窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

落葉終章

2019-10-30 17:52:21 | 植物

日射しが和らぎ、風景からぎらぎらした感じが消えてきました。寒さが入ってきて

紅葉がとうとう終わりに近づきました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★  落葉終章  ★ 

根室の紅葉は客観的に美しいとは思いません。木を1本、1本見ても葉っぱが美しい

とは思えません。鮮やかでもありません。

本州のように気温がゆっくり低くなっていく温度変化が望めないからです。オホーツク

から寒気が急に降りてきて、夜の気温が急激に下がってしまいます。葉の中の色素が

ゆっくり変わって行くのではなく、急いで変わるので美しく見える時間が数日で終わって

しまいます。

来週には、なんて悠長なことが言えないのです。美しく感じた朝から夕方までが美しい

風景、美しい紅葉が楽しめるんです。その瞬間を逃すと後はしょぼくれていきます。

ただ、光とのコラボレーションが楽しめます。朝に地平線から日が登り、ゆっくり

森全体に光が当たって行くと褐色だった葉が黄色に輝き、赤っぽく輝いてきます。光が

隠れていた色を表に出してくれるようで、鮮やかさが引きだされてきます。

長くは続きませんが、この時間帯の景色はうっとりさせられます。

夕方も地平線に雲が無ければ、朝とはまた違う彩の妙味が楽しめます。仕事時間で

見ることができないことも多いのですが、夕陽が沈む前の時間、外に出て光と発色の

コラボレーションを愉しみます。

 


