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■安倍政権はなぜアメリカ最優先なのか? 日刊SPA!(2018年03月01日)横田一

2021-10-29 03:01:01 | 日記

 

■安倍政権はなぜアメリカ最優先なのか?

日刊SPA!(2018年03月01日)横田一

https://www.google.com/amp/s/nikkan-spa.jp/1456868/amp


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米国の「言い値」で高額な武器を購入


昨年11月の日米首脳の共同会見で「トランプの忠実な従属的助手」と『ワシントン・ポスト』紙に評された安倍首相は、米国製の武器(防衛装備品)購入もトランプ大統領の言うがままに受け入れた。


その目玉が、2基で約2000億円の地上配備型ミサイル防衛システム「イージス・アショア」。山口県と秋田県が配備候補地になっている。

しかし配備されるのは5年以上も先で、そのときは北朝鮮情勢が変わっている可能性も十分にあり、米国の軍需産業が儲かっても日本にとってプラスなのかは不明瞭だ。


ただし新たな基地建設利権が発生する山口県と秋田県(安倍首相の地元と菅官房長官の出身地)にとってはオイシイ話なのだ。

「他にも、辺野古新基地に100機配備予定のオスプレイは、1機100億円以上。米国製の防衛装備品導入は『FMS』(有償の対外軍事援助)となるため、米国の言い値。


防衛省関係者からは『米国以外から購入すれば、はるかに安い』と疑問視する声も出ていましたが、官邸側が押し切ったようです」(永田町ウオッチャー)

 

《安倍政権[4大ゴマスリ]リスト》

 

●ヘリ事故の調査もできない「日米地位協定」


ドイツやイタリアでは駐留米軍と交渉して、住宅地や学校上空での低空飛行や夜間飛行が規制されている。

米軍機が事故を起こした場合、主権国がじかに原因調査も可能。


しかし日本政府は戦後70年以上たった今も、米軍が圧倒的優位の「日米地位協定」の改定に踏み込んでいない。

沖縄で危険な低空飛行などがまかり通り、沖縄県警が事故の原因調査すらできないのはこのためだ。


翁長沖縄県知事は「憲法を超越するのが日米地位協定」と指摘

 


●米海兵隊用の辺野古新基地建設

安倍政権は米国海兵隊のために、沖縄県北部の名護市で民意を無視して辺野古新基地建設をゴリ押し。


予定地周辺は希少なジュゴンの餌場で、隣接する大浦湾では世界最大級のアオサンゴが発見された。

「海を埋め立てるのは反対」という声が根強く、4年前の名護市長選や沖縄県知事選では最大の争点となった。


「世界各地をローテーションで緊急出動する海兵隊は沖縄にいる必要がない」という辺野古新基地不要論は、米国からも出ている

 


●北朝鮮有事対応

ICBM(大陸間弾道ミサイル)完成前の北朝鮮攻撃を検討する米国の姿勢は「トランプ大統領は北東アジア地域(日本や韓国)よりも米国を選ぶ」(共和党重鎮のグラハム上院議員)というもの。


米朝戦争が起きた場合、日本は北朝鮮の核ミサイル報復攻撃で「死者は100万人規模」との被害推定も米国の大学が発表している。

日本が捨て石になる可能性があるにもかかわらず、安倍首相は「日米は100%共にある」と繰り返すだけだ

 


●米国製武器(防衛装備品)購入

昨年11月の日米首脳の共同記者会見で急浮上した「米国製武器購入」は、トランプ大統領の「米国軍事装備品を大量購入すれば、北朝鮮のミサイルを撃ち落とせる」とのセールストークを安倍首相が快諾したのが発端。


しかし導入が決定した巨額の「イージス・アショア」の配備完了は5年以上先で、北朝鮮情勢緊張化に乗じた押し売りに等しい。安倍首相は「トランプの忠実な従属的助手」(『ワシントン・ポスト』)と下僕扱いされた

 

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■安倍政権はなぜアメリカ最優先なのか? 「トランプの忠実な従属的助手」と揶揄されても…
日刊SPA!(2018年03月01日)横田一
https://www.google.com/amp/s/nikkan-spa.jp/1456868/amp

 

 

 

 


■アメリカ製兵器 もっと買え? | 特集記事 | NHK政治マガジン

NHK「政治マガジン」2017年11月14日

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/1486.html

 

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・急増するアメリカ製兵器の購入

では、防衛装備品の購入の現状はどうなっているのか。

日本がアメリカから装備品を購入する場合、多くのケースで使われるのが「FMS」という調達方法です。

「Foreign Military Sales」=「対外有償軍事援助」と訳され、企業ではなくアメリカ政府との取引で装備品を購入します。

取引先は、商社やメーカーではなく、「アメリカ海軍省」や「アメリカ空軍省」になります。

この調達方法の動向を見ることで、アメリカとのおおよその取り引きの増減が把握できます。

防衛省のまとめによりますと、「FMS」による調達額は、平成23年度は589億円でしたが、昨年度・平成28年度は、4881億円。5年間で8倍以上に急増しています。

すでに、安倍政権が発足して以降、アメリカから購入する装備品は大きく増えているのです。

どんな装備品を、「FMS」で購入してきたのでしょうか。

昨年度の内容を見てみます。


最新鋭ステルス戦闘機「F35A」 6機 1091億円
新型輸送機「V22」オスプレイ 4機 754億円(※関連経費含む)
新早期警戒機「E2D」1機 260億円
新空中給油・輸送機「KC46A」 1機 231億円
大型無人偵察機「グローバルホーク」 3機分の一部 145億円
(※価格はいずれも契約時)

最新鋭の高額な装備の導入が全体額を押し上げていることがわかります。

今後もアメリカ製の装備品を購入する見通しです。

来年度・平成30年度予算案の概算要求に盛り込まれた主な装備品です。


戦闘機「F35A」 6機 881億円
新型輸送機「V22」オスプレイ 4機 457億円
最新の迎撃ミサイル「SM3ブロックⅡA」など657億円


さらに、地上配備型の新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」2基も導入する方針で、防衛省関係者は「1基800億円としても2基で最低1600億円。

最新鋭のレーダーを採用すれば、価格はさらに上がる」としています。

この背景について、防衛省は日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることがあるとしています。

核実験を強行し、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮や海洋進出を強める中国に対応するためには、アメリカが持つ高性能のミサイル防衛システムやレーダーに捉えられにくい戦闘機など最新鋭の装備を導入する必要があるというのです。


・「FMS」の長所と短所

ただ、急増する「FMS」による装備品の購入には、メリットとデメリットがあるといいます。

メリットは、「FMS」での調達によって、ミサイル防衛システムや、最新鋭の戦闘機など、軍事機密性の高い装備品が入手できることです。

一方で、「FMS」では、価格をアメリカ政府が決め、提供する時期や契約内容も変わる場合があることが条件となっていて、主導権をアメリカ側に握られる側面があります。

さらに、装備品を購入したあとの補修や整備も、多くの場合アメリカに送り返して行う必要があります。

防衛装備品の輸入が増えることは、国内の防衛産業にも影響を与えます。

防衛省によりますと、防衛装備品の輸入の比率は、平成23年度には、7.4%でしたが、平成27年度は、20.9%、昨年度・平成28年度には23.3%にまで増えています。

防衛省が、去年、防衛産業に関連する企業を対象にアンケートを行ったところ、回答のあった72社の7割余りにあたる52社が、「部品を作っていた下請けの企業などが事業から撤退したり、倒産したりした」と回答しました。

国内の防衛産業が縮小すれば、日本の防衛関連企業が外国資本によって買収される可能性も出てきて、情報の流出リスクも高まります。


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■アメリカ製兵器 もっと買え? | 特集記事 | NHK政治マガジン
・急増するアメリカ製兵器の購入
NHK「政治マガジン」2017年11月14日
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/1486.html

 

 

 

 


■防衛費の拡大 米兵器購入の重いツケ

朝日新聞(2018年12月23日)

https://www.asahi.com/articles/DA3S13824229.html

 

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安倍政権による2019年度の当初予算案で、防衛費が5兆2574億円に膨らんだ。

今年度当初より1・3%増え、5年連続で過去最大だ。


来年度は「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」の初年度にあたる。

中国や北朝鮮の脅威に軍事的に対抗する姿勢が鮮明になり、米国製兵器の購入に拍車がかかっている。


特に目立つのが、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の整備費1757億円と、F35戦闘機6機の購入費681億円だ。

