gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

【日本経済は米国に植民地化される】TPPに隠されたアメリカの卑劣な手口、日本の富は略奪される~この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの~

2022-10-30 05:22:36 | 日記

 

 

■「日本経済は植民地化される」TPPに隠されたアメリカの卑劣な手口
~そして、日本の富は略奪される~

ダイヤモンドオンライン 2014.2.3
菊池英博:日本金融財政研究所所長

https://diamond.jp/articles/-/47943


~~~


妥結が難航しているTPP交渉。TPPによって自由貿易が拡大し、日本経済の成長につながると考えている人も多いが、その実態は自由貿易協定の名を借りたアメリカによる経済支配の罠であった。

『そして、日本の富は略奪される』を上梓した菊池英博氏に、TPPに仕組まれたアメリカの真の狙いを聞いた。

 

悪魔のTPP
アメリカの真の狙いは何か


TPP(環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement, 単に Trans-Pacific Partnership)は、2005年6月3日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4ヵ国が調印し、2006年5月28日に発効した地域的な貿易協定であった。

ところが、このときにはなんら関心を示さなかったアメリカが、2008年にオーストラリア、マレーシア、ベトナム、ペルーを誘って原加盟国との拡大交渉会議に加わり、このTPPを乗っ取って、新たな内容のTPPに衣替えした。9ヵ国による拡大交渉は、2011年11月12日に大枠の合意に至り、その後は加盟希望国間の協議に入っている。


このTPPは、冷戦終了後のアメリカの一極主義的な通商戦略を前提にしているだけでなく、他国の制度や経済構造、法体系までも、アメリカの企業に都合のいいように変える契約であり、「異常な契約」(ニュージーランドの国際経済法学者、ジョーン・ケルシー)「アメリカの利益集団による管理貿易協定」(コロンビア大学教授、ジョセフ・スティグリッツ)と言われている。


アメリカは21世紀に入ってから、イラク戦争に外交と軍事の目標を置き、太平洋諸国に対しては注力が足りなかった。

その上、イラク戦争の出費と新自由主義・市場原理主義の理念に徹する政府の政策の結果、経済力が衰え、膨大な財政赤字と累積債務で国力が減退していった。

イラク戦争が一段落したときに、アメリカは中国の躍進と東アジアの成長ぶりを見て、いかにして東アジアに参入していくかを考えた。


さらに、2009年8月からの民主党政権が15年も継続してきた「年次改革要望書」を廃止することになったため、別の方法でいかにして日本を締めつけて富を収奪するかを考え、まさに日本を狙い打ちした国際条約をつくろうとしたのである。


オバマ大統領は、輸出の増加によって雇用機会を増やすと公約しており、そのために日本に対して関税撤廃と規制緩和、さらに多くの非関税障壁の撤廃を要求し、TPPという国際条約によって、日本国内では日本の法律よりもアメリカの法律を優先させる条項を締結させようとしている。

アメリカは世界最大の債務国であり、経済的にもはや破綻状態にあることを考えると、日本の国富を根こそぎ収奪する手段がTPPであると言えよう。

まさに、「悪魔の罠」である。

 

日米で受け止め方が異なるTPPの実態


安倍首相は2013年3月15日、TPP交渉参加を決定した。

そのときの演説の主要な点は、「いまがラストチャンスだ。この機会を逃せば日本が世界のルールづくりから取り残される」「TPPがアジア太平洋の世紀の幕開けになった。後世の歴史家はそう評価するに違いありません」「いったん交渉に参加すれば、必ず重要なプレーヤーとして新たなルールづくりをリードできると確信している」「国民皆保険を守るなど、6つの判断基準を掲げている。交渉中にしっかり守っていく」「すべての関税を撤廃したあとでも、わが国経済全体としてはプラス効果が見込まれる」である。


安倍首相がこの宣言をした背景には、2013年2月22日にオバマ大統領と会談した結果、「両国はすべての関税撤廃が前提にならない」とする共同声明を発表したことがある。

これを受けて安倍首相は、「聖域なき関税撤廃は、前提でないことが明確になった」と明言し、自民党内の決議や非関税障壁の問題を一切議論せずに、TPP交渉参加を表明したのだ。

とくにこのとき、安倍首相は「米や牛肉や豚肉などの重要5品目の聖域は認められる。認められなければ撤退すればよい」と言い、国民を説得する材料に使ったのである。


ところが、その後、わかってきたことは、アメリカの国会議員やUSTR(米国通商代表部)などの見解が、安倍首相の発言とかなりニュアンスが異なることだ。

山田正彦元農水相ら超党派的なTPP慎重派の訪米結果では、次のように伝えている(アメリカ側の面談者はUSTRのカトラー代表補、自動車工業会会長、主要業界の代表など)。


「日本と交渉するTPPの内容は、米韓FTAがベースであり、それ以上のものをTPPで日本に求める」「コメは聖域にはなっていない。米韓FTAではコメの韓国側の関税は2014年から段階的に廃止する」「日本はTPPに入りたいと言っているのではないか。だから譲歩するのは当たり前ではないのか」


アメリカの政府関係者は、「米韓FTAがモデルである」「TPPで議論していることはすべて米韓FTAに含まれている」「TPPは米韓FTAの貿易自由化のレベルをもっと強めるもの」と公言しているのである。

 

アメリカに仕組まれた4つの不平等条項


