世界中の人がみんな観ればいい…。
ヒトって弱い、でも強い。 弱さを強さに変えるのは愛かもしれない。
アメリカの同時多発テロで最愛の父を失くした11歳の少年オスカー。
繊細で不器用で恐がりで、でも純粋で真っ直ぐで、そして優しさ溢れるオスカー。
その彼を同じ目線に立って無償の愛で支え続ける父。
そんな父を突然に失い、現実を受け止められず苦しむオスカー。
「受け止めなきゃいけない」「しっかりしなきゃいけない」と自分を奮い立たせようとする心と、
悲しみに暮れる空っぽの心が葛藤する。
弱い自分に勝つ為の旅。
父の残した鍵の答えを見つける事は、父が望んだハズの自分の姿。
利口な少年は全てを分かって勇気を持って旅に出る。
ガスマスクとタンバリンで自分を守りながら。
その死が父じゃなく「ママだったら良かった」と母親に言い放つ一言。
その通りだと黙って受け止める母。 せつない…。
同じ様に我が子を愛しているのに…。
たくさんの人が大切な何かを失っているんだと知らされた旅。
それでもみんな生きていこうと必死に闘っている姿を目の当たりにした旅。
言葉を失くした老人も、夫を失った妻も、みんなまた愛する人の為に生きようとする。
父からの最後のメッセージは電話から聞こえる呼び声じゃなくて「ブランコ」。
見つけられて良かった。 不滅の父の愛を胸に抱きながら生きていける。
少年の心の一片一片が胸に迫ってきて、ジンワリと苦しい映画。
少年の母も祖母もそして祖父も夫々の苦しみを背負っていて、その一人一人に心を寄せるともっと深みを感じる映画。
苦しいけど、悲しいけど、自分が愛する人、自分を愛してくれる人がいるからまた前を向ける。
震災以来、「絆」を簡単に口にする事に抵抗を感じていた。
軽率に言いたくなかった。
でも本当に、支え合う「絆」は必要なんだと心からそう思う。