青和大学陸上部
青和大学の陸上部の山崎綾音(青和大学陸上部の新入生) - 山田杏奈が
練習で他の学生と一緒にトラックで練習をしているが、思うようにできていない。
男性コーチ(青和大学陸上部・コーチ)- 森渉から
「彩音、高校時代のお前の成績からしたら、もう少しいける筈だ。スポーツ推薦の意地を見せてくれ。」と言われる。
他の部員や女子マネ
(細木まりな(青和大学陸上部員・1年生) - 喜多乃愛
夏目春(青和大学陸上部員・1年生) - 三浦理奈
相沢香織(青和大学陸上部・マネージャー) - 石川萌香
達からは「「彩音」だって。私たちとは期待値が違うから。」「スポーツ推薦だからね。」と、冷ややかに言われてしまう。
彩音がベンチで休憩をとっており、山崎琴子(綾音の姉) - 金澤美穂 に足のメンテナンスをしてもらっている。仕事はどうしたのかと尋ねると「彩音が心配だから、早退させてもらった。」という。彩音は「ごめん。」と謝っている。
姉は心得があるらしく、彩音は「うん、いい調子」と伝える。
姉がシューズを渡して彩音が履こうとすると、シューズに違和感があるらしく痛がっている。
シューズには「長い針」が入っていた。
他のベンチにいる学生(まりな達)は気づかず、タイムがいいらしいので「絶対選手確定じゃん。」「そうかな。」「ここまで来たらメンタル勝負だよ。」とはしゃいでいる。
それを眺めていた姉は「私がなんとかする。だから(彩音は)集中して。」と告げる。
「わかった。」改めてシューズを履きなおした彩音は、ベンチから離れて練習に戻る。見送ってベンチの手荷物の場所に戻る姉。大木を囲むように設置されているベンチ。手荷物のあるベンチの下に、足に数本の針が刺された藁人形を見つけて、驚くのであった。
尚哉が大学構内の階段を上がり、高槻の部屋へやってくる。
高槻は自身のサイト「隣のハナシ」を見ている。
どうやら最近は、新しい怪異の書き込みがなく退屈しているようだ。
生方(高槻の研究室に所属する大学院生) - 岡田結実は、
「ついこの間「コックリさん」の話で盛り上がっていたじゃないですか。」と、高槻に背を向けたまま作業をしている。
その言い方、母親が子供に「この間新しいおもちゃを買ってあげたでしょ?」と言っているみたいだという高槻。
「先生は子供みたいなもんですから。」という生方。
ノックする音に「新しい怪異の相談かも。」と、立ち上がりドアを見る高槻。
入ってきたのは尚哉(青和大学文学部の新入生) - 神宮寺勇太 だった。
この前のコックリさんの件で、小学生が「もうコックリさんが怖くなくなった。」と礼を述べてきたそうで、それを伝えにやってきたのだ。
高槻のサイトにもお礼の書き込みがあったそうで、
(生方演じる)かわいい巫女さんが、お祓いをしてくれたのでロッカーのコックリさんはもう怖くなくなりました。ありがとうございました★
報告に来ただけだからこれで失礼しますと、尚哉が告げる。高槻は「深町くんは、サークルに入ってるの?」と聞いてきた。
尚哉は「僕はみんなで盛り上がるとかできないんで。」と告げると、どうしてか高槻は尋ねる。
幼い頃の尚哉が母親と一緒にいる。
尚哉:僕、だれかがうそをつくと、声がぐにゃっと曲がるからわかるんだよ。(10歳時:嶺岸煌桜)
母:でたらめ言わないの。
母(尚哉の母 )-小林さやか は怒っている。
(どうやら、第1話でも高槻にそれを伝えていたらしい。)
尚哉は、生方をちらっと見る。不思議そうにしている生方に「(サークルは)どうしてもです。」という。
高槻:じゃあアルバイトは?
尚哉:それは探さなきゃと思っています。
高槻が、それじゃ自分のサイト「隣のハナシ」で、怪異にまつわる相談が寄せられるので、助手としてバイトをしないか?もちろん報酬は出すよ。と誘う。
生方:助手なら私がいますよ。
高槻:君は(院生なんだから)論文を書かなきゃいけないだろ。
生方:(スマホの巫女に扮した画像を出し)貴方、お祓いできる?