「TPPは米韓FTAがモデル」とアメリカの政府関係者は言うが、米韓FTAとはどのようなものであろうか。

以下、その特徴を4点にまとめてみよう。


(1)ISD(Investor State Dispute)条項


日本語では「投資家対国家紛争解決条項」と訳されている。

韓国では「POISON(毒素)条項」と呼ばれ、米韓FTAの最大の問題点と言われている。

この内容は「アメリカの投資家(企業、個人)が進出先の韓国で不当な扱いを受け、当初期待した利益が上がらなかったと判断すれば、韓国政府を訴えて、当初見込まれた利益を賠償させることができる」という条項である。


この条項は、1994年にアメリカ、カナダ、メキシコ三国間で締結されたNAFTA(北米自由貿易協定)で46件も発動されており、このうちアメリカ政府が訴えられたのはわずか15件で、敗訴はゼロ。

逆にアメリカ企業がカナダとメキシコの両政府を訴えたケースは36件もあり、アメリカ企業が賠償金を得たのは6件、請求棄却はわずか6件に過ぎず、アメリカ企業が敗訴することはありえない。

また、企業間で和解するようなことがあっても、アメリカ企業が事実上、勝訴する内容が多いと言われている。


とくにNAFTAで有名なケースがある。

アメリカの廃棄物処理会社が、カナダで処理した廃棄物を、アメリカ国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府が、環境保全の観点からカナダの法規に従って、アメリカへの廃棄物輸出を一定期間禁止した。

これに対してアメリカの廃棄物処理業者は、ISD条項を盾にとって、カナダ政府を提訴し、その結果、カナダ政府が823万ドルの賠償金を支払うことになったというケースである。


このISD条項は、提訴する側から見ると、極めて利用しやすくなっていて、日本がTPPに参加すれば、保護主義的政策、社会福祉的政策(例えば、国民皆保険、年金などの政府系機関、公共団体が行う福祉事業など)が多い日本の法規が、アメリカの投資に損害を与えていると言って、日本政府が頻繁に提訴されるであろう。

このときに訴訟を裁く裁判所は、世界銀行の傘下にある国際投資紛争解決センターである。

1946年に設立された世界銀行の総裁は、当初から今日までアメリカ人であり、その人物が任命する裁判員が、ISD条項違反の可否を決定するのであるから、日本側に公平な判決が下ることは到底期待できない。

とくに、このISD条項を頻繁に使って、アメリカは日本の法体系と社会基盤を崩壊させるであろう。

 

(2)ラチェット(Ratchet)条項(元へは戻れない)


この条項は、「いったん決めた約束は、あとでどのようなことが発生しても、その条件は変更できない」という内容である。

ラチェット(Ratchet)とは、歯止め措置の意味であり、一度決めた条約は変更できないということだ。


この適用業界は極めて広く、銀行、保険、法務、特許、会計、電力、ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など、多方面にわたっており、これらの分野でいったんTPPで決められたら、二度と変えられないという「恐るべき悪魔」の脅迫である。


とくにこの条項が組みこまれている分野は、アメリカが狙っている金融、医療、社会的インフラを中心に、日本の経済社会基盤の全般に関係する分野であり、アメリカはTPPで決めたことが永久に変えられないようにしているのだ。

アメリカは米韓FTAでこの条項を使って、韓国を締めつけている。

日本がこの罠に落ち込まないよう、断固としてこの条項を拒絶すべきである。

 

(3)スナップバック(Snapback)条項(アメリカだけは手の平を返せる)


スナップバックというのは、「手の平を返す」という意味である。

ラチェット条項によって、韓国は米韓FTAの条項を変更できないのに、この条項によってアメリカだけが一方的に条項や関税を変えられるという内容である。


米韓FTAで見ると、韓国の自動車業界では両国で関税を撤廃しても、「韓国車の対米輸出でアメリカ製自動車の販売・流通に重大な影響が生じた」とアメリカの企業が判断した場合には、韓国製自動車の輸入関税撤廃を元に戻して、関税をかけることができるという内容である。

つまり、アメリカは韓国と自動車に関して関税撤廃を決めておきながら、アメリカの都合でそれを変更できる(手の平を返す)のだ。

しかし、韓国はできない。

アメリカだけの一方的な権利が米韓FTAに入っているのだ。

米韓FTAはまさに不平等条約である。日米TPPにも当然入ってくるものとみられる。

 

(4)許可・特許連携制度


あらゆるものに知的所有権が発生する。

商標だけでなく、音や匂いも商標登録できる。著作権は現在の50年から70年に延長され、著作権料の支払い期間が20年も増える。

医薬品や農薬については、ジェネリック医薬品や農薬を製造したり販売したりする場合、特許を取っている会社の同意なしでは、医薬品で5年間、農薬では10年間販売できない。

これは「許可・特許連携制度」と言われるもので、その薬品を最初に開発した企業に対する許可手続きを極めて煩雑にして、特許権者の利益を長く保護するのが目的である。


日本に適用されれば、海外への特許支払代金が増加し、経費負担が増える。

さらに、一般に普及しているジェネリック薬品も高くなり、所得の低い病人の負担が増える。


このように米韓FTAをベースにしたTPPでは、日本に「関税の撤廃」「資本取引の完全自由化」「規制の緩和・撤廃」を要求するだけでなく、アメリカの進出企業が絶対に有利になるよう仕組まれた「ISD条項」、一度決めたらアメリカに不利になる改訂はできない「ラチェット条項」など、多くの不平等条項が盛り込まれているのである。


