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【ジョブ型雇用では役員になれない?昇進も経営参画もなく永遠に平社員?!】~ジョブ型雇用と人材派遣は外資と売国政権による日本企業乗っ取りのための制度?日本人総奴隷労働制度への道なのか~

2022-10-11 07:31:25 | 日記

 

■「ジョブ型雇用」導入すれば、係長にもなれない人が続出する

日経ビジネス  2021.3.19

https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00271/031900002/


~~~

 


ー「日本型雇用が行き詰まっている」ということで雇用を巡る改革の動きは長年続いてきました。
今いわゆる「ジョブ型」を中心とした議論が盛んになっています。
海老原さんはどんなふうにご覧になっているんでしょうか。

 

 

海老原嗣生・雇用ジャーナリスト、ニッチモ代表取締役(以下、海老原氏):僕が人材系の仕事に携わるようになったときの初っぱなの議論が「新時代の日本型雇用」でした。
今から30年前くらい、日経連(現在の経団連)が主導したプロジェクトだったんですね。
あのとき問題になっていたのは、1990年代のバブル崩壊で業績が落ち込んで、会社の中のポストがなくなったこと。
定期昇給で給与が上がり続けるという仕組みも終身雇用も難しくなっている中で「日本型でいいのか」という話でした。

 

 


・問題は同じなのに、次々と変わるソリューション

 

 

ーそれほど今とは変わらない議論だ、と。

 

 

海老原氏:昔の資料を探すと、これとまったく同じ言葉がその30年前にもありました。
2000年代になってからも、僕が知っているだけでも小泉改革のときの多様な働き方勉強会、あれのときもまったく同じ議論をしているんですよ。
要するに「ゼネラリストで、終身雇用で、定期昇給で、年功序列という仕組みは大丈夫なの?」と。
今から6~7年前に僕も多少携わったプロジェクトで言えば、政府の規制改革会議と産業競争力会議、日本再興戦略会議、この3つがありました。
3つが並走していて、ここでもゼネラリスト、終身雇用、定期昇給、年功序列で大丈夫なのかという話をしているんですよ。
出発点はいつも一緒で、そのたびに言っていることがちょっと変わっただけ。
僕が最初に議論を傍観したときはどうだったかというと、「新しい時代の雇用は3層に分ける。
まず長く在籍してもらい経営層を目指す人、それから特定のスキルを持ったテクノスペシャリストみたいな人、こういう人は、(労働市場の)市場価値があってどこでも行ける人だと。
そして、短期雇用型のアルバイターみたいな人」という話でした。
具体策はその後のものとは違うけど、議論の入り口は一緒だったんですよ。
小泉(純一郎)首相と安倍(晋三)首相のあたりの10年ぐらいにどんな話をしていたかというと、ホワイトカラーエグゼンプションとか高度プロフェッショナル制の話。そして最近になって出てきたのがジョブ型なんですよ。
結局、出発点は同じなのにソリューションが全部違うということなんですね。

 

 

ーそもそも日本型雇用の是非がなぜ議論になるのか。
あらためてお聞かせください。

 

 

海老原氏:まず僕が見る限り、日本型の特徴である「無限定」の雇用の仕組みは人を育てる上で、非常にうまくまわってきました。

 

 


・日本型雇用、人を育てるには適した仕組み

 

 

ーポストを決めて雇用契約を結び、本人の同意がない限り配置転換ができない欧米の「限定」型の雇用に対して、会社が人事権(配置権)を持ち、他の職種、他の地域への異動(転勤)を命じることができる日本は「無限定」型の雇用システムということですね。

 

 

海老原氏:新聞記者さんを例に取りましょう。
日経ビジネスは雑誌なのでちょっと違うと思いますけど。
新聞記者さんだと、入社してまず「サツ回り」をやらせるじゃないですか。
県警とか警察を担当するわけですね。
サツ回りで地方に配属すると何がいいかというと、警察を担当していたら記事になるネタが集まります。
つまり自分でまだ記事を取りに行く、探すことができない新人記者にとって警察発表を記事にするというのは最初にやりやすい仕事の仕組みなんです。
(警察幹部への)夜回り取材というのもあります。
記者としての足腰を鍛えるためでもあるし、うまい聞き方を身につける訓練になる。
人にかわいがられるという意味でも夜回りも大切でしょう。
それから地方の何がすごいかというと、その土地の政治、経済、スポーツ、産業……、全部を覚えられる。
そういう基礎を身につけて、今度は東京とか大都市に異動させて難しい仕事をやれるようになっていく仕組みなんです。
そうやって仕事をちょっとずつ難しくするというのは、無限定雇用だからできるわけです。
例えば経済紙に記者として入ったので「僕は経済しかやりません」とかじゃなくて、何でもやらせられるから簡単な仕事から難易度を上げられる。
