9月2日に石川県立能楽堂でめったにお目にかかることのできない「道成寺」が上演されるので、それに先立って金沢能楽美術館で特別講座 道成寺説話と能『道成寺』 がありました。
「道成寺」と言う演目は竹竿の先に重さ75㎏の作り物の鐘をぶら下げて落としそれをめがけて面を被ったシテが飛び込むと言う非常に危険な演目でケガ人が続出するという。リハーサルができず,ぶっつけ本番で何が起きるか分からない。
以前からセットしておくと面白くないので、舞台進行中に狂言方が運び込み、それをシテ後見人が綱を引っ張っていてタイミングを見計らって手を放し舞台上に落とす。それをめがけてシテが飛び込むのだそうで、シテ方の縁者には勤まらず、残酷非情なあかの他人が勤めるそうで、身内の方ではとても恐くて務まらないとか。
能楽師はこのシテが出来ると1人前の能楽師と認められるそうだ。
狂言方どういう演技をしてセッティングするのか興味がある。
凄い人気でチケット売り出しと同時に売り切れたそうだ。
さて物語の内容は
昔、熊野に向かう2人のあり、1人は老人だったが、もう一方の若い僧は中々の男前だったらしく、2人を泊めた若い宿の女主人が一目惚れ、何が何でものがしてなる物かと、夜中に若い僧の布団の中にもぐりこみ男女の関係を迫った。
驚いた若い僧は、「自分は修行中の身ゆえそのようなことは出来ない」と断ったが、言うことをきかない。仕方ないので「熊野でお参りして3日後に再び立ち寄るからその時にあなたの望むようにしましょう」と言って立ち去った。
女は若い僧の言った言葉を真に受けてひたすら待ち続けましたが、幾ら待っても姿を見せません。
通りすがりの僧から、「その僧ならとっくに帰ってもう3日になる」と聞かされ、裏切られたと悟った女は大蛇となって猛烈に追いかけました。
そのことを伝い聞いた2人の僧は道成寺に入り、助けを求めた。道成寺の僧たちが相談して、梵鐘の中に若い僧を隠した。
大蛇は道成寺に着くと鐘の中にいる僧を嗅ぎ付け、鐘の周りに巻きつき口から火を噴き中の僧を焼き殺しました。
大蛇が去った後、道成寺の僧たちが鐘をどかして見るとそこには遺骨どころか灰しか残っていなかった。
鐘はいきなり落ちて来たわけではなかろうが、能の世界では面白くするためあえてそうしたのだろう。鐘は竹で編んだものなので本来は軽いのだが、それを重量感を出す為、あえて鉛の重石をしたとか。そんなことまでしなければいけないのだろうか。
道成寺を書いた書物はいろいろあるらしくそれぞれ内容が少しずつ違っていて、その違いについて説明してくれた。
お能の道成寺は事後の話で女が幽霊になって出てきて当時の思いを再現する話である。
お陰様で物語の内容がよく分かった。