高槻:お祓いは瑠衣子君に頼むから、助手は深町君に頼みたいんだ。
尚哉はその動機が、「高槻は自分の能力が採用の理由だろう、それくらいしか価値がない。」と解釈していた。
オープニング
教室に向かう高槻、花壇に目をやっていると、受講している女子学生からは「先生、早くしないと遅れちゃいますよ。」と急かされている。
201号教室 3限 授業連絡表 民俗学Ⅱ 文学科 高槻彰良 (連絡事項)鬼と雷様
雷の現象について、講義を行う高槻。
昔の人の雷に対する解釈は、雲の上に和太鼓を打ち鳴らす鬼:雷様がいて地上に雷を落としている。怪異として解釈していたという。
人は、説明のできない事態を恐れる。だから現象を解釈しようとする。
と高槻は言うのだった。
講義後、山崎琴子(綾音の姉)が高槻を訪ねて教室にくる。
准教授とはいえ、まだ若い高槻に琴子は驚く、案内した学生たちは離れていった。「自分が学生ではないが、相談に乗って欲しい。」と琴子が頼むと「是非。(捕まえた尚哉)助手も一緒に。」と、高槻は快諾するのだった。
准教授である高槻の研究室。独特の口調で、毎回ココアを推しているようだが来客にはいつもコーヒーを選択されているらしい。
お客様には青いカップ。自分のカップがない学生の深町には「大仏柄のカップ」で、コーヒーが出される。(一話をちらっと見たときには、これにより生方から「大仏君」と深町は呼ばれていた。)
琴子:すいません。研究室なんて初めてなんで、緊張しちゃって。誰かが妹を呪っているようなんです。
尚哉は、その声が歪んでいないことに気が付いているようだ。
高槻:なぜそう思ったんですか。
琴子:妹は(陸上部の)山崎彩音なんです。
怪異にしか興味のない高槻が理解できないでいると、尚哉がスマホで画像を見せながら、スポーツ推薦で入学した自分たちの学年では一番の有名学生であることを説明する。
スポーツ推薦で大学に入った妹が、入学して2週間目から記録が伸びなくなったという。
高槻は、姉が「二週間目」とはっきり述べたことから、理由に心当たりがあるのではないかと、琴子に尋ねた。「二週間頃ではなく、二週間目」とはっきり時期が判っていると。
琴子:はっきりそれだとわかっているわけではないのですが、自分が練習を見学していた時、彩音が自分のタオルで汗を拭こうとしたところ、タオルに針が混入しており、それは女子マネージャーがゼッケンをつけるときに誤って混入したもので、マネージャーさんは何度も謝ってくれて、その日はいいタイムがでなかったのですが、私もあんなことがあったからだなと。なのにそれから彩音の記録が全く伸びなくなってしまって。
すると、昨日これ(針)がシューズの中に と、ハンカチに包んだ針を見せた。
尚哉:それ、呪いっていうより、嫌がらせじゃないですか?
琴子:(首をふり)私、藁人形を見つけたんです。
高槻:素晴らしい。
琴子:素晴らしい?
高槻:人を呪う動機は何か?それは古来より「恨みと嫉妬」です。人は許せない相手、そして手に入れられないものを持っている相手を呪ってきた。平安時代、人は役職や住んでいる場所で呼ばれ、本名は隠していました。それはなぜだと思いますか?
琴子:さぁ?
