自宅から車で30分くらいのところにある 祖母の家の下で 父は喫茶店をしていて
幼いころは店の裏にある 応接間で よく過ごしていた
祖母の飼っていた 凶暴な犬が 亡くなって しばらくしたころ
泥棒が入りかけたので また番犬が必要だという話になり 犬を飼うことになった
当時 コリーやシェパードがドラマやアニメで活躍していたので
そんな 賢い犬が来ることを勝手に想像していた
お店のお客さんが
「新聞屋さんの犬が赤ちゃんを産んだから 少し大きくなったらあげる」と 話がすすんでいき
わたしは わくわくして待っていた
そして とうとう約束のその日 一緒にもらいに行くことになった
車の助手席で 待っていた私の膝に ポンとおかれた その犬は
見たこともない 茶色のふわふわの犬だった 「犬?」
想像とは まったくちがって 耳がたれていてちょっと間抜けな顔だった
けれども 愛嬌のあるその子犬をみんな すぐに大好きになった
私は 毎日 店の番犬を 家に連れて帰ってもらえるよう
父に頼みこんだ
父はその子犬を手提げ袋に隠して家に入り 一瞬残念そうにする私を見た後 ぴょこんと出すのを楽しんでいた
名前は私が考えると みんなに 言いはり
「ジョン→マーク→ドン」・・・といろいろ呼んだけど ぜんぜん振り向かない
だって みんなが
「チビ」って呼ぶから・・・
だから わたしだけ
「ちびどん」って 呼んでた
私が結婚するちょっと前に亡くなってしまったちびどん
めっちゃかわいかったな~ ちびどん