古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

ケアマネージャー 実務研修

2015-01-20 05:35:39 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今日は、業界の人向けの話です。


福岡市は先般からケアマネージャー実務研修がスタートしました。
管理人も先だって某所にて講習第一回目を受講いたしました。

管理人は施設所属であり、
居宅事業の予定は当面ないのですが、つくづく「ケアマネージャーの実務研修は
居宅と施設でコースをわけるべきだ。」と思いました。
一般的に介護療養病床に入院している方は退院が厳しい方が多く、
また重症者が多いこと、医療ケアも濃厚で、意思表示も含め
ご本人ができることが非常に限られている人が多いです。


ケアプランの中身は居宅か施設かで利用できるサービスも内容も全く違ってきますし
また施設サービスは居宅サービスと違って
報酬が定額性なので、国がケアマネに求めている必要性に乏しい介護サービスをできるだけ調整して
介護報酬費用を利用者様に応じて適正化することもできません。
そもそも実務研修受講試験の内容からして、制度部門に限れば、7割以上が居宅の人にしか関係ない内容です。

それでも介護保険施設にはケアマネージャーの配置が必須なので、おまけのように
非常に長い時間数の研修を受けさせられています。しかもどこも人出ギリギリでやっているというのに
今後は倍くらいの時間の更新研修になるそうです。その間の患者様のケアを現場で
だれがすると思っているのでしょう。うちは(も)専任ケアマネではなく、
実務と兼務でやっているのですが・・・

まあ それはともかく
今日 へえ~と思ったこと。これは管理人の独断と偏見が多少?混じっています。
�ケアマネージャーは「適切な介護計画を立てること」が業務内容で、限度額いっぱいまで
サービスを提供するよう調整するわけではないこと。お目付役なんですね。
�実務研修受講試験の時から この事業は国が何割負担し、市町村が何割負担し、利用者が何割負担し
などということを繰り返し勉強させられ、何のためにこんなことを勉強しないといけないのか
と思っていたが、国と自治体にはお金がない ということをより深く理解させるためにどうもそのような
内容を勉強させられているらしい。
�福岡県は今年 8000人ほどのケアマネ実務研修受講試験の受験者に対し
1500人ほどの合格者だったこと。そのうち1000人が福祉職で、500人が医療職であったこと。
�地域包括支援センターは予防給付が導入され、居宅事業者が増えすぎて、
サービス報酬が青天井になりそうだったこともあって
設置されたのかな・・?(講師の方がはっきりいわれたわけではありませんが・・)
まあ、権利擁護や統括機能もいりますけどね。
�一分間スタディーなる 一分ごとにどのようなサービスを要介護者が必要かという
データを厚労省が取って、現在の要介護度の項目が出来上がったらしいこと。しかも
今もデータを取っているらしいこと。これにより現在、制度の谷間になっている若年性認知症の方なども
救い上げられる可能性があること。
�思っていた以上に 主治医意見書の特記事項が重要なこと。


講義は 講師の先生に恵まれたせいか
結構面白かったです。

また感想を書きたいと思っています。

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インフルエンザ治療について

2015-01-18 19:58:04 | 日記
こんばんは。古森病院@博多区対馬小路です。

インフルの話題が続きます。

福岡市においてインフルエンザが大流行しており
福岡市が一次救急を福岡市医師会に委託している急患診療所でも
インフルエンザの患者さんが結構来院されます。

その中には、一回ですむというので評判の某薬を吸ったが
発熱が収まらないという患者さんが結構来られます。
十回の吸入で済む某薬も同様の主訴で来院される患者さんも来られます。

そういう方は高齢者の方や小さいお子さん、鼻水の多い方、咳の多い方、痰の多い方に
結構多いと思います。

高齢者の方や小さいお子さんは吸入が上手にできない人がいます。
鼻水や痰の多い方は空気の通り道に沿って、粘液がねっとりおおっている状況で
せっかく吸った薬は鼻水や痰の上に乗っかってしまい、
薬の体内への吸収が上手くいかないことが多いでしょう。
せき込みの多い方は、吸入したとたんに咳をしてしまい、せっかく吸った薬が
体外に出てしまうことが容易に想像できます。

