しておらず、それがどれだけ人の心に壊滅的なダメージを与えるのか想像がついていないからではないのか。

 

そしてこの世代こそが、最も選挙に熱心で投票率が高い。

この世代から仕事を奪われた20~50代は、今度は国から「国のために戦争に行ってこい」と言われかねない事態に現在陥っているということを、まったく自覚していない。

 

実際に戦地で人を殺した経験を持つ人の多くは、終戦70年近くたった今も、心理的ダメージゆえにその悲惨な経験を口にすることができないといわれる。

応召された最年少世代がすでに87歳。経験を口にすることなく鬼籍に入る人はどんどん増えている。

 

とにかく安倍首相は、憲法解釈の変更という重大な決定を閣議決定でできると言ってのけた人物である。

高齢者はあなたたちを守ってはくれない。

 

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■安倍首相の危険な最終目標 徴兵制復活、上世代に雇用奪われた若年層を戦地へ派兵の懸念
Business Journal 2014.12.13
https://biz-journal.jp/2014/12/post_8272.html


■コロナ禍に田中角栄が首相だったら――元側近ら語る「マスク2枚は配らない」 週刊新潮 2020年6月4日

2021-10-28 03:32:21 | 日記

 

■コロナ禍に田中角栄が首相だったら――元側近ら語る「マスク2枚は配らない」

週刊新潮 2020年6月4日

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06060601/?all=1&page=1


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全国でマスクが出回り始めた今になってようやく届き始めた「アベノマスク」。

466億円もかけてそれを配ったおかげで市中にマスクが流通し、価格も下がったと詭弁を弄する安倍晋三総理にはため息しか出ない。


無論、初めて経験する災禍だから誰がリーダーであったとしてもミスが起こるのは仕方なかろう。

しかし、混迷を極める政府への不信感が日本中を支配するにつれ、政財界の一部からこんな声が聞こえてくるようになった。


田中角栄ならもっとうまくやったのではないか――。


「布マスクを配布するなんてね、田中先生だったらそんなバカみたいなことはやるはずがない。秘書官に言われるがまま実行に移すなんて、国のリーダーとしてあり得ません。田中先生なら経済活動と国民の命を同時に守る、バランスの取れた政策を取ったはずです」


鉄の結束を誇った角栄の後援会「越山会」元幹部の馬場潤一郎氏はそう語る。


「田中先生が議員時代に道路整備に力を入れたのは、工業生産が増える中でトラックが通る道路が必要だったから。実は、そういった経済的な面だけではなく、それは人々の生活を守る政策でもあった。田中先生の地元の新潟では、冬になると豪雪で道路が使えなくなり、急病になっても病院に行けないことがある。無雪道路がないと、人々の命、生活が危ないと考えて道路整備を進めたのです」


角栄の元番記者で新潟日報社長の小田敏三氏も、


「角栄さんならマスク2枚配布は絶対にしないだろうな、と安倍さんの発表を聞いた時に思いました。角栄さんならまず、自分が泥を被ってでも大型の財政出動を最優先したはずです」


小田氏が思い起こすのは、最終的に角栄が決着させた「日米繊維交渉」である。


「1971年、第3次佐藤栄作改造内閣で角栄さんは通商産業大臣に任命されました。当時、アメリカのニクソン大統領は自国の繊維工業を守るため、日本に繊維輸出の自主規制を求めていました。が、それまでの通産大臣は自主規制に反対の立場を取り、アメリカとの交渉は難航。そこで佐藤総理が角栄さんに白羽の矢を立てたのです」


角栄は当時のことを、“あえて火中の栗を拾った”と言っていたそうだが、「それは決してウソではなく、交渉に失敗すれば国民の猛反発を受け、政治家生命が終わってしまう可能性が実際にあった」と、小田氏。


「当時、アメリカはベトナム戦争やインフレによって国際収支が赤字となり、深刻な経済不況に陥っていた。繊維業界の救済はアメリカ全体の不況政策の一つだったのです。角栄さんはそうしたアメリカの交渉背景を汲み取り、さらに佐藤総理が、沖縄返還交渉を成功させるためにも、日米繊維交渉を早期に決着させたいと考えていることも理解していました」


しかし、繊維輸出を自主規制すれば概算にして2千億円余りの損失が出ると言われていた。
そこで角栄は佐藤総理などを説き伏せて繊維業界の救済対策費用、約1300億円を確保。


