goo blog サービス終了のお知らせ 

ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

美しき日本の面影

2006-10-09 10:46:44 | 読んだ本
美しき日本の面影
 さだまさし
 新潮社
   なにしろ、さだまさしである。好きだという人は好きだが、一方で生理的に合わないとか、辛気臭いとかいう人も多くいるだろうと想像する。主張がはっきりしているほど、人口に膾炙するほど、世間の好き嫌いははっきりするものだ。今回はそういう人は無視して書く。
  「美しき日本の面影」。新潮社に「旅」という女性向けの雑誌があるらしいが、そこに連載されていたエッセイをまとめたものがこの本だという。連載ではどんなタイトルがついていたか知りえないが、「美しき」とか、「日本」とかいうキーワードを使ったタイトルがうまいなぁと思う。さだまさしの好き嫌いはともかくとして、タイトルで手に取った人はきっと多いだろう。私もその一人。別の本を探しに本屋に行ったのに、出口で気づいたら、「美しき…」を買っていた。
   悔しいけれど、やはりさだという人は上等のエッセイを書くなぁと思う。「精霊流し」も「解夏」も読んだが、エッセイと小説の区別がしにくい。小説としてのさだはどうかなと思うけれど(勝手なことをいってゴメンね、さださん。でもね、息子の塾の国語の問題には、あなたの文章もしばしば登場しますよ。きっと作問者は、あなたの文章が好きなのですよ)、エッセイとしては、味わいや余韻のある文章を楽しめる。また悔しいけれど、教養がある。「妖精の樹の下で」は深夜の桜の老木との対話の話。
   さらにオチがいいのだ。「神の恵みと戦った、長崎の少年」は、長崎に寄港したアメリカの軍艦でチョコレートを手に入れる話。最後の一行で、読者はぐっと切ない気持ちにさせられる。 この「美しき…」を読んで、自分もこういうふくよかなエッセイを書けるような錯覚に陥らせる、罪なヤツである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Google Analytics を使ってみ... | トップ | 秘伝 中学入試国語読解法 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事