超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

北朝鮮が2人目の米国人拘束

2010年01月30日 18時45分24秒 | 経済・経営・社会
北朝鮮が25日に米国人男性を拘束したとされる問題で、米国務省は29日、北朝鮮が拘束の事実を通達してきたことを明らかにした。

 朝鮮中央通信社(KCNA)は28日、中国から北朝鮮領内に入った米国人の身柄を拘束していると報じた。KCNAはこの人物は北朝鮮に「不法侵入した」とし、当局による取調べを受けているとしている。

 国務省のクローリー次官補(広報担当)によると、政府はこの米国人の身元を確認しておらず、スウェーデン政府を通して連絡を取ろうとしている。米国と北朝鮮との間に国交はないため、米国はスウェーデンを通して北朝鮮と交渉する。

 北朝鮮は昨年12月、領内に入った米国人人権活動家ロバート・パク氏の身柄を拘束。アナリストらの間では、北朝鮮がパク氏を米政府との交渉に利用しようとしているとの見方が出ている。

NY市場がドル全面高

2010年01月30日 18時43分25秒 | 経済・経営・社会
29日のニューヨーク外国為替市場でドルが全面高。予想を上回る米指標を手がかりに、米景気が他の先進国に比べ速いペースで回復しているとの見方が強まった。

 ユーロ/ドルは1.39ドルを下回り、6カ月半ぶり安値をつけた。ギリシャやポルトガルなど、一部ユーロ圏諸国の財政の健全性をめぐる懸念が根強い。第4・四半期の米国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で5.7%増と市場予想の4.6%増を超え、03年第3・四半期以来6年ぶりの大幅な伸びとなった。

 また、1月の米シカゴ地区購買部協会景気指数は前月の58.7から61.5に改善し、エコノミスト予想の57.4を上回った。 雇用の大幅な改善と新規受注の増加により、2005年11月以来4年ぶりの高水準となった。

 1月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値も前月から上昇し、予想を上回った。フォレックス・ドットコムの首席為替ストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は「市場は一連の指標を米国の底堅さの表れとみなし、ユーロ圏・英国・アジアの軟調な兆候と比較している。これがドルを支援しており、今後数週間ドルは上昇すると予想する」と述べた。

 ロイターのデータによると、ドル/円は0.4%高の90.28円。一時、約1週間ぶり高値の90.92円をつけた。ユーロ/ドルは一時、前年7月9日以来の安値となる1.3863ドルをつけた。週足では2%安となる見通し。ポンド/ドルは0.9%安の1.5987ドル。ユーロ/スイスフランは一時、前年3月以来の安値となる1.4632スイスフランをつけた。その後上げに転じ、1.4762スイスフランで推移。

 トレーダーは、国際決済銀行(BIS)がユーロを購入していると指摘した。BISはコメントを差し控えた。BISは過去にスイス国立銀行(中央銀行、SNB)に代わり、スイスフラン高抑制に向けた介入を行っている。スイス中銀からはコメントを得られていない。

 アルムニア欧州委員(経済・通貨問題担当)はこの日、欧州連合(EU)がギリシャを救済する可能性はないとの見方を示した。

 中国の銀行預金準備率引き上げやユーロ圏での信用懸念を背景としたリスク回避の高まりは、最近のドル買いを支援している。

 サマーズ米国家経済会議(NEC)委員長はダボスの世界経済フォーラムで、ドルが今後長期間にわたり、世界の金融システムで中心的役割を担っていく、との認識を示した。

核融合発電の実現へ、一歩前進

2010年01月30日 05時07分09秒 | 宇宙
 核融合発電の実現が一歩近づいたと科学者が発表した。研究を支えたのは史上最強のレーザーシステムである。核融合反応は太陽などの恒星でも起こっており、地球上でも効率的かつカーボンフリーなエネルギー源として期待されている。しかも、現在の原子炉のように核分裂がもたらす超長期かつ高レベルの放射性廃棄物が生じることもない。

 研究を率いたアメリカ、カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)の物理学者ジーグフリード・グレンザー氏によれば、「10年以内に核融合発電所のプロトタイプを稼働できるかもしれない」という。

 研究チームは今回、約5ミリの燃料ペレットを数千万度まで加熱するため、LLNLが誇る世界最大のレーザー核融合施設「国立点火施設(NIF)」を利用した。「レーザーパルスを燃料ペレットに照射することにより、100億分の1秒という極めて短時間でアメリカ全土の電力消費をまかなえるエネルギーを生産できる」とグレンザー氏は解説する。

