古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

感染症にまつわる話題

2016-06-03 17:27:49 | 日記




古森病院@福岡市博多区です。

なかなか斬新なデザインのリーフレット(らしい)だと思いませんか?
「梅毒」は「梅の花」とは何の関係もありませんが・・・

リーフレット拡大版はこちら。
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10906000-Kenkoukyoku-Kekkakukansenshouka/0000105053.pdf#search=%27%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81+%E6%A2%85%E6%AF%92%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88%27

今週配信された感染症エクスプレス(厚生労働省メールマガジン 誰でも登録可能)の
結核感染症課の課長さんのこのリーフレットの宣伝文が お役所らしくなく面白かったので
ついアップいたしました。

梅毒とは(国立感染症研究所 記事より)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ha/syphilis/392-encyclopedia/465-syphilis-info.html

以下 感染症エクスプレスより引用。

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◆「あさコラム」vol.7「アレつけて!アレ?」

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。

 皆さんは「女子の梅毒増加中!」というリーフレットをご存じですか?
ピンク、というよりは梅の色の、♀マークが入ったちょっと斬新な
リーフレットです。

 女性の梅毒感染者の年間届出数は、2010年の124例から、2015年
には574例と、この5年で約5倍。
 一方、男性の届出数も、2010年の497例から、2015年には1463例と、
同じく5年で約3倍。
 梅毒は古(いにしえ)の性行為感染症とのイメージがありますが、
実は感染者届出数は近年、男女とも大幅増加となっているのです。

 この増加の背景としては、性風俗店の形態の変化や、梅毒の届出数
が減少し、感心が薄れた可能性などの見解はありますが、本当の理由
は不明です。

 梅毒は他の性行為感染症同様、コンドームの適切な使用により、
感染のリスクを抑えることができます。
 コンドーム、大事です。
ちなみにコンドームは、医薬品医療機器法に基づく医療機器なのです。

 本コラム執筆のために改めて調べてみたところ、色や薄さ、サイズ
に加え、最近はジェルの多さ、表裏のわかりやすいものなど、様々な
コンドームが販売されているのですね。豊富な取りそろえに、ビックリ
した次第。

 性感染症予防のために、コンドームは正しく、しっかりつけて欲しい
のですが、女性からは言いにくいのか、いやはや男性からも言いにくい
のか、例えば「アレ」とか「ゴム」とか、「スキン」、「サック」、
はたまた「家族計画」、「帽子」、「ヘルメット」、など、なかなか
ストレートには言ってもらえません。
 まぁ、パートナー同士の合い言葉になっていれば、呼び方は何でも
いいのかなと思いつつも、感染症対策上は、やはりコンドームはコン
ドームと言ってもらいたいなぁ。

 そう思っていたところ、先日、ラジオから「コンドーム、つけろよ!」
との声が連呼されていました。
 声の主は、歌手で俳優のマルチタレント・星野 源さん。
 これだけ連呼してもらえるとは!
 男性からも女性からも人気の高い星野 源さんからの、不意打ちの
ようなアピール、嬉しく思っております。

 ということで、星野源さんを見習って、結核感染症課も引き続き、
性感染症対策に取り組んでまいります。
 何をどう進めていくかは、乞うご期待!
 皆様もご支援ご協力、どうぞよろしくお願いいたします。

<梅毒リーフレット>
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/dl/leaf03.pdf
<性感染症>
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/

<本コラムの感想、ご質問、ご要望など>
http://kansenshomerumaga.mhlw.go.jp/
⇒「メルマガの内容に関するお問合せ」をクリックするとメール作成画面
が立ち上がります。

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梅毒はコンドームだけでは防げない感染症ではありますが(陰茎表面や膣内だけに
梅毒トレポネーマがいるわけではないので)、まあそこは置いておいて

体液媒介による感染症は多く 性交渉におけるコンドームに限らず
他の人の血液や唾液や痰の飛沫などの体液も 手袋やマスク、手洗いなどで
自分に飛んでこないような工夫が必要なわけですが
(あるいは今 流行中のジカ熱や日本脳炎など蚊を始めとする虫による感染症もあり、忌避剤や
洋服による工夫も必要ですね)

感染症蔓延対策とは真逆の発想の治療法が消化器内科分野で数年前から話題になっています。

糞便移植
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糞便移植で難治性の潰瘍性大腸炎が軽減

提供元:
HealthDay News

公開日:2016/06/03

糞便移植で難治性の潰瘍性大腸炎が軽減のイメージ

 糞便移植が難治性の潰瘍性大腸炎の症状緩和および治癒に有用であることが、新たな研究で示された。健康なドナーから採取した糞便物質を患者に移植すると、腸内細菌の組成が変化し、疾患を進展させる原因を回避できるという。研究著者であるニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)のSudarshan Paramsothy氏は、「本研究は、(糞便移植が)極めて有望性の高い治療選択肢であることを示すものだ」と述べている。