~~~
「日本経済は植民地化される」TPPに隠されたアメリカの卑劣な手口
~そして、日本の富は略奪される~
ダイヤモンドオンライン 2014.2.3
菊池英博:日本金融財政研究所所長
https://diamond.jp/articles/-/47943

 

 

 


■「この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの」

現代ビジネス(講談社) 2011.11.16

島地勝彦(集英社)、中谷巌(三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長) 

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/26619

 

~~~

 


【島地】 

20年間と区切っていわなくても、戦後、アメリカは日本を楽に支配しようとして、まず教育をいじり、いまでは国歌さえ歌わない、また国旗さえ掲揚しなくなった誇りなき国民にしてしまったことでしょう。

これはアメリカにとって大成功しましたよね。

いま日本人は完全に骨抜き人間にされてしまったといえます。

 


【中谷】 

大きくいえばその通りでしょうが、直近でいえば、まず1つは日本の官僚システムに手をつけたことです。

いままでアメリカの横暴さに立ちはだかったのは、じつは日本の優秀な官僚たちだったのです。

これまで一般の日本人も能吏たちを信用してきたのですが、アメリカは「日本の官僚は悪い奴らだ」と日本のマスメディアを使ってディスインフォメーションを流した。

新聞、テレビ、雑誌がこれに乗っかって大衆を洗脳したんです。

 


【島地】 

これは重大な問題ですね。

日本の優秀な官僚システムが崩れたことはゆゆしいことです。

明治以来の堅牢な官僚組織に対して「官僚は悪い。すべては官僚が悪い」という風潮が激しくなったのはいつごろからでしたか。

 


【中谷】 

旧大蔵省官僚たちの「ノーパンしゃぶしゃぶ問題」がマスコミで取り上げられて騒ぎ出したころからです。

 


【島地】 
じゃあ1990年代の後半か。

アメリカは巧みにマスコミを使って、日本の大衆を煽るのはむかしからじつに巧いですね。

 


【中谷】 

結果、官僚の世界に、いま優秀な学生が行かなくなってしまった。

これは将来の日本のことを考えると、大問題です。

東日本大震災の復興も遅れているのも、日本が誇る官僚の力が落ちてきたことが原因の1つでしょう。

第一、いま災害地に官僚の姿がみえないじゃないですか。

結局、日本独特の官僚組織をズタズタにしようとしたアメリカの思う壺にはまっってしまったんです。

この20年むちゃくちゃに省庁再編なんてやって、日本の官僚の力を削いでしまった。

いま官僚たちはまったくやる気をなくしてしまった。

官僚たちが明治以来日本を支えていたのに、それが潰された。官僚の底力を日本から失われたのがまず1つです。

 


【島地】 

なるほど。よくわかりました。

 


【中谷】 

アメリカは日本のメインバンク・システムをいろんな規制をかけて崩壊させたんです。
いわゆる銀行潰しです。

日本にはメインバンクというものが存在していて、借りる企業側と銀行が仲良くやっていた。

例えば事業会社が10億円借りたいといった場合、銀行は長年の付き合いで、その事業会社の能力がわかっているので、「よっしゃ、わかった。おまえそれをやってみろ」という具合に銀行は長期の貸し付けができた。

それが戦後の企業の繁栄に寄与したんです。

たがいにどんどん成長して、銀行の力も増大になってきた。

そして1980代の後半、バブルがやってきて、よせばいいのにアメリカ本土の摩天楼や名門ゴルフ場を買ったりして、アメリカの虎の尻尾を踏んづけてしまったんです。

もともとアメリカは金融立国ですから、「この野郎、とんでもない。こいつら潰さないとどうにもならない」と、銀行潰し、いわゆる、ジャパン・バッシングがはじまったわけです。

まず銀行の自主規制がはじまる。

自主規制というのは、国際業務を行なう大きな銀行は総貸出残高のうちの8%は銀行内部に保留しなければならないということです。

いままでの日本の銀行と企業の慣習は、貸し付け契約は2年でも、2年経つとロール・オーバーして借り換えしていく。

10年、20年経っても、借りた元金は返さない。

それでも銀行としては、ちゃんと金利を払ってもらっているから文句をいうことないと思っていた。

ところが欧米の考えでいえば、それは不良債権だ、早く回収しろといいだした。

これに準じて日本の銀行は長期貸し付けができなくなって、企業と銀行はだんだんギクシャクしだす。

銀行の資産内容も劣化して、ついにメインバンクは崩壊する事態になったわけです。

 


【島地】 

それってまったく日本の銀行イジメですね。

 


【中谷】 

そしてBIS規制がますます激しくなり、バーゼルワンとかバーゼルスリーという細かい規制までやりだした。

日本人はA型人間が多いから、決められた厳しい規制をトコトン真に受けてやっちゃうから、この10年、会社のなかの雰囲気は極めて悪くなってしまった。

それに派遣社員や契約社員と正社員の格差があって、忘年会など開いても盛り上がらない。

だから日本にとって、この20年間で失われたものはかなり大きい。

いまじゃ、会社に内部観察者がいて会社員同士が監視し合っている暗い時代になってしまった。

 


~~~
「この20年間、アメリカに押しつけられた改革で日本が失った2つのもの」
現代ビジネス(講談社) 2011.11.16 島地勝彦
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/26619

 

 

【中谷巌】 

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社理事長、一般社団法人不識庵 理事長、「不識塾」塾長。1942年、大阪生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日産自動車に入社。73年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)同大学研究員、講師を務めた後、大阪大学助教授、教授を経て一橋大学教授。細川内閣「経済改革研究会」(平岩研究会)委員、小渕内閣「経済戦略会議」議長代理、ソニー取締役会議長などを歴任。著書に、『日本の「復元力」~歴史を学ぶことは未来をつくること』(ダイヤモンド社)、『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)、『痛快!経済学』(集英社文庫)など

 

【島地勝彦】

1941年、東京都に生まれる。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任。現在、コラムニストとして活躍。『PEN』(阪急インターナショナル)、『メンズプレシャス』(小学館)など連載多数。著書に『乗り移り人生相談』(講談社)、『水の上を歩く』(開高健との共著)など。

 

 

 

 

 


■愚民政策『ウィキペディア(Wikipedia)』

愚民政策(ぐみんせいさく)とは、人々の知性を意図的に失わせる政策である。教育、娯楽、報道が政策の手段として用いられる。愚民化した人々は権力者にあまり逆らわなくなるので、権力者は国を統治しやすくなる。

愚民政策[海外での例]

人種差別を温存させる目的を果たす一環の活動における、現代アメリカ南部地域などにおいて私立学校へ公金を流出させ、公共学校の資金を低下させる一連の活動。


愚民政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%84%9A%E6%B0%91%E6%94%BF%E7%AD%96

 

 

~~~

 

 

■3S政策『ウィキペディア(Wikipedia)』

3S政策(さんエスせいさく)とは、Screen(スクリーン=映画鑑賞)、Sport(スポーツ=プロスポーツ観戦)、Sex(セックス=性産業)を用いて大衆の関心を政治に向けさせないようにする愚民政策であり、そのような政策があったとの主張である。

第二次世界大戦後、安岡正篤は連合国軍占領下の日本での諸政策を批判するものとして使用した。

安岡正篤は、第二次世界大戦終結後、GHQが日本の占領政策を実行するにあたり、基本原則としての「3R」(Revenge―復讐、Reform―改組、Revive―復活)、重点的施策としての「5D」(Disarmament―武装解除、Demilitalization―軍国主義排除、Disindustrialization―工業生産力破壊、Decentralization―中心勢力解体、Democratization―民主化)、そして補助政策としての「3S」を策定したことをGHQのガーディナー参事官から直接話を聞いているという。
この政策により、日本では性風俗が開放され、映画やエンターテインメントが興隆し、プロ野球が国民的娯楽となった。スクリーン(映画)、スポーツ、セックス(性産業)またはスピード(クルマ)は大衆の欲望動員による娯楽であるが、それらに目を向けさせることにより、民衆が感じている社会生活上の様々な不安や、政治への関心を逸らさせて大衆を自由に思うがままに操作し得るとされる。


戦略家のガブリエル・コルコはアメリカがベトナム戦争での失敗を契機に、大規模な戦闘という事態を避ける為に低強度紛争としてソフト・パワーを用いた情報戦を軍事戦略の中枢に置くようになる課程を紹介。
この戦略が最も成功した例が日本であり、各種の工作は日本支配のための「軍事戦略であり戦争であった」と述べた。


1.アメリカを無条件に支持し、アメリカに服従する政党と政権を他国に成立させ、そのための資金をアメリカが提供する。

2.この買収資金は、アメリカの税金ではなく、他国でアメリカが麻薬を密売した利益を提供し、アメリカが経済的負担を負わない方策を取る。

3.マスコミ操作を通じアメリカが常に「善」であると他国の市民を洗脳し、アメリカを批判する言論をマスコミに「登場」させない。アメリカ映画、音楽を大量に流し、アメリカが「すばらしい」国だと連日宣伝する。

4.学校教育においては、丸暗記中心の学校教育で思考能力を奪い、アメリカへの批判能力を奪う。

5.教師への絶対服従を学校教育で叩き込み、「強い者=アメリカへの絶対服従」を「子供の頃から身に付けさせる」。

6.逆らう言論人、ジャーナリストは、そのジャーナリストのセックス・スキャンダル等をマスコミに流し失脚させ、必要であれば軍の諜報組織を用い、事故に見せかけ殺害する。

7.他国の食料、エネルギー自給を破壊し、米国に依存しなければ食料、エネルギーが入手出来ないようにシステム化し「米国に逆らえないシステム」を作る。


3S政策
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
https://ja.wikipedia.org/wiki/3S%E6%94%BF%E7%AD%96

 

 

 

 

 

 


【隷属状態からの脱出が日本の最重要課題だ】日本がいつまでたっても「アメリカの子分」をやめられない理由~この国を蝕み続ける病理とは?~

2022-10-30 05:22:19 | 日記

 

 

 


■日本がいつまでたっても「アメリカの子分」をやめられない理由~この国を蝕み続ける病理とは?~

週刊現代(2018.07.28)

白井聡(京都精華大学専任講師)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56670

 