腕が立ってきたら、ひとつ上の仕事をやらせて、だんだん難しいものに対応できるよう成長するわけです。
つまり何も知らない若者が入ってきて、10年で育てるみたいな意味では非常にうまくできた仕組みだと思うんです。
最初の給与は安くて、能力アップに応じてちょっとずつ上がっていくけど、まだ修業期間だからあんまり差はつけない。
こういうボトムアップ期には日本型雇用は非常に向いているんですよ。
ボトムアップ期については、「新卒一括採用しか入り口がない」ととかくいわれる問題がありますが、ただ、若者は昔から3年で3割転職しているので、これもそんなに大きな問題とは思っていません。
就職氷河期のようなことが起きない限りは。

 

 


・本当のジョブ型なら、本人の同意なく残業や転勤はさせられない

 

 

ー若手を育てるにはいい仕組みだと。

 

 

海老原氏:問題は、例えば35歳以降くらいで能力が上がって、課長とか部長になる人と、それ以外の人に分かれてからなんですね。
能力がアップして課長、部長になった人は給与が上がる。
それは当然です。
でも日本型雇用だと、職能主義といって、ポストの数に関係なく昇級・昇給できる仕組みをとっているから、平社員のまま止まっている人も給与が上がるんですよ。
これがおかしい。
会社員生活の前半戦のことはあんまり問題じゃなくて、後半戦に右肩上がりの賃金カーブが続いていくので、経済成長が止まると厳しくなる。
それで「どうしたらいいの? いろいろな仕組みを入れなきゃね」というのが、ずっと議論のテーマなわけです。

 

 

ー欧米を見習ってジョブ型を導入すれば解決するんでしょうか。

 


海老原氏:まず言っておきたいのは、ジョブ型にするなら無限定雇用をやめないといけない。

 


ージョブ型にしたのに会社の都合で仕事の内容が違うポストに異動させたり転勤させたりするのは理屈に合わないというわけですね。
では欧米のジョブ型のように限定型の雇用にすると何が起こるんでしょうか。

 


海老原氏:まず平社員のままだと給与が上がるということはなくなります。
ジョブ型ですから。その代わり限定型になるので、本人が同意しない滅私奉公的な残業はなくなります。
それから会社が勝手に異動を命じることもできません。
つまり人事権を企業から取り上げることになるわけです。
給与は上がらないけれども、残業は発生しませんし、異動もない。
欧米型、いや、正確には「欧米のノンエリート型」にするというのはそういうことです。

 

 

ー欧米でも将来経営層を目指すようなエリート社員は残業も転勤もいとわず猛烈に働きますが、ノンエリートはジョブ型で限定型の雇用だから、原則として、定時に仕事が終わって、転勤もない。
そのやり方を日本の企業に入れて果たしてフィットするのか、ということなんですね。

 

 

海老原氏:そうです。
でも残業も人事異動もさせられないなんて、日本の企業は嫌なわけじゃないですか。
働く側からするとどうなのかというと、雇用保障が弱くなるんですよ。
ジョブ型で1つのポストでしか働かないわけだから、不況とか会社の方針転換などで、そのポストがなくなったら雇用継続する道理はない。
そんな先行きまで労働者に提示したら、「クビになるのは嫌だから異動があってもいい」という話になるんですよ。
結局、企業も働く方も捨てるものを捨てられないからこうなっている。

 

 


・実は労使とも今の方が居心地がいい

 


ー労使とも既得権があるから話が進まない、そういうことなんですか。

 


海老原氏:まず経営側が分かってない。
分かっているのは労務の相当詳しい人間だけ。
それ以外の経営側の人は、ジョブ型で必要になるジョブディスクリプション(職務定義書、JD)を書くと欧米型になるみたいに思っているし、職種別採用をすると欧米型になると思い込んでいるだけで、なぜ欧米型のノンエリートなら給与が上がらなくて、なぜ社員が早く帰れるか突き詰めて考えてない。
出世も昇進もなくなって、給与が安くなる。
一方で、負荷のある仕事がなくなるし、早く帰れることができる。
こういう話がセットになっていることを知らないんですよ。
それから、職種別採用をすると、その職種に詳しい人がその仕事しかやらないから早く帰れるんじゃないかとか思っている。
でもエンジニアなんて今でもエンジニア採用で入っているわけなんですよ。
でも早く帰れてますか? 
経理とかITも職種別採用で入社したときからずっと経理をやっている人が多い。
でも早く帰れないんですよ。
そんなもの、いわゆる職種別採用をやっても解決しない。
ここでJDの話になるわけです。
欧米だとJDに仕事が明確に書かれているから、あれこれ余計なことは頼まれない、と。
でもね、欧米のジョブディスクリプションを見れば、実際にはもう細かいタスクなんて書いてない。
昔はタスクが書いてあって、このタスクをやれば帰れるという仕組みだったけど、今はそうじゃない。
周囲の仕事も手伝うとか、規定にない場合は上司の判断に委ねるとか、書いてあるんですよ。
で、もう明確に規定などできなくなっている。
