市内の歩道を歩いていると、甘い香りが漂ってきた。
歩道には淡いピンク色をした実がたくさん落ちている。
見上げれば熟したレンブがたわわに実っていた。
あたり一面なんともいえない甘酸っぱい香りに包まれている。
本土ではあまり馴染みがないかも知れない。
「蓮霧」と書いてレンブ。台湾ではもっともポピュラーなフルーツ。
台湾語でも「リェンブー」と発音する。
フトモモ科の果実で原産地はマレー半島。
台湾のホテルに入るとテーブルの上によく置いてある。
レンブがあるだけで部屋には甘い香りがする。
17世紀、オランダの東インド会社が台湾に侵攻し、明との間で
戦争が起こった。結果、台湾はオランダに統治される。
オランダはレンブを台湾に持ち込み農園で栽培させたのが台湾での
レンブのおこりだと伝えられている。
台湾の土産物屋さんなどでこの話しをよく聞く。
一つ実をとってかじってみた。梨のようなシャキシャキとしたかみごたえで、
甘酸っぱく爽やかな味がする。こんなにたくさんの実がたわわになっているのに、
不思議なことに誰も立ち止まることなく通りすぎていく。