
遠くから来た者は、米子も松江も出雲市もひとつのエリアに捉えてしまいますが、実際にはこれくらい(先の記事)の距離があります。
宍道湖の夕日が見たくてやってきたのに、出雲大社まで足を伸ばそうとしたのは、次男に縁結びのお守りをいただきたいという、ささやかな親バカからでした。男の子に執着する母親(私のご主人様です)を見ていて、なんと親バカな、子離れせぇよといつも思っていますが、男親もあまり変わらないものですね。
団体さんや外国からの参拝者も多い。その中をかき分け、お参りをしてお守りをいただく。
クルマを停めていたご縁広場に戻り物産館でお買い物をして、松江に向かいます。相変わらず空は雲が張り詰めていますが、まだ宍道湖の夕日をあきらめたわけではありません。松江の日没は17時くらいですから、それまでには宍道湖畔に着きたいものです。
大社から松江までは宍道湖の北側、国道431号を走りたい。出雲ワイナリー。これも懐かしい。初めてここに入ったのは1987年の秋。急いでいるはずなのに寄り道をして、ワインを2本買ってしまいました。改めて店内を眺めても32年前と雰囲気は変わっていないように思われます。
この431号、ほぼ、一畑電鉄と並行して走るのですが、この風景が結構気に入っています。東に向いて走ると大山が見えます。2年前、一畑電鉄で松江温泉から電鉄出雲市、出雲大社間(つまり全線)を各一往復しましたが、その時の車窓の景色で気づいたことがあります。それを思い出したのでした。
出雲では民家の大棟がわずかに反っているということ。両端が少し高いのです。それが松江市街に入ると、反らずに一直線になるようです。島根県には反り棟といって茅葺屋根が反っているものがあったらしい。その名残が瓦葺屋根にも残っているようです。どこの屋根も、大棟が怒ったようにわずかに反っています。まぁ、クルマの面構えもテールの意匠もだいたい上がり目ですもんね。威圧感とか精悍さを求めると外側が反るようになるんでしょう。そして、屋根瓦はみんな赤い。石州瓦が赤いのは、来待石を使っているからだそうです。来待(きまち)。10年前にやってきたとき、はじめて知った地名。あなたがやってくるのを待っているという、色っぽい名前だなと思いましたが、その来待で採取されるのが来待石。石州瓦とはいいながら出雲の国で採れる石を使って、あの赤色が出る。石見、出雲のふたつの国をつなぐ島根県のいい話だと勝手に感動しているのでありました。
一畑薬師に一度行ってみたいと思いながら今回も叶わず。宍道湖が右手に見えるようになると思い出すのが、映画、「RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語」。中井貴一の実家は、伊野灘駅の近くにあるという設定でした。BGMはユーミンの「ダンスのように抱きよせたい」。
湖に沿って一畑電鉄と仲良く走っている間に、松江しんじ湖温泉。電車はここまでですが、私は宍道湖大橋を渡って、16時20分過ぎに宍道湖夕日スポットの「とるぱ」でクルマを降ります。平日であるのと、もとより雲一杯の空なので、この駐車場にも空きがありました。それにしても、島根県に来ていつも太っ腹と思うのは、こんなに夕日スポットに近いところに無料駐車場が作られていること。ここからほど近い、島根県立美術館の駐車場も3時間まで無料。
クルマからカメラを引っ張り出して、大慌てで国道の地下道をくぐり湖岸に出たものの、やはり曇天は曇天。空一面の雲が、さざ波がたったように細かくうねっています。夕日に期待できるはずがありません。出かける前の松江市観光協会のサイトを確認したら、本日の夕日指数は40。期待する方が無茶というものですね。
(つづく)
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