野付湾に流れ込む当幌川河口のヨシ帯。風蓮湖に流れ込む風蓮川とヤウシュベツ川の河口に広がるヨシ帯は亜種ヒシクイが本州に渡って行く前にしばらく逗留する塒(ねぐら)です。
おばんです。小太郎でごじゃります。
★ 亜種ヒシクイ、ただ逗留中 ★
3年前から観察しています。ガンの仲間は行動圏が広いので根室地方ではどのくらいの数がやってくるのか、把握しきれない状況でした。
塒を突き止めてから早朝の飛び立ちと夕方、暗くなってからの塒への帰還を調べると個体数がカウントできると確信しました。
雁に縁がなかったせいでヒシクイについてさっぱり分かりませんでした。そこで観察日数を増やし、慣れていくことにしたのです。
はじめはヒシクイにオオヒシクイと亜種ヒシクイがいることさえ初耳でした。くちばしの違いや鳴き声の違いで区別できるとアドバイスされ、繰り返し観察したのです。
間違えを指摘され、アホにされるうちに何とか識別ができるようになりました。根室地方にやってくるヒシクイは亜種ヒシクイが大半のようです。
私的にはきっとオオヒシクイも混じっていると思うのですが、警戒心が強いのでじっくり見る機会が少ないのです。
亜種ヒシクイはツンドラ(木の生えない永久凍土地帯)で繁殖するガンで、オホーツク海側から太平洋側を経由して宮城県の方へ渡って行きます。
一方、亜種オオヒシクイはタイガ(北方針葉樹林)を主要な繁殖環境とするガンで、主に日本海側を南下して北陸などで越冬します。
9月10日前後に姿を見せ、次第に数を増やしてきました。ヨシ帯を塒にして日の出前20分前から声がしはじめ、広い水面にでてきます。徐々にあつまり、声を掛け合います。
それから10分前くらいから飛び出します。牧草地に向かい飛んでいきます。2羽から50羽前後の群れをなし、次々に飛び立ってきます。
太陽が地平線から顔を出すころには、半分以上が飛んで行ってしまいます。水面を蹴って飛び立つ音がこちらに聞こえてくるときには、すでに林に向かい飛んでいます。
靄が立ち込める中、編隊が次々に飛び立って行くのです。最初に見たときの感激、今でも忘れられません。
V字編隊をなし、牧草地に向かいます。そして日の出30分にはヨシ帯からは一切声が聞こえなくなります。
越冬地の塒立ちとほとんど変わらぬ光景です。