 今回のテストでは、慣性核融合という技術で核融合を点火できると確認された。核融合とは水素などの2つの原子核が融合する現象のことで、途方もない過剰エネルギーを生み出す力を秘めている。一方、核分裂とは文字通り原子が2つに分裂する現象のことだ。

 兵器として利用するのではなく、エネルギー生産に核融合を使うのなら点火を完全に制御する必要があるが、過去に成功した試しはない。しかし今回のデモンストレーションの成功により、実現へ向けて大きく前進したと言えるだろう。

 研究所で核融合を起こすには膨大なパワーのレーザー出力が必要になるが、制御された核融合が成功すればその10倍から100倍もの電力を生産できるはずである。何十億年も輝き続ける夜空の星がなによりの証拠だ。

 しかもパワフルなだけでなく、クリーンかつエコでもあるという。「長期にわたって悪影響を及ぼす核廃棄物が生じないのも強みだ。それどころか、放射能の汚染値を化学的に下げる効果も期待されており、実際に核廃棄物問題の解決策として核融合の利用を提唱する科学者もいる」とグレンザー氏は説明する。核融合で発生する中性子には放射性原子の配列を組み替え、放射能を除去する力があるらしい。

 核融合はカーボンフリーなエネルギー源としても期待されている。実現すれば炭酸ガスを排出せずに発電でき、地球温暖化の進行に歯止めがかかる。

 また、石油や石炭などの化石燃料およびウランなどの核分裂燃料には限りがあるが、核融合の燃料は地球上や内部、はては宇宙にも無尽蔵に存在するというメリットがある。その量たるや、太陽の寿命が尽きるまで地球上の電力を賄えるほどだ。

 今回の実験では小指の先ほどの純金製シリンダーに燃料ペレットを格納し、それを目掛けて複数のレーザー・ビームを照射するという方法をとった。

 レーザーのエネルギーはシリンダーに吸収され、X線熱エネルギーに変換された。X線はシリンダー内を四方八方跳ね回った後、最終的にあらゆる側面から燃料ペレットに衝突した。そしてX線を吸収したペレットは約3300万度まで加熱され、爆縮したのである。

 この実験はレーザーによるシリンダーの加熱効率をテストする目的で行われた。したがって燃料ペレットはプラスチックとヘリウムが主成分であり、実際の燃料はほとんど使用されなかった。本来、水素の同位体である固体の二重水素と三重水素で作られたペレットが燃料となり核融合の点火に至るという。

 グレンザー氏は次のように話す。「今年中に核融合実験を実施したい。実際の燃料ペレットを使用すれば、サッカーボールが釘の頭ぐらいになるほどの爆縮が起こるだろう。中心部が高温に達して核融合が始まるはずだ」。

 研究チームの見積もりでは、1秒あたり燃料ペレット約5個を融合炉に投入すれば、1発電所あたり最大10億ワットの電力を継続的に生産できるという。サンフランシスコの電力消費をまかなえる規模である。「10年以内に実用レベルのプロトタイプ発電所を建設できるのではないか」とグレンザー氏は予想している。

乾燥のナミブ砂漠につかの間の水流

2010年01月30日 02時24分29秒 | 自然
 衛星高度から撮影したアフリカ南西部ナミビアのツァウチャブ川(Tsauchab River)下流域。乾期は干上がっているのが通常で、川筋の末端には粘土質の泥が堆積した、現地で「ソススフレイ(Sossus Vlei、小さな湖)」と呼ばれる窪地が形成されている(写真左下)。

 2009年12月24日、国際宇宙ステーション(ISS)のクルーが水が流れる様子を撮影した。雨期に水流が戻るたびに川の堆積物は海岸低地へと運ばれる。このプロセスが数千万年にわたって繰り返され、流域に広がるナミブ砂漠の赤い砂山が形成されたと考えられている。

宿主を性転換させる寄生バクテリア

2010年01月30日 00時31分59秒 | サイエンス
 急速にその数を増やしている寄生バクテリアがいる。このバクテリアは、宿主を性転換させて単為生殖化を引き起こすだけでなく、宿主を“気味の悪い怪物”に変身させてしまう。このような大惨事ともいえる生殖異常を引き起こす仕組みが最新の研究で解明された。その方法とは、免疫系を停止させることだという。