陽だまりの丘

2019-10-29 13:22:37 | オオハクチョウのいる風景

オオハクチョウが集結しています。10月に初めに姿を見せ、13日には多数のオオハクチョウが

デントコーン畑でくつろいでいるのを見つけました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

               ★  陽だまりの丘  ★

毎年カウントしている野付湾や風蓮湖を巡ってみますが、今年はたくさん集まっている様子は

ありません。今年に限ることではなく、ここ5年ほど利用してるオオハクチョウが減って

きている傾向があります。

理由はデントコーンの栽培面積が増え、畑に多くのオオハクチョウが集まっているのです。

しかも、ねぐらを近場の沼などにして、遠くの野付湾や風蓮湖にしていないのです。実際、

早朝に向かうオオハクチョウの数が4、5年前に比べると減っています。

今年、集まってくるデントコーン畑の周辺で早朝観察しているとオオハクチョウが東西南北

の違う方向から群れになってやってきます。推察ですが、ねぐらに利用している沼が複数

あり、やってきている雰囲気です。

気づいたのです。オオハクチョウはすぐに餌場に行かず、集合する場所があるようです。

「陽だまりの丘」と名付けた牧草地の丘陵地。見通しが良く、滑走して飛び立つには恰好

な場所を選び集まってきます。太陽が上がってくるまでの1時間ほど、ゆったりとくつろ

いでいます。

他に亜種ヒシクイやカモも集まってきます。確かに遠くが見通せ、寄らずに通過して行く

群れを観察することができる情報基地にもなります。

8時前には家族単位で飛び出し始め、数が減って行きます。2羽から10数羽が次々に飛び

立って行き、普通の牧草地になり、静かになります。


ミユビシギ・2

2019-10-26 19:27:16 | シギ・チドリ

なぜ、ミユビシギが砂浜を好むのか?前の方を向く三指と退化した後ろ向きの指が生活

してきた環境に適応してきたからでしょうが、その生活環境はどうなのか興味があります。

おばんです。小太郎でごじゃります。

               ★  ミユビシギ・2  ★

彼らが繁殖期にすごす環境は北極ツンドラ地帯で岩石の多い平原。過酷な環境で繁殖します。

干潟のような柔らかな土壌ではなく、固い岩場です。素早く歩くのに必要な形態に変化して

三つ指になってきたのではないか。引き締まった砂浜を好み、そこから餌になるゴカイや

トビムシ、小さな貝、小カニを捕り食べます。

ツンドラ地帯は昆虫が一斉に発生し、すごく簡単に捕れます。子育てにはとても効率よく

食べ物が手に入ります。きっと岩場のような環境を走り回って捕っているのではないかと

想像してしまいます。

砂浜はツンドラの環境に似ている要素を持っているのではないかな、と思ってしまいます。

砂浜で休んでいたミユビシギが起きだして、波打ち際を活発に走り回る光景はきびきびして

活気にあふれています。波が引くと素早く前に出て、波が来るとバックします。

繰り返し続け、たくさんの食べ物を獲ます。ミユビシギの魅力がいっぱいの波が寄せる砂浜。

多くミユビシギのファンが砂浜の素晴らしい海岸を求め集まります。


クロガモのメス1羽とオス5羽の群れ

2019-10-24 23:38:26 | カモ類

クロガモがやってきてます。野付半島の根室海峡に面した海岸線に5、6羽の小さな

群れが点々といます。他のカモたちが大きな群れでいるのにクロガモは集合しません。

おばんです。小太郎でごじゃります。

          ★  クロガモのメス1羽とオス5羽の群れ  ★

クロガモが野付半島に姿をみせるのは9月です。高度ツンドラ地帯で繁殖するカモとしては

早く姿をみせる種です。湾内に比べ波の荒い外洋を好み、湾内にはほとんど入ってきません。

来たとき、すでにメスが1羽で取り巻くオスが4~10羽ほどで行動しています。

オスたちはメスを取り巻くように行動し、いつも自分をアピールしているように見えます。

荒い波でも群れで行動し、波のりを愉しみ、いっせいに潜り、貝などの食べ物を食べて

あがってきます。くちばしに挟んで上がってくることはなく、ほとんど水の中で飲み込んで

きます。時々、大きな貝が呑み込めず、くちばしに銜え上がってくることがありますが、

滅多に見ることはありません。

貝が多い浅い波ぎわが彼らの行動圏になっています。ピーピーと哀愁を帯びた声を出しながら

波の上を泳いでいるので、気をつけると群れを簡単に見つけられます。

メスを囲んだ行動をしていて、メスが飛ぶとオスが同時について飛びます。ぐるりと一回

りして同じような場所に降り立ちます。じっとして待っていると目の前に来て求愛の

行動を見せてくれます。カモの仲間では見飽きないアクティブな行動をするカモたちです。


ねぐらに向かう亜種ヒシクイ

2019-10-23 15:51:11 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

たくさんの亜種ヒシクイがやってきてます。「たくさん」というのはヒシクイたちが

野付湾にすべてが集まらず、原野に残った沼を使ってねぐらにしているからです。

おばんです。小太郎です。

          ★  ねぐらに向かう亜種ヒシクイ  ★

牧草地にはまだいじられていない原野の沼が残っています。開拓が始まってまだ100年

ほどの歴史しかない土地柄、牧草地の中には埋め立てられていない窪地や沼が存在します。

亜種ヒシクイやオオハクチョウは人が近寄らない沼をひっそり使っています。

どのくらいのヒシクイやオオハクチョウが利用しているのか、見当がつきません。野付湾の

オオハクチョウを毎年、数えてはいましたが、デントコーン畑が多くなるにつれ減って

きたのに気づきました。以来、野付半島でのカウントを止めました。

亜種ヒシクイが野付半島のヨシ帯を利用していることを知ったのは、早朝から出かけるよう

になってからです。当幌川の河口をねぐらにして、早朝に飛び立ち、暗くなってから

戻ってくるからです。近寄れないために、大まかなカウントしかできません。2000羽以上

いるのですが。

それに沼を利用する個体も多く、どのくらいの数が来ているのやら、きちんとプロジェクト

を立ち上げ、調査するしかないでしょう。

亜種ヒシクイはオオハクチョウと同じデントコーン畑にやってきてます。オオハクチョウと

違い地上に降りると地面の色と同化してしまうので、探すのが大変です。

30羽ほどを見つけ近寄って行くと300羽以上が飛び上がってくることがしばしばあります。

湧きあがってくる感じです。

夕方になると分散していた群れが移動してきます。合流する場所があり、集まってきます。

日が沈むと地面を蹴り翼を振りおろす空気振動が、どどっと伝わってきます。一斉に群れが

飛び立ちます。赤焼けの空に黒いシルエットの亜種ヒシクイがたくさん広がり、編隊を組み、

野付半島の方へ移動して行きます。

暗くて分かりずらいのですが、想像以上に多い数がV字編隊を組み飛んでいくのが分かります。

「ええっ」と唸るほど多い個体が現れ飛んでいくのです。

吸い込まれるように暗闇に消えていきます。