ぶろぐのおけいこ

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リベンジならずの串本(2)

2023-04-16 19:29:26 | PiTaPaより遠くへ

 シンプルさはとても気に入ったのですが、2つだけなんとかなればいいのになと思うことがあります。

 ひとつは、ベッドメイキングスタッフへのメッセージカードについてです。こう書かれています。「シーツ交換をご希望の場合は、このカードをベッドの上に置いてください。また、タオルの交換をご希望の場合は床に置いてください。」これって、かなり難しい作業だと思いませんか?カードをベッドに上に置いたつもりで外出したら、何かの拍子にカードが床に落ちたらどうしようとか、シーツ交換とタオル交換の両方をお願いしたい場合はどうしたらいいのだろうとか、素人は考えてしまうわけです。

 

 ふたつ目は、シャワールームの扉です。この扉は内側に開くようになっています。シャワー室の水が外に溢れないようにするためにはシャワー室の床面がいくらか低く作られているものですね。シャワー後、扉を内側に開くと、扉の下部と床の間に足の甲を挟んでしまいました。私はもう皮膚も硬いので傷になることもなかったのですが、皮の薄い子供が同じことをすると、もしかしたら傷を作ってしまうかもしれません(もちろん、扉のカドは丸められていて、怪我をしないように作ってはあります、念のため)。


 私たちが泊まった部屋は山側でした(海側の部屋は高いらしい)。窓から見える景色は手入れよく作られた庭ではなく、日本の地方の当たり前の景色が、早い話が田舎の畑が見えるようになっています。これも計算のうちでしょう。そして、(鉄道ファンが喜びそうな)紀勢本線がホテルのすぐ山側を通っています。廊下の突き当りは窓が作られていて、ちょうど咲いたばかりの桜の木が見えます。ホテルの敷地内で手入れをした桜ではなく、風景の中にある桜が壁の絵のように見える。こんな風に西洋風のホテルでありながら、作られた空間ではなくその土地の飾らない風景が見えるような作りになっているようです。


 日本のフェアフィールド・バイ・マリオット道の駅ホテルは、マリオットと積水ハウスにより作られています。世界最大のホテルチェーンであるマリオットには会員(Marriott Bonvoy)が1億7000万人いるそうです。その人たちが日本の地方を巡りたいと思ったとき、マリオットを名乗るホテルが道の駅にあるとすれば、安心して行ったことのない地方に行けますよね。
 フェアフィールド・バイ・マリオット 道の駅ホテルは、2020年に岐阜県で1軒目を開業、2025年までには26道府県、約3,000室へ規模を広げる予定らしい。積水ハウスのサイト、「トリップベーススタイル」はこちら

 晩御飯には、タクシーでお寿司屋さんに行きました。ホテルのコンセプトでいうと、タクシー会社も地元のお寿司屋さんも潤う仕組みです。もうひとつ書くとすれば、観光地のホテルによくある土産物コーナーがありません。これも地元のお店が潤う仕組みです。
 お寿司屋さんで、小型の目はり寿司のような寿司が出てきたので、訊ねてみるとヒロメという海藻だと教えてくれました。昼間、田辺でひとはめ汁を飲んだというと、ヒロメとヒトハメは同じもので、地域によって呼び名が変わるということでした。幅が広い海藻なのでヒロメ、1枚物の大きな海藻なのでヒトハメ。この時期にしか採れない希少価値の海藻だそうです。こういう会話も楽しいものです。

 朝、傘をさして道の駅辺りを歩くと、前夜から車で乗り付けて日の出を待っているものと思われる車が約20台いや30台くらいあるだろうか。私のようにホテルを予約しているものは天候によってキャンセルはしづらいけれども、車でやってきた人たちは行き先を変えればいいのにと思うのですがどうでしょう。雨は続いたまま空は鉛色のままです。でも雨のせいで、 いやそのおかげで、橋杭岩から樫野埼灯台が見えることが確認できました。また稲荷神社から覗いて見ましたが、ちょうど潮が満ちている時で、橋杭岩にぶつかった波は大きくしぶきをあげます 東宝映画の冒頭のようです。しかし、橋杭岩に荒波は似合わないと思いました。


 ホテルには レストランがありません。1階のフロント横には自由に使って良い多目的スペースが作ってあります。ワークエリアと呼んでいるらしい。ちょっとした流し台があったりコーヒーメーカーや ティーバックが置いてあり、宿泊客はそのスペースでお茶を飲んで寛いだり備えてある図書を読んだり談笑したりできるようにしてあります。備えている図書は日本の文化を紹介する図書だったり和歌山の文化や風習を紹介する本だったり。地域の中にあるホテルという立ち位置がよく見えます。置かれている小物たちも 和歌山のものです。食事は提供しませんから、夕食はホテルから出て地元のものを食べてきなさいということのようです。

 では朝食はどうする?お弁当(朝食ボックスと呼ぶ)が出るのです。地元の食材をふんだんに使った、外国の人たちが喜びそうな宝石箱のような、きれいなきれいなお弁当。外国人をターゲットにしているのに和食。この国のことを知ってもらうために和食ですね。このお弁当は、この多目的スペースで食べてもよいし(ティーバックの横にはハナマルキのインスタント味噌汁=ドライタイプも置かれていた)、部屋に持ち帰ってもいい。お弁当をもって橋杭岩にでかけるのもいいでしょうね、今日は雨だからダメだけど。
 もうひとつ気づいたのはホテル内にコインランドリーがあるということ。もともとこのホテルにやってくる人たちはカジュアルないで立ちで、そこそこの期間、フェアフィールドを渡り歩きながら地方を旅する人たちという設定なのでしょう。
 おさらいします。フェアフィールドホテルで感じたのは、 
 ・日本人よりも外国人の宿泊を意識して作られている。
 ・無印良品的シンプルさ。
 ・宿泊客にホテルの中よりもそれぞれの地域の中で楽しんでもらう設定。そして、日本の地域の日常を紹介するねらい。


 ずっと雨続きなので、どこか寄りたいところがあるわけでもなし、 結局和歌山市内まで戻って百貨店に寄ったりして、折角本州最南端まで行ったのに、ほとんどどこにも寄らずに帰ってきてしまいました。

 以前から行きたかった、和歌山市のグリーンコーナーへ行き、ラーメンとソフトクリームを食べて、早めに帰ってしまいました。フェアフィールドのコンセプトに触れられたのは嬉しいことでした。ただ、橋杭岩の日の出が今回も撮れなかったのは、また次回への課題を残した勘定です。雨のおかげで山々には霧がかかり、その中に山桜が咲いている墨絵のような景色だけは堪能して帰ってきました。 


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