 米国クローン病・大腸炎財団(CCFA)によると、潰瘍性大腸炎は免疫反応の異常に起因するとされ、米国では70万人が罹患している。大腸が炎症を起こして開放性潰瘍ができ、血便、腹痛、持続性の下痢などの症状がみられる。糞便移植は、現在はクロストリジウム・ディフィシル消化管感染症に対してのみ標準治療となっている。

 今回の研究では、オーストラリアの3カ所の研究施設で、標準治療に抵抗性を示す潰瘍性大腸炎患者81人を無作為に2群に分け、41人に8週にわたり繰り返し糞便移植を実施し、残りの被験者にはプラセボ治療を実施した。移植する糞便物質は被験者1人につき少なくとも3人のドナーから採取。糞便は均質化してろ過した後、移植まで冷凍保存し、“懸濁液”浣腸として直腸内に直接注入した。初回治療後は被験者が自分で注入を行った。

 生物学的製剤は感染リスクを伴うが、病歴のスクリーニングや便、血液の検査によりリスクを最小限に留めることができるとParamsothy氏は話す。

 8週後、糞便移植群の27%が主要評価項目(報告される自覚症状がなく、医師が内視鏡で大腸の治癒または著明な改善を確認)を達成したのに対し、プラセボ群では8%であった。自覚症状の消失のみに着目すると、糞便移植群の44%が目標を達成したのに対し、プラセボ群では20%であった。

 今回の研究は米サンディエゴで開催された米国消化器病週間(DDW)で5月23日に発表された。学会発表された研究は一般に査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

 CCFAのR. Balfour Sartor氏は、「糞便移植には嫌悪感が伴うことから、医師、患者、政府機関がその安全性と有効性に確信をもつ必要があり、今回の研究はこの治療法が潰瘍性大腸炎に適していることを示す最良の実例である」と述べている。しかし、治療終了後の効果の持続性を明らかにするには今後も研究を続ける必要があると、Paramsothy氏とSartor氏はともに述べている。

[2016年05月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2016 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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上記は米国DDWという消化管分野では有名な学会での発表の記事ですが

数年前から 偽膜性腸炎や難病指定疾患である潰瘍性大腸炎を中心に
ちらほら 「糞便移植が有効」との話題が出ていました。
最初 聞いた時は「他の人の便をそのまま・・・」と思っておりましたが
(何しろ便を厳密に殺菌すると、肝心の腸内細菌まで死んでしまいますので)
やはり論より証拠 なのでしょうね・・。

潰瘍性大腸炎とは
http://www.nanbyou.or.jp/entry/218

一般的な潰瘍性大腸炎治療ガイドライン(糞便移植は話題としても載っていません(笑))
https://www.jimro.co.jp/ibd/03gakujutsu/4.htm

日本での施行例は
・順天堂大学医学部消化器内科
・慶応大学病院、
・千葉大学医学部附属病院
・滋賀医科大学医学部附属病院消化器内科
・藤田保健衛生大学病院などがヒットします。

もちろん当面は自費診療になるのでしょうけど・・・
検体提供のドナーは親族が多いようですね。(まあそうでしょうけど・・
提供側も移植を受ける側も勇気がいるでしょうね)

千葉大消化器内科
http://www.ho.chiba-u.ac.jp/frontier/frontier06.html

日経ヘルスメディカルの記事
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO92884740W5A011C1000000

糞便移植が今後 成績が良好な治療と証明されたなら

心理的抵抗と感染の危険性を除けば
特に難しい操作もいらず、安価でよい治療法だと思います。
ドナー側の感染症を徹底的に調べることが必須でしょう。

病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/


追記

感染症エクスプレス@厚労省 のvol251(上記引用はその前号)が配信され
続報が載っていましたので、転載します。

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◆「あさコラム」vol.8「ネットといっても、インターネットではなく・・・」

 こんにちは、厚生労働省健康局結核感染症課長の浅沼一成です。

 前回のあさコラムでご紹介したコンドームの件ですが、なんと、星野 源
さんがラジオ番組で取り上げて下さいました。
 番組によると、リスナーさんから前回のコラムに関するメールがたくさん
きていたそうで、番組中で本メールマガジン「感染症エクスプレス@厚労省」
の名前が出てきたではありませんか。
 凄い!ビックリ!!驚きました!!!
 しかも、今回も星野 源さん、コンドーム(ゴム)は大事なことと、番組内
で改めて発言下さいました。
 源さんにはぜひ、「コンドーム啓発大使」というものを創設して、ご就任
をお願いしたいほど、嬉しく思います。源さんと番組スタッフの皆さんに、
改めて感謝です。ありがとうございました。

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