世界一周の記録

2006年8月から2008年9月まで2年1ヶ月の世界一周放浪の旅をしていました。その旅の記録です。

インドの最後アムリトサル。インド人の優しさ。

2008年05月01日 19時47分43秒 | アジア

夜の10時ごろ、のろのろと発車した夜行列車の三段ベッドの一番上に寝転んでぼんやりしていると頭上をぽろっと何かが通りすぎる気配がし、その直後に床にゴトッという音がしました。何かなあと思って起き上がると、枕元に置いてあるリュックに入れておいたカメラと財布が無くなっていました。それらはいつもズボンのポケットに入れているのですが、寝転がると尻にあたってごつごつするのでリュックに移しておいたのです。しかし、リュックのチャックをきちんと閉めるのを怠っていました。きっとどちらも床に落ちたのだろうと、面倒くさいなと思いながら下に降りて探してみると、ベッドの下の床にカメラだけが落ちていました。財布はどこにも見当たりません。この時、気づいたのですが、窓が全開で開いていました。今は列車はかなりのスピードで走っており、風がそこから吹き込んできています。もし、僕の枕元のカバンから財布が落ちたとしたら、ちょうどその窓から外に飛んで行きそうな角度に窓は開け放たれていました。まさか、財布が窓の外に飛んでいくなんてことが起こるはずは無い、ましてや、この俺にそんな出来事が起こるはずはない、と思いながら、しかし内心は半分絶望しながら、財布の捜索を続けました。
三段ベッドの一番下と真ん中はインド人家族が既に熟睡状態で寝転がっているのですが、ひょっとしたらそこに落ちているかもしれないと思い、慎重に起こさないようにそろそろっと探したのですが、見つかりませんでした。再度、自分のベッドに戻って、気持ちを落ち着けて、リュックの中身を徹底的に調べたのですがやっぱり財布は見つかりませんでした。
そんな僕の様子を見ていた向かいのベッドのインド人の若者が、「どうしたんだ?」と心配そうに話しかけてきたので、「財布を落とした」と答えました。すると、その若者は僕の下のベッドのインド人家族を全員起こして僕の財布を捜してくれました。突然起こされたインド人家族も捜索を手伝ってくれましたが、やっぱり見つかりませんでした。眠たいだろうに、ありがとう・・・。

とにかく、どうやら、僕は財布を無くしてしまったしまったようです。それも、インドの走行中の夜行列車の窓から飛んで行ってしまうという、おかしな無くし方で。
うぅぅおお、ぐうおおお・・・なんてことだああああ(泣)。
財布の中には、現金が3万円分くらいと、国際キャッシュカードと、メキシコで作った国際学生証が入っていました。なんといっても国際キャッシュカードの紛失が痛いです。クレジットカードは残っているので、なんとか当座は凌げるのですが、そのクレジットカードでATMのキャッシングすると利子がめちゃくちゃ高いのでできればそれは使いたく無いです。なので、どこかで再発行したものを実家から送ってもらわなければ。そんなことパキスタンで出来るのか???それに、現金が3万円分もなくなりました。インドで10円や20円を値切るために、奮闘していたのがいったい何だったのかと虚しくなります・・・。

自分のベッドに戻ってしょぼくれていると、向かいのベッドの親切なインド人の若者が、すっとお金を差し出してくれました。悪いので断っても、彼は僕に渡そうとしてきます。とりあえず今はルピーの現金が一文も無いので、ありがたく受け取りました。なんと200ルピー(600円)もありました。すると、彼はさらに100ルピーを追加で渡してくれました。300ルピー(900円)もの大金をあっさりくれるなんて、なんていう優しさ・・・。しかも、彼は翌朝、自分用に持ってきていたお弁当を僕にくれたり、とても親切にしてくれました。ありがとう!インド人大好きです。


そんなこんなで、財布ショックで半分茫然自失となり、アムリトサルに到着しました。ここには、シク教の聖地・黄金寺院があります。シク教というのは、僕ら日本人がイメージするインド人の代表格、あの頭にターバンを巻いている人達です。実際はシク教徒はインド全人口の2~3%くらいしかいないらしいのですが、経済的に成功している人が多く、インド人としては体格が大きく、なんといってもターバンと長いヒゲが外見的インパクトがあって(戒律により髪もヒゲも切らないとか)、存在感は抜群にあります。

黄金寺院(ゴールデン・テンプル)と沐浴するターバンの人

沐浴中もターバンは着用



このゴールデンテンプルの敷地内には巡礼者用の宿があって、その中には外国人用のドミトリーがあり、異教徒であっても無料で泊めさせてもらえるのです。なんという懐の深さなんでしょう!財布を無くした直後の僕には、余計にありがたく感じます。

無料宿の外国人用ドミトリー

今まで泊まった宿の中で、最もベッド密度が高い部屋でした。でも、まあ、無料なんで。(無料といっても出るときにお布施を要求されたので、いくらか払いました。)

そこのトイレの絵。”男性(大)はこちら”


その上、黄金寺院は、なんとなんと、食事も巡礼者用に無料で食べさせているのです。しかも、朝昼晩の3食。メニューはもちろん全部カレーなんですが、リシュケシュのアシュラムで食べていたカレーとは違ってとても美味しかったです。4食連続でここの無料食を食べさせてもらいました。
シク教最高ですか?最高です!

無料食堂


上記の写真の若者3人組は、僕が無料食堂で勝手が分からずにおろおろしていたら、片言の英語で「こっちだよ。一緒に食べよう。」とか言って、案内してくれました。彼らは英語が話せないので、一緒に食べてもたいした会話はできませんでしたが。それでも、嬉しかったです。
ほかにも、黄金寺院の付近をうろうろしていたら、そういうことがしょっちゅうありました。老人や子供や若者が次々といきなり握手を求めて来て、「黄金寺院へようこそ」と言って去っていったり。ここにいる人は、みんな親切でフレンドリーでした。おかげで、財布を失くしたショックで落ち込んでいた気分が随分と癒されました。ありがとう、シク教徒のみなさん。ありがとう、ターバンの人たち。


追記:なんにしてもカメラは窓から飛んでいかずに残って良かったです。パキスタンで新しく買い換えようか、などと思っていましたが、止めました。ずっと君を使い続けるよ!