窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

コクガン(Pacific brent goose)の後続が次々にやってきてる

2020-03-31 19:28:09 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

3月中旬に先陣がやってきたコクガン。いよいよ本隊がやってきそうです。29日は

片鱗らしき群れがぼちぼちやってくるのが伺えました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

  ★ コクガン(Pacific brent goose)の後続が次々にやってきてる ★

先に来ているコクガンは海で夜すごし、早朝に野付湾に飛んできます。そして

一日中湾内でアマモを採り過ごします。

北上してきた群れは日中にやってきます。彼らは半島の先端をかすめるように

湾内に入って行きます。

根室海峡を飛んでくるときは水面すれすれに飛んできます。湾内に入るころから

上昇し、少し高いところを飛びながら湾内の奥に向かうことが多いです。

おそらく先に来ている連中が集まっているところに向かうのです。

半島の先で見ていると砂の流出を防ぐために作られたテトラポット群をかすめ、

知床連山をバックに飛んでいきます。

まだ冬の様相の山並みを背景に飛ぶ姿が雄大です。

必ず大挙してくる日があり、偶然でも出会うと(過去に2度)実に10羽単位で

これでもかこれでもかと湾内に入ってきます。

コクガンの飛行姿は素早く、力がみなぎる活気を感じます。ぐいぐい進む、他の

ガンとは違う鳥だと思うくらいです。

さて今年はその瞬間に出会えるだろうか。


タンチョウ親子、のんびり

2020-03-30 14:33:54 | タンチョウのいる風景

引き続きタンチョウの話。

なわばりを持つタンチョウは毎年、同じ場所に帰ってきて営巣をする場合が多

いです。昨年、1羽のヒナを育て上げた夫婦が今年も同じ場所に帰ってきました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ タンチョウ親子、のんびり ★

