何とも恥ずかしい参議院議員再選挙の投票を済ませた。今回だけではないが,選挙に関するいくつかの疑問点を書き記しておきたい。
1 立候補者の扱いは公平か?
今回の再選挙には6名の立候補があった。同じスタートラインに立った6名であり、選挙人には大した情報は与えられず、選挙公報も配布されないうちに、新聞、テレビを通して、「実質的にA氏とB氏の一騎打ち」等の余計な情報が飛び込んでくる。各候補者の選挙活動の報道時間も不公平であるこれは、いわば、A氏、B氏以外で「その他」扱いをされた候補者のポスターを剥がす行為と同じであり,公選法違反と見るべきではなかろうか。選挙人の判断力を軽視したメディアによる傲慢な誘導行為である。候補者も意義異義申し立てをすべきである。
2 投票時の「本人確認」は不要か?
郵便で配達された入場券をもって投票所に行く。このところ期日前投票に行くことにしているのだが、投票日当日も同じであろう。受付で,投票用紙取得のための手続きを開始し,用紙を渡されるまでに2,3人の事務担当者が関与するが,その間,一度として,入場券に記載された人名と,目の前で投票用紙の取得をしようとしている者が同一人物かどうかの確認はない。他人の入場券を使用して不正な投票をすることなど,いとも簡単なことである。先日問題になった,愛知県知事のリコール署名の不正問題で不正の内容が部分的にであれ明らかになったが,期日前投票で不正な代理人投票が行われたら実態解明は、ほぼ不可能であろう。
3 低投票率でも問題はないのか?
参院広島選挙区再選挙投票率は、33パーセント台であった。この低投票率をどう考えればよいのか。実に,有権者の3人に一人しか投票していないのである。国会の定足数は,以下の通りとされている。
両議院の本会議の定足数は『各々その総議員の三分の一』とされている(憲法56条1項)。
国会の本会議の定足数と奇妙に符合する数字である。が3人に一人しか投票しない選挙で、さらに50パーセントほどの票を獲得すれば国民の代表として国会議員になれるという仕組みはあまりに基準が緩すぎないか。せめて過半数とすべきで,これに満たない場合は「不成立・再選挙」とすべきではなかろうか。そもそも、かくも低率になった原因を考え、政治家、国民ともに、深く反省する必要がある。何度選挙をしても低率というのなら、国は破綻しているのである。