 キョウソヤドリコバチをはじめとする寄生ハチ3種のゲノムを初めて解読した研究者チームによると、バクテリアの一種であるボルバキアはハチの遺伝子を操作し、バクテリアの侵入に対して警報を発するタンパク質を抑え込んでしまうという。その結果、バクテリアに対する防御機構が機能せず、ボルバキアは悪事を働くことができる。

 この仕組みは、ボルバキアが宿主とするダニやクモ、線虫などの昆虫への感染でも使われている可能性がある。これらの生物すべてにおいて、宿主の生殖システムが改造される現象が起きているのだ。その結果は実に奇妙で、明らかにオスを不要とする生殖戦略が取られている。

 ボルバキアに感染したオスは、生殖能力のあるメスに性転換するか命を奪われる。メスの場合はオスを必要とせず、単独で子を作らせる。また感染したオスの精子は、非感染のメスと交配しても正常に受精できず子孫を残せない。

 オスがこれほどひどい仕打ちを受けるのは、ボルバキアは最小限の細胞質しかない精子に潜り込めないためだ。卵子に感染したメスのみがボルバキアを子孫に伝えることができる。

「人間の世界ではSFかもしれないが、昆虫の世界では正真正銘の現実だ」と、アメリカ、テネシー州のヴァンダービルト大学で生物学の教授を務めるセス・ボーデンスタイン氏は話す。同氏は今回の研究を行った国際コンソーシアムの一員である。

 ボーデンスタイン氏が“性の操り人形師”と呼ぶボルバキアは、フランケンシュタイン張りの改造を宿主に行うことで、ほかの寄生生物より優位に立っている。宿主を殺すことなく繁殖できるため、宿主の繁殖とともに宿主の子孫へと広がっていくチャンスが大きいのだ。

 事実、ボルバキアの生存戦略があまりに優れているため、“動物界でも特に成功を収めている寄生生物”と称される。ボーデンスタイン氏によると、クモやダニが属する節足動物の約70%に感染しているという。「腐った果物などに留まるハエはどこにでもいるが、ボルバキアが感染している可能性が高い」。

 ただし、ボルバキアの仕事は常に正確なわけではない。時には中途半端に終わり、半分オスで半分メスという“気味の悪い怪物”を作り出すことがあるという。

 ボルバキアが遺伝子に破壊行為を仕掛ける正確な方法はわかっていない。ただし、ボルバキアが単に感染するだけではなく、宿主のゲノムに自身の遺伝子の一部を移しているのは確かだ。

 具体的なプロセスははっきりしていないが、ボルバキアは宿主の生殖システムに感染することで、自身の遺伝子が宿主の遺伝子に吸収される可能性を高めているとボーデンスタイン氏は考えている。

 ボルバキアが宿主の間で広がっていく仕組みの中でも、特に宿主の子孫への伝播方法がわかれば、昆虫によって媒介されるマラリアやデング熱などの感染症の拡大を抑制できるかもしれないとボーデンスタイン氏は期待を寄せている。

 例えば、蚊に遺伝子を挿入し、マラリアの原因となるバクテリアへの耐性を持たせる方法は既にわかっている。ただし、この遺伝子をすべての蚊に広げる効果的な方法は見つかっていない。

 このような遺伝子をボルバキアのゲノムに組み込むことができれば、ボルバキアが“自動機械”の役割を果たし、蚊から蚊へと遺伝子が伝わるかもしれない。ボーデンスタイン氏は将来的な用途に期待しつつ、「基礎科学の見地からも非常に興味深い。バクテリアのように単純な生物が複雑な宿主の性や生殖を操作できるなんて」と今回の研究成果を喜んでいる。

 この研究成果は「Science」誌の1月15日号に掲載されている。

スピリット走行不能、NASA公式発表

2010年01月29日 23時01分31秒 | 宇宙
 2004年から火星の調査に奔走してきた探査車スピリットの足が完全に止まろうとしている。昨年5月に南半球にある小さなクレーター「トロイ(Troy)」の砂地に車輪を取られて以来、継続的に脱出が試みられてきたが、スピリットは依然として移動できない状態だ。

 この状況を受けてミッション責任者は26日、脱出の断念を発表した。現在の走行可能距離は10センチ程度でほとんど身動き取れない状況だが、今後も現在の停車位置から可能な限りの観測が行われるという。

