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■消費税は社会保障に 実際は大企業や高額所得者の減税穴埋めに? ~元国税が暴露。「消費税は社会保障のため不可欠」が大ウソな理由~ ライブドアニュース 2018年11月20日

2022-04-28 04:46:25 | 日記


■消費税は社会保障に 実際は大企業や高額所得者の減税穴埋めに?

~元国税が暴露。「消費税は社会保障のため不可欠」が大ウソな理由~

ライブドアニュース  2018年11月20日

https://news.livedoor.com/article/detail/15620119/


~~~


・日本の金持ちの税金は欧米の半分以下

 

「消費税は、金持ちの減税の穴埋めに使われている」という主張をすると、決まって次のような反論をする人が現れます。

「日本の金持ちの税金は元が高いのだから、減税されてもいいはずだ」と。


しかし、これも国の喧伝にまんまとひっかかっています。

確かに日本の富裕層の税金の「名目上の税率」は、他の欧米諸国に比べると高くなっています。


しかし、日本の富裕層の税金には様々な抜け穴があって、名目税率は高いのだけれど、実質的な負担税率は驚くほど安くなっているのです。

むしろ、日本の富裕層は先進国でもっとも税金を払っていないといえるのです。


わかりやすい例を示しましょう。


ーーー


主要国の個人所得税の実質負担率(対国民所得比)世界統計白書2012年版より 

日本  :7.2%
アメリカ:12.2%
イギリス:13.5%
ドイツ :12.6%
フランス:10.2%


ーーー


これは、先進主要国の国民所得に対する個人所得税負担率を示したものです。

つまり、国民全体の所得のうち、所得課税されているのは何%かを示したものです。


国民全体の所得税の負担率を示しているといえます。

実は日本はこれがわずか7.2%です。


主要国の中では断トツに低いのです。

アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスはどこもGDP比で10%以上の負担率があります。


イギリスに至っては13.5%で、日本の約2倍です。

個人所得税というのは、先進国ではその大半を「高額所得者が負担しているもの」です。


国民全体の所得税負担率が低いということは、すなわち「高額所得者の負担率が低い」ということを表しているのです。

これはつまり、日本の富裕層は、先進国の富裕層に比べて断トツで税負担率が低いということなのです。


日本の富裕層は、名目の税率は高くなっているけれど、実際に負担している額は非常に低くなっているということなのです。

なぜ日本の金持ちの実際の税負担率が低いかというと、日本の税制では富裕層に関して、様々な抜け穴があるからです。


株の配当所得の所得税は、どんなに高額であっても15%ですむなど、富裕層には様々な税金の抜け穴があります(一つの会社の大口株主は除く)。

つまりは、日本の金持ちは、先進国並みの税金を払っていないのです。


そのしわよせが、消費税となっているのです。

もし日本の金持ちが、先進国並みの税金を払えば、消費税の増税などまったく必要ないのです。


というより、消費税の廃止さえ可能なのです。

そして、消費が細りつづけて格差が広がりつつある日本の現状を見たとき、課税すべきは消費ではないことは明らかです。


日本の個人金融資産は1,800兆円を超えて、今なお激増して続けているのです。

その資産の多くは富裕層が持っているのです。


この肥え太った金持ちに、ちゃんと税金を払ってもらうということが、まず日本で第一に考えなければならない税制方針のはずです。

 

(中略)

 


・消費税は格差を広げる税金

 

そして、消費税の最大の欠陥というのは、格差を広げるということにあります。

なぜ消費税は格差を広げるのか、簡単に説明しましょう。


消費税は、何かを消費したときにかかる税金です。

そして人は生きていく限り、消費をしなければなりません。


「自分は貧乏だから消費をしない」というわけにはいかないのです。

そして貧乏人ほど収入に対する消費の比重が大きいものです。


貧乏人は所得のほとんどを消費に回すので、所得に対する消費税の割合は、限りなく消費税率に近づくことになります。

たとえば、年収300万円の人は、300万円を全部消費に使うので、消費税を24万円払っていることになります。


300万円のうちの24万円払っているということは、つまり貧乏人にとって消費税は、所得に8%課税されるのと同じことなのです。

しかし、金持ちは、所得のうち消費に回す分は少ないものです。


だから、所得に対する消費税率の割合は非常に小さくなります。

たとえば1億円の収入がある人が、2,000万円を消費に回し、残りの8,000万円を金融資産に回したとします。


この人は所得のうち5分の1しか消費に回していないので、所得に対する消費税の課税割合も5分の1です。

つまり、所得に対する消費税率は、1.6%で済むのです。


これを普通の税金に置き換えれば、どれだけ不公平なものかがわかるはずです。

もし、貧乏人は所得に対して8%、金持ちは1.6%しか税金が課せられない、となれば、国民は大反発するはずです。


しかし、実質的にはそれとまったく同じことをしているのが、消費税なのです。

「消費税は公平な税金だ。物を買った時に誰にでも同じ率で課せられるし、消費税を払いたくなければ、消費しなければいいだけだ」などという人もいます。


でも、それこそ意地悪で現実離れした話です。

人は消費しなくては生きていけません。


そして、所得が低い人ほど、「消費をしない」という選択肢がありません。

貯金をする余裕がないから、必然的に収入のほとんどが消費に充てられるわけです。


貯金という逃げ道のない人を狙ってかける税金、それが消費税なのです。

税金には本来、所得の再分配の機能があります。


所得の高い人から多くの税金を取り、所得の少ない人に分配する、という機能です。

経済社会の中で、どうしても生じてしまう様々な矛盾を、それで是正しようということです。


でも消費税は、所得の再分配と、まったく逆の機能となっています。

もし消費税が税収の柱になっていけば、お金持ちはどんどん金持ちになって、貧乏人はどんどん貧乏人になります。


これは、単なる理論的なことだけではありません。

思い起こしてみてください。


格差社会といわれるようになったのは、消費税導入以降のことです。

消費税導入以前、日本は「一億総中流社会」と言われ、格差が非常に少ない社会だったはずです。


国民全部が、自分たちのことを中流階級だと思っていたわけです。

つまり貧しい人がいなかったということです。


格差が広がったのは、消費税が導入されてからなのです。

 