「繊維業界の損失は丸ごと国が補償するという角栄さんの戦略で、見事日米繊維交渉は決着。その後、『縄と糸の交換』と言われたように沖縄が日本に返還されました。日本のお家芸である繊維業で自主規制をするのは難題だったに違いない。だから今回、もし角栄さんなら自分が泥を被ってでも思い切った財政出動をして、本当に困っている人への補償に当てたのではないかと私は思います」(同)


・庶民視点で対応


安倍総理は紆余曲折の挙句、国民1人当たり一律10万円の給付を決めたが、「田中先生なら一律の給付ではなく、明日食べられない人にお金を渡すような政策にしたでしょう。雪国に育った田中先生、オヤジさんは、冬になると収入がなくなったり、家族を置いて出稼ぎに行く人を間近で見てきた。だから新型コロナで職を失い、命を絶つ人がいるということもすぐに想像できるのです」


そう語るのは、角栄の元秘書の朝賀昭氏である。


「オヤジさんは『政治家というのは、人の痛みが分からないといけない』と常々言っていました。若い政治家を前にすると、『困っている人が目の前にいる時に助けようと思えない人間は選挙に出たらダメだ』と。当選1、2回の頃の小沢一郎にもそう話していました。そして、ただ言うだけではなく、オヤジさんは常に人のためになることを第一に政策を実行していました」


角栄なら庶民視点で対応に当たったに違いない。角栄を知る人たちはそう口を揃えるのだ。

角栄がロッキード事件で逮捕された後、初めてのインタビューに成功したモンゴル日刊紙東京特派員の佐藤修氏はこう話す。


「角栄さんが政治家としての最初の演説で、『国民に住宅を与えられないで何が政治だ!』と言ったのは有名な話です。庶民が何に困っているかいち早く気づき、その解決に向けて全力で動く方でした」


自民党の石破茂元防衛大臣も、「角栄先生の真骨頂というのは、困っている人を見捨てないところでしょう。何に困っているのか、誰が一番困っているのかを見抜く目をお持ちでした」として、こう語る。


「何が国民の心に響くのかということを角栄先生が分かっておられたのは、新潟の貧しい家庭に生まれて苦労されたことも関係していたのでしょう。弱い立場の人の気持ちが角栄先生には自分のこととして感じられる。今回のコロナ関連で言えば、テナントが家賃の支払いに困っている、といったことにもすぐに対応されたでしょう」


また、角栄には金の配り方にも哲学があり、常々、金は受け取る側が実は一番つらい。

だから、くれてやるという姿勢は間違っても見せるな」と、話していた。


それ故、「今回のような支援策でも、角栄先生なら、『政府がみなさんにお金をあげますよ』という姿勢ではなく、苦しい思いをさせてすまない、どうぞ受け取って下さい、という姿勢を徹底されたと思います」(同)


次々に出てくる「角栄なら」の声。

元側近や元番記者、そして現職の国会議員の談話から見えてきた角栄の決断力や実行力、人を思いやる庶民感覚はコロナ禍の今こそ必要とされるに違いない。


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コロナ禍に田中角栄が首相だったら――元側近ら語る「マスク2枚は配らない」
週刊新潮 2020年6月4日
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/06060601/?all=1&page=1

 

 

 

 

 

■「田中角栄に今の日本を任せたい」

角川SSC新書 (角川新書)

著者 大下英治

発売日:2011年11月10日

https://www.kadokawa.co.jp/product/201105000506/


【安倍政権最大の疑惑:森友文書改ざん】 ■夫が残した“責任のバトン” 赤木ファイル・妻の闘い NHK 2021年6月1日

2021-10-28 03:31:54 | 日記

 

【安倍政権最大の疑惑:森友文書改ざん】

■夫が残した“責任のバトン” 赤木ファイル・妻の闘い

NHK 2021年6月1日

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210601/k10013060331000.html


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「私の雇い主は国民。国民のために仕事ができることを誇りに思っています」。


こう口癖のように語っていた近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(享年54)が財務省の決裁文書の改ざんに関わったことへの「責任」を考え抜いた末、自ら命を絶って3年が経ちました。

いま、妻の赤木雅子さんは裁判を起こし、なぜ改ざんが行われ、国民に尽くしてきた夫が死ななければならなかったのか国に答えを求め続けています。


「夫は苦しんで苦しんで改ざんをして苦しみ抜いて誰にも助けてもらえなかった。夫の事をもう見捨てないでほしい」。

1人で裁判を闘っているのは亡き夫から“責任のバトン”を受け取ったと考えているからです。取材で知った、妻の思いを伝えます。

 


