ぶろぐのおけいこ

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出雲大社へ 神々の国の首都(1)

2020-01-13 18:39:16 | PiTaPaより遠くへ

 これはまだ、紅葉のシーズン、もう少し詳しく言えば、家々の庭に見上げるような皇帝ダリアの薄紫の花が咲いていたころのことです。

 中国縦貫道、福崎を過ぎると錦繍という言葉が浮かんでくる景色。山の彩りに、麓の民家やお寺のイチョウ、カエデ類の色がアクセント。ジオラマを見ながら走っているようです。しかし、空は全面雲。津山という町はいつも通過するだけですが、煙っているのがわかります。盆地で空気がたまりやすいのかな。津山といえば、津山まなびの鉄道館があります。京都の梅小路に次いで、日本で2番目に大きな扇形車庫があるそうです。いっぺん寄ってみたいと思うのですが、実現していません。

 BGMは、さだまさしの『風見鶏』。秋に遠くへ出かけると、このアルバムが聴きたくなります。「きみのふるさと」も「桃花源」も「晩鐘」も秋の旅にぴったり。40年以上前にリリースされたものですが…

 米子道に入ると、紅葉具合が少し変わるように思います。アクセントになるイチョウやカエデ系がなくなって、原野の中を走る道路の風景になります。蒜山高原辺りではカラマツの黄葉も見えます。大山は昨夜雪が降った模様で、上の方がほんのり白い。しかし、曇天で発色が悪い。

 やがて、美保湾が見えて米子の町が見えて、王子製紙の工場から白い煙が吐き出されるのが見えるようになります。昔、富士市の製紙工場を見学したとき、製紙工場が成り立つためには、森と水と電力が必要であると教わりました。私たちにとって山陰というなんとなく甘美なイメージに、近代的な工場は似つかわしくないようにも感じるけれど、製紙工場が成り立つ立地が米子なのでしょう。

 ここから、無料区間と有料区間の入り混じる、山陰自動車道で出雲大社に向かいます。米子道路、安来道路、松江道路、山陰自動車道。前から順に、無料、有料、無料、有料となります。わかります?ひたすら一本道を走るだけなのに、およそ70kmの間に素性の違う4本の道路がある。日本海上空は青空が見えるものの、陸地側はどんより。BGMは、竹内まりやの『TRAD』。

 出雲インターを降りると、ほぼ一本で出雲大社を目指すことができます。米子から約1時間。国道431号が神戸川を渡る橋の上から出雲大社の大きな国旗が見えたように思いますが、ひょっとしたら記憶違いかもしれません。

 

 出雲大社にお参りする前に、元の大社駅前の「大梶」で割子そばを食べます。720円也。浮気をしないタイプなので、このお店には3度目。いつも思うのは、大社駅が駅として存続していたら、このお店は駅前の一等地にあったはずであること。汽車を降りて、最初に目につく出雲そば屋さんなのだもの。ここで腹ごしらえをして神門通りを歩くのがスタンダードであったはず。それがここ出雲に限らず、モータリゼーションの影響でJR大社線は1990年に廃止。

  かつては、東京直通の急行もあったという話ですから、ドアトゥドアで東京駅に降り立てる立派な駅でしたが、線路がなくてはどうしようもありません。重要文化財である駅舎(と静態保存のD51)だけが残った格好です。

 一度、クルマ寝をさせてもらったことのある、道の駅大社ご縁広場にクルマを停めて、神門通りを歩きます。大鳥居をくぐる前に堀川を渡りますが、川のほとりにかつてホテルがあったところが更地になっています。屋号は「ホテル出雲」。泊ったことも中へ入ったこともありませんでしたが、古さを感じる宿でした。更地。時の流れを感じないわけにいきません。

 大社では少々風が強い。大鳥居をくぐると、通りの左側にはファミリーロッジ旅籠屋。昔のアメリカ映画でよく見た、モーテル風の宿です。クルマでやってくることが前提のこの宿は2013年にできたらしい。神門通り沿いには、民間の有料駐車場はともかくとして、無料の神門通り駐車場も完備。数百台が停められる出雲大社の駐車場も含めて、都会では考えられない無料駐車場がたくさんあります。みんな電車ではなくクルマでお参りするわけです。それでも観光シーズンには道路や駐車場のキャパよりもクルマのほうが多いので、神門通りも人とクルマで大変なことになります。そうして、JR線は廃線になる。駅前にあったはずの「大梶」さんは、ちょっと町はずれになってしまう。

 一畑電鉄の出雲大社駅から先は嵐山よろしく、小ぎれいな土産物屋、飲食店が並んで、本当に神々の国か疑わしい気分になります。二の鳥居の前にスタバができていたのに気づいたのは3年前だったっけ。それでも、竹野屋さんは、昔と同じに和風の建物を構え(もちろん、宿泊したことは…ありません。いつも外観を眺めるだけ)、40年前に2泊だけしたことのある「ゑびすや 民営ホステル」が、まだご健在らしきことが、私としてはうれしい。

 と、偉そうに書いたこの私も40年前に初めて出雲大社を訪れ、今回で6回目になりますが、クルマでやって来なかったのは、一番初め(大社線で往復)と、2年前(一畑電鉄で往復)の2回だけです。

 有料道路を使って、米子から約1時間。これがJRなら特急に乗っても出雲市駅まで1時間弱。さらに一畑電鉄に乗り換えて約30分でようやく出雲大社駅。米子からなら自動車の倍近い時間がかかるわけですから。誰だって、「出雲大社にお参りに行こう。よし、クルマ」となりますわね。

 

(つづく)


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