「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

ほぼ無意味なメデイアの報道するアウデイーイウカ市街攻防戦と今後のアウデイーイウカの戦い<ウクライナ紛争2024.2.16

2024-02-16 20:44:36 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

① ロシア軍がウクライナ東部で攻勢、犠牲いとわず兵力投入…ドネツク州全域制圧へ攻防戦
2024/02/16 11:15
https://www.yomiuri.co.jp/world/20240216-OYT1T50055/
②ロシア、激戦地の補給路遮断 「ウクライナ軍撤退」報道も
2024年02月16日14時33分配信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021600270&g=int

市街の攻防戦はすでに3日前くらいに決着が付いており、現在は、ほぼアウデイーイウカ市街を包囲したロシア軍が市内に残ったウクライナ軍の掃討作戦を行っています。
戦いはロシア軍が市内への主要補給路を遮断した時点で終わっています。ウクライナ軍としては、市内に残った部隊に降伏命令を出すのか❓西郊外に撤退命令を出すのか❓だけが残された問題です。

市内の防御の主力の第110機械化旅団の主力が撤退したのが事実であれば、市内に残っているウクライナ軍は1000人にも満たないと思います。
そしてやはり包囲されている「ゼニト」(旧防空基地)の守備部隊が撤退したのか残っているのか不明です。

市街の攻防戦と言う意味の戦いは既に終わっています。
事実上、アウデイーイウカ市街はロシア軍が制圧したと言えます。

その意味で両方の記事は内容が不正確ですし遅いです。
①の記事のタイトルは刺激的ですが嘘です。
アウデイーイウカ市街は単なる1軍事拠点にすぎません。しかもロシア軍との境界線にあります。アウデイーイウカ市街をロシア軍が制圧しても、それでドネツク州がどうなるわけではありません。
単に1拠点での攻防戦がロシア軍の勝利に終わっただけです。
アウデイーイウカ攻防戦も市街地をロシア軍が占領しつつあると言うだけで西の郊外にも北の郊外にもウクライナ軍の守備部隊は残っていて、これから郊外での攻防戦が続きます。
アウデイーイウカ自体は、それほど重要な意味のある軍事拠点ではありません。単にドネツク市に近くウクライナ軍から砲撃されるのが、ロシアにとって「癪の種」だと言うだけです。

これから戦闘が激しくなるであろうバフムト西郊外での攻防戦やハルキウ州クピャンスクでの攻防戦の方が、軍事的要衝と言う意味では遥かに重要です。

バフムト西郊外での攻防戦は、ドネツク州北部での戦闘に大きな影響があります。バフムト西のチャシブ・ヤールChasiv Yarの攻防戦がやがて始まると思います。もしこの攻防戦でウクライナ軍が負けると、この方面の補給の一大拠点のクラマトルスクКраматорськへの進撃ルートが開けます。さらに西の拠点都市のコンスタンチノフカКостянтинівкаは、すぐ隣です。

ハルキウ州クピャンスクКуп'янськをもしロシア軍が制圧するような状況が生まれれば、幹線道路P-07がハルキウ市街まで続いています。ロシア領のベルゴロド州とも近いです。クピャンスクКуп'янськが陥落すれば、ウクライナ軍にとっては大きな危機が生じます。ロシア軍にベルゴロド州防衛と補給に有利な状況が生まれますから、ロシア軍にとってはクピャンスクКуп'янськの制圧が一番、メリットが大きいかもしれません。

このような軍事的要衝と単なる1軍事拠点では、重要度が全然違います。

アウデイーイウカ攻防戦が一段落すれば、ロシア軍の部隊の多くは、幹線道路H-20を北上してコンスタンチノフカКостянтинівкаに向かうと思います。

アウデイーイウカ市街の攻防戦は、単なる1軍事拠点の攻防にすぎず、戦いは延々と続きます。

特にハルキウ州クピャンスクКуп'янськの東には、ロシア軍の大軍団が集結しているはずですが、まだ行動を起こしません。このロシア軍の大部隊が攻撃を始めれば、ハルキウ州をめぐる大激戦が始まります。

バフムト西の戦闘も激しくなるでしょうね❓

それどころか、ザポリージャ戦線でウクライナ軍が奪還したロボティネ村Robotyne方面にロシア軍がかなり多い部隊を集結させているようです。
https://grandfleet.info/war-situation-in-ukraine/russian-military-advance-in-audiiuka-city-continues-unabated-expanding-control-area-in-multiple-directions/