F35は147機体制をめざしており、将来的な追加取得費は約1兆2千億円にのぼる。


一部は、空母化される「いずも」型護衛艦での運用が想定される。

陸上イージスにしろ、空母にしろ、巨額の費用に見合う効果があるのか、大きな疑問符がつく。


それでも安倍政権が導入に突き進むのは、トランプ米大統領が掲げる「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」に呼応してのことだろう。

日米の通商交渉をにらみ、米国の貿易赤字削減に協力する姿勢をアピールする狙いもありそうだ。


しかし、軍拡競争や地域の不安定化につながりかねない兵器の大量購入で、トランプ氏の歓心を買うような振る舞いは、およそ見識を欠く。

見過ごせないのは、米政府から直接兵器を買う有償軍事援助(FMS)が、安倍政権で急増していることだ。


来年度は過去最大の7013億円。

今年度に比べ、一気に3千億円近く増えた。


政権発足前の12年度の1380億円の約5倍となる。

こうした高額な兵器の代金は、複数年にわたって分割払いされる。


後年度負担は将来の予算を圧迫し、なし崩し的な防衛費増につながる恐れがある。

来年度の契約に基づき、20年度以降に支払われる後年度負担は2兆5781億円。


実に年間の防衛予算の半分に迫る規模だ。

中期防は、次の5年間の防衛費を27兆4700億円程度とした。


効率化、合理化を徹底することで2兆円を節減し、実際に投じる額は25兆5千億円程度を「目途とする」としている。

ただ、あくまで「目途」とされており、枠をはめたものではない。ほんとうに実現できるのか疑わしい。


厳しい財政事情の下、費用対効果を見極め、優先順位をつける必要性は、防衛費といえども変わらない。

歯止めなき予算増は、とても持続可能な防衛政策とは思えない。


米兵器の大量購入は将来に重いツケを残すことを忘れてはならない。

 


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■防衛費の拡大 米兵器購入の重いツケ
朝日新聞(2018年12月23日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13824229.html

 

 

 

 

 


■防衛費も「安倍路線継承」概算要求、米との軍事一体化鮮明に

東京新聞(2020年9月30日)

https://www.tokyo-np.co.jp/article/58851


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7年連続で過去最大額を更新した防衛省の2021年度予算の概算要求は、安全保障政策の転換で日米の軍事的一体化を進め、防衛費を膨らませた安倍政権の路線を、菅義偉首相が継承する姿勢を鮮明にした。(上野実輝彦、荘加卓嗣)


◆深まる自衛隊と米軍の一体化


今回の概算要求に盛り込まれた事業で、自衛隊と米軍の一体化を象徴するのが「いずも」型護衛艦の事実上の空母化改修だ。


15年に成立した安保関連法は、重要影響事態法を新設。

朝鮮半島有事など、放置すれば日本への武力攻撃に至る可能性がある「重要影響事態」が発生した場合、戦闘作戦のために発進準備中の米戦闘機に、自衛隊が給油や整備を行えるようにした。


いずもの改修でF35Bが搭載できるようになれば、米軍の同型機も離着艦が可能となる。日本政府が重要影響事態だと認定すれば、いずもの艦上で給油や整備を受けた米軍機が戦闘発進できることになる。


19年3月の衆院安保委員会では、当時の岩屋毅防衛相が、改修後のいずもに米軍機が着艦する可能性を認めた。給油後の米軍戦闘機が敵国攻撃に向かう可能性も「排除しない」と明言した。


◆「兵器ローン」も増大続く


「安倍路線」の継承は、止まらない防衛費の増大傾向にも顕著に現れた。

防衛省は近年、高額兵器の調達費を賄うため、費用を複数年の分割で払う「兵器ローン」を組んでいる。


21年度の新たなローン額は2兆6712億円の見込み。

本年度から2662億円増える。


ローン返済に充てる額は2兆2337億円で、新規ローンが返済額を上回る。

こうしたやりくりが常態化し、ローン残高は膨らみ続けた。


21年度には5兆4585億円に上る見通しで、11年度の2兆9408億円から、10年間で約1.8倍の急増だ。

高額兵器には、F35などの米国製兵器が含まれる。


米国製兵器の多くは、米政府が一方的に有利な条件で価格や納期を決める「対外有償軍事援助(FMS)」という方式で契約され、防衛費の総額を押し上げる一因となってきた。


FMSの契約額はピーク時よりは減ったが、12年末に発足した第2次安倍政権以前に比べ高止まりが続く。

自衛隊は今後、F35を100機以上導入する計画で、この傾向は当面続く可能性がある。


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■防衛費も「安倍路線継承」概算要求、米との軍事一体化鮮明に
東京新聞(2020年9月30日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/58851

 

 

 

 


■米国から高額兵器を買いまくることを同盟強化と勘違いする愚

GLOBE+(朝日新聞)2018.06.27

https://globe.asahi.com/article/11641134

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・気前よく高額兵器を買いまくる日本


奇妙なことに、国産兵器の輸出解禁に踏み切った安倍政権下で、アメリカはもとより国際武器市場への日本製兵器の輸出がさして成果を上げていない半面、アメリカからの高額兵器の輸入が増加の一途を辿っている。


たとえば、2011年度に防衛省がアメリカから対外軍事有償援助制度(FMS)を通して輸入調達した金額はおよそ600億円であったものが、15年度にはおよそ4,500億円、16年度にはおよそ5,000億円。12年度から16年度の5年間の総額は約1兆3,900億円に上っている。


すでに輸入調達が始まり引き続き購入することになっているV-22オスプレイ中型輸送機をはじめ、F-35A戦闘機、SM-3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃用ミサイル、さらに1セットで1000億円以上もするイージス・アショア地上配備型弾道ミサイル防衛システムなど、今後もアメリカ製超高額兵器の輸入調達は目白押しだ。


それに加えて、トランプ大統領が「引き続き日本はアメリカ製戦闘機を追加購入する」と公言してしまったからには、現在日本国防当局が策定中の中期防衛力整備計画には、トランプ大統領ならびに安倍首相の意向を忖度して、アメリカが日本に売却したがっているF-35戦闘機(F-35AあるいはF-35B)の追加調達を盛り込まざるを得ないことになろう。


・戦略なき兵器の収集


安倍政権は、中国海洋戦力の飛躍的強化や、北朝鮮弾道ミサイル脅威のさらなる伸展といった日本の周辺軍事情勢の深刻化に対応するため、日本の国防力を充実強化させると強調している。


しかしながら、そのような政策目標を推進するための具体的防衛戦略を打ち出しているとは言えず、「日米同盟の強化」を繰り返すのみだ。

その「日米同盟の強化」にしても、軍事戦略的観点からみると、何ら具体策を提示しているわけではない。


すなわち具体的かつ実現可能な軍事戦略や作戦概念が欠落しているがため、日本国防当局はアメリカから超高額兵器を購入することで、安倍政権が繰り返す「日米同盟の強化」を推し進めていると見せかけているのである。


要するに、アメリカ側の歓心を買うことで日米同盟が強化されるもの、と思い違いをしている、あるいは自己欺瞞をしているのではないかと考えざるをえない。


たしかに、自衛隊がアメリカ軍と共通の兵器を使用することで、日米両軍の相互運用性が高まり、日米合同演習や、万が一にも自衛隊が実戦に投入された場合には日米共同作戦での両軍の連携がスムーズになる可能性が高まることは確かである。


しかし、それは戦略レベルや作戦概念レベルでの日米同盟の強化というわけではない。

日本側が戦略的思考を欠いていたならば、単に自衛隊の米軍への従属が強化されることを意味するだけである。


このように、アメリカ側の日米同盟への関心をつなぎ留めておくために、そしてその副次的効果としてアメリカの対日貿易赤字も解消させることができる、といった目論見でアメリカから超高額兵器を輸入調達するという姿勢は、「防衛戦略の必要性からではなく、はじめに調達すべき“防衛装備品”ありき」という軍事的には極めて歪な構造になっている。


そして「戦略なき兵器の収集」といった構造は、アメリカからの高額兵器輸入に限らず、国内防衛産業からの調達にも繰り返されており、即刻抜本的に改革が必要な日本防衛の脆弱点と言えよう。

 

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■米国から高額兵器を買いまくることを同盟強化と勘違いする愚
GLOBE+(朝日新聞)2018.06.27
https://globe.asahi.com/article/11641134

 


■コロナの陰で、安倍官邸「やり放題の官僚人事」その厚遇ぶりに呆れる ~国民の目が逸れているのをいいことに~ 週刊現代(講談社)2020.03.31

2021-10-29 03:00:14 | 日記

 

