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地球から2億9000万光年離れた銀河で、極めて明るい光を放つ天体が発見された。“HLX-1”と呼ばれているその天体は、新たなタイプに属するブラックホールの可能性が取りざたされている。
ブラックホールには少なくとも2つのタイプが存在すると考えられている。1つは質量が太陽の20~30倍程度の“恒星質量ブラックホール”で、超新星爆発がその生みの親と考えられている。もう1つは銀河中心に存在し、太陽の数百万から数十億倍もの質量を持つ“超大質量ブラックホール”だ。
最近は、明るさや質量がミドルクラスの“中間質量ブラックホール”の存在が唱えられるようになった。今回新たに発見された“HLX-1”は、このサイズのブラックホールとして最有力候補に上っている。7月2日発行の科学誌「Nature」に掲載された。
アメリカにあるアイオワ大学の天体物理学者フィリップ・カーレット氏は、この研究について次のようにコメントしている。「2種類のブラックホールの間に、質量の点で大きな隔たりがあるのは間違いない。だが、そのギャップを埋める中間的なブラックホールが存在するのかどうかは今のところ確証がない」。
ブラックホールは、周囲の物質を吸収して質量を増やしていく性質を持っている。飲み込まれる物質は圧縮されて高温になり、明るい光を放つため、ブラックホールは「視認」することが可能となる。
しかし、ブラックホールは延々と物質を吸収し続けるわけではない。飲み込まれる物質が放射する「押す力」とブラックホールの重力が持つ「引く力」が等しくなると、自身のエネルギー調達を停止してしまうのである。つまり、ブラックホールの明るさには上限があるということだ。
フランス、宇宙線研究センター(CESR)の天文学者で今回の研究論文の共著者であるナタリー・ウェブ氏は次のように解説する。「理論的には、中間質量ブラックホールは多数の古い恒星が密集している球状星団で形成される。球状星団の中で形成された小規模の恒星質量ブラックホールが、ほかの天体と衝突・結合を繰り返しながら周囲のガスやちりを吸収していき、中間質量レベルにまで膨張するのではないだろうか」。
また、アイオワ大学のカーレット氏は、誕生期の宇宙に存在した高密度なガス雲の中で形成された可能性もあると考えている。当時、その中で生まれた恒星は現在よりはるかに大質量になることができた。
恒星質量ブラックホールよりはるかに明るい天体は、これまでにいくつか発見されている。一部の天文学者はその明るさに注目しており、中間質量ブラックホールなのではないかと考えているのである。
最近観測された天体HLX-1も、中間質量ブラックホールの候補である。HLX-1は極めて明るいX線を放射しているため、太陽の500倍以上の質量を持つブラックホールなのではないかとみられている。
前出のウェブ氏と同じCESRに在籍している研究チームのリーダー、ショーン・ファレル氏はナショナル ジオグラフィック誌の取材に対し、「HLX-1は、これまでの中間質量ブラックホール候補の中で他を圧倒して約10倍も明るい」と電子メールでコメントを寄せている。
しかし、本当に中間質量ブラックホールかどうか結論を出すには早すぎるようだ。カーレット氏は、「伴星を調べる必要があるが、ブラックホールの強烈な明るさや地球からの距離を考えると非常に難しい」と指摘する。
「あるいは天体から放出されるスペクトルから鉄輝線を調べるという手段もある。それがブラックホールであれば、強い重力場から放出される輝線は非対称の歪んだスペクトルを示すからだ」と、イギリスのレスター大学に在籍する研究論文の共著者オリバー・ゴデ氏は言う。しかし感度の低い現在の観測機器では不可能だ。
しかし研究チームを指揮したファレル氏はこうも話してくれた。「次世代の望遠鏡なら、スペクトルや紫外線の検出をなんなくこなすことだろう。いずれ、ブラックホールの生成モデルに新たな貢献がもたらされると期待している」。
ブラックホールには少なくとも2つのタイプが存在すると考えられている。1つは質量が太陽の20~30倍程度の“恒星質量ブラックホール”で、超新星爆発がその生みの親と考えられている。もう1つは銀河中心に存在し、太陽の数百万から数十億倍もの質量を持つ“超大質量ブラックホール”だ。
最近は、明るさや質量がミドルクラスの“中間質量ブラックホール”の存在が唱えられるようになった。今回新たに発見された“HLX-1”は、このサイズのブラックホールとして最有力候補に上っている。7月2日発行の科学誌「Nature」に掲載された。
アメリカにあるアイオワ大学の天体物理学者フィリップ・カーレット氏は、この研究について次のようにコメントしている。「2種類のブラックホールの間に、質量の点で大きな隔たりがあるのは間違いない。だが、そのギャップを埋める中間的なブラックホールが存在するのかどうかは今のところ確証がない」。
ブラックホールは、周囲の物質を吸収して質量を増やしていく性質を持っている。飲み込まれる物質は圧縮されて高温になり、明るい光を放つため、ブラックホールは「視認」することが可能となる。
しかし、ブラックホールは延々と物質を吸収し続けるわけではない。飲み込まれる物質が放射する「押す力」とブラックホールの重力が持つ「引く力」が等しくなると、自身のエネルギー調達を停止してしまうのである。つまり、ブラックホールの明るさには上限があるということだ。
フランス、宇宙線研究センター(CESR)の天文学者で今回の研究論文の共著者であるナタリー・ウェブ氏は次のように解説する。「理論的には、中間質量ブラックホールは多数の古い恒星が密集している球状星団で形成される。球状星団の中で形成された小規模の恒星質量ブラックホールが、ほかの天体と衝突・結合を繰り返しながら周囲のガスやちりを吸収していき、中間質量レベルにまで膨張するのではないだろうか」。
また、アイオワ大学のカーレット氏は、誕生期の宇宙に存在した高密度なガス雲の中で形成された可能性もあると考えている。当時、その中で生まれた恒星は現在よりはるかに大質量になることができた。
恒星質量ブラックホールよりはるかに明るい天体は、これまでにいくつか発見されている。一部の天文学者はその明るさに注目しており、中間質量ブラックホールなのではないかと考えているのである。
最近観測された天体HLX-1も、中間質量ブラックホールの候補である。HLX-1は極めて明るいX線を放射しているため、太陽の500倍以上の質量を持つブラックホールなのではないかとみられている。
前出のウェブ氏と同じCESRに在籍している研究チームのリーダー、ショーン・ファレル氏はナショナル ジオグラフィック誌の取材に対し、「HLX-1は、これまでの中間質量ブラックホール候補の中で他を圧倒して約10倍も明るい」と電子メールでコメントを寄せている。
しかし、本当に中間質量ブラックホールかどうか結論を出すには早すぎるようだ。カーレット氏は、「伴星を調べる必要があるが、ブラックホールの強烈な明るさや地球からの距離を考えると非常に難しい」と指摘する。
「あるいは天体から放出されるスペクトルから鉄輝線を調べるという手段もある。それがブラックホールであれば、強い重力場から放出される輝線は非対称の歪んだスペクトルを示すからだ」と、イギリスのレスター大学に在籍する研究論文の共著者オリバー・ゴデ氏は言う。しかし感度の低い現在の観測機器では不可能だ。
しかし研究チームを指揮したファレル氏はこうも話してくれた。「次世代の望遠鏡なら、スペクトルや紫外線の検出をなんなくこなすことだろう。いずれ、ブラックホールの生成モデルに新たな貢献がもたらされると期待している」。