■新型コロナで解雇、倒産……蒸発する仕事 雇用の「氷河期」が迫る
リストラ、雇い止め、内定取り消し
日経ビジネス 2020年4月24日
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00415/
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「不安? なくはないですよ。でもどうにもならないから、先のことは考えないようにしている」
トヨタ自動車九州の宮田工場(福岡県宮若市)で働く派遣社員の20代の男性は、スマートフォンの画面を見ながら淡々と話す。
新型コロナウイルスの感染拡大が雇用に落とす暗い影から目をそらすかのように。
同県宗像市のJR教育大前駅。徒歩数分のコンビニエンスストア付近に、午後3時前になると近くのマンションから男性が集まり、次々と到着する小型バスに足早に乗り込んでいく。
行き先はトヨタ宮田工場。彼らはそこで働く派遣社員らだ。
福岡は最初に緊急事態宣言の対象となった7都府県の一つだが、工場は自粛の対象外。
だが、世界に目を転じれば、雇用クライシスが着実に忍び寄る。
・世界恐慌以来最悪の状況
国際通貨基金(IMF)はロックダウン(都市封鎖)など世界的な移動制限の影響により、2020年の世界の経済成長率をマイナス3%と予測。
「世界恐慌以来最悪」と表現した。
国際労働機関(ILO)は世界の労働人口の約38%が解雇や賃金カットなど雇用リスクに直面していると推定。
米セントルイス連銀のエコノミストは“単純計算”と前置きしながらも、米国では4700万人がレイオフ(一時解雇)され、失業率は32%に達する可能性があると試算した。
自動車メーカーは需要の急減に対応を迫られている。
米ゼネラル・モーターズは北米の工場を休止し、世界の正社員約6万9000人の給与の2割の支払いを延期。
工場休止はトヨタなどの日本メーカーにも広がり、米国ではホンダが1万人規模の一時帰休を始め、日産自動車は約1万人を一時解雇した。
こうした動きに国内も無傷ではいられない。
トヨタは4月3日から輸出向け車種を製造する国内5工場7ラインを一時休止した。
宮田工場は北米向けの「レクサス」を多く生産するため、稼働停止が9日間と5工場で最長となった。
トヨタは4月15日、グループ会社を含め国内の完成車全18工場での減産を追加で発表。影響は長期化してきた。
宮田工場は08年のリーマン・ショック時には工場内にあった派遣事務所は閉鎖され、派遣社員が一斉に工場を去ったことがある。
「コロナ・ショック」でトヨタは既に全ての工場で直接雇用の期間工の募集を停止。派遣社員の追加発注もほぼ止まっているとみられる。
・失業率は約4%になる可能性も
4月16日、緊急事態宣言の対象が全国に広がり、経済へのさらなる打撃は確実だ。
IMFは日本の20年の経済成長率をマイナス5.2%と予測。
リーマン・ショック翌年の09年がマイナス5.4%だからインパクトはほぼ匹敵する。
第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、「失業率はワーストケースで21年第1四半期までに4%程度まで上昇する可能性がある」と試算する。
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新型コロナで解雇、倒産……蒸発する仕事 雇用の「氷河期」が迫る
リストラ、雇い止め、内定取り消し
日経ビジネス 2020年4月24日
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/00415/