ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

大糸線沿線(6) 白馬の朝

2024-09-19 18:47:23 | PiTaPaより遠くへ
 翌朝、フロントで教えてもらった通りに白馬大橋の景色を眺めに行きました。歩いて行ける距離だということでしたので歩いたものの、もらった地図も持たずテキトーな勘だけを頼りに歩きます。気温は22℃ほど。こんなところにも道路沿いに墓地があったりして、やはり普通の田舎。道に迷ったことで白馬大橋に着くのに時間がかかりました。それが却ってよかった。



 到着した頃は朝霧が出ていて白馬三山も見えませんでした。しばらくすると霧が晴れてきて青い空と緑と岩山がきれいに見えます。迷わずにたどり着けていたら霧だけ見てあきらめて帰ったかもしれません。

 それからホテルに帰って今度は昨日の大出公園のリベンジです。クルマまで行くと夜露が降りている。やはり空気は潤っているのでした。誰もいない大出公園。展望台から見ると順光を受けた山々は昨日とは別の装いでした。花の時期とか紅葉の季節は、この小さな公園にもたくさん観光客が押し寄せるのでしょう。今日は私一人占めです。

 ではついでにとジャンプ台まで走ってみました。都会では多分厳重に警戒とか施錠されているのでしょうが、なにしろ白馬はオリンピックに使用されようが、田舎です。すぐ近くまで行くことができました。
 ホテルに帰ってきて駐車場でふと見た白のメルセデスGクラス。えーとどこかで見たぞ。昨日、大出公園の駐車場で見たクルマでした。みんな同じようなところを訪ねるのですね。

 客室に戻るとテラス越しの景色も見事。テニスコートの向こうに国際ゲレンデ。そのずっと向こうに白馬の山々。客室からはやや北の方角が見えます。隣の白馬岩岳スキー場の建物らしきものが。岩岳といやぁ、山の上のでっかいブランコ。岩岳にこのアイデアを持ってきた人のインタビューを読んだことを思い出しました。どこかからモノを持ってきても、すぐに真似されてしまう。そこにしかないものを見出すことが必要とか、語ってらしたように記憶します。たしかに、白馬の山々の景色は他所でまねようがありません。
 朝食はテラスで食べました。客室とは見える景色が違います。兎平方面が見えます。モヒカン小林を覚えていますか?「SKI NOW」で兎平や黒菱のコブを滑っていたモーグルスキーヤー。あのあたりでスキーヤーたちの視線を集めていたのでしょう。
 庭では散歩をする人、親子で遊ぶ外国人も見えます。優雅なものです。

 青い空を背景にパラグライダーで飛んでいる人たちも見えます。それに飽きないのが絶えず形を変える雲の様子。朝食の時間をたっぷりと楽しんだのでした。多分…朝食代金のあらかたはこの景観代ではないかと思うほど。そして他のお客さんたちはなぜ、窓ガラスの内側で食事をするのだろうと思うほど。

 ところで後日。このブログの先の記事である、四日市のことを調べていたら、大出公園からの景色が、「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」に登場していたことがわかりました。改めて映画を見てみると、確かにタイトルバックの最後にほんの数秒。毎回本編が始まる前に夢のシーンだったり旅先のシーンだったりが入りますが、この回は、木崎湖で柴又にハガキを書く(結局代筆してもらうが)シーン、落語にも出てくる「抜け雀」の寸劇。貧しい田舎の百姓の家(博、さくら夫婦、満男)に絵描き(寅)が一晩の宿を借りる。そのお礼に、襖に雀の絵を描くという、あのお話ですが、寸劇での外の景色が北アルプスの山々の(絵の)ようにも見えます。
私が展望台から撮ったもの
「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」のディスプレーを撮影したもの
42年前の風景と思われる。「大出公園展望台」は当時にはなかったのかも。

 そしてタイトルバックの最後、数秒だけ大出公園から白馬の山々を望むシーンが実写として確かに出てきました。この映画の公開は1982年8月。姫川が流れていて、吊り橋が掛かっている景色は現在と同じように見えます。白馬村のサイトによれば、この吊り橋を架け替えたのは2002年だそうですから、正確には映画の時と同じ橋ではないようです。しかし、40年以上前から名所だったわけですね。この夢からタイトルバックのシーン。大糸線沿線でまとめられているわけです。知らなかった。「男はつらいよ」の中でも、私の中では一番好きな「あじさいの恋」ですが、夢のシーンの楽しさは知らずにいたことです。


 白馬を後にするのが名残惜しくて、クルマで村道和田野線を走り、山を少し登ってみました。林道に入り、咲花ゲレンデの上部から麓を眺めました。

 白馬東急の赤い屋根が森の中に見えます。クルマでもっと登って行けば、兎平や黒菱まで行けるのでしょうが、欲張ってはいけません。また次の機会のためにおいておきましょう。


 44年ぶりに訪れた白馬は素敵なところでした。涼しさも景色もよいけれど、私にとって一番嬉しかったのが、ふつうの田舎だったということ。あの、「ふなき〜ふなきい…」と言った長野オリンピックのジャンプ台があろうが、滑降やスーパーGの八方尾根があろうが、普通の人たちが普通に暮らしている田舎であったことが嬉しかったです。なんだか安心しました。ただ、その田舎が他の田舎と少し違ったのは、北アルプスの麓だったことと、スキー場にふさわしい地形と降雪が味方したことでしょう。でも、外国から多くのお客さんがやってきて、その人たちを相手に商売が成り立つようになる。すでに八方尾根スキー場では外国人が半分というような日もあるようです。私のような者には入り込めない日本の田舎として成長していくかもしれません。そんなことを思いながら、国道147号線を南下したのでした。
(おしまい)

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