ロシアの方は、戦争目的が明確です。
2014年ウクライナクーデター前の国際政治と言う意味での環境を復元することです。
その当時は、ウクライナは中立国でありロシアとNATOの緩衝地帯でした。
ウクライナをNATOに取り込もうとしたのが、当時副大統領であったバイデン氏です。
西ウクライナの過激民族主義者を裏から扇動して2014年ウクライナクーデターが成立しました。
その結果、東部の親ロシア派住民が武装蜂起しました。
これがウクライナ紛争の始まりであり、実質は内紛または内乱と言えます。
その後の経緯は省きますが内乱は激化して、最後にロシア軍のウクライナ領への軍事侵攻が起こりました。
ロシアの意図は、軍事力を行使してでも2014年ウクライナクーデター以前の政治環境に戻すことにあります。
欧米諸国が喚いているようにNATO圏を侵略する意図はロシアにはないと思います。やろうとしても、それほどの軍事力はありません。
ロシアの軍事作戦は、ウクライナ限定の作戦です。
ロシアが「特別軍事作戦」と言っているのは、それを指しています。
(1)このように戦争目的は明確ですから、それを実現するために2024年も軍事行動を進めると思います。
2023年のロシア軍の軍事行動を見ると、一気にウクライナ領を制圧するというような大それた考えは放棄したようです。長期戦で、コツコツ削っていく作戦のようです。2024年も基本的な姿勢は同じだと思います。
大体、進撃範囲を見ると突出部は作らず面的に占領地を広げようとしています。余り出っ張りを作らずへこんだ部分を三方向から包囲して制圧しています。
アウデイーイウカも基本的には、このやり方です。
徐々にコツコツ削るのは、2024年も同じだと思います。
このやり方は、時間が経過すると結構酷いことになります。「塵も積もれば山となる」方式は、1年後に驚くような結果をもたらします。
だから東部戦線では、ジリジリとウクライナ領が削られています。分かっていても不利な体勢を招いたウクライナ軍は、それを阻止することが出来ません。
私が前の日記で書いたように戦場の取捨選択をしないとウクライナ領は、ジリジリ削られて2024年は終わると思います。
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/45c89a66d5276e2df3392076f727c68a
(2)では、どっちの方にロシア軍は行くのか❓
これは、2022年にロシア軍が一時支配していた地域を見れば、簡単に分かります。
今と、当時の違いは❓
当時は、ハルキウ州東部をロシア軍が占領していました。
スームィ州のロシアとの国境沿いもロシア軍が占領していました。大体、この付近が2024年の目標だと思います。
当然ですが❓
戦争目的がロシアの安全保障の確保である以上、ロシア国境に近い地域が優先目標になると思います。ただしロシアにも余り国境付近で戦闘を起こしたくない事情もあります。なるべく戦闘地域はウクライナ領に限定したいと考えていると思います。
そうなるとウクライナ領の方から削っていくことになります。
危ない方面が分かりましたね❓
ドネツク州北部とハルキウ州クピャンスクです。
どちらを先に攻撃するかの問題です。
私がロシアの将軍なら順当にバフムト西のチャシブ・ヤールChasiv Yarを、まず第1目標にします。
決めるのはロシアの将軍ですから、どっちが先かは分かりません。
南部ザポリージャ戦線が一応のめどが付いたら始めると思います。
だからウクライナ軍としては、まだロシア軍の本格的な攻撃が始まっていない今、徹底的に陣地を強化して軍事資源や兵員を準備しなければなりません。
ウクライナ軍が賢ければ、そうすると思います。
しなければあまり賢いとは言えません。
(2)では、ロシア軍はどこまで削るつもりなのか❓
2024年のうちには、無理だと思いますが最終的にドニプロ川東岸の全域を削ると思います。
理由は❓
ドミートリー・メドヴェージェフが2022年に当時は冗談と思われ散々馬鹿にされた地図を発表しています。
https://grandfleet.info/russia-related/former-russian-president-releases-map-to-divide-and-rule-ukrainian-territory-in-four-countries/
その地図によると昔のロシア領が大体入っています。
西ウクライナは、ポーランドに割譲することになっていました。その他ルーマニアとハンガリーも旧領土を回復することになっていました。
スターリンが第2次大戦後、強引に各国の領土をはすりましたが、それを元に戻そうという強烈な皮肉です。
(ウクライナ領なんか❓どこにもないだろ!)
まあ、南部は全部は止めると思います。
ドニプロ川東岸の支配権を回復すれば、NATOとの緩衝地帯は確保できます。
ロシア政府の幹部の発言を聞いていると西ウクライナの過激民族主義者の再教育は、諦めているようです。
(あれは、無理だ!)
だから、最悪ウクライナはドニプロ川東岸を放棄すればロシア軍の進撃は止まると思います。
キーウ(首都)は象徴的な都市ですから割譲しなければならないかもしれません。
(3)ウクライナが、どうしても戦争を止めなければ最終的には、こうなると思います。
もちろん、ウクライナが勝利できれば、こうなりません。
勝利できないなら、今折り合えば現状で停戦が可能だと思います。
ロシアの予定よりは、今の方がウクライナにはず~と有利です。
ゼレンスキー氏を見ていると❓
ロシアの予定しているところ(ドニプロ川東岸全域)まで行きそうですね❓
進捗状況にもよりますが、2025年末までにはロシア軍の目標は達成されるかもしれません。
バフムト方面とクピャンスク方面で予定されている大規模な戦闘が終われば、ある程度の目途が立つかもしれません。こればかりは、やってみないと分かりません❓
※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次②
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27