■コロナの陰で、安倍官邸「やり放題の官僚人事」その厚遇ぶりに呆れる

~国民の目が逸れているのをいいことに~

週刊現代(講談社)2020.03.31

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71481


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・当の官僚も「おかしい」と警告


「今に始まったことじゃないが、おかしな役人人事が次から次へと行われている。新型コロナウイルスの話題で国民の目がそらされているのをいいことに、安倍政権はやりたい放題だ。何とかしないと、中央省庁全体がおかしくなってしまう」


さるキャリア官僚が危機感もあらわに、そう警告した。


これまでも安倍政権では、安倍晋三首相の“お友だち”や覚えのめでたい役人たちが、報酬のいい国家の要職に抜擢されたり、栄転したりしてきている。

それが新型コロナウイルスの騒動に紛れて、さらにひどくなったというのだ。


同キャリアが続けた。

「検事総長の人事に絡んで、政権に近い黒川(弘務)氏の定年を脱法的に延長したことが問題視されているが、政権の奔放さはそんなレベルじゃない」


最近の主要な人事を調べてみたところ、以下のようなことがわかった。

まずは報酬のいい要職への抜擢――論功行賞とみられる人事。


政府は3月17日、古谷一之官房副長官補を公正取引員会委員長に据える人事案を提示した。

古谷氏は財務省主税局長や国税庁長官を経て、2013年4月に官房副長官補に就任したのだが、2017年の総選挙の際に「教育無償化」や「子育て支援」、「大型の経済対策」などの知恵を授け、自民党圧勝に貢献したとされる。


今回の人事によって、古谷氏の報酬はアップ。年間約2800万円になるという。

実際の勤務日数で割ると、日額10万円を超える。


「退任する杉本(和行)前委員長は、菅(義偉)官房長官らが肩入れする楽天などにも果敢に切り込んだが、今後はどうなることか。検事総長人事と同じようなにおいも感じられる」

先のキャリアは、そう語った。

 

・警察庁でも、どさくさに紛れ…


横畠裕介内閣法制局長官も、同日の人事案で国家公安委員への就任が示された。

検察官から内閣法制局に転じた横畠氏は、安倍首相が最重要課題としてきた安全保障法制で、法制局がこれまで堅持してきた「集団的自衛権の行使は違憲」との見解を捨て去り、集団的自衛権の限定行使を容認。法の成立をバックアップした。


その横畠氏が就く予定の国家公安委員は「警察の目付け役」とされるが、実務はほとんどない。

にもかかわらず、年間報酬は約2400万円。


委員の資格要件には「任命前5年間に警察・検察の職歴のない者」とあるが、横畠氏は2011年に内閣法制局次長に就任しているため、セーフだったという。

まだある。


いまや政権の御用聞きと化しつつある警察庁では、問題のある幹部の「在庫一掃セール」に近い人事が断行されたというが、そのどさくさに紛れてカジノ管理委員会の事務局長に「パワハラ四天王」と言われている者のひとりが抜擢されていた。

徳永崇氏のことだ。


同氏は、青森県警本部長、警察庁官房審議官などを経て2019年4月にカジノ管理委員会設立準備室審議官に就いた人物だが……。

「パワハラが絶えないひとで、とくに青森県警時代のことは有名です。ただ、その一方で上には従順ですから、政権としては……ということでしょう」


警察キャリアの動向に詳しい警察幹部は、そう語った。

ちなみに政権人事ではないが、「パワハラ四天王」の残りも次々に栄転したという。


「徳永氏と同期の世取山(茂)氏がこの4月に東北管区警察局長になる内示が出ましたが、かねてパワハラがひどかったうえに、2014年にはついに自殺者を出した大事件に関与し、預金保険機構という外部セクションに飛ばされていました。にもかかわらず、ここまで偉くなるとは、正直思っていませんでした」(警察幹部)


2014年の大事件とは、東日本大震災の影響が色濃く残っていた福島県警で、捜査2課の警部と上司の警視が相次いで自殺した悲劇のことだ。

背景には、警察庁から出向していた捜査2課長の激しいパワハラがあったとされる。


当時、警察庁刑事局・捜査2課長の立場から県警2課長に発破をかけるなど指導していたのが、世取山氏だったのである。

そのほかの2人も、昨年の時点ですでに栄転済みであった。

 

・カジノ関連でも「由々しき人事」


さらには、こちらも過去の人事だが、カジノに関連して由々しき人事が行われていたこともわかった。

カジノ汚職事件への関与が取り沙汰されながらも、不問に付された財務官僚だ。


名前が浮上していたのは、財務省から内閣府大臣官房に転じ、カジノ管理委員会設立準備室室長を経て、2019年4月に特定複合観光施設区域整備推進本部事務局事務局長に就任した中川真氏である。

中川氏と言えば、元財務次官の娘をめとりながらも2007年に不倫騒動を起こして干されたが、第2次安倍政権で復活し、菅官房長官に重用されたことで知られる。ところが……。


「中川氏は、『(カジノ汚職事件で贈賄側として登場した中国系企業)500ドットコム』が2017年に主催したシンポジウムに参加し、菅長官の言葉を引用しつつ、ギャンブル依存症対策における政府の取り組みなどについて語るなど、同社と関係があった。にもかかわらず、その後、事務局長に昇格している。なぜ、こうした人事が行われたのか大いに疑問だ」


カジノ汚職事件の捜査にかかわった検察関係者は、そんな証言を寄せた。

こうしたことが影響したのか、中川氏は2020年3月、スロバキア大使に転出した。


これについて、前出のキャリアが語る。

「論功行賞を兼ねたところ払いだろう。政府からは遠ざけられるものの、大使は何といっても厚遇。報酬も高いのだから」


現在、大使の平均年収は月額110万円。ボーナスを加味すると、年収1800万円程度。

これでも高給だが、ここに「在勤基本手当」と呼ばれるものが加算される。


派遣先の国によって額は異なるが、スロバキアはギリシア並みの月額60万円。

さらに、配偶者手当も支給される。


大使の「在勤基本手当」の20%であるため、こちらは月額12万円。

これらを合わせると、2600万円を超える。


仮に小中学生の子供がいた場合には、一人当たり月額15万円弱の手当ても出る。

パート労働者の月給並みの金額だ。


以上のような経緯を見ると、目を光らせるべきは、検事総長人事ばかりではないことがわかる。

 

・厳しく監視するべき


ところで、ここで取り上げたのは、「特別職」と呼ばれる国家公務員に抜擢された人事だ(警察庁のものは除く)。

この来歴等について調べてみると、官邸のHPに以下のような記載があった(注記は省略)。


《国家公務員法の制定により国家公務員が一般職と特別職に区分されたことに伴い、「特別職の職員の俸給等に関する法律」が制定され、特別職の給与体系が創設された。創設当初の給与体系は、連合国の管理下にあって、行政の民主化が強調される中、政府から独立した機関、あるいは行政委員会の委員等に、給与体系上高い格付けがなされていた。中でも、検査官、人事官及び国家公安委員会の委員については、それぞれの設置法において、国務大臣と同額の給与を受けるべきことが定められていた》


《特別職は、様々な理由により、任用における成績主義の原則、身分保障等の一般職に適用される国家公務員法の原則が適用されない諸々の官職であり、任用、服務等に関する制度についても官職ごとに様々である。(中略)様々な官職が含まれる特別職の幹部公務員を、あえて類型化すると、次の二つに区分することができる。

ア 職務の性質から一般職の任用手続を経ないことを適当とする官職(内閣官房の特別職、大公使等)

イ 職務遂行の独立性及び任用手続の透明性を確保する等の観点から任用に当って国会同意を必要とする官職(検査官、人事官、委員会委員等)

ただし、こうした類型化は、それぞれの職務の性質に由来するものであり、職務の重要性や責任の重さに由来するものでは必ずしもないことから、上記のような特別職の類型化と、職責に応じて定められる給与の在り方との間に、直接的な関連性を見出すことは難しい》

 

つまりは、戦後に国家公務員という制度が整えられて以来、「特別職」は独立性が重んじられてきたということだ。

高額の報酬が支払われる根拠も、そこにあった。


ところが、いまや論功行賞と言われても仕方ない、官邸の恣意的な任用が目立つ。

制度の原点に立ち返って、厳に監視の目を光らせるべきである。

 