その結果、何が起きているか。
今度は人事コンサルタントがそれを見て、タスクではなく、責任とか理念とか職責とかが書いてある、いわゆる「グーグル型」に変えようみたいなことを言っているわけです。
それって日本の職責グレードとか役割給とあんまり変わらないじゃないと僕は思うんですね。

 


・キャリアの後半では昇給しにくくなる

 

ータスクだと具体的な感じがしますけど、職責とか言われると、あいまいな印象がありますね。

 

海老原氏:「ミッション」とかになるわけなんですよ。
ミッションとかコンピテンシーってそんなに変わるものではないし、何より、それを決めても職場に審判員がいて、「あなた職責違反です!」って四六時中ジャッジしない限り霧消します。
だから日本じゃ職責も役割も大してうまくいってません。
こんなような話をずっとやっているんですよ。
「ジョブ型って本当に何なの?」って考えていけば、これは企業の人事権が弱くなるということ。
それが1つ目の結論なんですよ。
2つ目はポストで人を雇うということ。
欧米の企業は上から下までポストの数がまず決まっている。
それは経営計画で全部決まっているんですよ。
「あれ、人が余っちゃった」となったら、「さよなら」になる。
ポスト数が先に決まっていて、人が足りなければ採りなさい、余っていたらさよならって、ポストで決まるわけです。
つまり上へ行くのも横に行くのも、ポストがなかったら行けない仕組みなんです。
ジョブ型というのは、ポストで人を雇う仕組みなので、さっきも言ったように会社が一方的に異動を命じる人事権はなくなります。
労働者側から考えたら、いくら頑張ってもポストが空いていなければ、上に行けなくなるんですよ。
例えば入社3年目くらいの若手で、アソシエイトからシニアに上がれる力があっても、シニアの席が空いていなかったら、1個も上がらないわけなんです。
これまで日本企業ではポストが空いていなくても職能等級では上がることができた。
いや、下位等級には「ポスト数」なんて定員概念はほぼなかった。
3級だったのが4級までは、2年くらいまあまあ頑張ればみんないけて、給与も上がった。
そんな制度だったのが、ジョブ型だとポストが空いていなければ上がらなくなっちゃう。
一般企業だと課長になれない人って、今、54%ぐらいいる。
その54%のうちほとんどが係長職能等級まではいっているんですよ。
係長の職能等級なんていくらでも奮発していいわけ。
でもジョブ型だと物理的な「係」の数しか係長のポストはないわけですから、係長にもなれない人がたくさん出る。
だからジョブ型にしたら、キャリアの後半では給与ってなかなか上がらなくなるんですよ。

 

海老原嗣生(えびはら・つぐお)氏
ニッチモ代表取締役、政府労働政策審議会人材開発分科会委員、中央大学大学院戦略経営研究科客員教授
1964年東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートエージェント)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計などに携わる。その後、リクルートワークス研究所にて雑誌「Works」編集長を務め、2008年にHRコンサルティング会社ニッチモを立ち上げる。『エンゼルバンクードラゴン桜外伝ー』(漫画雑誌「モーニング」連載、テレビ朝日系でドラマ化)の主人公、海老沢康生のモデルでもある。人材・経営誌「HRmics」編集長、リクルートキャリア フェロー(特別研究員)。『「AIで仕事がなくなる論」のウソ』(イースト・プレス)、『人事の成り立ち』(白桃書房)など著書多数。


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「ジョブ型雇用」導入すれば、係長にもなれない人が続出する
雇用ジャーナリスト海老原嗣生氏が読み解く「脱・日本型雇用」議論の真実
日経ビジネス  2021.3.19
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00271/031900002/

 

 

 

 


■企業の外国人幹部、30年に2倍の20万人 政府が新目標

日本経済新聞 2021年6月21日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA179AB0X10C21A6000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1624283742

 

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政府は海外の企業経営者や経営幹部らの国内受け入れを増やし、2030年に約20万人にする目標を決めた。

19年実績の9.5万人の約2倍に増やす。

地方活性化も視野に外資系企業の誘致を促し、東京以外に拠点を置く企業の数を26年に1万社と16年の4200社の2倍強に引き上げる。