~~~

 


――日本の対米従属姿勢を考えるうえで欠かせない興味深い概念が、白井さんが前著で示した造語「永続敗戦」です。

 


第二次世界大戦で日本が大敗したことは、国民の誰もが知っています。

ところが、ほとんどの日本人は、心のどこかで敗戦を認めていないのではないでしょうか。

たとえば、8月15日を「終戦の日」と呼ぶのがその典型です。

「敗戦」ではなく「終戦」と言い換えて認めないことこそが、皮肉にも敗戦の結果としての対米従属関係から脱せられない「永続敗戦」の状況を作り出しているのです。

もうひとつ、「歪んだプライド」も日本が敗戦を直視できない原因のひとつでしょう。

冷戦構造の中で「アメリカの一の子分」になったことで、「自分たちがアジアの中で唯一の先進国だ」という戦前からの優越意識を持ち越してしまった。

逆に言えば、他のアジアの国々を一段下に見てきた。

「アメリカには従うけれど、中国に負けたことは認めない」。

妙な自意識が生まれたのです。

こうして、だらしのない対米従属を続け、歪んだ自意識を抱えてきた日本は世界の国々からすれば、まぎれもない「アメリカの属国」と見られている。

ここに、日本が経済力に見合った国際的な地位を得られない理由の一端があるのです。

 


――各国のメディアから「アメリカにへつらっている」と評される安倍政権の姿勢にも、苦言を呈されています。

 


今の日本は、ひたすらアメリカのご機嫌をとってすがり付く見苦しい状態に陥っています。

それがはっきり見えたのが、先日、トランプ大統領が「米韓合同軍事演習を停止する」と言いだしたときの小野寺五典防衛大臣の発言です。

小野寺氏は「米韓合同演習は地域の平和と安定を確保していく上で重要な柱」と言い切りました。

朝鮮戦争が終わってしまえば在日米軍の駐留根拠の一つがなくなってしまう。

これは同時に「アメリカの一の子分」という戦後日本のアイデンティティが崩れることも意味します。

それだけは避けたいという日本政府の不安が露骨に表れたのがあの発言なのです。

 

 

――対米従属の現状を打開することは難しい。それでも、白井さんが本書の執筆を急ぐ理由となったのが、'16年8月8日に発表された天皇の異例のビデオメッセージ、いわゆる「お言葉」でした。

 


「お言葉」のなかで天皇は繰り返し、自身の「国民統合の象徴としての役割」を語りました。

国民の統合は、天皇自らが動き、祈ることよってもたらされる安寧と幸福を国民が集団的に感じることではじめて成り立つという考えです。

即位以来、そのために絶えず動き続けた天皇は、ここにきて自身の体力の限界を認識し、天皇の位を去ることを決断しました。

逆に言えば、あの「お言葉」は、自分が退位した後の日本における「国民の統合」に対して、天皇が危機感を抱いていることの表れでした。

私自身は、「アメリカを事実上の天皇と仰ぎ続けたままで国民の統合を保つことができるのか」という非常に烈しく、踏み込んだメッセージのように感じました。

失われた20年、あるいは30年と言われるように、日本が長い停滞から抜け出せないのは、「国体化」した対米従属の構造が社会を蝕んでいるからにほかなりません。

この足踏み状態から抜け出すには、まず現実を直視することからはじめなくてはならないのです。

 


~~~
日本がいつまでたっても「アメリカの子分」をやめられない理由~この国を蝕み続ける病理とは?~
週刊現代(2018.07.28)
白井聡(京都精華大学専任講師)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56670

 

 

 

 

■【隷属状態からの脱出が日本の最重要課題だ】日本人から思考を奪う「国体の正体」とは何か

東洋経済オンライン
2018/07/26

白井聡:京都精華大学教員/國分功一郎:東京工業大学教授

https://toyokeizai.net/articles/-/229556


~~~


「奴隷」という言葉で表しています。

ニーチェが言ったように、奴隷は自らが奴隷であることを否認し、自分の現状をすばらしいものだと思い込んでいる。

そして、「お前は奴隷なんだぞ」と言ってくる自由人たちを誹謗中傷し、自分の惨めな境遇を押し付けようとする。


この奴隷根性に関して非常にショッキングなのは、白井君の本によく出てくるアメリカの元国務長官、ジョン・フォスター・ダレスの分析です。

ダレスは日本について、日本人は欧米人に対するコンプレックスと同時にアジア人に対するレイシズムを持っており、この2つをうまく利用すれば日本を支配できる、と言った。


実際、日本はそれをうまく利用され、支配されてきました。

戦後の日本がアメリカの支配の中で受け取った価値観は、自由主義でも民主主義でもなく、結局のところ近隣のアジア諸国を差別する権利だったわけです。

こうしたコンプレックスの中にいるかぎり、日本の奴隷根性がなくなるはずがない。


これに対して、「共産党はろくでもないけど共産党しかない」と言っている中国には、奴隷根性はないわけですね。

そこが「自民党しかない」と言っている日本との違いだと思います。

中国の学生たちを見ていても、彼らには奴隷根性はないでしょう。

 