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■コロナの陰で、安倍官邸「やり放題の官僚人事」その厚遇ぶりに呆れる
~国民の目が逸れているのをいいことに~
週刊現代(講談社)2020.03.31
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71481

 

 

 

 

 


■安倍政権の執着が招いた黒川元検事長人事騒動の本質

~権力についての見識と自制心を欠く安倍政権の現実~

論座(朝日新聞)2020年05月24日

https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052400002.html

 

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・官邸の意向にひれ伏す官僚たち


いまの安倍政権は、官邸に設置された内閣人事局を中心に霞が関の官僚支配を強めてきた。

各省の事務次官、局長、審議官など約600人の人事は、内閣人事局の了承を得なければ進まない。


人事局のトップは現在、杉田和博官房副長官(事務)だが、杉田氏は主要人事については菅義偉官房長官と安倍首相に相談する。

実質的には菅、安倍両氏が霞が関の人事権を握っている。


政権発足から7年半、霞が関の官僚たちは、官邸の意向にひれ伏すようになった。

安倍、菅両氏にとっては予想以上の「従順さ」と映っただろう。

 

・官邸主導人事は、具体的にはどう運用されているのか。


各省庁は、事務次官や主要局長について複数の案を官邸側に提示。

その内容を説明しながら、官邸側の判断を仰ぐ形となっている。


杉田副長官は、あらかじめ安倍首相や菅官房長官の意向を聞き、各省庁との折衝に当たる。

多くの場合は役所側が「本命」としている人事が通るが、時には本命以外が指名されるケースもあるという。


さらに、役所が提示した候補以外を官邸が要求する例もある。

その場合、役所は持ち帰って再検討するが、最終的には官邸の案が採用される場合が多い。


それぞれの人事の折衝経過は、役所内に伝えられ、広がっていく。

「〇〇次官案がつぶされた」「××局長案は菅さんの意向らしい」といったうわさは、霞が関の格好の話題となる。


それが、安倍官邸の権力の源泉となるのである。

 

・官邸の意向をすり抜けるために


官邸と各省庁との駆け引きが繰り広げられるが、なかにはしたたかに官邸の意向をすり抜ける役所もある。

例えば財務省。


事務次官にたどり着くのは、多くの場合、官房長、主計局長経験者。

早い段階で次官コースを固めて、政治の介入を弱めようという手法だ。


それでも安倍政権は、森友問題の国会答弁で「交渉記録はない」などと言い続けた佐川宣寿理財局長を国税庁長官に抜擢する人事に踏み込んでいる。

官僚の政策立案力より「国会答弁で安倍首相を守った」という点が重視された人事だった。


外務省の幹部人事でも、事務次官の交代を求めたり、安倍首相の秘書官経験者を主要局長に押し込んだりしてきた。

ある外相経験者は「官邸の執拗な要求に悩まされた」とこぼしている。

 

・長官人事で内閣法制局を「制圧」


安倍政権の矛先は、これまで「中立」とみられてきた組織の人事にも向かった。

2013年、安倍首相は集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更と関連法案の作成に着手。


それまで集団的自衛権は憲法9条に反するという見解を維持してきた内閣法制局との対応が注目された。

内閣法制局は、政府の憲法や法律の解釈を担い、「憲法の番人」とも言われてきた。


法制局長官は法務省、財務省、総務省などの出身者が交代で務め、政治とは距離を置いた機関と位置付けられてきた。

集団的自衛権をめぐって、安倍首相には二つの選択肢があった。


一つは内閣法制局を理論的に説き伏せ、解釈を「合憲」に変更させること。

もう一つは法制局長官を集団的自衛権合憲論者に交代させることだった。


安倍氏は後者を選択。

集団的自衛権行使=合憲を唱える小松一郎駐フランス大使を法制局長官に起用した。


小松氏は外務省条約局長などを経験。

外務省出身者の法制局長官就任は極めて異例だった。


これによって、内閣法制局は「制圧」され、憲法解釈は変更された。

集団的自衛権の行使を容認する安全保障法制は国会に提出され、反対する野党を押し切って可決、成立した。

 

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■安倍政権の執着が招いた黒川元検事長人事騒動の本質
~権力についての見識と自制心を欠く安倍政権の現実~
論座(朝日新聞)2020年05月24日
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020052400002.html

 

 

 

 

 

 

■ありえない手口で安倍首相が″お友達″を検察トップに!

仰天人事に元検察同期も怒り爆発! さよなら、三権分立

livedoorニュース(2020年5月12日)

https://news.livedoor.com/article/detail/18248121/


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日本の「三権分立」が今、深刻な危機に瀕(ひん)している。


三権分立とは、統治機構を支える3つの権力、すなわち「行政」「立法」「司法」の三権を、それぞれ内閣、国会、裁判所という独立した機関が担うことで、権力の乱用を防ぐ仕組みのこと。


だが、安倍晋三政権の下で2014年に設置された内閣人事局による「人事権を介した官僚支配」が着々と進み、政府・与党の意をくんだ官僚が大量発生。その"忖度官僚"たちは公文書の改竄(かいざん)や破棄にまで手を伸ばし、森友・加計問題から「桜を見る会」まで安倍政権をめぐる数々の疑惑はうやむやなままになっている。


それに、本来は政権のチェック機能を担うはずの国会でも噛み合った議論はまったく行なわれることなく「三権のバランス」は大きく崩れているのが現状だ。

そんななか、2月8日に63歳で定年退官を迎える予定だった東京高検検事長の黒川弘務氏について、政府は1月31日、前例のない「定年の半年延長」を閣議決定した。


黒川検事長は安倍首相や菅 義偉・官房長官に近く、法務省官房長在任時には、甘利明・元経済再生担当大臣の口利きワイロ事件や、小渕優子・元経産相の公選法違反などが不起訴になるよう、捜査現場に圧力をかけてきた人物とされる。


「その忠勤ぶりが認められたのか、甘利事件が不起訴になった2ヵ月後、黒川さんは昇進がほぼ確実視されていた林 眞琴・法務省刑事局長(当時)を差し置き、法務省事務次官に就任しています。

それで司法記者の間でついたあだ名が『安倍官邸の番犬』(笑)。


そして、現在の彼の東京高検検事長というポストは、検察のナンバー2。

ここで彼の定年を半年延長すれば、この夏にも勇退予定の稲田伸夫・検事総長の後を継ぎ、黒川さんが検察トップの座に就く可能性が大です」(全国紙政治部デスク)


東京地検特捜部副部長や東京高検検事を歴任した経験を持つ弁護士の若狭 勝氏もこう憤る。


「これは検察の独立性を踏みにじり、政治が検察の人事に露骨に介入した、あってはならない話です。しかも政府は、検察官も一般の国家公務員と同じであるかのように定年延長を決めてしまった。これは違法の可能性もあるのです」


元共同通信社記者でジャーナリストの青木 理氏もあきれた表情でこう語る。


「ここまでやるのか......というのが率直な印象ですね。確かに、以前から『安倍政権が黒川氏を検事総長に据えようと動いている』という情報は耳にしていました。


しかし、現職の稲田検事総長にはまだ任期が半年近く残っており、稲田氏が自ら退任しない限り、2月8日で定年を迎える黒川氏には検事総長の目はないとみられていた。実際、法務省記者クラブは黒川氏の送別会まで予定していたといいます。


それを、政府がこれほど強引な手段を使ってまで、黒川氏を検事総長に据えようとしていることには驚きました。

検察は容疑者を刑事裁判にかける権限をほぼ独占していて、必要なら身柄拘束もできるし、強制捜査もできる。


特捜部に至っては政治家の捜査も行なうという強大な力を持つ組織です。


その検察に、政治が人事権を介して手を突っ込み、自分たちの息のかかった人物を検事総長に据えて操ろうというのなら、それが社会に与える害悪はあまりにも深刻です」(青木氏)


ちなみに、森雅子法務大臣は今回の定年延長について、国家公務員法81条に基づく合法的な人事だと主張し、「東京高検検察庁の管内において遂行している重大かつ複雑困難事件の捜査公判に対応するため、黒川検事長の指揮監督が不可欠であると判断したため」と説明している。


