窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

やっと咲いた、根室のエゾ桜

2020-05-29 14:14:28 | 根室の風景

沖縄で桜が咲いてから4カ月以上、新コロナで今年は桜のニュースが少なかった。

それでもフェイスブックには桜の便りがたくさん乗りました。すごい作品が

たくさんあり、愉しみました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

       ★ やっと咲いた、根室のエゾヤマザクラ ★

5月10日ごろから咲き始めたのですが、オホーツク高気圧の寒気が入り込み、

開花の勢いを止めてしまいました。咲きたい、咲けない。桜の木はすごく悩んだ

ようです。

日当たりのいいところは、彩りをましました。海霧が入り込んだところはなか

なか花弁が開かず、ちぐはぐで、ぱっと開きません。

そのうちに葉が出てきて、広がりました。花は葉に隠れ出し、ひっそりと咲く

感じになりました。

ソメイヨシノの華やかさはありませんが、薄紅色の花弁の奥に深紅の色が色っ

ぽいではありませんか。

牧草地の中に残された桜の木が原野で激しい自然の猛威に耐え、がっちりとした

樹幹になり、残っています。


オジロワシの白い尾

2020-05-27 23:15:41 | ワシのいる風景

オジロワシの白い尾。体の大きさに比べ、意外と短い。翼に比べしなりも少なく

舵をとるには、とっても役立っています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ オジロワシの白い尾 ★