高槻:(琴子の手を取り立ち上がらせ)名前を知られると、呪いに使われる可能性があるからですよ。それほど人は呪いを恐れていたんです。
琴子が引いているのを恐れる尚哉が、やきもきしている。高槻に落ち着くよう促し、高槻は琴子の手を離した。
高槻:ということで、呪いを軽んじてはいけません。
と、琴子に告げるのだった。その藁人形を見せて欲しいと頼むと、琴子は「そんな恐ろしいもの触れません。丁度お掃除の人がいたので、片づけてもらいました。」と言うと、高槻は「もったいない。」と残念がるのであった。妹の彩音もこの部屋に連れてきて欲しいと頼むが、「妹をこれ以上不安にさせてたくない。」というので、彩音へのヒヤリングは助手とされた尚哉が行うことになった。
構内掲示板で、アルバイトの掲示を見ている彩音をみつけた尚哉、さりげなく接しようと意気込んでいるが、怪しまれて上手くいかない。そこへコミュニケーション能力の高そうな 難波要一(尚哉の同級生) - 須賀健太 が現れ、うまく状況を聞き出してくれていた。奨学金をもらっていても、シューズ代や身体のメンテンナンスにお金がかかるらしい。一人親で、姉が必死で働いてくれているから、頼れないという。難波が「人ってなんでも持っているわけじゃないんですねぇ。」というと
彩音:最近記録が伸びなくなっちゃって、うまくいかない理由がわからないんだよね。
その声は、確かに歪んでいたのだった。
去っていく彩音を明るく励ます難波、その肩を叩き尚哉は「お前が(先生の)助手をやるべきだ。」と、掲示板の前を離れていくのだった。
ベンチを囲む大木を調べている高槻
ヒアリングの内容を伝えた尚哉をほめる。また尚哉は、彩音が、不調の原因がわからないという声が歪んでいたことを伝えた。「この(能力の)ために、自分を助手に誘ったんですよね。」とも言うと、高槻は「それだけじゃないよ。」という。
尚哉:いままでずっと、うそが判るってバレると(相手に)警戒されてました。嫌がられるよりずっといい。先にお伝えしておきますけど、本人にウソをついているという自覚がない場合は、声が歪みませんのでお役に立てません。(彩音が)「うまくいかない理由がわからない」という声が歪んだので、彩音さんは理由をわかっている。つまり呪われている自覚があるんだと思います。
高槻:だとしたら、身近な人間であるという可能性が高いね。今日の放課後時間ある?
尚哉:ありますけど。
夕方、大学の食堂で綺麗目女子の格好で生方が、尚哉の隣の席にやってくる。これが彼女のバイトスタイルらしい。彼女は尚哉のことを「大仏君」と呼び、ここのメニューのおすすめはナポリタンで、蕎麦もなかなか美味しいという。最初、生方であることに気づかず、生方に自分が「大仏柄のカップ」を高槻の部屋で出されているため「大仏君」と呼ばれていることを説明される。塾のバイトに出るときの格好には37分かかるので、研究室ではやっていないそうだ。ここで、高槻に報告するフィールドワークの内容があるらしい。そこへ高槻がやってくる。
食堂の離れた席には、彩音を含む陸上部の女子たちがいる。一緒にいるのは彼女の中距離走のライバルや彩音と奨学金を争って負けた女子。そして、2年生の女子マネージャーは、元は選手だったがケガで競技を断念したという。生方の報告に、「全員気になるね。」と高槻は言うのだった。
食事をしている彩音が、急に口に刺さった針を掌に載せた。床には複数の針が散らばり落ちる。
歩み寄った高槻が、ハンカチに針を受け取る。シューズにも針が入っていたことを尋ねる。他の女子たちも顔を見合わせている。彩音が荷物を取って帰ろうとすると、今度は頭部と左腕に針がたくさん刺さった藁人形が、荷物から床に落ちるのだった。驚いた彩音は、荷物を持って食堂から走り去る。
藁人形を拾い上げた高槻は、残った女子学生たちに話を聞かせて欲しいという。
「これは、あの場所にいた人なら誰でも置くことができた。」と高槻。「自分たちを疑っているのか?」と一人が尋ねると、「事実を言っているだけだよ。」と高槻が言う。
高槻:そこでもうひとつ検証したい。彩音さんのシューズに入っていた針は、誰なら入れられたと(君たちは)思う?
ライバル学生:誰にも入れられないですよ。彩音のお姉さんは彩音にべったりだから、気づかれずになにかするなんて、不可能。
高槻:物理的に針が入れられるのが不可能ってなると、考えられるのは「呪い」だけど。
奨学金に敗れた学生:呪い。入学してからすぐ、彩音がケガするよう神社にお参りに行こうかって言ってたよね。
ライバル学生:はぁ?冗談ですよ。それにもう呪いなんかに頼る必要ありませんから。
高槻:必要がないって?