原生林を切り開き、開墾して作られた牧草地は起伏に富んでいます。なだらかな

丘陵地は牧草地にし、谷部や川は周りに林を残してあります。

林の中は湿地が多く残され、タンチョウが営巣するのに適した場所になってい

ます。原生の森だったころはおそらくタンチョウはいなかったはずです。

明治からの急速な開発によりタンチョウの営巣地は消失して、一時は絶滅寸前

まで追い込まれました。懸命の保護活動とともに回復してきて、世界的に有名

なタンチョウの生息地域へと回復してきたことは誇らしいことです。

その間に、タンチョウが環境の変化に適応してきたことが急速な数の増加に寄与

しています。タンチョウたちは牧草地の中に残された谷部の谷地に目を付けた

のです。それまでは海岸線の湿地や河川流域の湿地で営巣してきたのが、原生林

が牧草地に変わったことで内陸にまで棲息地域が広がったのです。

適応放散とよく言われますが、数が増え棲む場所が少ないことから若いタンチョウ

が内陸に移り、牧草地の中の湿地を利用しだしたのです。

農薬が使われない牧草地はミミズやバッタなどが生息し、谷内にはカエルや魚が

います。この親子連れの夫婦はおそらく今年は繁殖をしません。するなら子を追い

払っている時期です。

交尾をする時期です。大地の凍れが強く、解けた雪が水たまりになっています。

のんびりと水を飲み、緩やかな時間を過ごしています。


あるある、ところを利用するタンチョウ

2020-03-27 16:23:08 | タンチョウのいる風景

春、タンチョウは酪農の牛舎周りにやってきます。糞にまみれた敷き藁が山積

みにされた堆肥場があるからです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

       ★ あるある、ところを利用するタンチョウ ★

堆肥は細菌により発酵し、寒い時には湯気がもうもうと出てきます。発酵する

ことで温度が上がり、そこに棲みついたミミズが中に含まれる有機物や微生物

を食べ、繁殖します。

タンチョウはそれをよく知っていて集まってきます。越冬地から繁殖地に帰っ

てきたタンチョウにとり、堆肥の山積み場所は高タンパク質を摂るには恵まれ

た場所。集まってきます。

3月の酪農堆肥場にはなわばりを持つ番いと子供、若き個体たちがやってきます。

牛たちはタンチョウには興味を示さず、互いにのんびりとして過ごします。

牧草地に雪が残っているときは、一日中いるときもあります。近くにデントコ

ーン畑があるときはそちらに行き過ごしています。

4月になると沢にはエゾアカガエルが卵を産みに集まります。タンチョウには

これから動物食がたくさん手に入る季節です。


若きタンチョウ、痩せています

2020-03-26 14:47:29 | タンチョウのいる風景

タンチョウの若者は2歳くらいで親から追い出され、独り暮らしを始めます。

彼らは年上の若者グループを見つけ、合流します。4,5羽から20羽ほどの

群れになり、助け合いながら生活を始めます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★ 若きタンチョウ、痩せています ★

厳冬期を無事に過ごし、ようやく顔を出した大地で食べ物を探せます。昨年秋に

丸々見えた体は遠目からでも細く見えます。

若者が食べ物が少なく、探し難い厳寒期を乗り切ることは並大抵のことではでき

ないことが伺えます。

きっとかなりの個体が冬季に亡くなっていると思います。

飛んでくる彼らを見ていると羽毛越しに痩せているのが分かります。斜めから

射しこむ光の陰影で胸部の中心に張り出している竜骨突起が浮き上がっています。

翼を持つ鳥たちに特有な骨である竜骨。船の底を立てに走る竜骨に似ていること

からついた名前ですが、鳥の発達した大胸筋を支える大切な役割を持っています。

肋骨に変わり肺を守る大切な筋肉と骨。体力がなくなると大胸筋がげっそり削

がれ、竜骨突起が浮きがってきます。

厳冬期で秋に貯めた体力を費やしてきた証しです。大地が温まり、ミミズや昆虫、

カエルなどが出てきます。彼らにとり体力を回復するとっても大切な栄養源に

なります。

 


タンチョウ、ラブラブダンスシーズン

2020-03-25 12:23:11 | タンチョウのいる風景

3月はじめに姿を見せだしたタンチョウがこのところ目立つようになりました。

短い渡りと言えますが、海を越えて国後島や択捉島へ渡り繁殖する個体もいる

ので渡りとしましょう。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ タンチョウ、ラブラブダンスシーズン ★

昨年に作付したデントコーン畑にバラバラですが、30羽近いタンチョウが集

まっています。大人のカップル、去年生まれのヒナを連れた夫婦、3、4歳に

なった若者たちが距離をおきながら、落ちた実を拾い上げ食べています。

中でもヒナを連れていないカップルは、ゆっくり歩きながら突如ダンスを始め

ます。互いに向かい合い、威嚇するような姿勢で声を出し、翼を広げ攻撃的に

近寄ります。

接近したところで小さな方がふいと横を向き、大きい方の前を前傾で歩いて通過

します。

大きい方は頭を上げ、背筋を伸ばし見ています。すると小さな方が翼を広げ、

走りかけます。それを追いかけるように大きい方も翼を広げ、くちばしを開け、

声を張り上げます。

小さい方が行き過ぎると、振り向き大きい方に小走りで向かいます。大きい方が

翼を半開きにして頭を上げると、小さな方が前に来て向きを変えます。

前にでて2羽が同じ方向を向き翼を広げます。その間、互いに声を出し合って

います。

小さな方が前に出ると何かをせがむような姿勢を取ります。大きい方はじっと

見て翼をたたみます。

すると興奮が冷めたように互いに翼をたたみ、何事もなかったかのように歩き

だします。

一連の行動を見ていると、これは交尾を促すメスの行動のようです。この時期

交尾をするタンチョウをよく見ます。やがて気が熟すと交尾姿勢をとり、交尾に

入るはずです。

それは次回にとっておきましょう。