・夫が命をかけた「責任」

 

私たちが赤木雅子さんに初めて会ったのは去年5月。

俊夫さんが残した手記を公表し、裁判を始めて間もない頃でした。

雅子さんの手元にはその「手記」や「手書きのメモ」が大切に保管されています。

そこには、決裁文書の改ざんの経緯や関わってしまった事を強く後悔する俊夫さんの思いがつづられていました。


「この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)」(手記より)


「雅子へ これまで本当にありがとうゴメンなさい 恐いよ」(手書きのメモより)

 

・夫が強いられた改ざん


俊夫さんが決裁文書の改ざんに関わったのは2017年の2月です。

当時、国会では、森友学園の土地取引をめぐる問題について激しい論戦が続いていました。

小学校の用地として学園に売却された国有地が地中のゴミの撤去費用などとして「8億円値引き」されていたことが発覚。

小学校の名誉校長が安倍前総理大臣の妻の昭恵氏だったことから「政治が関与した不当な値引きではないか」との疑念が持たれたのです。

2月17日、安倍前総理大臣は国会で「私や妻が関係していれば総理大臣も国会議員も辞める」と関与を否定します。

この発言をきっかけに追及を強めた野党の質問に、財務省の担当者として答弁していたのが当時、理財局長だった佐川宣寿氏です。

 

「近畿財務局と森友学園との交渉記録はございませんでした」「面会等の記録は残っていないということでございます」(2月24日・衆議院予算委員会での答弁)


しかし、実際には関連文書は残っていて、佐川氏の答弁が虚偽だったことが後に発覚します。

財務省がこの改ざん問題について内部で調査し、2018年6月に公表した報告書によると、この頃、本省内では文書に政治家関係者からの照会状況に関する記載があることが問題視されていました。

調査報告書は部下から報告を受けた佐川氏が、こうした記載のある文書は外にだすべきではないと反応したことで、昭恵氏や政治家の名前を削除するなどの改ざんが始まったとしています。

改ざんの理由は「国会審議の紛糾を懸念」し、「更なる質問につながり得る材料を極力少なくすること」だったとしています。

改ざんが始まったのは佐川氏の国会答弁の2日後の26日。

日曜日でした。

この日、久しぶりに休みが取れた俊夫さんは雅子さんと自宅近くの梅林公園を散歩していました。

満開の梅の花を眺めていたとき、呼び出しの電話がかかってきました。

 

雅子さん「信頼する上司の方から電話があって、『僕、助けに行ってくるわ』と向かったんですね。もう行かなきゃいいのになと思ったけど、一生懸命やるべき仕事なんだろうなと思ったので『頑張ってきてね』と送り出したんです」


この日を境に、俊夫さんの生活は一変します。

出先機関の財務局の一職員で、森友学園の契約担当でもなかった俊夫さんの「手記」には、本省や幹部職員からの不正な作業の指示にあらがいきれなかった状況が記されています。


「第一回目は昨年2月26日(日)のことです。当日15時30分頃、出勤していた統括官から本省の指示の作業が多いので、手伝って欲しいとの連絡。現場として私はこれに相当抵抗しました。(近畿財務)局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと(管財)部長から聞きました。本省からの出向組の(管財部)次長は、『元の調書が書き過ぎているんだよ』と調書の修正を悪いこととも思わず、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです」(手記より)

 

・改ざん後も“嘘の対応”


組織の判断によって俊夫さんが強いられた不正は、改ざんだけではありませんでした。

財務省は、森友学園との応接録について市民から開示請求を受けた際、実際には存在するのに「文書不存在」と偽り、「不開示決定」をしていました。

この対応をした担当者のひとりが俊夫さんでした。

 

・口癖は「私の雇い主は国民」


不正に関わる前、俊夫さんはよくこう話していたといいます。

「私の雇い主は国民。国民のために仕事ができることを誇りに思っています」。

俊夫さんが愛用していた手帳には「国家公務員倫理カード」が大切に挟まれていました。

・国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか?
・国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?

