気の広場

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ほんとうの強さ ・・・ 8.鋭意専心

2010-08-06 12:06:31 | Weblog
「堅強者死之道」という結論はすざましい。

「硬い強さは滅びにいたる道」といっているわけですから ・・・ 。


しかし これがいいすぎでないことは

「柳に雪折れなし」(柔らかいものは折れない)という俗諺をもっても

また 独裁者の末路はたいていよくない(「折れる」ことが多い)

  という事実をみても 納得がゆこうというものですね。



そこで なるべくたくましく「生の徒」たらんとすれば

・・・ 気ヲ専ラニシテ柔ヲ致ス。ことが必要になる。


鋭意専心 「柔らかくあろう 柔弱でいよう」と努めるわけで

これが修養や自己鍛錬 心身の健康法の目標ということにもなります。



なお 老子自身はいっていないですが

万物の生体が柔らかいのは一に 水の力によるはずです。

人体の成分も その60~70%が水だといいます。


ならば 人間 たとえではなくて じっさいに水の力によってこそ

生きることができ 柔らかい強さをもつこともできるわけですね。






ほんとうの強さ ・・・ 7.生あるものは全て柔らかい

2010-08-06 07:18:44 | Weblog
赤ん坊の握力が非情に強いこと どなたもご承知のところですね。


これについて 老子は

・・・ 骨弱ク 筋柔ラカクシテ 握ルコト固シ。


「筋肉が柔弱だからこそ 握る力が強いのだ」と説く。

なるほど いわれてみれば ・・・ 。

赤ン坊は生命力にもっとも富むもの だから もっとも柔弱

だから もっとも強い という理である のでしょうか。



これをもっと広くとらえると

・・・ 人ノ生ヤ柔弱 ソノ死スルヤ堅強。

    万物草木ノ生ヤ柔脆(ジュウゼイ)

      ソノ死スルヤ枯槁(ココウ)。

    ユエニ 堅強ナルモノハ死ノ徒 柔弱ナルモノハ生ノ徒ナリ。


「脆」もここでは 柔らかいという意味。

「槁」は枯と同じで 枯れて水分がなくなることです。


人間をふくめて 地の上の生きとし生けるもの すべて

  生あるときは柔らかく 死ぬと硬直します。


だから 柔弱こそが生命の本質 「生きてゆく力」の本体。

硬くなるとそれだけ その力にブレーキがかかる というわけでしょうね。



それにしても 「堅強者死之道」という結論はすざましい。

「硬い強さは滅びにいたる道」といっているわけですから ・・・ ね。


さて ・・・ 。











ほんとうの強さ ・・・ 6.水は岩をも砕く

2010-08-06 06:09:09 | Weblog
「柔弱・即・強」 ・・・


この世でもっとも柔弱なるものは何か というと

・・・ 天下 水ヨリ柔弱ハナシ。

    シカモ 堅強ヲセメルニ コレニヨク勝ルモノナシ。


水は 柔弱の最たるものです。

そして だからこそ かたいもにたいして 最強の力を発揮するのです。

木や革(かわ)のかたいものも 水にひたせば柔らかくなります。

水は 石にも穴をあけるし 量が多ければ 堅固な堤防をも壊します。

はげしく動けば 巨船もひっくりかえします。


柔弱で 動きが自由自在だから このようなことが可能なのです。

こういう強さをもつものは ほかにはひとつもないのです。



これにつづけて

・・・ 弱ノ強ニ勝チ 柔ノ剛ニ勝ツ。

    天下 知ラザルナケレドモ ヨク行ナウナシ。


柔らかいもののほうが強い という理は だれでも知っているのに

これを身につけて 実践できている人がいない というのですが

・・・ 私たちにおいては

「天下 知ラザル者多シ」と 改めるべきかもしれませんね。


ただし 理屈は知らずとも

  柔の強さを天性のように もしくは修養によって

たっぷり身につけている人もまた 少なくないのですが ・・・ 。






ほんとうの強さ ・・・ 5.柔らかい強さ

2010-08-06 05:17:00 | Weblog
武器の代名詞に使われることで

  鉄はいよいよ<強>のイメージが結びついてきます。

「鉄=硬い=強い」という固定観念が

    できあがってしまったわけです。(4.から再掲)


ところで この種の固定観念を否定して

「そのような強さ(硬い強さ)は 本物の強さではありません」

  とおっしゃる人はいます。

もちろん 老子です。


・・・ 柔ハ剛ニ勝チ 弱ハ強ニ勝ツ。

「柔ヨク剛ヲ制ス」の原文 といったようなものです。

老子は「弱」を 柔と同じような意味につかうから

この一句 要は
 
「柔らかいもののほうが硬いものよりも強い」と説いたわけです。


・・・ 柔ヲ守ルヲ強トイウ。

いつも いつも 柔軟でいなさいよ。

ほんとうの強さは失われるのだから ・・・ というわけです。


柔と弱をいっしょにして 「柔弱」。

いまの私たちとちがって 老子はこれをプラスの意味につかいます。

「柔弱・即・強」とするのです。