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企業の外国人幹部、30年に2倍の20万人 政府が新目標
日本経済新聞 2021年6月21日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA179AB0X10C21A6000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1624283742

 

 

 

 


■日本企業はなぜ「お雇い外国人」に高額報酬を払うのか

Newsweek(ニューズウィーク)2018年6月21日 松野弘(千葉大学客員教授)

https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2018/06/post-10436.php

 

 

 


■ソニーや三井不動産も実質外資 乗っ取られた日本企業35社

「アベノミクスは円安や官製相場によって株高をつくり出しましたが、その副作用で日本の優良企業は海外ハゲタカの餌食になっているのです」

日刊ゲンダイ(2017/08/04)

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/210737

 

 

 

 

■オリンパスが祖業売却へ “物言う株主”の破壊力

「19年にアクティビスト(物言う株主)ファンドといわれる米バリューアクト・キャピタルから社外取締役2人を受け入れ」

週刊エコノミスト 2021年11月22日

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20211130/se1/00m/020/048000c

 

 

 

 

■「物言う株主」三井金属、屈辱的な“過激な株主提案”受ける…全取締役の退陣、告発窓口の設置

exciteニュース  2019年6月18日 Business Journal

https://www.excite.co.jp/news/article/Bizjournal_mixi201906_post-15740/

 

 

 


■「物言う株主」存在感高まる 新型コロナ禍で

・狙われやすい日本「ターゲットになっているのが日本」「制度上、株主提案がしやすい」

SankeiBiz 2020.7.9

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/200709/eca2007090500002-n1.htm

 

 

 

 


■メキシコ、人材派遣を原則禁止に 日本経済新聞 2021年4月21日

2022-10-11 07:31:06 | 日記


■メキシコ、人材派遣を原則禁止に

日本経済新聞 2021年4月21日

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN210WV0R20C21A4000000/


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メキシコ連邦議会上院は20日、労働法や社会保険法などの改定案を可決した。

下院は13日に通過しており、人材派遣が原則禁止となる法案が成立した。


政府は人材派遣が税金逃れに加え、福利厚生の提供が不十分になると判断していた。

自動車関連を中心に工場を構える日本企業にも影響が出そうだ。


ロペスオブラドール大統領の署名を経て公布される見通しだ。

人材派遣会社が正式に雇用した労働者について、他社の事務所や工場で働く形式は原則とし
て禁止となる。派遣先企業の本業ではない、社内の清掃作業などに従事する人材の派遣は引
き続き認められる。


政府は人材派遣を巡り、法律が定める福利厚生や社会保険が提供されていないことを問題視
してきた。

民間企業は毎年12月に働いている労働者に冬季一時金を支払う必要がある。


人材派遣会社を経由すると解雇しやすいため、年末の解雇増の要因になっているとされる。

与党・国家再生運動(MORENA)の上院代表リカルド・モンレアル議員は「人材派遣の過度な
利用で、労働者の権利や経済活動が侵されている」と指摘した。


民間経済団体はコスト増になるために強く反対してきた。

メキシコ人材企業協会(AMECH)は、460万人の派遣労働者のうち「派遣先企業の正規雇用に
なるのは30%にとどまり、10%が失業し、60%は非合法な就労になる」(エクトル・マルケス
会長)と指摘している。


政府は当初は2月までの議会通過を目指してきたが、経済団体の反発を受け、労働者利益分
配金(PTU)に関する条項を修正するなどの対応をとった。

政府が2020年11月に公表した資料によると、政府は4709回の査察を実施し、約1200社で違法
な人材派遣が確認された。


86万2489人の労働者に悪影響が及んだと報告した。