しかし、前出の若狭氏は「森法相は上の指示で仕方なく言わされているのかもしれないが、ハッキリ言ってばかげている」と一蹴する。


「もちろん検察は行政の一部で公務員ですが、その職務上、裁判官に準ずる『準司法官』的な立場にある。検察官が政治家の顔色を気にして職務にあたる必要がないよう、特別法である『検察庁法』によって身分、それに政治権力からの独立も保障されています。その検察庁法では検事の定年を63歳、検察トップの検事総長の定年を65歳と厳格に定めている。当然、東京高検の黒川検事長は、2月8日の誕生日に定年退官しなければならなかった。ところが政府は、国家公務員法の『定年延長規定』を適用して定年を半年延長することで、強引に黒川氏の検事総長就任の道を開いた。検察庁法で定められた検事の定年を国家公務員法で延長するというのは、明らかな違法行為だと私は思います」


元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士も次のように断言する。


「当然、検事の定年は国家公務員法でなく検察庁法を適用すべきで、黒川さんの定年年齢63歳を延長した閣議決定は検察庁法違反です。この決定により2月8日以降、違法に高検検事長がその職に居座るという事態になってしまった。法を厳正執行する立場の検察として、それはありえません。検察は一刻も早く、この違法状態を解消すべきでしょう」


前出の若狭氏の怒りはこれだけでは収まらない。


「そもそも違法性以前の問題として検察人事に政府が介入すれば、ほかの省庁で起きている問題と同様、検察官が政治に忖度し、政権政党の顔色をうかがって事件処理をすることにもつながりかねない。ここ数年、特捜部が扱った事件を見ても、森友・加計学園、近頃の桜を見る会やIR疑惑など、検察は『政権を揺るがすまで徹底的にはやらない』という印象です。この先も、その傾向が強まればとんでもない話で、この国の統治機構の根幹を危うくする事態です」


これまでも安倍官邸は、黒川検事長を法務省事務次官、東京高検検事長に栄進させるために、彼の同期で次期検事総長ナンバーワン候補だった前述の林氏(現在は名古屋高検検事長)の法務省事務次官就任を2度も拒んでいる。


その意味することは検事総長への出世ルートの遮断だ。

一方、稲田検事総長は三度目の正直とばかり、自分の後任に林検事長を据える腹積もりだったとされる。


林検事長が63歳となるのは今年7月30日で、稲田検事総長が今夏に勇退しても十分、後任になることが可能なのだ。

こうした検察内の事情を受け、元経産官僚の古賀茂明氏が言う。


「検事総長の任期は2年前後。林さんが検事総長になれば、22年7月の定年まで務められます。一方、安倍首相は4選せずに、21年秋で首相を辞める確率が徐々に高まっている。その時点で任期を1年残す林検事総長がどう動くか?何しろ、この政権には過去に2度も昇進を邪魔されているんです。正義を執行する本来の検察の復活も果たしたいという強い思いもある。今がチャンスとばかりに『桜を見る会』疑惑やIR汚職事件の捜査をせよと、検察に大号令をかけるかもしれない。そうなれば、安倍首相の身辺に捜査が及ぶのは必至です。歴代の韓国大統領の多くが退任後、逮捕・訴追されたのと同様、安倍さんも牢屋送りにされることを恐れているのでは?」


前出の若狭氏が語る。


「実は、僕は黒川さんも林さんも同期で、検察官になる前、司法修習生の頃からの付き合いなのでふたりともよく知っているのですが、黒川さんは優秀な上に人当たりが良い性格で、ひょうひょうとしているところがあるから政治家とすれば使い勝手がいい。逆に、黒川さんの側も政治家をうまく使っているという感じでしょうか。ただし、それほど出世に執着するタイプではないというのが僕の印象です。一方の林さんはもともと裁判官を目指していたのに、検察官になった優秀な検事で、典型的な法務官僚タイプ。同期の中でも常に一目置かれる存在でした。共謀罪法案などでも刑事局長として頑張っていたので、検察内でも林さんが先に法務次官になり、ゆくゆくは検事総長になるんだろうと、多くの人が思っていたはずです」


だが、前述のように、官邸は黒川氏を法務省事務次官に指名。

その後も東京高検の検事長として重用している。


その過程で、検察内部に「結局、自分たちの人事と将来は官邸が握っているのだ」という印象が強まっていったことは想像に難くない。


また、黒川氏を検事総長に据えたい安倍政権は、稲田氏に任期中の退任を迫ったといわれるが、4月に京都で行なわれる刑事司法の国際会議までは現職にとどまりたい意向を示して退任を固辞したため、最後は黒川氏の定年延長という禁じ手を使った。


まさになりふり構わず検察への影響力を強めようとしているわけで、そこに込められた官邸のメッセージは強烈だ。

黒川氏の定年延長が決まった直後の2月3日に、IR疑惑で逮捕された秋元司議員以外の国会議員の立件見送りが報じられたのは、偶然だろうか。


「司法に関わり、時には強い権限を持つ検事の仕事には単に『公正さ』が求められるだけでなく、多くの国民から『公正で信頼できる』存在だと思ってもらえる『公正らしさ』が求められるのです。その検察官のトップとして、検察全体を指揮する立場にある検事総長に、『安倍政権の意向で強引に指名された人』というイメージがあったのでは、誰が検察に『公正らしさ』を感じるでしょう。僕は古くからの友人である黒川さんが、検事総長になる前に自ら退任する可能性があるのではないかと思っています」(若狭氏)


「安倍政権には国家安全保障局長の北村滋局長をはじめとして、官房副長官の杉田和博、宮内庁長官の西村泰彦と、警察官僚出身者が数多く食い込んでいる。これに加えて、政権が検察への影響力を強めれば、圧倒的な情報収集力を持つ警察と、強制捜査や身柄拘束が可能で、刑事裁判で99%以上の有罪率を誇る検察の権力が、政権に都合のいい形で使われる恐れがある。もっと恐ろしいのは、こうして政権内部に食い込んだ警察や検察が政治に利用されるのではなく、その情報力で逆に弱みを握り『政治家を操る』という可能性も否定できないということ。その先にあるのは、権力が暴走する暗黒の未来です」(青木氏)


もちろん検察は「行政」の一部だが、日本の「司法」は事実上、検察が有罪か無罪かの判断をし、裁判所は量刑を決める場所になっている。

検察が司法に対して、強大な力を持っていることは否定できない。


その検察が政権と結びつくような動きを見せれば、それは国家の根幹を支えている三権分立が崩壊したと言われても仕方ないだろう。


2月12日の衆院予算委。黒川検事長の定年延長は「政権の守護神として残しておきたかったのでは?」と迫る野党議員に、安倍首相は薄笑いを浮かべながら、「なんとかの勘繰りではないのかと言わざるをえない」と反論している。


だが、果たして首相の計算どおりに進むものなのか? 

前出の郷原弁護士はこう首をかしげる。


「黒川検事長の定年延長問題はメディアに報じられ、その異様さを多くの国民が知るところとなっている。これだけ世間で騒がれて、黒川さんはこれから半年間も検事長の職を続けられるのでしょうか? また、半年間を違法な状態のまま乗り切ったとしても、その後に稲田検事総長の後任として就任するのか?もし就任すれば、その瞬間に検察の威信は失墜し、誰も検察を信用しなくなるでしょう。本当にそこに黒川検事長が踏み込めるのか? ちょっと疑問です。場合によっては安倍政権の思惑どおりに事が運ばない可能性もあると感じています」


前出の政治部デスクもこうささやく。


「稲田検事総長の去就も注目されます。このまま官邸人事に従うのか? 検事総長の任期は約2年というだけで、その勇退時期や後任は総長自らの判断で決めるというのが検察の慣習です。もし、稲田検事総長が黒川検事長の定年延長期間が終了する8月7日以降に退任をずらせば、再び閣議決定をして定年を再延長しないかぎり、黒川氏は東京高検検事長のまま退職するしかない。これだけ批判が出ている。さすがに再延長はいくら安倍政権でも難しいでしょう。そうなれば、官邸人事は不発となります」


8月7日以降、検事総長の椅子に座っているのは果たして誰なのか? 

そして検察による政権スキャンダル捜査はどうなるのか? 