『国体論』の先にある日本にとって重要な課題


白井:そう思いますね。
中国の学生たちが会社に就職したあとにまず何を考えるかというと、どうやってその会社を辞めて独立するかということですからね。
最初の問いに戻れば、支配されているという事実、日本の状況がどんどん悪くなっているという事実から目を背けている奴隷根性が、安倍政権を支えている。

 

國分:この奴隷根性から脱出することが日本にとって重要な課題であり、『国体論』のひとつの課題でもあったと思います。
ただその際、奴隷根性から脱出したあとの姿があまりイメージできないということも事実です。
僕は『国体論』を読み、その問題意識に強く共感すると同時に、奴隷根性から脱した先のことを具体的に考えていく必要があると思いました。
この問題は今後も白井君と一緒に考えていきたいと思っています。

 

白井:まずは「国体」のもと、支配されていることを否認するという病癖に日本人が気づくことから始めるしかないでしょう。


~~~
日本人から思考を奪う「国体の正体」とは何か
東洋経済オンライン
2018/07/26
https://toyokeizai.net/articles/-/229556

 

 

 

 


■「日本人は危機に気づかないのか」

産経新聞 2018.6.26

明治大学名誉教授・入江隆則

https://www.sankei.com/article/20180626-74JCODHNHVP4XKOVOVTUX33UDM/photo/UPX72VT5VNOE5A7NCWCNFUSCPA/

~~~

第二次世界大戦後の日本人はアメリカ占領軍総司令官だったマッカーサーによって洗脳されてしまい、自虐的な東京裁判史観によって骨抜きにされてしまった。その結果、日本人は自分自身の目で歴史を見てそれを解釈するという、いわば「歴史の解釈権」を奪われてしまった。

日本の青年たちは自分たちが侵略国家の末裔(まつえい)であるかのような教育を受けさせられている。奇怪なことには、その方針をさらに推し進めたいという人々も、日本国内に存在しているようだ。

アメリカの衰亡とその終焉(しゅうえん)が人々に語られるに至って久しいが、その結果がどうなるかといえば、日米安保条約は存在していても、実質としては日本独自の力で大陸国家の中国と対決しなければならない時代がやってくるということだろう。

であるとすれば、日本人が先行してまず成し遂げておかなければならないのは、第1には当然ながら現行日本国憲法の改正であり、第2にはそのうえでの日本核武装の実現だと思う。しかし、この2つは戦後の日本で一部の人々によって真剣に語られることはあっても、一向に実現しなかった課題であり、明日にもわれわれが直面するかもしれない緊急事態には間に合いそうもない。

≪少ない先覚者に期待したい≫

逆に現行の日本国憲法があるからこそ、戦後70年間この国は平和だったのだというような誤った認識を持つ人々は今も存在する。日本国憲法こそがノーベル平和賞に値すると語る人もいるようだ。

また、日本人の核に対する感覚は非常に鋭敏である。このため、核搭載の潜水艦を日本近海に展開しておけば日本の安全保障は万全になるという、他の国であれば常識的な発想さえもが「夢のまた夢」であり、実現の可能性はないと考えなければならない。

今日の日本の未曽有の危機を醸成しているのは、実はそういう戦後の日本人の消極的な発想にあるのだといえるが、その種の卑屈な考え方はいまだに広い大衆的な支持を得ているように見える。だからこそ事態は完全に八方ふさがりなのである。

とは言いながら、私があえてこういう警世の文章を書いているのは、それでもなお日本政府の内外に、先覚者の存在を一握りでも期待したいからである。

150年前の幕末維新の際に、日本が近代国家としての最初の国難に直面したときにも、松下村塾の出身者などにわずかの先覚者がいて、それがやがては類を呼んで、日本が西洋以外における唯一の「近代化」を成し遂げる国となる基礎を築いた。いつの時代にも先覚者の数は少ないのであって、今再びその少ない先覚者たちに期待を寄せたいと思う。


~~~
【正論】日本人は危機に気づかないのか 
産経新聞 2018.6.26
明治大学名誉教授・入江隆則
https://www.sankei.com/article/20180626-74JCODHNHVP4XKOVOVTUX33UDM/photo/UPX72VT5VNOE5A7NCWCNFUSCPA/

 

 


【米国は日本を愛しているという妄想】米中露「国益ファースト」の時代に、改めて問うべき「日本の国益」

2022-10-30 05:21:53 | 日記

 


■アングロサクソンモデルの黄昏──「対米従属」日本が打つべき次の一手は

Newsweek(ニューズウィーク)河東哲夫
2019年8月15日

https://www.newsweekjapan.jp/amp/kawato/2019/08/post-37.php?page=1


~~~


岡崎久彦という外交官兼戦略家がいて、この人は「日本はアングロサクソンについていけば間違いない」ということを口癖にしていた。


自分も大筋はその通りだと思っている。


世界の安定と繁栄を支える力と意思を持ち、他国の主権を踏みにじらず、かつ国内は民主主義で回っている国と親密にすることは良いに決まっている。


イギリスもアメリカも権力・利得の亡者たちが作り出す「ウラ」の面は多々持っているとしても、である。

ところが現在、英米とも民主政治はポピュリスト政治家に乗っ取られ、経済も強欲な金融資本、そして独占的なITプラットフォーム企業に牛耳られている。


そしてトランプ大統領は、これまでの自分の移民排撃発言が8月3日、4日のテキサス、オハイオでの銃乱射事件を誘発したことは認めず、現場をあえて訪問し、場ちがいの笑顔で被害者家族と写真に収まる始末。


親交のあった実業家ジェフリー・エプスタインが14歳の少女ら未成年を要人の買春に供していた疑いで拘置中に変死したことについても、ビル・クリントン元大統領が関与した可能性を示唆して自分にかかる火の粉を払いのける。


アメリカはまだ世界を支配する力を持っているが、アングロサクソンモデルはそのモラル的な正当性を失っている。

「オープンでアカウンタビリティを持ったアメリカ社会」という麗しい「オモテ」の部分は「ウラ」にすっかり覆われて、エゴを力で通すだけの存在に堕している。

 

・論理が破綻しているのにカネと血ばかり要求


トランプは、なぜかイスラエルとサウジ・アラビアの意向ばかりおもんばかって、イラン核開発についての国際合意を一方的に離脱。


それによってホルムズ海峡の情勢が荒れてくると、「有志連合」結成を呼び掛ける。

ドイツはこれへの参加をきっぱり断ったが、日本は未定。


トランプはその日本に対してホルムズ海峡は自分で守れと言い、ポンペオ国務長官は有志連合に入れと言う。

米海軍は日本の基地を、インド洋やペルシャ湾で活動する足場にもしているのに、ペルシャ湾は自分で守れ、しかも思いやり予算(年間約2000億円)を5倍払え、と言ってくる。