~~~
メキシコ、人材派遣を原則禁止に
日本経済新聞 2021年4月21日
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN210WV0R20C21A4000000/


■「ブラック人材派遣」奴隷労働体験ルポ 講談社BOOK倶楽部 2017.04.14 野中幸宏 『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(著:中沢彰吾)

2022-10-11 07:30:40 | 日記

 


■「ブラック人材派遣」奴隷労働体験ルポ

講談社BOOK倶楽部 2017.04.14 野中幸宏

『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(著:中沢彰吾)

https://news.kodansha.co.jp/20170414_b03


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『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(著:中沢彰吾)2017.04.14


中沢さんが体験した人材派遣の苛酷な実態のレポートを中心にまとめられた1冊です。


2年前の出版ですが、現在ではどのくらい改善されているのでしょうか。

奇しくもこの本の出版のすぐ後に「改正労働者派遣法」が施行されました。


改正法の主な内容は、

1.労働者派遣事業の許可制への一本化:特定労働者派遣事業(届出制)と一般派遣労働者
派遣事業(許可制)の区分を廃止。

2.労働者派遣の期間制限の見直し。
 ・事業所単位の期間制限:派遣先の同一の事業所に対し派遣できる期間(派遣可能期間)
は原則3年が限度。
 ・個人単位の期間制限:同一の派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に
対し派遣できる期間は3年が限度。

3.キャリアアップ措置:派遣労働者のキャリアアップ支援が派遣元に義務付けられ、派遣
先にも特定の派遣労働者に対する労働者募集情報の周知が義務付けられる。

4.均衡待遇の推進:派遣元と派遣先双方において、派遣労働者と派遣先の労働者の均衡待
遇確保のための措置が強化。

5.雇用安定措置の実施

6.労働契約申込みみなし制度

などが上げられます。


これらの法的措置によって、この本で描かれたような“ブラック企業”がどれくらい放逐さ
れたのでしょうか。

あるいは状況は少しは良くなったのでしょうか。


──人材派遣の拡大は正規社員の居場所を減らす。正規社員の地位を失った労働者も人材派
遣に頼らざるを得ず、人材派遣が規制緩和される以前であれば普通の生活を営まれたはずの
多くの労働者が貧困化し、砂が水中で沈没するように日本社会の底辺にかたまっていく。そ
の反面、身軽になった派遣先企業と、労働者を派遣すれば確実にマージンが入る人材派遣会
社かいずれも利益が減る。──


総務省統計局の統計Today(平成27年版)「正規・非正規雇用者数と人口構造の変化との関
係」にはこのような記述があります。


・正規雇用者の減少理由:男性の20~59歳を中心に減少傾向で推移。正規雇用者の減少は、
非労働力人口が少なく、かつ、正規雇用者の割合が高い20~59歳の男性が少子高齢化により
減少するなど、人口構造が変化したことに伴う労働力人口の減少が、要因。

