群馬県みどり市にある、国際サーカス村。
このサーカス学校の代表である西田敬一氏とシアターXで再会。
その彼との近況の報告を交わした際に、「旅する道化師と大道芸人たち」の公演の案内をいただいた。
ので、
昨日見てまいりました。
高村篤さん・田中健太さんによる、高度で軽妙なジャグリングや曲芸。
そして、ふくろこうじさんの圧巻の作品「出口あり」。
さほど広くはない会場で、
子供達の絶妙なツッコミと共に見る芸はライブのハラハラドキドキ満載。
素直に騒ぐ楽しさに満ちていました。
この4月・5月は西日本各地を旅公演。
その心意気を以下にご紹介。
「国際サーカス村通信 vol.16 n004」からの抜粋です。
『旅する道化師と大道芸人たち』
放射能汚染によるサーカス学校休校。しかしサーカス村の活動を止めるわけにはいかない。そんな思いから、表記の活動を行いたいと宣言し、4、5月、九州・四国へ“さすらいの旅”を計画。この計画をなんとか実施しようと、ふくろこうじ『出口あり』にくわえて、彼を含めた高村篤、田中健太両君の大道芸の公演ができないか、友人に加えて友達の友達“大作戦”を展開し、あちこちに連絡を入れた、ここ2ヵ月半。しかし、思うようには公演場所が決まらず、悪戦苦闘しつつも、なんとか別紙スケジュールを組んでいる現在。
快く公演の準備をしてくださっている方、宿舎を提供してくださる方、なんともありがたく、感謝申し上げる次第です。
しかし、まだまだ空き日もあり、なんとか公演できる日を一日でも増やしたいので、ぜひ、皆様ご協力のほど、よろしくお願いします。
*
ところで、サーカス学校は、まだ、市による除染は行われていないが、この4月以降、除染するとのこと。2月15日、ぼくが放射線量を測定したところ、体育館の屋根の雨水を受ける樋の下の排水溝では、毎時1.5マイクロシーベルトと、昨年12月の約倍の数字に針が振れて、暗澹たる気持ちになってしまった。果たして除染しても一時的なもので、周囲が山だったりすると、雨が降るたびに平地に流れてくるとのことで、放射線量が減ることは期待できないという話を聞くと、今後の対策はどうすればいいのか、正直、不安な気持ちを拭い去ることはできない。
放射能汚染を完全に取り去り、東京電力福島第一原発事故以前の状態に戻せなければ、この原発事故の収束宣言などありえないし、人々の気持ちから不安の文字は消えることはない。原発を再稼動すれば、いつ、第二、第三の原発事故がおこらないとは誰も保証できない以上、再稼動を容認することはできないと思うのが、フツーの人間の当たり前の気持ち。経済成長のために電力不足は許されないという人々は、人より金(経済)で、この原発事故で悲惨な目にあっている人々の命、健康、子供たちにたいして、どんな気持ちなのか。正直、その気持ちを推しはかることができない。経済発展が、豊かな階級の人々をより豊かにする一方、貧しい人々がますます路上に投げ出されていくこの国の仕組みを組み替えなければ、何の意味もない。
ぼくらの今回の旅には、旅先での人々との交流が大きなウェイトを占めている。そう、話し合いたいのだ。放射能汚染でサーカス学校を休校にせざるをえないこと。あなたのところが、放射能に汚染され、そこでの活動、生活をどうするか考えなくてはいけなくなったら、どうするか、を。
ぼくらは、なんとかサーカス学校を再開したいと考えているものの、たとえ除染が行われてもそれが完全なものであることが期待できない以上、どのように再開すればいいのか。いまはまったくその道が見えていない。今回の旅で、それが見えてくるかどうか。それもまた予測不可能だ。休校をつづけるにしろ再開するにしろ、ぼくらは、この放射能に汚染された日本列島のなかで生きる道を探らなければならない。だが、少なくとも、原発が稼動し、いつ、第二、第三の原発事故がおこるかもしれないという不安をかかえたままの未来を、原発を推進する人々と共有するつもりはない。ぼくらは、自分たちの未来を、自分たちの手で築いていきたいのである。
<西田敬一>
2012年4月13日(金)
大宰府館・まほろばホール にて
国際サーカス村
376-0303 群馬県みどり市東町座間41-1
http://www.circus-mura.net