~~~
■消費税は社会保障に 実際は大企業や高額所得者の減税穴埋めに?
~元国税が暴露。「消費税は社会保障のため不可欠」が大ウソな理由~
ライブドアニュース
2018年11月20日
https://news.livedoor.com/article/detail/15620119/


■対米従属から抜け出す道はあるのか? ~日本はどういう国として生きていくのか。問われているのは私たちの覚悟~ 論座(朝日新聞)2020年11月01日

2022-04-28 04:45:49 | 日記

 


■対米従属から抜け出す道はあるのか?

~日本はどういう国として生きていくのか。問われているのは私たちの覚悟~

論座(朝日新聞)2020年11月01日

『戦後日本を問いなおす』(原彬久)三浦俊章 朝日新聞編集委員

https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020103000003.html

 

~~~

 

・アメリカの対日優位を示す山ほどの事例

 

同じ同盟国でも、独仏はアメリカのイラク戦争に反対したが、日本はアメリカを支持して、米艦給油や復興支援で自衛隊を出した。

このほかにも、アメリカの対日優位を示す事例は山ほどある。


基地外に墜落したばかりの米軍ヘリの事故現場に、なぜ日本の警察は近づけないのか。

なぜ首都東京上空の航空管制権を、横田基地を持つ米軍に広範囲に委ねて、日本の航空会社の飛行ルートが制限されるのか。


なぜ日本の首相はワシントン詣でを繰り返し、日本の防衛体制や防衛費に構造的歪みをもたらしてまでアメリカの兵器システムを購入せねばならないのか……。

 

 

(中略)

 

 

・勝者と敗者がつくった「戦後日本の母型」

 

著者がまず指摘するのは、アメリカと日本が戦勝国と敗戦国として、戦後の安全保障関係を作り上げたことだ。

その出発点を、著者は「戦後日本の母型」と呼ぶ。


そこには三つの基層がある。

第一の基層は天皇制である。


日本を単独占領したアメリカは、占領を効果的に進めるために天皇制を温存した。

アメリカが天皇制を許容したことは、日本の保守層に感謝の念を生むとともに、アメリカに対する負い目をもたらした。


第二の基層は、日本国憲法、特に9条である。

米国の狙いは、日本がアメリカにとって脅威にならないように、侵略性を除去するとともに、アメリカと同質の民主主義に改造することにあった。


第三の基層は、講和条約と同時に結ばれた日米安保条約(1960年に改定)だ。

著者はその本質を「駐軍協定」とみる。


日米安保は対等な相互防衛条約ではない。

在日米軍は日本を守るだけでなく、極東の平和と安全に寄与するために日本国内の基地を使うことが許されている(いわゆる「極東条項」)。


独立国が他国の軍隊の基地を自国内に認め、実質的にその自由な使用を認める世界でも稀有な条約になっている。

以上、三つの基層に共通するのは、国益を徹底的に追求するアメリカの政治的リアリズムだ。


こうした占領体制を色濃く残す「戦後日本の母型」の上に、日米非対称体制が築かれている。


日米安保が「駐軍協定」の性格を持つことは、他の研究者も指摘しているが、天皇制と憲法も含めて「三つの基層」という枠組みでとらえ、そこに通底するものとしてアメリカの国益の論理を見るのは、国際政治学のリアリズムの古典(E.H.カーやモーゲンソー)を深く読み込んだ原氏ならではの鋭い着眼点である。


著者の日米非対称システムの分析は、さらに一歩踏み込む。

アメリカ優位の体制が続くのは、弱者である日本がそれを受け入れているからでもある。


それは何か。

著者が挙げるのは、占領期の首相吉田茂である。


吉田は、占領軍に対峙するにあたって「敗けっ振りをよくする」ことを考えた。

しかし、不平等の極みである「極東条項」を飲んだのは吉田の外交的失策ではないか。


「敗けっ振り」をよくすることは、アメリカの目には日本人の「従順さ」「自立心の弱さ」と映り、日本の「対米追随」を定着させた、と原氏は見る。

この脆弱性を、その後の保守政権の外交も、克服できなかった。


安保を批判していた社会党も、同党が首班の村山富市政権で「安保堅持」に転じた。

村山政権は1995年の沖縄少女暴行事件で地位協定への批判がかつてなく高まったときも、改定のチャンスを逃している。


