katydid's blog

ハネナガキリギリスが住んでいるところに生息しています。

叶えた夢

2014-07-28 18:55:06 | 2014
今年の一節が終わりを迎えようとしています。

石中さんは産卵の一区切りを終えようとしています。

ダっ君は早くも次の交尾を欲して一日中鳴き続けています。



♂と♀の生活サイクルは同じ時間を過ごしていても波は異なっていますので

どちらかに合わせようとすると、一方が相当に辛い日々を送ることになり

どちらも満足させるためには倍かそれ以上のパートナーが必要になります。



室内で自由にさせて怪我もさせず

彼らの都合に合わせて、子孫を残したくなったら常に無駄なく思い通りに過ごさせるのは

限りなく不可能に近いです。僕が億万長者なら一室巨大なビオトープを作りますが(笑)

自然下ならば栄養不足、天候等の環境変化、天敵との遭遇、仲間同士でも存在する生存競争

行く手を阻むものは数限りなくあるでしょう。

普段はそのような厳しい状況下で生きるとしても

ひとときでも僕の家で安全に心地よく暮らしてくれて

そして少しでも生きる可能性を高くしてあげられたら僕は満足です。



自由だけれど一瞬で命を失う可能性がある貧困な生活と

拘束されているけれど安全で裕福な生活

選択は難しいけれど、キリギリスの本来あるべき姿は前者と感じます。

それにキリギリスと一緒に過ごすようになった年、最期を看取って何度涙を流したか

どれだけ愛情を抱いていて全身を刺され続けるような思いをしたことか

これは僕の弱さからくるだけのことです。

周りの人は普通なら食べられもしないものをたくさん食べて

雨風寒さも感じずに看取られて老衰で死んでいくのなら

なんて幸せなキリギリスなんだろうと思うよとか

毎日?キリギリスに合わせてそこまでしていたの?

そのキリギリスは幸せだったね と言ってくれます。

その優しさはキリギリスを愛しているが故に心に染みいるように嬉しいです。

でも少なくとも今の僕には命が尽きるまでそうすることはできません。

縁あって僕の家に来てくれたならば、僕と出会ったことを幸せに思ってもらって

そしてその子達のために次の世代を必ず育て上げて命をつなぎたい

それが僕のしたいことであり願いなのです。







石中さんは昨日3時間くらい僕の手のひらで休んでいました。

そう言えば敏感だけど大人しい子で、何でもそーっとしてあげないと落ち着かなくなるのに

自分ではないつもりでも1日が短く感じて、つい優しく接していない日もあっただろうか。

君はこの家に生まれて良かったと思ってくれるだろうか。

たかが6年の経験だが君たちの望むことを毎日考え続けて精一杯をやってみたのだが

君らにとってどうだった?気に入ってもらえただろうか

一応僕も必死だったんだよ。

限界などという言葉を忘れて君達と接した。

君達との別れに泣けるくらいに

大好きだった。



でもそれでも喜んでほしい。

別れは悲しくてもこの物語はハッピーエンドだ。

姫 君だ 君に伝えたい。

君の子どもを生きていけるくらいまで育てて、君がいた場所に帰したが

その地域でキリギリスが鳴いていたのは帰した場所だけだった。

君の子ども達は逞しく生き抜いたんだ。

君も僕も運命を切り開いたよ。

奏でる音色が君たちの子どもだと思うと嬉しくてたまらない。

君を帰してからも君がたくさんの子を産み残したとしたら

これからも君のような稀にみる可愛いキリギリス達が休む間もなく現れ続けるだろう。

叶えてほしいと誰に願ったわけでもない。

君達と僕が困難を乗り越えて叶えた夢なのだと

僕は思っている。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 生きている者同士の共感 | トップ | キリギリスは好きですか? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

2014」カテゴリの最新記事