国民の代表者が集う国会に出す偽りの文書の作成、それに情報公開請求という国民の権利をないがしろにする嘘の決定。

公務員の職務からかけ離れた行為への関与に俊夫さんの心は壊れていきました。

うつ病を患い、休職せざるをえなくなりました。

職場で夫に何が起きていたのかわからない雅子さん、苦しむ夫のそばにいながら、何もできなかったといいます。


雅子さん「ちょっとずつちょっとずつ夫が壊れていくんです。だんだん幻聴とか、幻覚がひどくなりました。一生懸命職場に戻ろうとしていました。生活の事もあるけど、自分の人生としてもこのままではダメだと。大好きだった職場に帰りたかったんだと思います。でも、できませんでした。私もどう助けていいのか、どう言葉をかけていいのかわからなくてどうしてあげることもできなかったです」


2018年3月7日、俊夫さんは自宅で自ら命を絶ちました。

その日の朝、布団で横になっていることが多くなっていた俊夫さんは、仕事に向かう雅子さんを玄関まで見送り「ありがとう」と声をかけました。

2人が交わした最後の言葉でした。

 

・なぜ裁判、夫からの『バトン』

 

夫の死から2年が過ぎた去年3月、雅子さんは、俊夫さんの手記を公表し、国(財務省)と佐川氏に損害賠償を求める裁判を大阪地方裁判所に起こしました。

この間、俊夫さんが手記に記していた「関わった者としての責任」とは何か、考え続けたといいます。

財務省の調査報告書には、改ざんについて「真摯に反省し、二度と起こらないよう全省を挙げて取り組んでいく」との“決意”が書かれています。

しかし、報告書には、俊夫さんが亡くなったことは一切触れられていません。

雅子さんは、その決意を空虚なものに感じていました。

そして、出した答えが、裁判を通して職場で夫に何があったのか真実を明らかにするということでした。


雅子さん「夫の手記を見たときにこれは夫が世の中に投げかけていると気づきました。夫はいまの体力ではこの方法しかとることができないと残していましたが、私はその『バトン』を渡されたと思っています。夫がひとり悩んで受け止めて受け止め過ぎてしまった『責任』。裁判を通して今度は自分が果たせたらと思うんです」


雅子さんは「賠償金を得るための訴えではない」と話します。

訴状には「改ざんが誰の指示で行われたのかを法廷で当事者に説明させるとともに、保身やそんたくによる軽率な判断や指示で現場の職員が苦しみ命を絶つことが2度とないようにすることがこの裁判の目的だ」と書かれています。

 

・裁判での国・佐川氏の姿勢


始まった裁判で、国(財務省)は、改ざん行為や、関与した俊夫さんがうつ病を発症し自殺したという基本的な事実関係について争わないという考えを示しました。

そして、争いがない以上、法廷での当事者の証言や改ざんの経過がわかる証拠の提出は必要がないと主張しました。

雅子さんの訴えは損害賠償請求の形を取っています。

「賠償額の算定だけで審理を早く終えたい」「終わった話を蒸し返されたくない」そういう国の考えがにじみ出ていると雅子さんは感じました。

一方、佐川氏側も「公務員は在職中の行為で個人として賠償責任を負わない」と主張して、証人尋問などの具体的な審理に入ることなく訴えを退けるよう求めました。

 

・“赤木ファイル”の存在


この裁判で雅子さんが力を注いできたのが俊夫さんが職場に残したとされる“赤木ファイル”を社会に公開することです。

その存在は、弔問に訪れた俊夫さんの元上司が打ち明けていました。


元上司「(改ざん)前の文書であるとか、修正後のやつであるとか、何回かやりとりしたようなやつがファイリングされていて、それがきちっと、パッと見ただけでわかるように整理されてある。これを見たら、われわれがどういう過程で(改ざんを)やったかというのが全部わかる。めっちゃきれいに整理してあるわと。全部書いてあるんやと。どこがどうで何がどういう本省の指示かっていうこと」(元上司の音声データより)

 

しかし、国(財務省)は、赤木ファイルについても「裁判とは関係なく、存否を明らかにする必要はない」として、存在するかどうかの確認すら拒んだのです。

 

・赤木ファイル、国会でも議論に


裁判が続く中、国会の場でもファイルのことが取り上げられるようになりました。

野党議員が存否を明らかにし公開するよう求めたのです。

ところが、ここでも国はかたくなに拒みました。

しかも、理由は「裁判に不当な影響を及ぼすことになりかねない」というものでした。


雅子さん「裁判では『訴えに争いがないから提出する必要がない』と答え、国会では、『裁判に不当な影響を与えるから回答しない』というのは二枚舌です」


雅子さんは、いまでも組織防衛が優先されていると感じ、裁判が開かれるたび、自ら法廷に立って訴え続けました。

「裁判官の皆様にお願いがあります。訴訟の手続きは私には難しくてわかりませんが、夫が自ら命を絶った原因と経緯が明らかになるように訴訟を進めてください」。

「誰でもいい、本当のことを教えて欲しい」。

「私は真実が知りたいだけです」。

俊夫さんと共に働いてきた職場の同僚の心にも届くように。

 