政党が保守であろうと革新であろうと、日本外交は非対称システムに屈し続けた。

従属構造を変える道は、あるのだろうか。

 


・現状に対する危機感の深さ

 

では、日本はどうすればアメリカと対等になれるのか。

同盟強化論者たちのひとつの見解は、日本が集団的自衛権を米領土でも行使できるようにして、真の相互防衛条約にすればよい、というものだ。


だが、ことはそれほど簡単ではない。

「アメリカの世界戦略における極東条項・地位協定の絶大な軍事的・政治的効用からすれば」、それらを手放すことはありえない、アメリカがこの権利を手放す時は、日本を見捨てるときだろう、と原氏はみる。


アメリカの外交文書をつぶさに研究し、アメリカの官僚や軍人が日米安保をどう見てきたかを知り尽くした著者の発言は重い。

日米の非対称性を改めるには、いったいどうすればいいのか。


ここから、叙述のトーンはがらりと変わる。

すくなくとも、私にはそう感じられた。


日米非対称の構造を分析する著者の筆致は、シンプルに整理され分析は鋭利である。

ところが、処方箋を論じる段になると、次から次へと課題や論点がわき出してくる。


まずは、権力に弱い日本国民の心性、主張すべきことを主張しない欠点が指摘される。

外交力の飛躍的な向上の必要性が説かれ、護憲・改憲の硬直した対立も克服せよ、という。


強力な野党の必要性、民主主義の最後の砦としての文民統制、さらには靖国問題や歴史意識、と次々に課題が現れる。

どれももっともな指摘だが、アメリカと対等になるためには、日本政治、日本社会への深い自省が必要ということなのだろうか。


実証分析をやってきた学者がここまで話を広げるのは、著者の抱く現状への危機感だろう。

その危機感の深さに圧倒される。

 

 

・独立の気力なきものは……

 


ここでは原氏の指摘のうち、特に共感した2点に触れて、この小論を閉じたい。

原氏は本書で明治の思想家、福沢諭吉の『学問のすゝめ』から以下の部分を引いている。


「独立の気力なき者は、必ず人に依頼す、人に依頼する者は、必ず人を恐る。人を恐るる者は、必ず人に諂(へつら)うものなり。常に人を恐れ人に諂う者は(中略)論ずべきを論ぜず、人をさえ見れば、ただ腰を屈するのみ」(第三編)


これは外交の話だけでない。

国内政治においても、私たちの社会生活や組織の中でも、そういう独立の気概があるのか、と問わねばならないだろう。


活力なき社会で、外交ばかりが活力を持つことはありえないからだ。

 

 

・日米の非対称性克服の道はマルチの構築しかない

 


原氏の指摘で、もうひとつ、ひざを打ったのは、アジア太平洋における多国間相互依存ネットワークの構築の提言である(著者「あとがき」)。

アジアには、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)のようなマルチの枠組みはない。


基本は、アメリカを中心とする二国間の同盟関係からなるハブアンドスポークの安全保障体制だ。

たしかに、欧州とアジアには国際環境と歴史の違いがあり、アジアで同様の枠組みを作るのは相当険しい道のりと言わざるを得ない。


しかし、現在のアメリカ中心の体制が続く限り、アメリカの同盟国同士は横のつながりが弱い。

欧州のように同盟国同士が団結してアメリカに向き合ったり、注文したりすることはない。


それによってアメリカの優位は固定化し、またアメリカのコミットメントが崩れれば安全保障の枠組み全体が崩れる脆弱性がある。

ハブアンドスポークに依拠する日米の非対称性を克服する道は、遠い目標であるが、やはりマルチの構築しかないだろう。

 


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■対米従属から抜け出す道はあるのか?
~日本はどういう国として生きていくのか。問われているのは私たちの覚悟~
論座(朝日新聞)2020年11月01日
https://webronza.asahi.com/culture/articles/2020103000003.html


■対米従属から脱却するために、いま日本がやるべき「3つのこと」 ~これができない政治家は退場せよ!~ 週刊現代(講談社)2019.5.19

2022-04-28 04:45:22 | 日記

 


■対米従属から脱却するために、いま日本がやるべき「3つのこと」