論理が破綻しているのにやたらカネと血ばかり要求するのは、古代デロス同盟の盟主アテネを思わせる。

周辺都市国家の信頼を失ったアテネは、ペロポネソス戦争でスパルタを中心とする同盟に負けてしまうのである。


これから貿易問題、そして思いやり予算をめぐる交渉が本格化すると、日本ではアメリカに対する不満が噴出しやすい状況になる。

これまで平和主義の世論に縛られて、自ら自主防衛力強化の手を縛り、対米従属に甘んじてきた屈辱感と欲求不満は、「親米エリート」の間にも鬱積している。


「アメリカ離れ」という言葉が、いったん転がりだすと止まらなくなる。

しかしそれは、北風のふきすさぶ厳冬下で外套を脱ぎ棄て、身軽になったと喜ぶのと同じばかなことだ。


日本はアメリカに対して思いやり予算を増額するのと引き換えに核抑止力、F-35など先端兵器の技術情報開示をきちんと確保しつつ、同時に自前の防衛力を強化したい。


今年の巨人軍ではないが、手持ちの札のもっとうまい使い方を考えるのだ。


地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」にロシアが反対するのを逆手に取って、米ロ中・北朝鮮間の核軍縮交渉を呼びかける、というようなやり方だってあるのだ。


経済(特に先端技術と通貨)と軍事力でダントツの力を維持するアングロサクソンの時代はまだ終わるまい。


しかし、ただ「ついていく」時代は終わった。


~~~
■アングロサクソンモデルの黄昏──「対米従属」日本が打つべき次の一手は
Newsweek(ニューズウィーク) 河東哲夫 2019年8月15日
https://www.newsweekjapan.jp/amp/kawato/2019/08/post-37.php?page=1

 

 

 

 


■米国は日本を愛しているという妄想

東洋経済(2018/05/06)

https://toyokeizai.net/articles/-/217713


~~~


失われた20年あるいは30年といわれるように、日本が長い停滞から抜け出せないのは、なぜなのか。

「国体化」した対米従属が社会をむしばんでいるからだ。

世界に類を見ない歪な形で、つまりその支配の事実を否認しつつ対米従属をしていることが、社会を腐らせた。


「戦前の国体」は1945年の敗戦で壊されながらも、米国を頂点にする「戦後の国体」として再建された。

日本は米国の懐に抱かれているというイメージが形作られ、世界に類を見ない日本の対米従属の特殊性が生まれた。

愛されているという妄想に基づいて米国に従属している国は日本以外にない。


米国人は私たちに敬愛の念を持っている。

戦争は一部の頭のおかしい軍人がしたことだから、私たちは変節していない──そういうストーリーが無意識的に形成された。


~~~
米国は日本を愛しているという妄想
東洋経済(2018/05/06)
https://toyokeizai.net/articles/-/217713

 

 

 

 


■近代自由・資本主義経済の矛盾と日本の非常識

東京商工リサーチ時局レポート2016.11.18
芦屋暁

https://www.tsr-net.co.jp/news/situation/20161118_01.html


~~~


(1)バブル経済破綻の前に予見されたアメリカ流自由・資本主義の弊害


 小生がその心意気で、近代の行き過ぎたアメリカ流の自由・資本主義経済の矛盾と詭弁を抱き、その挫折と世界の主導的地位からの脱落を予見し、わが国のアメリカ一辺倒の盲従や亜流を戒め、適当な距離を置いて興隆する必要があるという「脱アメリカ」の考え方を初めて文章で表明し提唱したのは1988年(昭和63年)、つまり日本のバブル経済全盛期、その後の破綻の前前年のことであったので、当時は消極的で弱気な悲観論者と、嘲笑され、否定され、異端視されてさんざん叩かれたものであったが、昨今になって、トマ・Jピケティの「現代の資本主義体制の下では貧富格差は拡大する一方で、弱者は一生涯浮かび上がれない」との論文も発表され、世界中が、超大国アメリカの威信低下や主導時代の終焉を感じ、認めるようになってきた。

 ご参考までに1988年(昭和63年)頃のわが国の政治・経済情勢について略記しておくと、この年は干支は「戊辰(つちのえ、たつ)の年」であり、十干の「戊」は大きな刃のついた矛(ほこ)の象形文字。十二支の「辰」は動物の習性に準える架空の動物の「龍」とは全く関係なく、従って昇竜の勢いが続く好調な時期ではなく、むしろ「辰」は震動、妊娠、屈辱の辰に通じ、二枚貝が殻から足を伸ばしだした形象文字であり、妊娠初期の悪阻で苦しむ不安定期だが、その時期の生活態様の是非が新生児の成育に大きく影響するように、新しい局面への過渡期にあり、前触れの激動と混乱が生じ、その対応次第で結果が左右される要注意の時期といえる。

 この年のわが国は、土地と株式ブームのバブル経済絶頂期にあり、国鉄分割、消費奨励などの功績を上げた日米蜜月時代の中曽根内閣を継いだ竹下政権下で、米国が対経済制裁措置を強める姿勢に転じ、牛肉・オレンジの輸入解禁を強引に迫られ、売り上げ税の導入実施を図ったが、国民の反発・抵抗が強く、翌年には倒閣に至ったし、天皇が発病され、翌年に葬去され平成時代に変わった激動と変革の年であった。

 干支で2周期前の1868年(慶応4年・明治元年)から翌年にかけては、新政府軍と幕府軍との間で、鳥羽伏見、会津、上野公園の彰義隊、函館の五稜郭戦争などと最後の戦いが展開され、倒幕、大政奉還、明治維新へと転じたように、世界的・歴史的にも、政治・経済・社会の大変革の転機となる重要な年である。

 60年周期の次回の戊辰の年は2048年であり、2050年頃っを世界・人類の世紀的な大転機になるであろうと警告を発する根拠もここにある。

 

