たまに行くフレンチのレストラン。
高台にある欧風の落ち着いた造りの店。
市内を一望できるロケーションがいい。
店内に案内される。
テーブルの上に木肌を生かした木製の胡椒置きがある。
以前はなかった。
オシボリも桜の木の木肌を残した分厚いプレートで出てきた。
フォークにナイフ、スプーンも木製の箸置きのような物の上に置かれる。
メインディッシュなども木製の分厚いプレートに載って次々出てきた。
なんだこれ。
すっかり雰囲気が違っている。
スタッフに「オーナーがお気に入りの木工作家でも見つけた?」と尋ねる。
「会長が趣味の木工細工で作られた物で・・・」と教えてくれた。
やっぱり。
若いスタッフたちは相手が会長とあって、気づいても意見は言えないのだろうなぁ。
テーブルの雰囲気は台無し。
料理を引き立てるはずの小物が料理まで台無しにしている。
素人っぽい木製プレートがミスマッチどころか繁雑で鬱陶しい。
男性スタッフにそっと話しかける。
「お客様の声を集約する担当ですから伝えます」
「雰囲気変わったんだねと他のお客様にも言われます」
そういって苦笑いしながら相槌を打っていた。
今日も季節の食材を生かした料理は超美味で最高だった。
高級レストランなどのグループを一代で築いてきたセンスのいい会長。
寄る年波のせいで少し錆びついてきたのかもしれない・・・
そんなことを思いながら、スタッフに見送られ店を後にした。