こういう方は内服の適応と思われます。
アレルギーでもない限り、内服を医師側も勧めるべきと思います。

特に一回で済む某薬は、その一回の吸入だけが頼りなので
その時に上記の理由でうまくいかないと
体内に吸収されず、意味のない治療(自然経過と同じ)となってしまいます。

手軽なことが必ずしもよいわけではありません。


また、マスコミが煽っているせいか、熱発してすぐインフルエンザの検査を求めて来院される方が
後を絶ちませんが、半日くらい経ってからのほうが、インフルエンザの検査が
正しく行えることが多いです。しばらく様子をみて来院された方が二度手間に
ならない可能性があります。

また男性の方に多い印象ですが、「熱っぽいなと思っても
熱を測ってもし熱があったらと思うと怖いので
熱を測らなかった。来院して初めて測った。」という方が稀ならずおられます。
女性のほうが現実的に生きているとよく言われますが、いつから何度くらいの
熱が出ているのかというのは診療上、大事な情報ですので、
自宅や外出先で体温を測定することに協力いただければ幸いです。
電子体温計は2000円前後で手に入ります。コンビニにもおいてありますので
よろしくお願いします。

以上、古森病院でした。

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妊婦とオセルタミビル(タミフル)ザナミビル(リレンザ)

2015-01-04 20:57:40 | 日記
明けましておめでとうございます。
古森病院@福岡市博多区 です。

管理人はお正月3が日のうち、病院に行かなかったのは
元旦だけで(もっとも元旦も病院との電話連絡はあり)
いつもと変わり映えしない日々でした。
もっとも当院に限らず、ベットのある病院のフルタイムの医者はみんなこんな感じではあります。
管理人はお正月は某所で急患診療もお手伝いしましたが、来院者の大部分がインフルエンザでした。
インフルエンザの検査会社とインフルエンザの治療薬開発や販売の会社のために働いているようなものです(笑)。

今日は、オセルタミビル(商品名タミフル)ザナミビル(商品名リレンザ)と妊婦さんについての記事です。

前々回の記事で、妊婦さんには一般的に薬を投与して安全か否かの人体実験(治験)が
倫理上できにくいため、妊婦さんへの安全性が確立されているとはっきり言える薬はあまりない
という趣旨の内容を書きました。

実は、タミフルやリレンザは日本で一時期、妊婦さんに爆発的に処方された時期があります。
そう、新型インフルエンザ(2009-2010 A/H1N1)の流行の時です。

2009年春に新型インフルエンザ流行が始まった後、同年10月 WHOは「妊婦は一般の人より
重症化して集中治療室に入る確率が10倍である」という声明を出しました。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/02-03-03.pdf#search='%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6+2009++%E5%A6%8A%E5%A9%A6+WHO'

それまでも世界中で一番 抗インフルエンザ薬が処方されていた日本では、日本での新型インフルエンザ流行後
各方面で妊婦へのワクチン接種と予防内服を含む抗インフルエンザ薬の投薬が広報され
(当時発売されていたのは、タミフルとリレンザのみ)

http://www.jsog.or.jp/news/html/announce_20090928a.html

新型インフルエンザに罹患した妊婦さんや新型インフルエンザの患者さんに濃厚接触した
妊婦さんにはタミフルあるいはリレンザの投与が基本的に行われました。

その結果日本では、妊婦の死亡例は0例でした。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/201307/531831.html


平成23年に厚労省に提出された、日本産婦人科学会及び中外製薬、グラクソスミスクライン製薬会社からの
2009-2010の新型インフルエンザ流行時の妊婦へのタミフル及びリレンザ投与による小児に対する検証報告はこちら

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001vftu-att/2r9852000001vg5t.pdf#search='%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%95%E3%83%AB+%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%95%E3%83%AB%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B6+%E5%A6%8A%E5%A9%A6+%E4%B8%AD%E5%A4%96%E8%A3%BD%E8%96%AC'

タミフルやリレンザ投与後の妊娠経過での先天異常や流産、死産の発生率は
投薬なしの妊娠の自然経過で発症する先天異常や流産、死産の発生率を
上回ることはなかったとの報告です。

妊婦さんにつきましては
このデータと主治医との話し合いで、インフルエンザ罹患時の抗インフルエンザ薬の投薬を
どうするかについて考えて見られることをお勧めします。

以上、古森病院でした。

古森病院ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/















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