官邸vs検察のバトルから目が離せない。

そもそも検察とは、社会の悪と闘うこの国の「免疫系」のはず。


それが政府と一体化し、この国の三権分立を死に至らしめないよう、われわれはしっかりと監視してゆく必要がある。

 

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■ありえない手口で首相が″お友達″を検察トップに!
仰天人事に元検察同期も怒り爆発! さよなら、三権分立
livedoorニュース(2020年5月12日)
https://news.livedoor.com/article/detail/18248121/

 

 

 

 

 

 

 


■安倍総理の分身「官邸官僚」が霞が関を牛耳る

~省庁幹部680人の人事を握っている~

PRESIDENT 2019年9月13日号

https://president.jp/articles/-/29853


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・絶大な権力をふるう、従来の「官僚」像とは異なる存在


「今井ちゃんはなんて頭がいいんだ。頭の中を見てみたい」。


安倍総理にそう言わしめた今井尚哉政務秘書官は、経済産業省出身。

自他ともに認める「総理の分身」だ。


前川喜平文科省事務次官(当時)に、「総理が自分の口からは言えないから、私がかわって言う」と、加計学園の獣医学部新設を迫ったとされる和泉洋人首相補佐官(国土交通省出身)。

「総理の影」が官房長官なら、補佐官は「影の影」か。


警察庁出身の杉田和博内閣官房副長官は「総理の守護神」。

同じ警察官僚、北村滋内閣情報官との杉田・北村ラインで政権のインテリジェンスを一手に握ってきたという。


〈出身省庁を離れているが、官邸を根城に絶大な権力をふるう、従来の「官僚」像とは異なる存在が「官邸官僚」である〉と著者は書く。

彼らは〈決して古巣の役所のトップを走ってきたわけではない〉が、〈宰相の絶大な信を得て、思いのまま権勢をふるっている。裏を返せば、その権勢は首相の威光がなければ成り立たない〉。


「忖度」「総理のご意向」の原点はそこにある、と指摘するのだ。

問題はその官邸官僚たちが、総理や当人たちが思っているほどの結果を出せていないことだ。


今井政務秘書官が力を入れたトルコ、英国への原発輸出は、伊藤忠、三菱重工、日立が白旗を掲げほぼ全滅。

同じく今井発案の「経済成長年3%」「出生率1.8」「介護離職ゼロ」を目指す新三本の矢は、画餅に帰している。


対ロシア、対中国、北朝鮮問題と、外交政策にも首を突っ込むが、成果を上げるどころか、数々のスタンドプレーで、外務省とのあいだに深刻な亀裂を生んでしまった。

 

・忖度による様々な不正が明るみに出てくる


それでも霞が関が反旗を翻さないのは、安倍政権が新設した「内閣人事局」が、1府12省庁の幹部680人の人事を握っているからだ。


2017年8月、杉田官房副長官が内閣人事局長の座に就いたとき、官邸による官僚支配が確立したという。

霞が関のバランスは崩れ、忖度による様々な不正が明るみに出てくる。


その象徴が、森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんだ。

主犯は元理財局長の佐川宣寿。


〈安倍本人や昭恵夫人のかかわりをはじめ、十四の関連文書の中で政権に都合の悪い三〇〇カ所を削除し、書き換え〉た重大犯罪なのに、〈佐川は何の刑事罰にも問われず、退職金まで手にして財務省を去った〉。


陰に見え隠れするのが、「官邸の守護神」こと黒川弘務法務事務次官。

法務省にあって、長く安倍政権を支えてきた。


検察まで忖度とは思いたくないが、〈まさに、「政治判断による捜査終結」という以外に言葉が見あたらない〉。

安倍官邸に正面から向き合い、「あるものはある」と書く気骨のあるライターがいる。


森功は間違いなく、今では数少ないその1人だ。


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■安倍総理の分身「官邸官僚」が霞が関を牛耳る
~省庁幹部680人の人事を握っている~
PRESIDENT 2019年9月13日号
https://president.jp/articles/-/29853

 


■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も Business Journal 2019.11.14

2021-10-29 02:59:53 | 日記

 

■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も

Business Journal 2019.11.14

https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html


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10月1日から、消費税率が8%から10%へ引き上げられたのと同時に、「改正水道法」が施行された。

実質的な水道民営化を推進する同法は、その是非をめぐって物議を醸した末、昨年12月に臨時国会で成立していた。

そして、いよいよ施行されたわけだが、世の中の関心が消費増税ばかりに向いていたため、知らなかったという人も多いだろう。

これによって、数年後には水道事業に「コンセッション方式」が導入されるとの見方も出ている。

コンセッション方式とは、公共施設などの「運営権」を民間事業者に売却する仕組みのことだ。

所有権は自治体などの公的機関が持ったままだが、公的機関は売却によって利益を得ることができるほか、経営を民間に任せることで運営のリスクを抱えなくても済むことになる。

表向きは「民間による効率的な運営」や「地方自治体の財政健全化」がうたわれているが、公共性の高い水道事業が民営化されることへの反発も多い。

経済ジャーナリストの荻原博子氏は、以下のように語る。


「民営化というのは、決してバラ色ではありません。それは、今のJR各社を見ればわかることです。1980年代、赤字に陥っていた国鉄が分割民営化されましたが、JR東日本やJR西日本が儲かる鉄道会社として成功している一方で、JR北海道やJR四国は赤字が続いており、いわば格差が激しくなっています。また、株主構成を見れば、JR東日本の株主の約3分の1は外国資本が占めていますが、JR北海道は実質的に国営のままです。つまり、民営化によって、企業は儲かりそうなところにしか参入しないということです。水は人間の生活にとって必要不可欠なものですから、それが利益重視の民間に抑えられてしまうというのは大きな不安要素です」(荻原氏)

 

・危惧される水道料金の高騰と質の低下


懸念されるのは、“水メジャー”と呼ばれる国際的な巨大企業による日本の水道インフラの掌握だ。

すでに、フランスのスエズ・エンバイロメントとヴェオリア・ウォーター、イギリスのテムズ・ウォーターなどの名前が取り沙汰されている。

荻原氏は、「大きく問題になるのは料金高騰と品質低下です」と語る。


「世界の事例を見ても、民営化によって料金の高騰や質の低下が起きています。フランスのパリでは25年間で水道料金が約3倍になった結果、再公営化されました。また、南アフリカでは民営化で水道料金が跳ね上がり、支払えない貧困家庭の人々が汚染された川の水を飲むなどして、約25万人がコレラに感染。やはり、再び公営に戻されています。前述したように、民間は都市部などの“おいしいところ”にしか入ってこないでしょう。それは、儲かるところという意味です。そういう地域は人口が多いため、必然的に多くの人が料金高騰などの煽りを受けることになります。一方で、地方はいわば見捨てられ、インフラ維持のために少ない住民が高いコストを負担するという構図が続きそうです。ただでさえ、水道料金は管轄する自治体によって大きな差があるのが実情です。そして、たとえば財政再建中で水道料金も全国トップクラスの北海道夕張市に、わざわざ外資が参入して状況が好転するとは考えにくい。そのため、過疎地をはじめとする地方ではサービスや水質が低下する一方で料金は高くなり、現状の地域格差がさらに広がっていくことが危惧されます」(同)


民営化によって、水道事業に“第2のJR北海道”が生まれかねないというわけだ。

「水はなくてはならないものなので、高くなっても買わざるを得ません。しかも、ミネラルウォーターは軽減税率が適用されるので消費税8%ですが、水道水は10%なのです」(同)

昨年12月の臨時国会では、「70年ぶりの大改革」として漁業権を企業に開放する「改正漁業法」が成立した。

さらに、今年6月の通常国会では「改正国有林野管理経営法」が成立、来年4月に施行される見込みだ。

これは、最長50年間、全国の国有林を大規模に伐採・販売する権利を民間事業者に与えるものである。

「民間に水を売り、海を売り、森林を売り……。さらに、米国との日米貿易協定では日本の農業が脅かされるような内容で合意されました。これから、私たちの生活はどうなってしまうのでしょうか」(同)

安倍晋三首相の通算在任日数は11月20日で計2886日の桂太郎を超え、憲政史上最長を記録する。

長期政権を謳歌する安倍政権は、日本のインフラや産業をどうするつもりなのだろうか。


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■安倍政権の水道民営化で都市部の水が外資に狙われる…海外では料金高騰やコレラ蔓延も
Business Journal 2019.11.14
https://biz-journal.jp/2019/11/post_128034.html

 

 

 

 

 

 

 

 

■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ

Business Journal 2019.12.08

https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html


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・水メジャーを太らせたのは「水事業の民営化」を煽る国際金融機関


世界には、水メジャーの支配で高騰した水道料金を払えず、あろうことか「天から降ってきた雨水」の取水まで禁じられた人々がいる。

日本が平成に改元してしばらくした頃に、南米・ボリビアの主要都市コチャバンバ市の公営水道民営化で起きた悲劇だ。

同市の水道民営化では、灌漑施設も井戸も雨水も、すべての貯水を水企業アグアス・デル・ツナリ社の管理下に置く契約が交わされていた。

あまりにも理不尽だったため、多くの人々に知れわたった実話である。

ツナリ社は、多国籍巨大建設企業ベクテル社の傘下企業だ。

実は、これまで「水事業の民営化」を煽ってきたのは、世界銀行や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関である。

