天日干しの米を貰う。
この米は去年、新米のお裾分けで貰いあまりの美味しさにうなったもの。その第2弾が届いた。人の舌は賢くて、一番美味しいものをすぐさま上書きして覚えてしまう。毎日とる米はとくに別格で旨味がストレートにわかる。
困るのは美味いの最上位が入力されてしまうと、それまで美味しいと感じていた米では物足りなくなること。
もう随分前のこと。金沢市であった全国規模の研究集会に参加したことがある。連泊で顔馴染みになったスナックで、地元一押しの料理店を教えてもらった。1階の魚屋さんが経営する2階の料理屋さん。そこで食べた海鮮料理は絶品。その海鮮を凌駕したのがツヤツヤでもっちりの「ササニシキ」だった。驚くほどの旨さは衝撃的だった。
それから、米にこだわるマイブームがしばらく続いたことがある。
刈り取った米がハデに掛けられ田んぼに並ぶのは秋の風物詩だった。効率化が進みハデ干しの風景は姿を消した。天日に干された米はこんなに旨味が深くなるのに皮肉なことだ。