ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート

「神話探偵団~スサノオ・大国主を捜そう!」を、「ヒナフキンのスサノオ・大国主ノート」に変更します。雛元昌弘

神話探偵団64 金印の「委奴国王」はスサノオか?

2009-09-09 15:45:21 | 歴史小説
「漢委奴国王」の金印(レプリカ)


●ヒメ 21:56
先に進みましょう。スサノオの高天原神話は「筑紫の日向」の卑弥呼の弟王をモデルにした後世の創作、スサノオは出雲の揖屋の「意宇川」のほとりで生まれた王、という結論でいいわよね。

●ヒナ 21:58
高天原物語を除くと、スサノオの建国物語はすっきりしています。出雲東部の揖屋を拠点としていたスサノオが、西部の足名椎・手名椎の子の櫛名田比売(奇稲田媛)を助けて、ヤマタノオロチ王を討った、ということになります。

●カントク 22:02
まてまて、そうスッキリとはいかんぞ。記紀によれば、宗像3女神がスサノオの娘とされ、高天原を追放されたスサノオは、韓地(韓郷:からくに)に樹種を持っていき、筑紫に持ち帰った、あるいは新羅から東に出雲に渡ったとされておる。

●マル 22:05
スサノオは、筑紫や韓郷、出雲を往来していた、ということになるわよね。

●カントク 22:06
スサノオが韓郷に樹種を持っていき、鉄などを得ようとしたが果たさなかった、という交易失敗談と思われるが、スサノオは筑紫~韓郷間を「南北に市てき」するとともに、韓郷~出雲を「東西に市てき」していた可能性もある。

●マル 22:09
スサノオは、イヤナギが「筑紫の日向」でもうけた王子の可能性がある、といいたいわけ?

●カントク 22:10
そこまでは考えておらんが、出雲生まれの出雲育ち、というような農民感覚で見ると間違いじゃ。津島の通商民族・天族の末裔として、出雲~筑紫~対馬~韓~出雲と交易に従事した王とみるべきじゃ。

●ヒナ 22:12 
スサノオがヤマタノオロチを討った十握剣を「韓鋤剣(からさひ剣)」と言うのは、スサノオが韓郷と行き来していたことを示しているように思います。

●ヒメ 22:14
スサノオは、後漢から「漢委奴国王」の金印をもらった「委奴国王」である、という説はどうなの?

●長老 22:15
日向勤氏の「委奴国王」=「日向(ひな)国王」=スサノオという説は、これまでの常識を吹き飛ばした画期的な説ですね。
天皇の在位年数からの予測で、スサノオの即位は紀元60年となり、紀元57年金印をもらった「委奴国王」と同時代になる。記紀は天皇家に先立ってこの国(葦原中国)を支配していたのは、スサノオ~大国主であると何度も述べているので、「委奴国王」=スサノオの可能性は高い。

●ボク 22:20
邪馬台国畿内説の学者からは、金印偽造説が出されていますよね?

●カントク 22:21
邪馬台国畿内説にとって、大きな障害になるのはこの金印じゃ。だいたい、この国の建国論を邪馬台国から始めざるをえないのが、畿内説じゃ。ところが、魏志倭人伝や後漢書には、邪馬台国の前に「男王が7~80年支配した100国」からなる「委奴国」があったと伝えておる。その国印が博多湾の志賀島から出たのでは、いかにも都合が悪い。

●ボク 22:25
しかし、三浦佑之氏の『金印偽造事件』によれば、金印の発見場所や発見経過には、いろいろと不可解な点がありますよね。

●カントク 22:27
博多っ子としては、金印を守った儒学者、亀井南冥を黒幕としている偽造説は許せないな。もし、偽造するのなら、何の遺跡もない志賀島などではなく、奴国の中心の須玖岡本遺跡あたりから発見されたことにするのではないかな?

●ボク 22:29
記紀が「委奴国王」をモデルにして、スサノオの物語を創作した、ということも考えられますよね。

●ヒナ 22:30
日向勤氏の説の、「霊(ひ)信仰」の時代には、祖先をむやみに偽ると恐ろしい祟りを招くと考えられていた、ということは重要と思います。崇神天皇が恐ろしい祟りを受けて、宮中で祀っていたアマテラスと大物主を外に移し、子孫を捜し出してきて祀らせた、という教訓は天皇家には染みついていたと思います。

●長老 22:34
古事記は「スサノオ~大国主7代」「大国主~遠津山岬多良斯神10代」合計16代の王の系譜を具体的に伝えている。これは、わざわざ創作したとは考えにくいなあ。一方、神話時代の天皇家32代(新唐書)のうち、記紀には16代の王名しかなく、16代が欠史となっている。さらに、初代から16代の天皇の年齢が倍になっている。この3つの16代は、単なる偶然とは思えない。16代の「スサノオ~大国主王朝」に天皇家の王朝が継ぎ足されていることを示しているとみてよいのではないかな。

(ネタモトは日向勤氏の『スサノオ・大国主の日国―霊の国の古代史』(梓書院)です)

にほんブログ村 小説ブログへ,にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説へ,にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ,ブログランキング・にほんブログ村へ