・非正規雇用者の増加理由:60歳以上と女性の20~59歳を中心に増加傾向で推移。非正規雇
用者の増加は、非正規雇用の割合が高い60歳以上の人口が増加したことによる影響に加え、
労働市場への女性の参加が増加したことなども、要因。


雇用の増加ということがいわれていますが、雇用者数を上げたのは非正規雇用者の雇用であ
ったことがわかります。

特にこの本の書名になっている「中高年」の増加が目立っていることがうかがえます。

この年代だけでなく、それ以外の年代でも正規雇用になることの難しさが後押しして、派遣
労働者は増えています。


──経費削減や税金の無駄遣いの防止、法律遵守や公共の福祉への貢献を求められる多くの
団体、企業が、事業入札に安値で臨む人材派遣会社を「歓迎」していることである。──


企業の人件費等のコスト削減もあり、派遣労働者を求めることは減ることはありません。

労働力を「商品」として扱えるからです。

交換・返品(解雇)しやすい商品として労働市場に送り出していたのが人材派遣会社です。

この本では利益を生む「商品」である派遣労働者を人材派遣会社はどのように集めているの
か、その悪例が紹介(体験!?)されています。

人材派遣会社による仕事内容の説明が虚偽ということだけではありません。


──求人広告に年齢や性別の制限は明記されていないが、私が一年の日雇い派遣を通じて学
んだ「裏メッセージ」がある。たとえば「二〇代、三〇代の女性が活躍中」とあれば、若い
女性以外は採用する気がないという意味だ。「元気な学生さんが多数います」は、声の大き
な体育会系のノリの学生を求めていると読む。「大勢の仲間ができます」とあれば、「協調
性に乏しく内気な人はこないでね」という意味。いちいち広告の裏を読まねばならないのは
本当にめんどくさい。──


ほとんどビアスの『悪魔の辞典』のようなブラック・ジョークです。

そしてこんなつぶやきがもれます。

「まことに悔しいが、中高年が好条件の仕事の面接に呼ばれたら、まず自分はダミーである
可能性を疑ったほうがいい」のだと。

なぜこのような募集告知になるのかといえば、人材派遣会社が「年齢を基準にして先行すれ
ば雇用対策法違反になる」からです。

このような中でそして中高年の派遣仕事の代表格に「三種の辛技」と呼ばれるものが残りま
す。

「警備、清掃、介護」です。

これらが「中高年がすんなり採用される職種」なのです。

募集段階だけではありません。

派遣会社と派遣先での仕事上の責任のなすりあい、当初の条件と異なった働き方、融通のき
かない態勢などこの本を読むにつれて、その理不尽なさまにもあきれるほどです。

けれど「雇ってくれるのは向こうだからね。こっちは選べないし」というような声があるよ
うに、おとなしい、従順な派遣労働者の上に派遣業が成り立っている(いた?)のも事実で
す。

これらの解消には、派遣労働者への法的なものを始めケアが求めらるのは当然です。

また、中沢さんのいうように「正当な権利意識」を持つことも肝心です。


(中略)


規制緩和の流れで唱導された「労働市場の自由化」ですが、それが引きおこした負の側面が
中沢さんがレポートしたこの本です。

小泉純一郎・竹中平蔵から安倍晋三政権まで続く「労働市場の自由化」は労働者本位のもの
ではありません。

「自己責任論(=自己選択)」と相まって格差拡大をもたらした大きな要因になったのが「
労働市場の自由化」です。

竹中氏がいった「正社員をなくしましょう」発言が、この「自由化」の正体を明かしていま
す。

派遣会社のトップのこの発言こそブラック・ジョークでしかありません。

なによりも目前の労働環境の改善は焦眉の急です。


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「ブラック人材派遣」奴隷労働体験ルポ
講談社BOOK倶楽部 2017.04.14 野中幸宏
『中高年ブラック派遣 人材派遣業界の闇』(著:中沢彰吾)
https://news.kodansha.co.jp/20170414_b03