~これができない政治家は退場せよ!~

週刊現代(講談社)2019.5.19

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64558


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・安保条約はアメリカの軍部が書いた


まず、問題は大きく2つに分かれる。

(1)なぜ、これほど異常な状況が生まれたのか
(2)なぜ、これほど異常な状況が続いてしまったのか


この(1)の問題をあっけなく説明してしまうのが、この人物だ。

カーター・B・マグルーダー陸軍少将。


彼が日本の戦後史における第1の盲点である。

おそらく彼の名前を聞いたことがある人は、ほとんどいないだろう。


だが「戦後日本」という国家にとって、実はこれほど重要な人物もいない。

というのはこのマグルーダーこそが、現在まで続く、日米安保条約と日米地位協定の本当の執筆者だからである。


ではなぜ他国との条約を、本来の担当であるアメリカ国務省ではなく、軍人が書くことになったのか。

その理由は旧安保条約が調印された1951年の、前年(1950年)6月に起きた朝鮮戦争にあった。


この突如始まった戦争で米軍は当初、北朝鮮軍に連戦連敗する。

その後も苦戦が続くなか米軍は、それまで一貫して拒否していた日本の独立(=占領終結)を認める代わりに、独立後の日本との軍事上の取り決め(安保条約)については、本体の平和条約から切り離して軍部自身が書いていい、朝鮮戦争への協力を約束させるような条文を書いていいという、凄腕外交官ジョン・フォスター・ダレスの提案に合意したのだった。


なので先の(1)への答えは非常に簡単だ。

日米安保条約や地位協定は、もともとアメリカの軍部自身が書いたものだった。


しかも平時に書いたのではなく、戦争中に書いた。

だから米軍にとって徹底的に都合の良い内容になっているのは、極めて当然の話なのだ。


その取り決めの本質は、下の旧安保条約・第1条のなかにすべて表現されている。

ーーー

旧安保条約・第1条(1951年9月8日調印)(要約)

「アメリカは米軍を、日本およびその周辺①に配備する②権利を持つ」

ーーー

この②の部分が日本の国土の「自由使用」、①の部分が「自由出撃」(日本の国境を自由に越えて行う他国への攻撃)を意味している。

その2つの権利を米軍は持つということだ。


そしてこの短い条文が意味する具体的な内容を、さまざまな状況別に条文化したものが、安保条約と地位協定(当時は行政協定)、そして無数の密約なのである。

いうまでもなく、そうした国家の主権を完全に他国に明け渡すような条約を結んでいる国は、現在地球上で日本以外にない。


つい最近、21世紀になってからアメリカに戦争で負けたイラクやアフガニスタンでさえ、米軍がそれらの国の許可なく、国土の「自由使用」や「自由出撃」をおこなうことなど絶対にできない。

いくら戦争でボロ負けしようと、占領が終われば国際法上の主権国家なのだから、それが当然なのである。


・インチキだった安保改定


ところが日本だけはそうなっていない。

その理由もまた、ひとことで説明することができる。


安保改定がインチキだったからだ。

1960年に「対等な日米新時代」をスローガンにして岸首相がおこなった安保改定により、旧安保時代のような事実上の占領状態はなくなったと日本人はみんな思っている。


ところが岸は安保改定交渉が始まる前年、訪米しておこなったアイゼンハワーとの首脳会談で、次の内容に合意していたのである。

ーーー

「日本国内の米軍の配備と使用については、アメリカが実行可能な場合はいつでも協議する」(部分)(会談後の共同声明 1957年6月21日)

ーーー

前ページの旧安保条約・第1条に書かれた、「日本の国土の自由使用」と「自由出撃」という植民地同然の権利。

それが安保改定後もそのまま存続することが、このとき確定した。


というのも岸による安保改定の目玉は、米軍の自由な軍事行動に日本側が制約をかける「事前協議制度」の創設にあったのだが、その「事前協議」の本質が「米軍がやりたくない場合はやらなくていい」ものだということが、ここで合意されてしまったからである。


その後結ばれた新安保条約、日米地位協定と、その他無数の密約は、やはりこの共同声明の1行を、細かく条文化する形で生まれたものといってよい。