ハイパーインフレで瀕死のボリビア政府に対して、多国間債務600万ドルの免除を条件に、この理不尽な契約を促したのも世銀だった。

彼らは、経済の自由化や公的機関の民営化を途上国政府への融資条件として課してきたのである。

この30年間は「小規模農家への支援」や「教育・医療」の予算削減まで強要し、結果、多国籍巨大企業の市場はさらに拡大し、世界の貧困と格差が悪化した。

国際金融機関のこうした“前科”が日本の一般常識として広く認知されていないのは、官製情報に依存し巨大資本に抗えない国内マスメディアが国民の知る権利にこたえていないからである。

事実として重要な情報がオーソライズされないまま、今日本人の「水道の水」も巧妙な仕組みで「市場」化されようとしている。

黙認して放置すれば、冗談抜きで、いずれ「清浄な空気」も商品として市場化されるかもしれない。

「市場」は商品・サービスとカネの取引で成り立っている。

カネがなければ取引はできず、人は何も得られない。

公共/公益の概念は、そこに生まれる悲劇の類いを回避するための知恵でもある。
従って、生存の最低条件である「水道の水」まで弱肉強食の市場で扱おうとする発想は、非常識を通り過ぎて、もはや「民営化原理主義」とでも名付けてもいい「文明の退化」だ。

今、日本も世界もその見識を問われている。


・安倍内閣・水メジャー・金融/証券と組んで法改定を仕掛けた面々


「水メジャーによる接待疑惑」で官邸を追われた福田隆之氏が、36歳の若さで内閣官房長官の「公共サービス改革」担当補佐官に抜擢されたのは2016年1月。

もとは野村総合研究所主任研究員や新日本有限責任監査法人のインフラ・PPP支援室室長・エグゼクティブディレクターなどを務めた証券のプロである。

表舞台から姿を消した同氏は現在、「行政官」という官職を持つコンサルタントを務めながら、都内の大学にも籍を置いている。

その大学は東洋大学。

そこでの肩書きは「国際学部客員教授/グローバル・イノベーション学研究センター客員研究員」(2019年10月22日現在。以下同)。

2名在籍する客員研究員のもう1人は、前述の「水道民営化を煽ってきた世界銀行」で上級インフラファイナンス専門官を務める人物だ。

このグローバル・イノベーション学研究センターを統括するセンター長は、「東洋大学国際学部教授」の竹中平蔵氏である。

著名な人物は「毀誉褒貶あり」と評されることがよくある。

しかし、政府の「官民連携」施策が、実は一般庶民の生活経済を追い込むものであることを直感する人々の多くは、そこから「誉・褒」の2文字を抜いた「毀・貶」で、あの「竹中平蔵」氏を連想しがちだ。

立身出世を絵に描いたような竹中氏の華やかな肩書きは、あまりに多すぎてここには書き切れない。

小泉純一郎内閣で要職を歴任し、郵政担当大臣として「郵政民営化」の道を開いた竹中氏は、日本国民の富をどこかに移動する仕組みづくりに自信を持ったかのようにもみえる。

麻生太郎副総理は表通りで「水道の公設民営」を外資の面々に“報告”したが、竹中氏は裏通りで地道にそれを準備し、実行してきたといえる。

小泉内閣以降も「行政を束ねて采配するノウハウ」に磨きをかけ、派遣大手のパソナ役員を兼務しながら労働法制に手を入れ、ヴェオリアもたじろぐほどの「利益相反」を問われながら、今もマスメディアを黙らせ続けている。

学者としては、大学で学生たちに「金持ちを貧乏人にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」などと“その道の粋”を教えてきた。規制緩和/撤廃で世界に名を轟かせた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの言葉だ。

教え込まれた学生が政官界に進めば、「自己責任論」で弱肉強食を正当化する新自由主義の施策になんの迷いも抱かず加担し、政治と行政が担うべき本来の役目を蔑ろにするかもしれない。

安倍内閣は規制緩和を御旗として掲げ、水道法改定など数多の法改定と施策を強行してきた。

その権勢を上手に利用して「昇進や第二の人生にまっしぐらの幹部官僚ら」を動かし、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)/PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ:民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)の導入を見事に完遂したのが、竹中・福田の両氏である。

両者の「阿吽の呼吸」の痕跡は、政府による数多の議事録を見れば腐るほど目にできる。

 

・官民連携インフラファンド→民間インフラファンドへの流し込み


2009年に設立された「産業革新機構」は2018年9月、竹中氏も議員として名を連ねる「未来投資会議」によって官民出資の投資ファンド「産業革新投資機構(JIC)」に改組された。

その子会社として新設された「INCJ」には、金融機関からの資金調達で政府保証1兆8000億円がつき、最大2兆円規模の投資能力がある。

同ファンドの出資金は95%が財政投融資の拠出だ。

つまり、「ハイリスク、ハイリターン」というヘッジファンド同様の資産運用を行うリスクマネーの拠出を、国民のカネを預かる政府が担っているということである。

従って、換言すればこういうことだ。

「官民連携インフラファンドに巨額の政府保証をつけさせて莫大な資金調達を可能とし、PFI 法で認められている官民連携インフラファンドから民間インフラファンドへの投資で国民のカネを民間企業に流し込む仕組みづくり」の礎を、すでにここで仕立て終えていた、と。

その仕掛けは、2014年5月19日に官邸4階で開かれた「経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議」でもうかがい知ることができる。

竹中氏は「コンセッション制度の利活用を通じた成長戦略の加速」という書類を配布し、幹部官僚の尻を叩いて「官民連携インフラファンド」についても強く打ち出しているからだ。

同会議録から、「コンセッション推進」と「インフラファンド推奨」にかかわる要所を抜粋する。

<……これに応えるために以下の施策を実施する必要がある>


<平成26年4月から向こう3年間」「に実施する案件について」「少なくとも、(筆者注:コンセッション成約を)国土交通省(空港)6件、国土交通省(下水道)6件、国土交通省(有料道路)1件、厚生労働省(水道)6 件とし、これら4分野の目標のうち地方公共団体分に相当する15件」「については、地方制度を所管する総務省もその目標の達成に協力する」「内閣府の数値目標として、上記案件で行われる投資金額の合計」「2~3兆円」「を目標とする>


<株式会社民間資金等活用事業推進機構(官民連携インフラファンド)」「の有するノウハウや地域金融機関との協力関係の活用を図りつつ」「PFI 法上」「官民連携インフラファンドに認められている民間インフラファンドへの投資について、支援基準を踏まえ、取り組みを開始する>


この産業競争力会議は、2年後の2016年9月9日に新設された「未来投資会議」と入れ替わる形で廃止された。

安倍晋三議長・麻生太郎議長代理で開かれた未来投資会議でも、「公的資産と公的サービスの民間開放」が幾度もテーマとされてきた。

 

・「インフラファンドとリンクしたインフレーションに最適の投資資産が公共料金」


福田氏が補佐官在任中の2017年2月17日、「未来投資会議・構造改革徹底推進会合~第4次産業革命(Society5.0)・イノベーション」(PPP/PFI)の第4回は、竹中会長が中心となって議事が進められていた。

当日のメインゲストは、マッコーリーキャピタル幹部としてアジアのインフラ投資を動かすジョン・ウォーカー氏と、日本におけるマッコーリーキャピタル証券代表の大橋純氏。

既述のように、マッコーリー・グループは3大水メジャーから消えた英テムズ・ウォーターを買収した豪州メガバンクで、非銀行部門に証券業務がある。

従って、マッコーリーキャピタル証券は銀行系証券会社ということになる。

実は、2011年2月に国土交通省航空局が開いた「第3回・空港運営のあり方に関する検討会」でも、マッコーリーキャピタル証券の舟橋信夫副会長(当時)が招かれていた。

菅官房長官の下で竹中氏のパートナーとして動いていた福田氏は、同じ証券マンの先輩である舟橋氏にコンセッション等の指南を受け、事情を知る証券関係者の間では「昵懇の仲」だと見られてきた。

これらの経緯をたどれば、舟橋・福田・竹中の3氏が「PPP/PFIによる国内コンセッション」を起案し、同調する安倍内閣が政府としてこれを実現した構図が透けて見える。

