大家族だった。その頃、父の仕事はバンドマン、父の友人達が
集まるとジャズが始まる。今から考えるとよく近所から苦情が
来なかったものだ。
父はサックス奏者で、いつも首からサックスをひっかける金具を
つけていた。ある日、いつも首からぶらさげていた金具が
なくなった。バンドマンをやめて会社に就職したのが、おそらく
首からぶらさげていた金具が無くなった日。
「いつまでも夢を食べて生きてはいけないから」幼かったはずの
記憶の中に、その言葉がやきついている。
私はカラカラ先生と二人だが、いつもたくさんの人と一緒で、
スタッフや遊びにこられる方たちと一緒に毎日を楽しく
過ごしている。ここに引っ越してきてからは、一つ屋根の下で
大家族だ。
父は「夢を食べてはいけないから」と言った。
私は、たくさんの人から夢や思いやりを頂いて、時には厳しい意見も
食べて生きている。朝の涼しい風、沈む美しい夕日、みんなで飲む
オリオンビール。なんと恵まれた生活だろう。
それに夢は私の大好物だ。
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