子どもの日には!
今からもう35年前になるのだろうか、大きなこいのぼりを見あげて1歳と5ヶ月になる息子は大喜びをしていた。
紙のこいのぼりからテトロン製のこいのぼりに変ったのもこの頃でした。
実家の父が大きなこいのぼりと家紋入りの幟を買ってくれた。
まだヨチヨチ歩きの息子はこいのぼりの泳いでいる場所に行っては「たいたい」と喜んで見上げていた。
実家の父がこいのぼりが飛んで行ったらいけないのでと口の裏側に息子の名前を書いてくれた。
小学校に上がるまでは主人の実家の借家に入っていたので電線に関係なくこいのぼりを揚げること事ができたが引っ越してからはこのこいのぼりを揚げることもなくなった。
20年前にこのこいのぼりを倉庫で見つけて近くの保育園で揚げてもらうことにした。
それからは毎年、毎年息子の名前入りのこいのぼりが園庭で空高く泳いでいた。
私は寂しくなったらいつもこのこいのぼりを見に行ったものでした。
おとうさん鯉のしっぽが破れて、おかあさん鯉の口の周りが破れて数年前からは子ども達の手作りのこいのぼりが泳ぐようになりました。
しかし、私はいつもの年と同じように寂しくなるとこの保育園のこいのぼりを見上げて息子を思い出しています。
そして「屋根より高いこいのぼり、大きな真鯉はおとうさん、小さな緋鯉は子ども達・・・・・」と口ずさんでいます。
「○ちゃん、お空を見て!気持ちよさそうに泳いじょるね」と独り言を言っている母です。天国の息子はもう36歳になってしまいました。
でも私の胸の中の息子はいつまでたっても詰襟の学生服のままでにっこりと笑って「おかあさん」と呼んでくれます。どうしているかな?おじいちゃんに逢えたかな?