古森病院@福岡市博多区です。
当院は昨年から障害福祉サービスのうち、身体障害者の方の短期入所の受け入れを
開始しております。これは全国の都道府県で 障害福祉サービス入所の
受け皿が少ないことから 行政から「説明会に参加して
障害福祉事業に参画するように」というお手紙が各医療機関に来て そのお誘いに
載って開始したというのが 当院の状況です。
そこで 高齢者と そうではない若年の障害のある方が
同じ部屋に入院するという 療養型病院にしては
珍しい入院スタイルが形成されるのですが・・
ある日
看護師「○○さん(障害福祉サービス短期入所対象の方)の全身に発疹が出て
微熱があります」
管理人「え?昨日は何もなかったけど どうだったの?」
看護師「昨日は数個あったけど、気になるほどではなかったみたいです。
でも今日は全身に広がっていて・・背中にもありますし、上下肢にも広がっています。」
管理人「そんなに急速に全身に広がる発疹・・水痘(いわゆる「みずぼうそう」)しか思いつかない。」
実際、水痘でした。(すぐに加療開始したものの、成人のためかいろいろ難渋した末
治癒しました。成人水痘は重症化する可能性があります。)
高齢者の長期入院では帯状疱疹がしばしば発生し、管理人も年に数人は診断加療します。
帯状疱疹そのものは、過去にその方がかかった水痘のリバイバル発症なのですが
水痘に罹患したことのない方の場合、帯状疱疹発生に伴って二次感染し
水痘を(成人初感染として)発症する可能性が確かにありえます・・・。
(今回、その方とは離れた部屋ですが、院内に
21日以内(水痘潜伏期間)に帯状疱疹(播種性ではない)に
罹患していた方がおられました)
帯状疱疹に罹患している人が、水痘の免疫のない
赤ちゃんや乳幼児に水痘を引き起こすのは有名な話です。
在宅の人が帯状疱疹を発症した場合には 赤ん坊に近寄らないように
と注意を喚起します。
障害者の方々の場合、障害の程度がどれくらい重度かということがありますが
通常の幼児教育、学生生活を送れなかったケースでは(訪問教育や極めて少人数の教育環境など)
水痘ウイルスに曝露される機会がないことがあり、
水痘ウイルスワクチンが公費負担による予防接種(母子手帳の予防接種タダ券の対象)になったのは
ここ5~6年以内のことなので 障害福祉サービス対象者の短期入所を高齢者施設で引き受けた場合
こういうタイプの院内感染のケースが当面続くことが予想されます。
(高齢者施設で水痘を発症する患者さんなどおられませんので、思ってもみない形です)
通常の入院では 小児は小児科病棟に入院し、高齢者は小児科でない病棟に
入院するので
このタイプの院内感染は普通は発生しません。
これはどこかに症例報告発表すべきなのかもしれません・・
取り敢えず、地域の院内感染防止ブロック会議に報告しておきます。
https://komori-hp.cloud-line.com/
水痘帯状疱疹とそのワクチン
https://www.niid.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/4043-tpc404-j.html
学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 日本小児科学会
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20190728.pdf
(帯状疱疹は33ページ 出停考慮は幼稚園、保育所のみ)
水痘(成人)について
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2256-related-articles/related-articles-404/4010-dj4044.html
ヘルペスウイルス属は奥が深すぎです・・。
追記
感染症法で 水痘のうち、入院を要した者、入院中に罹患した者は 全数報告との指摘が
院内で有り、
管轄保健所に届け出書類を提出しました。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-2.html
当院は昨年から障害福祉サービスのうち、身体障害者の方の短期入所の受け入れを
開始しております。これは全国の都道府県で 障害福祉サービス入所の
受け皿が少ないことから 行政から「説明会に参加して
障害福祉事業に参画するように」というお手紙が各医療機関に来て そのお誘いに
載って開始したというのが 当院の状況です。
そこで 高齢者と そうではない若年の障害のある方が
同じ部屋に入院するという 療養型病院にしては
珍しい入院スタイルが形成されるのですが・・
ある日
看護師「○○さん(障害福祉サービス短期入所対象の方)の全身に発疹が出て
微熱があります」
管理人「え?昨日は何もなかったけど どうだったの?」
看護師「昨日は数個あったけど、気になるほどではなかったみたいです。
でも今日は全身に広がっていて・・背中にもありますし、上下肢にも広がっています。」
管理人「そんなに急速に全身に広がる発疹・・水痘(いわゆる「みずぼうそう」)しか思いつかない。」
実際、水痘でした。(すぐに加療開始したものの、成人のためかいろいろ難渋した末
治癒しました。成人水痘は重症化する可能性があります。)
高齢者の長期入院では帯状疱疹がしばしば発生し、管理人も年に数人は診断加療します。
帯状疱疹そのものは、過去にその方がかかった水痘のリバイバル発症なのですが
水痘に罹患したことのない方の場合、帯状疱疹発生に伴って二次感染し
水痘を(成人初感染として)発症する可能性が確かにありえます・・・。
(今回、その方とは離れた部屋ですが、院内に
21日以内(水痘潜伏期間)に帯状疱疹(播種性ではない)に
罹患していた方がおられました)
帯状疱疹に罹患している人が、水痘の免疫のない
赤ちゃんや乳幼児に水痘を引き起こすのは有名な話です。
在宅の人が帯状疱疹を発症した場合には 赤ん坊に近寄らないように
と注意を喚起します。
障害者の方々の場合、障害の程度がどれくらい重度かということがありますが
通常の幼児教育、学生生活を送れなかったケースでは(訪問教育や極めて少人数の教育環境など)
水痘ウイルスに曝露される機会がないことがあり、
水痘ウイルスワクチンが公費負担による予防接種(母子手帳の予防接種タダ券の対象)になったのは
ここ5~6年以内のことなので 障害福祉サービス対象者の短期入所を高齢者施設で引き受けた場合
こういうタイプの院内感染のケースが当面続くことが予想されます。
(高齢者施設で水痘を発症する患者さんなどおられませんので、思ってもみない形です)
通常の入院では 小児は小児科病棟に入院し、高齢者は小児科でない病棟に
入院するので
このタイプの院内感染は普通は発生しません。
これはどこかに症例報告発表すべきなのかもしれません・・
取り敢えず、地域の院内感染防止ブロック会議に報告しておきます。
https://komori-hp.cloud-line.com/
水痘帯状疱疹とそのワクチン
https://www.niid.go.jp/niid/ja/varicella-m/varicella-iasrtpc/4043-tpc404-j.html
学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説 日本小児科学会
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20190728.pdf
(帯状疱疹は33ページ 出停考慮は幼稚園、保育所のみ)
水痘(成人)について
https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2256-related-articles/related-articles-404/4010-dj4044.html
ヘルペスウイルス属は奥が深すぎです・・。
追記
感染症法で 水痘のうち、入院を要した者、入院中に罹患した者は 全数報告との指摘が
院内で有り、
管轄保健所に届け出書類を提出しました。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-140912-2.html