市の施設で お風呂が無料だというので 仕事が終わってから いそいそと 二日も続けて行ってみた
噂には聞いていたけれど 高齢の常連さんがほとんどのようで
みなさん 挨拶をしたり 今日の出来事を話したり 見慣れない私に声をかけてくれる方もいる
小さな お風呂なので 洗い場のシャワーは全部で10台くらいしかない
私が行った時は まだ 何台が空いていたけれど すぐに いっぱいになった
スーパー銭湯なら たいてい椅子や洗面器は シャワー台の前に1つずつ置いてあるけれど
そこでは 自分が使った椅子や洗面器は 各自 元の場所に戻すようだ
そういえば 昔 銭湯に連れて行ってもらった時は お湯で流してから元の場所に戻していたな・・・
ただ 不自然に思うのは どれだけ 洗い場が込んでいて あきらかに 空くのを待っている人がいても
必ず 椅子と洗面器は元の場所に戻して 次の人が自分で持って行っている
仮に知り合いでも 次の人に「どうぞ」とはならないようだ
もしかしたら お知り合いでの場所取りのようになるからなのかな・・・考えすぎかな・・・
ふだんは 娘も一緒なので それほど まわりを見ることなく せっせと自分の事をすませて
ついつい嬉しくなってはしゃいでいる娘たちの マナーを監視する役目を担っているけれど
一人だと いろんな ところに目が行く
小さな サウナもあり ゆったりお風呂に入ることができた
出口のところで 体を拭いて 脱衣所で着替えていると
小学生の高学年くらいの 女の子ふたりが ビチョビチョのまま 走って ロッカーに帰ってきた
内心 あ~ ビチョビチョ
は 駄目だなぁ と 思った瞬間
「そんなんで 上がってきたら 床がぬれて すべって 転ぶやろ!
」と
常連さんらしき方から ややキツめの お叱りがとんだ
けれども 少女たちは なぜか そちらを 振り向くことなく 体を拭いている
・・・アレ?聞こえてない? いや このタイミングで この人数だし
なんだか ドキドキして 様子をうかがっていると さらに 常連さんから
「あの モップを 使って 拭き!」と そばにモップがあることを少女たちに言った
けれども けれども やはり 背中を向け 着替えている
どうやら ふたりはサッカー少女らしく 真っ黒に日焼けした体に サッカーチームのユニフォームがよく似合う
「こんなんは な 自分らでせな 手を貸したら なおらないからな・・・」とまた 違う常連さんからの一言
もう 目が離せない・・・ ここは もしかして そばにいる 私が声をかけるべきなのだろうか・・・
迷っていると また 違う常連さんが ビチョビチョの床を サササッと拭いてくださった
少女たちは 背中を向けていて もう 着替えも終わりかけだ
雰囲気が とっても 悪くなってしまっているので 私も声をかけることにした
「床を拭いてくれはったから お礼を言っておかないと・・・」
すると わたしがまだ言い終わらないうちに 2人そろって クルリと後ろを向いて
「ありがとうございました!!!」と 大きな声で言った
もしかしたら あまりの 恐さに どうしていいのか わからなかったのかも・・・
常連さんたちも 気持ちのいいお礼に 顔が ほころぶ
さっき までの 緊張した空気が和んだ
他人さんに 怒られる経験は なかなか ないので うちの子どもたちも
もしかしたら 同じように かたまるかもしれないな
これに 懲りずに 少女たちにはまた お風呂を楽しんでほしいな
と・・・・翌日 またその銭湯で体を洗っていると となりに その少女が やってきた
今日も さらに顔が日に焼けて 真っ赤になっている
「よく 焼けたね」って 笑って挨拶してみた
にっこり笑う少女
サッサと洗って スクッと 立ち上がって 2人とも 去って行った
もちろん 椅子と洗面器はそのままだ
「椅子をなおした方がいいよ~・・・体は拭いてから出るんだよ~」
とは 言えなかった
常連さんになるには もう少し時間が必要