ライバル学生:彩音明らかに本気出せてないし、あれならそのうち実力で勝てます。
生方:なつめさんは彩音さんにスポーツ奨学金で負けたって噂があるけど。
奨学金に敗れた学生:うち親が会社やってるんで、別に奨学金なくても関係ないの。彩音の方は、奨学金が決まらなかったら大学進学諦めてたらしいから、必死だったと思うけど。
高槻は、尚哉が皆うそを言っていないと首を振っているのを見る。
生方:相沢さんはケガをする前は選手だったんですね。
女子マネ:はい。でも私は選手を支える方が向いてたなって思ってます。琴子さんと同じ。
高槻:琴子さん?
女子マネ:元選手だったんでしょ。だから彩音のメンテナンスとかも指導してる。にしても彩音心配だよね。
ライバル学生:やめるとか言い出しちゃうかも、それは寂しいですね。
女子マネ:彩音には皆を引っ張ってってもらいたいし。
奨学金に敗れた学生:彩音はみんなの希望だしね。
学生たちのウソに苦痛を覚える尚哉。ついには食堂で倒れてしまうのだった。
目が覚めると、そこは高槻の研究室のソファーだった。「嘘をつくと声が歪んで聞こえて不快であることを理解していたのに、ごめんね」と藁人形を触っていた高槻が謝る。
尚哉:いえ、先生が運んでくれたんですか。
高槻:そう。
尚哉:(羽織っていた高槻の上着を、丁寧にソファーにかける。腕時計は21時を過ぎている。)先生、ご家族とかはいらっしゃらないんですか。俺はもう大丈夫なんで、先生もう帰ってください。
高槻:独り暮らしだから、気にしないで。
尚哉は、高槻が「僕も独り暮らし。自由でいいよね。」と言っていたことを思い出した。
尚哉:先生のご実家は遠いんですか?
高槻:(グラスに注いだ水を尚哉の前に置きながら)世田谷だよ、ここから電車で一時間ぐらい。両親も健在だけどほとんど連絡は取っていない。親といるより、独りでいる方が楽だというのは同じだね。
尚哉:俺、こんな自分が嫌なんです。
高槻:どうして
尚哉:人って簡単にうそをつきます。保身のため、見栄のため、親しいと思っていても平気でこっちを欺きにかかる。声が歪むたびに、俺は人に失望するんです、勝手に。傷つきたくなかったら、誰とも親しくならねければいい。線を引いて、うわべだけの話をして、空気にあわせて笑って、絶対に線の向こうには踏み込まない。だから、サークルも入りません。親友を作る気もない。楽しい大学時代なんて、俺には縁がないんです。でも・・・でも。
高槻:お腹すいたでしょ。インスタントスープくらいなら作れるから、一緒に食べようか。
校外で、高槻は「本当に大丈夫。歩くのが辛かったらほら。」とおんぶの姿勢を作る。尚哉は遠慮するが「さっきはこれで運んだんだよ。」という。ご迷惑をおかけしましたと、帰ろうとする尚哉に首をふる高槻。歩き出しながら尚哉が尋ねる。
尚哉:結局あの三人は呪いに関わっているんでしょうか?
高槻:三人とも言っていることに筋は通っていたし、呪うほどの強い動機はないと感じた。彼女たちじゃないと思うな。
尚哉:そうですか。あぁ、すいません。解決しなきゃいけないのは分かってるんですけど、なんか・・・。
高槻:なんか?
尚哉:俺なんて、何百人もいる新入生のその他大勢だから、彩音さんみたいに目立った人がいると、嫉妬すると思うんです。あの三人が呪いに関わってなくてよかった。
高槻:(微笑みながら)深町君、君は本当に優しいね。
尚哉:それ、やめてください。恥ずかしいんで・・・。
高槻:だってそう思うんだもん。今日分かったことで確認したいことができたんだ、明日調べてみようと思うんだけど、明日も助手やってもらえるかな。
尚哉がうなずいたのを喜んで、高槻は先を歩いていく。尚哉も嬉しそうにその後をついていくのだった。
gooブログに、テキストは3万文字までと、制限がかかったため2話を前後編に分けました。