 NASAの火星探査プログラムを指揮するダグ・マッキション氏は26日、ワシントンD.C.で記者会見を開き次のようにコメントしている。「あのクレーターはゴルフで言うなら“恐怖のバンカー”だ。バンカーショットを何度繰り返しても抜け出すことができない」。

 脱出を断念したいま、スピリットの運転担当者は可能な範囲で車体を動かし、迫り来る冬を無事越せるような傾きにしようと模索しているところだ。

 カリフォルニア州パサデナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)で活動する火星探査車プロジェクトの責任者ジョン・カラス氏は次のように話す。「過去にも車体を駆動して太陽電池パネルを北に傾け、太陽光を最大限取り込むことに成功したことがある。現在は南に約9度傾いており、太陽発電に適切な状況とは言えない。傾きを改善できなければ、電力不足で日常的な活動が困難になるだろう」。

 その場合、スピリットは自発的に休止状態に入り、約6カ月間に渡って通信が途絶えるものと見込まれる。

 カラス氏によると、現在のスピリットにとって最大の課題は越冬だという。「通常は電源をオンに維持して車体を保温するんだ。冬場に車をアイドリングするようにね」と同氏は説明する。

 これまで日射量の減少する冬場はスピリットを停車させ、車体をできる限り北に傾けて太陽光を取り込んでいた。そうして春に再び動けるようになるまで最低限必要な電力を確保し、通信を継続していたのである。

 しかしスピリットが休止状態に入ると、太陽電池パネルで発電した電力はバッテリーの充電に回され、電子機器の保温は行われなくなる。今年の冬、火星の気温はマイナス45度ぐらいまで下がると予想されているが、スピリットは休止状態でマイナス55度まで耐えられるように設計されているという。

 この件についてカラス氏は次のようにコメントしている。「設計限度の範囲内ではあるが、新品の車体でしかテストされていない。90日という短期間のミッションを想定して設計されたスピリットも、火星の探査を始めて既に6年を経過した。したがって無事に冬を越せる保証はなく、春が来て再び通信を開始してくれるのか本当に心配だ」。

 スピリットの運転を担当しているJPLのアシュリー・ストラウプ氏は、「スピリットが春に活動を再開したら、可動システムを最大限活用して万全の調査活動を実施できるようにしたい」と話す。

 ニューヨーク州にあるコーネル大学の教授で、火星探査車プロジェクトの主任研究員でもあるスティーブ・スクワイヤーズ氏は、「スピリットの立ち往生にもプラスの面があるかもしれない。例えば火星の核や大気の状態、過去の水の動向に関して、新たな発見がもたらされる可能性もある。移動する必要がなくなった分、これからはまったく新しい分野の科学調査に没頭できる」。

 例えばスピリットが一定の場所から発信する電波信号を追跡調査すれば、火星の自転軸の揺らぎを正確に計算できるのではないだろうか。

 ロボット・アームを使ってクレーター周辺の複数の場所から土壌サンプルを採取し調査すれば、火星の大気と地表の間で長年に渡って行われてきた相互作用を解明することもできる。また、今度の立ち往生が功を奏し、クレーター「トロイ」が硫酸塩の層で不自然に覆われていることが判明している。周辺地域が比較的最近、水の作用を受けている可能性が示唆されたかたちだ。

 スピリットの活動継続を諦めていないスクワイヤーズ氏は、「まだまだ多くの科学的発見を期待できる。誰もが驚くような新事実も見つかるかもしれない.」と話している。

木星のまわりになぞのX線放射を発見

2010年01月29日 22時40分12秒 | 宇宙
首都大学東京の研究グループが、X線天文衛星「すざく」のデータから、高エネルギーのX線(硬X線)放射を発見した。硬X線は、木星の周囲約100万km×50万kmの範囲(衛星イオの軌道の2倍以上)に広がっている。

これまでに他のX線天文衛星の観測から、木星本体や衛星イオの軌道から比較的低いエネルギーのX線(軟X線)が放射されていることは知られていたが、高エネルギーのX線が発見されたのは初めてのことである。

硬X線の広がりは、木星の強力な磁場にとらえられた粒子が作る帯状の構造(放射線帯)とよく一致しているという。木星の磁場は、地球の磁場の1万倍である。

また、硬X線の放射メカニズムは、何らかのしくみで光速近くにまで加速された大量の高エネルギー電子から、太陽の光子がエネルギーを得ているためではないかと考えられており、このような現象が惑星から検出されたのも初めてである。

