窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

ノビタキとエゾカンゾウ

2019-06-30 19:49:58 | 山野の鳥

エゾカンゾウが咲きだすとノビタキのヒナが巣立ちを始めます。野付半島の草原は海風で

草丈が伸びません。せいぜい膝くらいまで。ハマナスの灌木さえ大きくなりません。そんな

草原がノビタキは好きです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

             ◆  ノビタキとエゾカンゾウ  ◆

巣立ったヒナは巣から離れ、ハマナスの灌木の中や伸びだしてきたシシウドの葉の中など

姿を隠せるところで親が持ってくる食べ物をもらいます。食べ物は虫の幼虫がほとんど。

草の中で成長する虫を見つけては雛に運ぶ親鳥。

オスとメスが協力し合い、分散して待つ雛に運びます。食べ物が多い草地にヒナがいれば、

捕まえてすぐにヒナに運べる利点があります。

効率よく、たくさん運ぶことで雛の成長を促進し、丈夫な雛を育てられます。ヒナが渡る

時期までに残る確率は、この時期の親の努力にかかっているのです。

ヒナを狙う天敵はカラスやイタチの仲間のイイズナ。彼らがやって来ると親鳥はジィッ、

ジィッと警戒の声を出し、敵の周りで警戒します。もちろん人も同じ。

エゾカンゾウの花を撮ろうと草原に入って行くと、近くにやってきて警戒します。その時に

エゾカンゾウの花の上や茎に止まり、ジィッ、ジィッを繰り返し威嚇してきます。

声でヒナたちに注意をさせ、自分に相手の注意を向けさせます。この時ヒナは移動し、

天敵から遠ざかります。

ヒナが遠ざかっても、親はひつこく近くでまとわりつきます。ノビタキとエゾカンゾウの

2ショットはこんな事情から撮れてしまいます。

 


エゾカンゾウ満開

2019-06-28 16:08:40 | タンチョウのいる風景

早朝は海霧に包まれる日が多いこの頃。気温も上がらず、寒さ対策を怠らないように服装

だけは気を付けています。暑いのは我慢できますが、寒さはやる気を失わせます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ◆  エゾカンゾウ満開  ◆

気温13度、水滴がいっぱいついたエゾカンゾウの花がすでに花を開いています。新鮮な

橙色。しっとりと落ち着いた色合いです。太陽が出ていると眩い色に発色しますが、霧を

通した光にはしっぽりした色合いになります。

私はこの色合いの方が好きです。野付半島の草原のように広大に咲き誇るとこのしっぽり

色が落ち着きます。

早朝から開花するエゾカンゾウ。夕方にはこの瑞々しさや張りが薄れ、美しさも半減しま

す。鳥も花も早朝が一番。湿った空気の中で色香をたっぷりためて開く花弁。惚れ惚れし

ます。

花径の先端には花蕾が3-6個ほど付き、満開の謳歌を維持していきます。2週間ばかりの

繁殖期です。

最近はエゾジカが増え、花芽の時期に食べられることが多いので、場所によっては以前の

ような美しさは消え失せているところがあります。

20年前にはエゾジカは少なく花芽を食べられることはありませんでしたから広範囲に咲き

誇っていました。どこも馬や牛が放牧されていた場所です。馬、牛たちは食べなかったんで

しょうね。

今ではエゾジカが定住したところではほとんどエゾカンゾウが見られません。葉や花茎が食

べられている食痕を見つけるたびに、試練だと思うようにしています。


小さなときは外敵にご用心

2019-06-27 15:01:35 | タンチョウのいる風景

生まれて一週間。タンチョウのヒナにとり試練の時です。俊敏に体は動かず、周囲への警

戒心もまだ確立していません。両親に護られているとはいえ、危険はいっぱいです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ◆  小さなときは外敵にご用心  ◆