オジロワシが天然記念物になる前、猟師に狙われ多くが剥製用に、和弓の矢に

使われて使われていました。オジロワシの矢羽は最高級品で、人気がありまし

た。そのため、一時オジロワシの数が急激に減少、ついには特別天然記念物に

なりました。

中でも尾羽は左右対称で、硬くしっかりして狂いが少ないのです。尾羽を広げた

様子を見ていただいても分かるようにがっちりしています。

尾羽以外の翼の羽は左右が違います。真ん中の芯(羽軸)より外側は羽の幅が

狭く、櫂方(貝方、櫂形)と呼びます。外弁と言われます。逆に内側の羽の幅

は広く、開きといい、内弁と言います。

この一枚の羽根を羽軸から2つに裂いて矢羽根として使います。一般的に櫂形は

柔かくて弱弓向き、開きは硬くて丈夫で強弓向きと言われます。

いろいろ研究してきてるんですね。

オジロワシの尾羽根は幼鳥⇒成鳥と変わるにつれて矢羽根における呼称も

「粕尾」⇒「ことり粕尾」⇒「薄兵尾」と呼び方が変わります。

値段も右上がりに高くなっていったのでしょう。

飛び出した時の尾羽の使い方は下方向におおぎ形に広がり、がっちりと空気を

押さえ、上昇に寄与しています。水平飛行に入るとさらに広げ、空気を捉えて

います。

それでも尾羽は反ることなく、力を使えています。芯がしっかりしていて、強い

抵抗にもびくともしないのです。

鳥を追いかけ、急展開するときにブレーキになり獲物を追跡できるのです。翼は

しなやかに反っていますが、尾羽は曲がることなくブレーキをかけるのに役立っ

ています。

何とも頼もしい尾羽です。


オオソリハシシギ Bar-tailed Godwit

2020-05-26 18:31:12 | シギ・チドリ

オオソリハシシギが今年も北上してきました。わずか7羽ですが、姿を見れた

だけで嬉しいです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

      ★ オオソリハシシギ Bar-tailed Godwit 北上 ★

毎年、多くはありませんが、野付湾に立ち寄ってくれる個体がいます。多くの

オオソリハシシギは中国と朝鮮半島に囲まれた黄海の干潟を経由して行きます。

広大な干潟が広がり、昔から多くのシギやチドリ、カモ類、サギ類などが渡り

途中に立ち寄って行く中継地です。

渡りの最中は干潟を真っ黒な雲のように見える群れが飛びまわる世界有数の干潟

です。一度は見ておかなけれなばらない大パノラマが展開されるところ。

その干潟が1950年代から埋め立てにより消失してきています。今では50%

ほどの干潟がなくなっているそうです。

それに伴い、干潟を使う多くの水辺の鳥が減少し、絶滅の危機にある種まで出て

きています。オオソリハシシギもそのうちの1種です。

オーストラリア、ボルネオ、マレーシア、ニュージーランド沿岸で越冬し、北上

してきて、シベリアの北極海沿岸に向かいます。その途中で寄ってくれるのです。

秋には見ることはありませんから、春は一生懸命観察します。

嘴が長く、根元は太くピンク色をしています。先に行くにつれて黒くなり、やや

上に反り返っています。名前の所以です。

干潮になりだすとさっそくアマモの生えた干潟にやってきます。長いくちばしを

突き刺してゴカイや他のシギがとれない地中の生き物を捕りだしています。

嘴の先は柔らかく、センサーになっていて泥や砂に潜む生き物を探せます。

砂がぎっしり固まった場所ではなく、水で緩やかになったところで探して

います。

オスは夏羽色になっていて、顔からお腹にかけ下面が赤錆色になっています。

それに比べるとオスより一回り大きく見えるメスは褐色が強く、白っぽく見え

ます。オスは締まって見えますが、メスはふんわりして、色っぽく見えます。

干潟では7羽がいつも一緒に行動していました。来週にはいないでしょう。


今年も営巣を失敗しました

2020-05-25 16:58:39 | タンチョウのいる風景

野付半島のナラワラ林の周囲を縄張りにするタンチョウ夫婦。毎年、営巣する

ですが、今年も駄目だったようです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 今年も営巣を失敗しました ★

去年は2羽のヒナが生まれましたが、育雛途中でヒナが2羽ともいなくなりま

した。キタキツネか、オジロワシに捕られてしまったようです。

今年は毎年使う巣を使いませんでした。最初から繁殖する気がなかったのでし

ょうか。

海岸線で縄張りを持ち、暮らすタンチョウ夫婦の営巣成功率は内陸部の夫婦に

比べ決して高くないです。最近は海水面が高くなり、長年使ってきた巣が高潮

の影響を受け、水を被ることが多くなりました。

干潟に生えていた草地が満潮になると海水で覆われ、消えて行っています。

再び泥炭になり、表面の泥が削られていってます。タンチョウがヒナを連れて

採餌していた場所が消えて行っているのです。

繫殖する場所を変えればいいと思うのですが、移動するにも伝統的な繁殖場所

には入って行くことが難しい。彼らが変わらなければいけないのですが。

高潮の影響が少ない場所を選び、キタキツネやオジロワシの妨害に耐えうる

場所、ヒナを安全な場所にすぐ導ける場所、など条件を見つけないといけませ

ん。ただ、今以上に良い場所を見つけるのが難しいのかもしれません。

この夫婦、すでに諦めたのか、いたってのんびりと潮が引いた干潟で採餌を

する光景を見かけます。


群来が来た痕、集まるヒドリガモとカモメたち

2020-05-21 13:37:17 | カモメ類

4、5月の時期は野付半島周辺は生き物が活発に動きます。鳥の渡りの時期で

あり、海の中の生物も大量発生しているプランクトンを求め集まってきてい

ます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

      ★ 群来が来た痕、集まるヒドリガモとカモメたち ★

風蓮湖で採卵・放流を地道にやってきたせいで、根室海峡を回遊するニシンの

数がこのところ目立って増えてきています。昨年は野付半島で初めて大きな

群来が見られました。

時期は5月のはじめ。沿岸定置網に大きな群れが来て、卵をびっちり産み付けて

いきました。砂地の海岸には産卵を終えた親魚が死に、魚体が大量に打ちあがり

ました。

それを食べにオジロワシやカモメがたくさん集まっていました。お祭り騒ぎで

した。今年はと、期待したんですが、大きな群来は起こらず、小さな群来が起

こったきりで終りました。

起きていたのは確かなようで、ワシがたくさん集まっていました。しかし去年

みたいなにぎわいはなく、波打ち際にカモメとヒドリガモが2、3か所に集まっ

ている程度でした。

なにを食べているか、近寄ってみても、大きなものは見つかりません。ニシン

でもありません。カモメたちは海岸に打ちあがったものを拾ってますが、小さな

ものです。

普段は来ないヒドリガモが、波に立ち向かい海面を嘴でばちゃばちゃやってい

ます。さらに近寄り調べてみました。丹念にチェックしてみると1ミリ以下の

小さな卵。ニシンの卵が浮いて海岸に寄ってきているのです。ヒドリガモは

それを嘴で濾して食べているのです。

ユリカモメやオオセグロカモメ、ウミネコたちは砂浜に打ち上がった卵を拾って

いるのです。

打ち上げられた海草の中に肉が見事になくなった魚の骨が入っています。ニシン

骨です。小骨がいっぱい。間違いなくニシンです。海の中で腐食して打ち上

げられたのでしょう。

腐食してなければカモメやワシが丸呑みしているはずです。とにかくニシンです。

近くで産卵があり、波にもまれて海岸に打ち上げられているのです。

ワシ以外の鳥にとって思わぬ栄養価の高い極小のご馳走です。