そしてその過程で、日本の戦後史における2つ目の盲点が生まれる。

下の漫画の2コマ目にある「討議の記録」という名の「密約中の密約」である。

フォト

これはいわば先の共同声明の内容(事前協議制度の空洞化)を、ABCD4つの具体的な密約条項に書き換えたものといえる。

漫画にあるように、AとCが日本の国土の自由使用、BとDが日本の国土からの自由出撃についての密約である。


新安保条約調印の約2週間前(1960年1月6日)に藤山外務大臣によってサインされている。

冒頭の「(2)なぜ、これほど異常な状況が続いてしまったのか」という問いへの答えは、この密約文書ひとつですんでしまう。


ひとことでいうとこの密約は、旧安保時代の米軍の権利は、ほぼすべてそのまま引き継がれるという内容の密約だからだ。

ところがこの「日米密約の王様」ともいうべき最重要文書のことを、やはり日本の官僚もジャーナリストも、ほとんど知らない。


その理由は外務省が長らくこの文書の存在を否定し続け、2010年にようやくその存在を認めたあとも、一貫して文書の効力を否定し続けているからだ。

 

(中略)


・輝ける未来のためにすべきこと


このような構造を知ると、せっかく盛り上がりつつある地位協定の改定運動に水をかけるようで大変申し訳ないのだが、いくら地位協定の条文を変えても、新安保条約・第6条後半の「及び、合意される他の取り決め(で決定する)」という部分を削除しないかぎり、なんの意味もないことがわかる。


この短い文言のなかにはすでにご説明したとおり、日米合同委員会だけでも(安保改定以前と以後をあわせて)1600回を超える、密室での秘密合意の内容がすべて含まれているからだ。

だから地位協定を本気で改定しようとするなら、必ず新安保条約・第6条から上の下線部分を削除したうえで、改定をおこなう必要がある。


つまりそれは非常にミニマムな形ではあるが「安保再改定」にならざるをえないということだ。

「いや、地位協定の改定だけでもハードルが高いのに、安保再改定なんて絶対無理だよ」

とあなたは思うかもしれない。


けれどもそんなことは、まったくないのだ。

国会で正式に批准された「日米地位協定の条文」と、過去70年にわたって密室で蓄積された秘密合意が、法的に同じ効力をもつことを定めたこのメチャクチャな条文。


まともな親米政権をつくって「ここだけは占領期の取り決めが継続してしまったものなので、変えることに同意してほしい」といえば、断ることのできるアメリカの官僚も政治家も絶対に存在しない。

いま東アジアでは、世界史レベルの変化が起こりつつある。


昨年(2018年)3月から韓国の文在寅大統領がスタートさせた入念かつ大胆な平和外交が、その巨大な変化を生んでいるのだ。

それに比べて日本の解決すべき課題は、なんとちっぽけなことだろう。


「新安保条約・第6条の一部削除」

「日米地位協定の改定」

「日米安保の問題については憲法判断しないとした砂川裁判・最高裁判決の無効化」


この3つさえおこなえば、在日米軍を日本の国内法のコントロール下におくことが可能となり、現在の歪んだ日米関係は必ず劇的に改善する。


だからこの「最小限の安保再改定」と「地位協定改定」と「砂川裁判・最高裁判決の無効化」の3つで、まず野党の指導者が合意し、それに自民党の良識派も足並みをそろえてみてはどうか。

そして国家主権の喪失という大問題を解決したあと、またそれぞれの政治的立場に帰って議論を戦わせればいい。


逆に、ここまで私が説明してきた法的構造を理解した上で、それでもなお、上の3つに怖くて手をつけられないという政治家は、日本という国の政治指導者の座から、すぐに退場させるべきだ。

この本当に小さな変更さえおこなえば、その先に、われわれ日本人が望んでやまない、


「みずからが主権をもち、憲法によって国民の人権が守られる、本当の意味での平和国家としての日本」

という輝ける未来が、訪れることになる。

 


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■対米従属から脱却するために、いま日本がやるべき「3つのこと」
~これができない政治家は退場せよ!~
週刊現代(講談社)2019.5.19
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/64558