なお、木星の放射線帯を探査機が直接観測するのは難しいため、今後「すざく」をはじめとするX線観測衛星が木星の放射線帯における粒子加速のメカニズムを探る新たな手段になると期待されている。

ハタの家、他の生物も間借り

2010年01月29日 22時10分50秒 | サイエンス
 最新の研究によると、ハタが海底の岩場に作った“マイホーム”には、ほかの海洋生物も勝手に住んでいるようだ。

 フロリダ西岸沿いに多く生息するツマグロハタの幼魚は、海底の砂に隠れた穴から砂を取り除く。こうして現れた穴はハタの住処となるだけでなく、サンゴやロブスターなど他の海洋生物にとっても住み心地の良い場所になるという。

 この驚きの発見は、ツマグロハタがビーバーと同様、自分のニーズに合わせて環境を作り替えると同時に、ほかの生物の住処も作り出す“生態系エンジニア”であることを示している。この研究を率いたフロリダ州立大学沿岸海洋研究所長フェリシア・コールマン氏は、「巣の間借りとは驚きだ。普通なら住めない場所に住み着くチャンスになっている」と話す。

 今回の研究中、西フロリダ陸棚沖の比較的浅い海底でツマグロハタの幼魚が砂を掘っているのをダイバーが目撃した。ハタの幼魚は砂に埋まった溶食穴を何らかの方法で探り当てる。溶食穴とは、何千年も前、海水面が現在より低かった時期に岩の表面の開口部が淡水で削られて形成された穴で、ハタの幼魚が掘っていた溶食穴は、海水面が上昇するにつれて堆積物で満たされたものである。

 ツマグロハタは口とヒレを使って砂を取り除き、“ハタ穴”と呼ばれるくぼみを作る。この穴は、捕食者からの隠れ場所を求める掃除魚やカニやイセエビだけでなく、サンゴ、海綿動物、イソギンチャクといった生物にとっても“夢の家”となる。

 ツマグロハタは自分の穴に砂や岩屑が入ってくるとかき出して、穴を丁寧にメンテナンスする。そうしておけば、いつでも掃除魚に身なりを整えてもらえ、異性と安全に落ち合える場所も確保でき、また時には容易に餌にありつくこともできると今回の研究は指摘する。

ハタは幼魚期の数年を浅い海で過ごし、成長すると深い海へと出て行く。深い海底では幼魚期の巣よりも大きな溶食穴を掘り返す。この穴は直径が最大5メートル、深さ1メートルにも及ぶことがある。「海に潜ってこの穴に遭遇すると、穴の上に魚が群がっているのが見える。実に壮観だ」とコールマン氏は話す。

 同氏によると、ハタの成魚は巣を一度作ると生涯それを使い続けるのが普通だという。オスとメスは互いに近所の穴に住み、メスがオスの巣まで出かけて交尾する。「ハタは引越しをしない。考えてみるとその必要が無いのだ。餌は向こうからやって来るし、掃除魚もやって来る。そして少なくともオスにとっては、異性も向こうから来てくれる。ある意味で完璧な場所だ」。

 この研究はオンラインジャーナル「The Open Fish Science Journal」誌に2010年1月9日に発表された。

ニュートン衛星が銀河団のX線源を観測

2010年01月29日 21時59分37秒 | 宇宙
 欧州宇宙機関(ESA)のXMMニュートンX線観測衛星がとらえた無数の銀河。さまざまな色彩を放つ果実のようにカラフルな銀河が、所狭しと密集している(2010年1月20日公開)。紫色の線は各銀河団を取り巻く高温ガスから放射されるX線で、このスペクトル分析から、暗黒物質が遠方の天体の構造に与える影響を解明できるという。

 X線観測によって銀河団中心部の銀河を特定できる。また、銀河団から放たれる光が重力で屈曲する様子から、暗黒物質も含めたその質量がわかる。XMMニュートンの研究チームによると、はるか遠くにある銀河団の観測にこの手法を用いるのは初めてだという。

宇宙から観測した金環食

2010年01月29日 21時30分28秒 | 宇宙
 1月15日の金環食を宇宙からとらえた珍しい画像。2009年11月に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星プローバ2(Proba-2)が初めて太陽を観測した際に撮影された。

 プローバ2は1立方メートルに満たない小型衛星で、恒星追跡装置や小惑星探査機など、最終的に大型の宇宙船に転用される可能性のある一連の最新技術の試験を目的として運用されている。