(2)巨大アメリカの挫折は終焉でなく、矛盾の露呈


 案の定というべきか、ここに来て世界的にもこの予見が現実の姿となって顕著になってきたが、誤解なきように先ず断っておくが、自由・資本主義体制そのものが根底から陳腐化し否定される「終焉(死に臨むこと)」を迎え、社会主義体制にとって変わると申し上げているのではなく、また、封建的な世襲の階級制度の制約を受け、限られた特定権力者の独裁に支配され、その許可と承認なしでは何も出来ないといった社会主義の方が今後は好ましいと言うのではなく、誰でも公平・公正に、各自の意志と努力と才覚次第では、成長・生活向上の機会が与えられ、そのための進路や就業、起業や開業を求め、自由選択の幅が広がり、闊達な活動が認容されているという自由主義の長所や、資本力の無いものが自由な金融市場から篤志的な融資や投資支援を受けて、資金調達手段が多様化し、より巨大で効率的な事業運営をすることが可能になるといった本来の資本主義の良い点は十分に認めるものである。

 しかしここでいう真に好ましい自由さは、自己都合だけの自由権の主張ではなくて、あくまでも、他者や弱者の立場も斟酌・尊重し、その活躍の自由も認めるということ、自由の代償は自己責任と自律であり、自由さの権利だけは主張するが、その一方での義務や責任は果たさず、失敗の尻拭いは他者の責任に転嫁したり、公的支援や保護を期待するよう身勝手さは許されないこと、自由と勝手気ままとは異なり、お金儲けや競争での勝利などといった自己目的達成のためには手段は選ばずといった無節度さは許されず、理性ある人間としての尊厳と矜持を放棄せず、阿漕なモア・アンド・モアの過剰欲望を道徳・倫理観と自律で抑制し慎むこと、公益や公序良俗、公衆道徳的秩序の維持のための、双方の合意に基づく適度な制約やルールの制約は認め、遵守すべきこと、他国や他者との協調や互助の精神も重視すること、自然界の摂理や生態系の秩序、好ましい政治や経済事業経営の原点の理念や原理・原則は無視・放念せず、謙虚に尊重・遵守・実践することである。

 ところが近年になって、前世紀末に世界で唯一の超巨大国家となり、独占的な覇権を制したアメリカ流の自由・資本主義体制では、こういった本来の自由・資本主義の原点を忘却し、正道を逸脱した行き過ぎ行為があったため、その「矛盾」から、貧富格差の増大、一部の豊かさの陰での失業者の増大、自国に都合の良いグローバル・スタンダードや自由貿易の門戸開放の強引な押し付けに対する他国、とりわけ弱小国やまた快適弱者からの反発が強まって、この抜本的な大修正が声高にもとめられるようになったのである。

 終焉ではなく、あえて「矛盾(Contradiction)」と強調表現している理由は、矛盾の「矛」は大きな刃がついた斧に長い手持ちの防を取り付けた武具、「盾」はそれによる攻撃を受けて堅固な防具の盾で、古代中国楚の先賢韓非子が、矛と盾の両方を、どちらも絶対に大丈夫で、敵を破り、敵を防ぐと称して売りつけようとする者に対して、それなら自分の矛で自分の盾をついてたらどうなるかと問いかけ、答えられずに困ったという故事に基づき、その両者を組み合わせて生まれた熟語であり、この世では強者も弱者も無く、また、どちらが絶対に勝ち、負けすると決まったものでもなく、要は双方それぞれなりの存在を認め、その長所を活かし弱点をカバーし合い、互恵・互助と中庸の精神で均衡・調和を図る適度とバランス感覚を悟ることこそが寛容と教えるのもである。

 このことは中国やロシアに代表される社会主義体制においても同様で、長所も短所もあり、問題点や行き過ぎの解消や修正が求められる時期を迎えており、いずれも、大は大なり、強者は強者なりに、威圧的で傲慢な行為の奥底では、それぞれなりの問題や苦労も、危機感も、恐怖感も秘蔵しているのである。

 したがって、弱小国も、必要以上に財物的な豊かさを羨んだり、僻んだりして、いじけて卑屈になり、それに屈して迎合することなく、武力的反抗や卑劣なテロ行為に突っ走らずに、これからの時代の新世界秩序の再構築に際しては、双方が互いに胸襟を開いて、特定者への極端な富と力の偏在の是正、再配分・還元の適正化と世界平和と核兵器の廃絶の実現を目指して、大局的見地kら堂々と率直且つ冷静に話し合い、主張すべきは主張し妥協すべきは妥協し合い、理解を深め合って、改善の方法を探求することが大切であろう。
 これは決して単なる理想論で済ませる問題でなく、実現不可能なものでもなく、全人類っがその気になって真摯に真剣になって取り組めば、全ての変革は、人間意識や価値観の転換、刷新から始まるものであるから、短期間では無理でも、決して不可能なことではないし、それは先ず余裕のある強者から率先垂範することが成功のためには鍵となる。

 

(3)大きいだけが良いことか?~過ぎたるは猶及ばざるが如し

 

 現在世界の政治・軍事・経済などあらゆる面で大きな影響力を持ち主導している大国といえば、自由・資本主義圏の代表国アメリカと社会・共産主義圏の代表国中国である。

 しかし残念ながらこの両国とも、口先きでは美辞麗句で国際貢献を表明しているが、心底は別で、真に良識ある主導国として模範を示し、自国の負担が重くなっても、世界の平和と発展のために積極的に主動力を発揮しようとはしておらず、むしろ、自国の安全と経済的利益主体、損得打算優先の拝金主義国であり、「兵は詭道なりい」を信奉し、狡猾で、それゆえに駆け引き外交と情報謀略に長けており、詭弁を弄して白を黒と言いくるめたり、相手を丸める込み、手なづけ従属させることが巧みであり、常にNo.1の地位と覇権支配、優越性確保を望むプライドと野心が強く、それを脅かす存在を許さず、台頭して敵対・抵抗する相手に対しては、難癖や塀理屈をつけてでも、圧倒的な軍事力や経済力という数っと力で、徹底的な軍事力や経済力という数と力で、徹底的に叩き潰そうとし、やられたら倍返しをし、執念深く、負ける戦いは絶対に仕掛けないが、不利となればさっと身を引いて、変節するとことも厭わない。強者である自国にとっては都合の良い自己流を正義や常識とし、グローバル・スタンダードとしいて、弱小国にまで画一的に押し付け、会議を開いて相手の言い分も聞いたといった形は手続き上つけるが、聞き流し、本当に弱者である相手の立場を理解・尊重し、支援したり、譲り、妥協し、協調しようとはしないエゴと傲慢さである。

 大きいだけが良いことでなく、過ぎたりは猶及ばざるが如しであり、優越的な強者ほど、それに相応し節度と品格が要求される。

 こういった彼らの巧妙な罠に嵌められ、都合よく利用され、振り回されて、褒め殺しにあったのが日本ではなかろうか。

 武器をもった自衛隊の海外派兵を可能にさせた改正新安保条約にしても、決して日本の防衛支援のためだけでなく、アメリカの世界軍事戦略の一環としての日本引き込みであり、本当にいざ日本が他国から攻撃を受け、戦局不利となった場合、アメリカは戦略手段の変更として手早く引き上げかねず、何処まで日本支援のためにだけに一緒に戦ってくれるかの保障は明確でない。