・裁判の転機、ファイル公開へ


ことし3月下旬、こう着していた裁判が大きく動きました。

訴訟指揮をとる中尾彰裁判長が、非公開の進行協議の中で、国に対して「審理を進める上で、赤木ファイルの内容を確認する必要があると考えている」と伝えたのです。

そして、提出命令を出すことも示唆し、自主的に開示するよう強く促しました。

雅子さんのことばが裁判を動かした形です。

裁判所から対応を迫られた国は5月6日、ついにファイルの存在を認め、開示に応じることを表明しました。

これについて財務省は「何か対応を一転させたわけでなく、原告の申し立てや裁判所の訴訟指揮に応じて手続きを積み重ねてきた」としています。

 

・ファイルに新事実は


国は赤木ファイルには、▽改ざんの過程などが時系列でまとめられた文書や、▽財務省理財局と近畿財務局の間でやりとりされたメールと添付資料がとじられていると説明しています。

無関係な個人情報などの部分にマスキング(黒塗り)処理を限定的にしたうえで、6月23日に予定されている次の裁判までに開示するとしています。

実現することになった赤木ファイルの公開、改ざんをめぐる新事実が明らかになるのでしょうか。

裁判の関係者の間では、資料の大半は出先機関の職員だった俊夫さんが手に入る範囲で個人的にまとめたもので、財務省の調査報告書の内容を根底から覆すものではないといった見方があります。

菅総理大臣や麻生副総理兼財務大臣は、国がファイルの存在を認めたあとも「改ざんについては財務省が調査報告書をまとめており、さらに検察の捜査も行われ、結論が出ている」などとして再調査は必要ないという考えを示しています。

それでは、公開に大きな意義はないのでしょうか。

かつて苦しむ夫に何もできなかったという雅子さん。

なぜ俊夫さんが残したファイルの公開を求めるのか理由を話してくれました。


雅子さん「自分がいったい何をさせられたかを事細かに書いていると思うので、夫がどうして死ぬようなことになったのかはそれを見たらわかると思うんですよね。夫は自分の責任を感じて亡くなってしまったんですけど私はどうやって止めたらよかったのかまだ答えがわからない。そういう意味でも書いている内容がわかれば、私は助ける方法が今からでもわかるんじゃないかなと思います」

 

・俊夫さんの『バトン』は誰が


自らの「責任」をどう取るか考え続け、命を絶つことしかできなかった俊夫さんから「責任のバトン」を受け取ったという雅子さん。

ひたすら求めているのは、夫がなぜ死ななければならなかったのか、その説明を尽くすことです。

巨大組織の中で、間違った判断はなぜ止められなかったのか。

どうして抵抗する夫に無理を強いたのか。

取り返しのつかない犠牲を生んだことをどう受け止めているのか。

しかし、改ざんに関わった関係者は一様に口を閉ざしています。

雅子さんは、そこを明らかにし、省みなければ、いつか国民の信頼を裏切る過ちが繰り返されてしまうと考えています。

本当に『バトン』を受け取るべきは誰なのか、この裁判は問いかけています。

 

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■夫が残した“責任のバトン” 赤木ファイル・妻の闘い
NHK 2021年6月1日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210601/k10013060331000.html

 

 

 

 


■このままでは終わらせない…“森友事件”のいま【ザ・ドキュメンタリー】

(テレ東BIZ 2019/03/27)https://www.youtube.com/watch?v=J9_6FipHS20

森友学園をめぐる国有地の売却問題で公文書の改ざんをさせられた近畿財務局の職員がAさん命を絶ってから1年。Aさんの父親が遺書の中身や今の心情を明かしました。 
また、Aさんの死をきっかけに立ち上がったのが近畿財務局などのOBたち。テレビの取材に初めて顔を出して証言してから、半年。「このまま終わらせてはいけない!」と新たに動き始めています。そして、当事者である籠池氏は今どうしているのか…。 
“森友”事件のいまを見つめます。

YouTube

https://www.youtube.com/watch?v=J9_6FipHS20