ご隠居さん:自我や世間の枠にとらわれず、社会の潤滑油となりたいものです。 AI時代は 人間らしい自由な発想がカッコいい

年を重ね、経験を積むにつれ、その時々の思いも変わっていく。その足跡を残しておくために

景気

2010年01月04日 | 企業と仕事 
2010年の景気アンケート(主要119社、毎日新聞)では、三つのリスク「個人消費低迷・円高・デフレ」を抱え、景気は踊り場に入る、として先行きは暗い。二番底への警戒感も根強い。
昨年、僕も仕事で約100社以上を訪問したが、全体の印象として、今年はもっと悪くなると思う。
大企業は、中国・東南アジアの「品質からコスト競争へ」の追い上げが急で、海外への生産拠点が加速しそうな気配だ。国内の下請けメーカーは、親会社からの過剰な品質・納期面の要求に加え、20~30%のコストダウンを突き付けられている。
小規模・零細企業の底力には感心することが多いが、果たしてこの危機を乗り越えることができるだろうか。
そろそろ、信頼を失ってきた大手自動車・電機などの大企業から、中国企業による日本の下請け企業の買収も起りそうな気がする。
昨年の主な事例を振り返ってみる。
★1.13群馬県の建設機械/自動車向け中心の歯車・平ギヤ専門会社:
 前年の2008前半、増産に次ぐ増産に対し、無理な残業で対応していたが、2008夏、キーマン3名が退社、秋口からの突然の受注減少で、3出4休の中、社員のやる気はしぼんでいた。
経営者は、頼りになる社員がいないことを嘆かれていた。(行き当たりばったりで、経営理念の欠如?)
★1.18東京に本社、工場は新潟県にある建設機械部品メーカー:
 社長いわく「今年は参加ではなく、団結がキーワード」・・・2008年末の年越し派遣村からヒント。
 「仕事がない・家がない、という同じ立場、仕事と住まいを!という共通の目標、これが団結の絆を強めた。
 わが社の社員に対して、共有できる思い/方向付けを示せるか、私自身の一番の使命だ。」
★5.21茨城県のエンジン部品の研磨加工会社:
 現在、自動車のエンジン関係部品が90%以上、これが電気カーに変われば、ゼロになる。
N社の電気カー主軸加工の最終コンペで、競合品に負けたため、何とかこのノウハウを他社向けに生かしたい。
電気カーの実現で、エンジン関連会社をはじめ、下請け構造が大きく変わる。
★9.25静岡県の自動車足回り部品のバフ研磨加工会社:
 2008年末からの減産で、ブラジル人の女性パートさん数人が派遣切りとなり、人海戦術の作業ラインは活気がない。親会社の四輪は他県に移管、二輪も九州に全面移管となり、先細りの状態。
★11.9-10上越の屋根工事会社:
 雪国は鋼板(ガルバリウム)屋根が多いが、新築の落ち込みで仕事量も前年の半分くらい。
2,3年前から、環境関連の事業に取り組み、間伐材を利用したペレット燃料と暖炉ストーブが軌道に乗りつつある。故郷を心から愛し、何とか地場産業を育てたいという意気込みが伝わってくる。
奥さんはじめ、社員が若々しく、フットワークのある気持ちの良い会社だ。
社長の田んぼ(2町)は、共同会社(2名専従)で管理、田植えと稲刈りのときだけ自分で共同機械で作業するとのこと。米どころでも、大規模化、共同化がこれだけ進んでいることに驚く。
★11.11愛知県の自動車用プレス部品メーカー:
 典型的な町工場、小物の全自動プレス加工場は、通路もせまく、納品のポリ容器がどこそこに高く積まれている。ひとつひとつの機械の金型・取り出し治具はこれまでの工夫・ノウハウの結晶だ。
小さいながら、数個の工程を、1台の機械の動きの中で加工していく。(連続プレス)
1ケ2-3円、何百万個の単位で生産されているが、親会社がこの機械をそっくり海外の工場に持っていけば、すぐにモノにしてしまうだろう。
電気カー、エコカーへのシフトもあり、親会社からは30%増産、30%コストダウンを要請されているとのこと。
これだけ、自動化された部品には、人件費しか残されていない、と社長は絶望する。
★11.26関西の電気めっき会社:
 従来技術では、建設会社向けの処理が中心であるが、所詮「部品あっての処理」なので、会社の独自性がない。この会社では、電界発色という世界発の処理方式を開発、国の助成を受けて商品化、直接売り込みを進めている。社長はど根性の持ち主、「今は、大が小に学び、近づく時代」と意気軒高。
実に頼もしい。世界の環境、核軍縮の問題も、これまでのように強国、先進国の思惑では進められなくなってきている。
★12.10神戸のスプリング加工会社:
 大手電機メーカーの工場の近く、住宅地の3F建ての工場で、1,2Fが加工場、3Fが事務所という、家内工業の典型。社長は2代目、経理の奥さん、営業の子息(5年ほど外で働き後継ぎ)のほか、分工場はおじさん(専務)が管理している。古い年代物の機械が、低い天井に届きそうに、窮屈に配置されている。
一つのライン(数台)は休止、この関係の部品を中国に持って行かれたという。
★12.22静岡県のプラスティック加工会社:
 親会社は大手自動車メーカーほとんどと取引する業界大手メーカーで、そこの100%子会社。社長以下6名の役員を2名に、社員数115名から90名に減量経営を断行。
社長は、親会社の落ち込みが予想され、もっと厳しいリストラをやっているので、2010年にもう一段の減量が必至という。人材派遣もほとんど契約打ち切りとなったが、中国人の研修生は3年間の契約があるので継続中。
彼らは、目的を持って来ているので、熱心に覚えようとする人が多い、とのこと。
(技術・技能の移転は人次第・・・中国の勢いと日本の空洞化?)

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