 このことは、これは領土問題を巡る中国、韓国、ロシアの不当な行為についても、自国とこれら諸国との関係を懸念し及び腰であることからも、またいかに選挙戦での発言とはいえ、強いアメリカへの回帰を主張し排他的で低劣な暴言をするトランプ候補を支える民衆が結構存在するということは、彼がアメリカの本音を代弁していると歓迎する意識が潜在していることなどからもご理解願えよう。

 国家という概念は、同一民族・言語の集合体(国民)としいてまとまることが自然であるというのが国際的な常識でありで、国民と領土と国家主権統治体制が整い、多数の他国から承認されることが国家として基本的4条件であるが、そもそもアメリカは、本来的にアメリカ人という民族は存在せず、古くから永年占用・居住していた領土があったものではなく、比較的に200年余と建国からの歴史も浅く、イギリス人の移民(WASP)が、新しく他国人により発見された未開の新大陸を、武力で先住少数民族を放遂して侵略奪取したり、占領地として買い取ったりして独立し、その後開拓の労働力として雑多な民族の隷属的な導入を図って発展してきたのであり、現在は人口構成比でWASPの約40%と3%でしかないユダヤ系アメリカ人との2大勢力、それも実質的には、ユダヤ系のアメリカ人が、政治、法律、経済、金融・投資市場、軍需産業、資源メジャー、情報産業などの主要部門を掌握し、GDPの約85%を支配し主導して運営されている国であり、所得分配の適正さを示すジニ係数は約66%と主要先進大国中ワーストのトップにあり、国内争乱発生の可能性ありとされる危険値をすでに突破し、国家財政と貿易収支は赤字で、借金と他国からの投資呼び込み、輸入に依存し、投資金融市場相場の差益で国民は派手な消費生活を楽しみ、国家総体としての外観的数値の大きさを誇って虚勢を張っているので、市場活動の自由さと好調さに障害が生じ、株式などの相場急暴落の発生が最も恐ろしい事態となるという脆弱性を秘めている。これが近代アメリカ流の行き過ぎた自由・資本主義、投資金融市場至上主義経済の結果であり、実態である。

 

(4)見習うべき良い点と、改めるべき点との峻別を

 

 それを敗戦後、アメリカ占領軍の日本弱体化戦略としての洗脳教育を受け、すっかりアメリカ崇拝主義者となってしまった日本の指導階級者や学者達、多くの民衆までもが、明治維新時の日本の欧米風近代工業立国を目ざしながらも、良い点は積極的に見習い導入したが、伝統的な日本的治世や事業経営の特性の優れた点見捨てなかったのと異なり、国土面積の狭さや資源の乏しさといった点も配慮せず、国土面積が日本の26倍もあり、天然埋蔵資源も豊富で自給自足力を有する強大国のアメリカの亜流で良しとし、卑屈にアメリカ一辺倒の盲目的従属国のようになって、その正体や問題点にも気づかず見抜けず、独立主権国家としての矜持も、主体性まで忘却・放棄してしまったのではなかろうか。

 ところが昨今になって、まだ一部の良識者に過ぎないが、逆にアメリカ人自体の方が、本来の日本の伝統的理念や手法の優れた点を認め、その誠実で細かやかな国民性や精密技術、根底に流れる哲学思想、精神文明を学び直そうと、禅修業に励むなどといった傾向が、日本人いじょうに高まっており、この傾向は欧州諸国や多くの発展途上国にも、敵対的なような中国・韓国の純粋な国民の間でも、見受けられるようになってきつつあるのだ。

 

(5)近代アメリカ流自由・資本主義経済の問題点と、今後の日本の対応

 

まとめに代えて、行き過ぎた近代アメリカ流の自由・資本主義経済の問題点を列挙し、それを参考に今後の日本の対応留意点を述べておこう。

 1.あまりにも自企業と大株主収益優先に走り、好ましい政治、経済、事業経営の原点、即ち、「経世済民」、最大多数の最大幸福の追求や、需要と供給の均衡、経営道徳律、優越者の風格(ノブレス・オビリージェ)ばかりか、本来の資本主義の理念まで忘却し、一発狙いの投機的になり過ぎていること。

 2.地球の自然環境が、有史以来の需要関係の逆転、資源の枯渇かが叫ばれる中で、依然として自然の破壊による富の獲得競争、財物的豊かさの追求に注力し、長期的将来を展望した基本理念や政策方針の転換が遅れていること。

 3.その結果、相変わらず生産や消費重視の政策で、富の再分配経済への配慮がなく、その結果、貧富格差を危険水準にし、庶民の満足志向を無視し、マーケティング・マインドが「儲けティング」になってしまったこと。

 4.企業は人なりだが、効率性と収益生産性重視のあまり、人間性無視や労働者の啓志、使い捨てとされ、その不満が爆発寸前に至っていること。

 5.借金による消費経済が改められず、双子の赤字拡大など、不健全、不安定な経済構造になっていること。

 6.主要産業や企業の海外脱出、生産比率が高まり、多国籍化というより無国籍化で、中国や発展途上国の経済浮沈の影響を受けやすくなり、不安定化し、自国内生産力が老朽・弱体化の傾向にあること。

 7.自らが提唱し推奨したグローバル・スタンダードや情報・技術の自由化の結果、自分の首を絞めるという因果な結果を招き、創業者利益や自国なりの特性を薄めることとなったこと。

 8.財物的豊かさや便利さの反面で、民衆の士気や精神文明が荒廃したこと。

 9.これらの結果、国際的威信と良識国との信頼やイメージ低下し、世界を統率する国の不在、国際秩序の混乱を招いたことなどである。

 したがってわが国としては、アメリカとの相対的な力関係を正しく認識し、特定国一辺倒の亜流や追従を改め、見習うべき良い点は学びつつも、温存・継承すべき日本の伝統的長所は活かし、両社の峻別とアレンジで、身の丈や置かれた環境に適応した独自の戦略で対応し、体格より体質での優位性を確保を目指すことが寛容である。

~~~

■近代自由・資本主義経済の矛盾と日本の非常識

東京商工リサーチ時局レポート2016.11.18
芦屋暁

https://www.tsr-net.co.jp/news/situation/20161118_01.html