虎視眈々とヒナを狙う外敵がいます。筆頭はオジロワシ。次にキタキツネ。ハシブトガラ

スもいますが、親の元にいれば、守れます。

オジロワシは大きな体をしている割に俊敏です。眼がいいので遠くからタンチョウの両親

の行動を観察しています。特に干潟にヒナを連れてくるときは、両親の警戒がゆるくなる

一瞬を窺っています。

ヒナは持って生まれた本能で、物陰に身を置くような行動をとります。茶色の羽毛は保護

色の役目を持ち、遠くから目立ちそうにないのですが、オジロワシは捉えています。

狙う瞬間を捉えたことがあります。いつもなら高いところを飛んできますが、狙うときは

低空で水平にやってきます。カモを追いかけるときの速さは出しているようです。

両親が気づかなければ、上空でホバリングしてタンチョウの気を自分に向けさせたときに、

急降下してヒナを掴みます。その前に両親が気づくと、横を素通りしていきます。

近くに降りて様子を窺うこともあります。そんなとき、タンチョウの親は翼を広げ攻撃に

転じます。オジロワシより大きい体をしてるだけあり、タンチョウの反撃は威力がありま

す。

長くしっかりした脚で、押し倒すこともあるんです。鋭い嘴でつついていくこともあります。

地上に降りたワシは反撃を受けるとひ弱です。翼を広げ、脚で対抗するしかないのです。

ほとんどはすぐに飛び立って逃げていきます。それでもあきらめず狙うオジロワシも多い

のです。

ヒナはたくさん食べて早く体をでかくするのが、一番の防御。親タンチョウもひたすら雛に

餌を食べさせます。


子ぎつね、ゆったり

2019-06-26 14:35:16 | キタキツネの生態

親ギツネが海岸や干潟を歩き回っています。人が少ない早朝は見かける頻度が高いです。

子ぎつねが成長し、食欲が増し、空腹の期待に応えるために親ギツネは食べ物探しに歩き

回っているのです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ◆  子ぎつね、ゆったり  ◆

今年も防波用のテトラポットの下に子ぎつねがやってきました。4頭はいます。近くの草地で

生まれ、小さなときは砂の中に掘られた穴の中で生活していました。

1週間前に爆弾低気圧が通過して、海は大荒れでした。海岸線には海から打ち上げられた

食べ物がたくさん転がっていました。それがきっかけかどうか、分かりませんが、子ぎつね

たちが移動してきました。

おそらく親ギツネが食べるものを運ぶ手間を省けるように、子供たちを引き連れてきたのか

もしれません。

成長して親の半分以上の大きさになり、天敵のオジロワシや野犬からも身を守れるように

なったからでしょう。ポットのすき間に入れば安全と親がみたのでしょう。

親が来ると4頭が甘えるように集まります。出かけるとのんびりしたものです。すぐ逃げら

れるテトラポットの近くで寝そべり、ゆったりとしています。

性格は様々。私が近寄っても上目使いに見るだけで寝転がっている子。すぐにポットの

下に入ってします子。あまり姿を曝さない子。

テトラポットの裏から顔を出し、ずっとこちらの動きを見て、警戒心を露わにする眼。つい

声をかけたくなります。遠くからじっくり見続けると、次第に警戒心がとれ、横に寝そべって

柔らかな顔になります。

ゆっくり近寄って行っても目を開けて確かめるくらい。時には大きなあくびを見せてくれます。

親ギツネは突堤に打ち上げられた大きなゴマフアザラシの死体を食べに来ていました。

ワシが硬い皮膚に開けた穴に顔を突っ込み、中の脂肪や肉をかじりとっています。労せ

ずしてあり付ける食べ物はありがたいと思っていることでしょう。

                             


海辺のハエ捕り・ハクセキレイ

2019-06-24 16:45:00 | 山野の鳥

ハクセキレイを波ぎわでよく見かけるようになりました。低気圧が通り過ぎた後の海岸線

にはうねりで引きちぎられたコンブやワカメ、アマモなどの切れ端が打ち上げられます。

半生になった切れ端にはたくさんのハエが集まってきます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

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              ◆  海辺のハクセキレイ  ◆

ハクセキレイの狙いは、たくさん集まるこのハエたちです。コンブをはじめとする海草は

ミネラルやタンパクなど栄養価の高い成分が多く、ハエは乾燥して滲み出てくる液を舐

めています。

サッサと歩いてきて瞬時に捕えます。多くは一瞬にして逃げるので、つぎつぎ移動しな

がら捕っていきます。ハエが多いときは効率よく捕れます。

すばやく、ハエが飛び立つ前に嘴がつかみます。狙ったハエが逃げると体をひねり、

反飛びしてキャッチ。頭を低くして、ハエ目線でくちばしを出していきます。

この素早く動きに魅了されます。身のこなし方を担っているのが、脚と翼と尾羽です。

尾羽は体をねじったり、頭をひねったりするときに体全体のバランスを維持するのに

とても役立ちます。

体操競技の床運動で見せるひねり技を彼らは日常でやってくれるのです。その時に

貢献しているのが尾羽です。1本1本の尾羽がばらばらに動き、空中でのバランスを

とっているのです。

エサ取り光景を見ていると、鳥の羽1本1本が彼らの生活を支えているとつくずく考え

させられます。

寂しい夏場の海岸線。ハクセキレイの華麗なる餌取りで盛り上がり、愉しんでいます。