だからウクライナ軍としては、無駄な兵力の消耗は極力避けるべきです。アウデイーイウカ市街地での攻防戦は無駄な戦闘の最たるものです。枝葉の戦闘は専守防衛に徹してその方面の雌雄を決するであろう重要な戦場に戦争資源を集中しないと、大きく領土を奪われ戦局を悪化させると思います。

どうもザルジニー氏が最高司令官であった時の参謀本部は枝葉の方の戦闘にばかりこだわり、重要な戦場を失う傾向がありました。
少ないウクライナ軍を有効に使わなければ、戦線の膠着状態を作り出すことすら、現状では難しいと思います。

シルスキー新最高司令官は、激戦の予想される重要な戦場でどのような作戦計画を立てるのか❓
期待されるところです。
(ザルジニー氏だとぼろ負けだったと思います)

更には、ザルジニー氏が後方に隠していた70万の兵力のうちどれだけを前線に送り込むことが出来るのか❓

今後のウクライナ軍の命運は、シルスキー新最高司令官の腕と能力にかかっていると思います。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27

 

Foebesの記事から見るアウデイーイウカ戦線の今後の推移<ウクライナ紛争2024.2.16

※この記事を書いた時点では続報がなく
『だが、2000人規模だった第110旅団の生き残った将兵らは、ここ数日の間についに西へ退却し、ロシア軍がじわじわと進める包囲を逃れた。』
というのは、一部の部隊であって一部の部隊は市内に取り残されていたようです。従った、まだ市街戦は続いています。

2024.02.14
ロシア軍がアウジーイウカの主要補給路を遮断 ウクライナ側は予備到着も難局に
https://forbesjapan.com/articles/detail/69146

Foebesのこの記事が書かれた時点では、ウクライナ軍の計画は不明でした。
「第3旅団」が増援部隊としてアウデイーイウカに到着したまでは書かれています。
ウクライナ国防省は12日「すべては計画どおり進んでいる」とコメントしたようですが、「第3旅団」が市内に行くのか、コークス工場に行くのかは不明でした。

https://forbesjapan.com/articles/detail/69152

この記事で「第3旅団」がコークス工場に入ったことが分かりました。
つまり、人事が刷新された参謀本部の決断は、アウデイーイウカ市街地の防衛は止めて、西の郊外でコークス工場とジェベルネ(Sjeverne)を防衛拠点に防衛戦を継続する事であったようです。

ウクライナ軍の今後のアウデイーイウカ戦線での作戦計画は、これに沿ったものになると思います。
さすがに、いきなり市街放棄は言えませんので有耶無耶にしているのであろうと思います。

だから・・・
『だが、2000人規模だった第110旅団の生き残った将兵らは、ここ数日の間についに西へ退却し、ロシア軍がじわじわと進める包囲を逃れた。』
おそらく市街にいたウクライナ軍の防衛部隊は主力の第110旅団を含めて全て撤退したと思われます。
アウデイーイウカ市街南の最も強固な「ゼニト」と呼ばれる地下要塞からも守備部隊は撤退しているようですから市街は放棄したものと思われます。

今後は、市街西5km程度の位置にあるジェベルネ(Sjeverne)の軍事拠点と市街北西のコークス工場を防衛拠点に市街西の郊外でロシア軍の進撃を防衛する作戦計画のようです。

常識的に考えてもこれ以外の作戦は考えられません。一番最悪なのが、市街の防衛にこだわることです。

ザルジニー前総司令官が決断できなかった常識的な作戦を新総司令官は、決断したことになります。
総司令官の交代は、ウクライナ軍には良い結果をもたらすと思います。
ただし、それが全体の戦況の変化につながるものではありません。東部戦線全体の戦況は、かなりウクライナ軍にとって悪化しているからです。
ウクライナ軍に出来ることは、前線を縮小して場所によっては後方に堅固な防衛ラインを作り直す事だけです。
その意味で何もせず放置状態だったゼレンスキー氏は無能な指揮官であったと言えます。

最初の仕事で常識的に必要な決断を下したシルスキー新総司令官は、ザルジニー氏よりは遥かに優れた指揮官であると言えると思います。
ゼレンスキー氏の下した総司令官の交代人事は正しいと思います。


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27

 



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