水道コンセッションにインフラファンド市場ができれば、あとはそこに公的資金を流し込むだけだ。

「新PFI法」が施行された2018年10月の下旬、宮城県では県が主催する「上工下水一体官民連携運営事業シンポジウム『水道の未来を考える』」が開かれた。そこに講演者として招かれたなかに、水メジャーのツートップであるヴェオリア・ジャパンとスエズ・アジアの幹部数名がいた。

このなかから「スエズ・アジア アドバイザー」の肩書きで登場したのは、マッコーリーキャピタル証券副会長を辞めた後も福田氏と昵懇だった舟橋氏である。

インフラファンドが生まれたのは、マッコーリー社の母国・オーストラリアだ。

2011年に国交省が開いた前述の会合で、舟橋氏はマッコーリーキャピタル証券副会長として、こんな話をしている。

「マッコーリー・グループがひとつだけ世界一の分野がある。インフラファンドの残高だ」

「なぜインフラか? インフラのような投資資金にとって一番重要なのは、使う期間が随分と先になるため、購買力を喪失するのが一番怖いという点。逆に、インフレーションに一番いい投資資産が公共料金である。公共料金はほとんどがインフレにリンクしている」

「グループのインフラ投資で最大の案件はテムズ・ウォーター。当時、企業価値は1兆8000億円という投資だった」(以上、要約抜粋)

東日本大震災が勃発する約1カ月前の話だ。

「インフラファンドはインフレとリンクしており、インフレに最適の投資資産が公共料金」「水道会社への投資額は1兆8000億円」――日本で、その原資はどこから調達されるか。

改定水道法の行方を透視するためには、日銀・メガバンク等の動向を横目に官民インフラファンドと水道インフラファンドの動きを注視する必要がある。

金融・証券のプロが政府の施策に影響を及ぼせば、巨額の公的資金が裏で流れ始めるからである。

 

・水道のインフラファンド経由で公的資金が民間企業へと流し込まれる


閑話休題。

既述の通り、2017年10月下旬に「新PFI法の施行」「2大水メジャーのシンポ参加」「福田氏の接待疑惑文書」の3つの動きが重なっている。

水道法改定に対して国民が不安を抱いているにもかかわらず、水面下では巨額「水道マネー」をめぐる利害関係者の暗闘がすでに始まっていたようだ。

民間企業の事業目的は「果てしない営利」である。

平成の世に日本にも上陸したPPP/PFIによる官民連携「水道コンセッション」と「インフラファンド」は、間違いなく莫大な「水道利権」を生み散らかす。

平成に準備されて令和に本格始動する改定水道法には、「自治体がこれまで及び腰だった料金値上げを、法制度間の整合性で容易にする仕掛けがあったこと」、そして「巨額水道マネーを担保に、インフラファンド経由で公的資金を民間企業へと流し込む仕掛け」があること、などを本連載で検証した。

既存のマスメディアに期待できないからには、今後、住民/国民自らが「PPP/PFIに踊り狂う自治体と政官財のカネの動き」を厳しく監視するしかない。

多くの若者が手にしたネットは、そのためにも有効だ。

黙認したり監視を怠ったりすれば、国民の水道資産120兆円は、そのうち利権まみれで真っ黒に濁ってしまうだろう。


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■水道民営化の仕掛け人は竹中平蔵氏か…国民が知らない水道資産120兆円のゆくえ
Business Journal 2019.12.08
https://biz-journal.jp/2019/12/post_130797.html

 

 

 

 

 


■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報

日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479

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10日閉幕した臨時国会で、安倍政権が強行成立させた「水道民営化法」を巡り、かねて民営化を推進してきた内閣府に“水メジャー”の仏「ヴェオリア」の日本法人社員が出向していたことが発覚。

「利益誘導だ」と批判が噴出したが、実は「麻生財務相も一枚かんでいるのでは」との怪情報がSNS上で飛び交っている。

日刊ゲンダイは真相を追った。

〈麻生太郎の娘婿がヴェオリア社の幹部〉

〈麻生太郎の娘がヴェオリアの重役と結婚しフランス在住〉

〈水道民営化して(麻生の)娘は大儲け〉――。

ネット上には今、こんな投稿があふれ返っている。

まず、麻生氏の娘についてだが、フランス人男性と結婚したのはまぎれもない事実。

「週刊文春」(2014年1月30日号)によると、麻生氏の娘は、同年1月中旬に結婚お披露目会をパリで開催した。

会場は、フランスで200年以上の歴史を持つ5つ星ホテル「ル・ムーリス」。

両家と近しい関係者約30人が参加した夕食会は、ルイ15世の寵愛を受けた公妾の肖像画が飾られている「ポンパドゥール夫人の間」だった。

麻生氏の娘は東大文学部で美術について学び、卒業後、イギリスの大学に留学。

フランス人の夫とは、美術品のオークションなどを手掛ける会社に勤めてから知り合ったという。


・野党議員の追及に色をなして反論


一方、夫がヴェオリアに勤めているかどうかは真偽不明だ。

事実を裏付けるだけの情報を得ることはできなかった。

ただ、妙な疑いを持たれているのは、麻生氏の過去の発言が原因となった可能性が高い。

麻生氏は、娘の結婚お披露目会の約9カ月前、13年4月に米国のシンクタンク「戦略国際問題研究所」の講演で、「(日本の)水道はすべて国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものをすべて民営化します」とぶち上げたのだ。


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■水道民営化のウラに…麻生財務相“身内に利益誘導”の怪情報
日刊ゲンダイ(講談社)2018/12/12
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/243479

 

 

 

 

 

■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初

毎日新聞 2021/7/5

https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c


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宮城県議会は5日、上下水道と工業用水の20年間の運営権を民間に売却する「みやぎ型管理運営方式」の関連議案を賛成多数で可決した。

上水道を含めた3事業一括の民間委託は全国初で、県は2022年4月の事業開始を予定する。

県は引き続き施設を所有し、水質管理や経営監視も行うとしている。

議会には、水処理大手メタウォーター(東京)やフランスのヴェオリアグループの関連企業など10社で構成する企業グループに運営権を設定する議案のほか、グループの財務状況などを議会に報告するよう求める条例も提出され、可決・成立した。

水道3事業の運営権だけを民間に売却する「みやぎ型」を巡っては、人口減や設備の老朽化による利用者の負担増を抑えるためとして、村井嘉浩知事が中心となって推進。

外資系企業の参入に対する不安や運営形態が不明確との声もあり、導入に反対する市民団体が約2万筆の署名を集めた。


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■宮城県、水道運営権を民間に売却へ 上下水道含めた委託は全国初
毎日新聞 2021/7/5
https://mainichi.jp/articles/20210705/k00/00m/040/209000c

 

 

 

 

 

■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託

2012年3月13日

https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/


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世界最大の水事業会社であるフランスのヴェオリア・ウォーターの日本法人、ヴェオリア・ウォーター・ジャパン(東京都港区)が2012年4月から、松山市の浄水場の運転業務などを始める。

外資系企業が単独で日本の自治体の水道業務を受託するのは初めて。

ヴェオリアが手掛けるのは、市之井手や垣生など4カ所の浄水場の運転や設備の維持管理などの業務。

このほか、公共側が資金を調達して民間企業に建設や維持管理を委託する「DBO(Design Build Operate)」方式によって栗田工業などが建設した高井神田浄水場とかきつばた浄水場の配水業務なども担う。

松山市が2011年8月~11月に実施した公募型プロポーザルを経て、12月26日に市と契約した。

契約期間は2012~2016年度の5年間で、受託金額は12億9654万円。

ヴェオリアが関わる6カ所の浄水場の給水量は1日当たり計14万t(給水能力は計20万t)。

松山市の給水区域のほぼ全域をカバーし、人口の9割強に当たる約48万人に水を供給する。

同社が日本の自治体から受託した水道業務のなかでは最大規模となる。

これまで松山市では、三菱商事などが出資するジャパンウォーター(東京都千代田区)が水道業務に携わってきた。

2004~2006年度に垣生浄水場、2005~2006年度に市之井手浄水場、2007~2011年度に両浄水場で、それぞれ運転業務などを受託。

同社は、2012年度以降も業務継続を目指してプロポーザルに参加したが、一騎打ちとなったヴェオリアに技術面やコスト面で敗れた。

日本の水道市場の規模は2兆~3兆円と言われる。

松山市のケースを機に、ヴェオリアをはじめとする海外勢と日本勢との競争が激化する可能性がある。


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■外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託
2012年3月13日
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK1302A_T10C12A3000000/