窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

干潟と森

2020-06-30 23:47:53 | 根室の風景

野付半島には海抜ゼロメートルの森があります。ミズナラがたくさん生えて

いる原生林。倒木がごろごろして、開いた空間には新しい若い木が生え、おお

きくなりつつあります。

おばんです。

             ★ 干潟と森 ★

この森は1960年、チリ沖で発生した大津波が日本にやってきたとき、津波の被

害を受けました。トドワラと言われたトドマツが生えていた森は海水をたっぷり

かぶり、大半の木が倒れ、枯れていきました。

そのさまが海獣のトドがごろごろしているように見え、1970年代はトドワラと

して旅仲間から呼ばれるようになりました。多くの人が奇景を求め来るように

りました。トドワラを根室海峡から入ってきた津波が野付半島を乗り越え、

撃したのではないかと思います。

ナラワラは奥の方にあったせいで、野付半島の先の方の森とトドワラのおかげで

津波が弱められ、森全体が海水を被らなくて済んだのではないでしょうか。

海面に面した木々だけが波を被ったぐらいで、治まったのです。

いま、森を二分する干潟にタンチョウやカモが集まり、ゆったり過ごしています。

 

 


エゾジカ、それぞれ。

2020-06-30 00:37:59 | エゾジカの四季

6月の森や草原はシカにとって豊かな季節です。食べ放題の草がどこでも手に

入ります。厳冬期のことを思えば天国です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

         ★ エゾジカ、それぞれ ★

この時季、エゾジカたちは独りや小さな家族、群れになって生活する個体が

います。

仲間を作らず単独で暮らすシカはとっても警戒心が強く、周囲に注意を払い

ながら、群れが見せないような大胆な行動をとったりします。日中でも見通し

の良い牧草地に出てきます。

オオカミがいたらきっと狙われる対象になるはずです。今は、いませんが、いた

頃はきっと見せない行動です。

遠くで見かけ、ゆっくり近寄って行くとすぐに見つかりました。こちらを向き、

気配と正体を見定めると、即、走り出しました。若いメスです。メスの単独は

珍しい。

おそらく3歳くらいの若いメスです。体が引き締まり、走ると大腿筋が浮き上が

り、躍動して行きます。魅力的な体です。牧草地を横切り、林の中に飛び込ん

でいきました。

メスは家族を大切にします。子供の姉妹を連れ、母親がリーダーになって行動

します。母親の子供、娘の子供が集まり、4、5頭の小さな群れになって生活

するのがよく見られます。

何かと協力しあい、助け合って生きています。時に、2歳くらいの短角が生えて

いる息子を連れていたりします。秋になれば若きオスの群れに合流するはずです。

オスはいろいろ。年寄りは似たような年齢層が集まり、ゆったりと草地でて草

を食べていたりします。のんびりとしたものです。若き連中はリーダーにまと

められ、夏季でも20、0頭の群れを成しています。

ただ、オスにはソリタリーと言われる独りものがけっこういます。群れに入る

ことが嫌なんですね。

出会えば、瞬時に走り去っていきます。


エゾカンゾウが満開

2020-06-28 15:30:07 | 根室の風景

エゾカンゾウが野付半島の草原で満開です。見事な橙色の草原です。正式名は

ゼンテイカ(禅庭花)、意味のある名前に思えます。本州では、夏の高原の風物詩

として有名ですね。

おばんです。小太郎でごじゃります。

          ★ エゾカンゾウが満開 ★

各地で名前があり、ニッコウキスゲ、エゾゼンテイカ、エゾカンゾウなど。こ

ちらではエゾカンゾウを使っています。

アイヌの人たちはカッコウがよく鳴くころに花を咲かせるとして「カッコク・

ノンノ」(カッコウの花)と言います。確かにハマナスの灌木が生え、センダイ

ハギが満開になり、エゾカンゾウが咲いている草原で立っていると、カッコウが

托卵のために飛びながら、鳴きながら移動して行きます。

地についたた生活をしているからこそ出てくる名前です。

この草原、今はまだエゾカンゾウの花で満ち満ちていますが、いずれ消えてい

くかもしれません。20年前くらいから冬季にエゾジカが銃口を避け、越冬を

しだしてから減りだしました。春に出てくる新芽をエゾジカが食べるのです。

500頭以上がいた時期は、多くの植物の芽が喰い込まれました。エゾジカが多く

過ごした場所ではほぼ全滅、以前はエゾカンゾウの橙で染まっていた場所は

なくなりました。

ただ車が多く走り、人の気配がいつもする場所にはシカたちも集まらず、

エゾカンゾウが残っています。

花は朝に咲き、夕方にはしぼむ一日花。朝顔みたいな、潔き花です。わずか半日

の間に虫を引き寄せ、受粉させ、種を作る努力花。

ハエなどを引き付け、花粉を付けさせる戦略をしっかり持っているようです。

花の形、雄しべの曲がり方、雌しべの位置、どれをとっても花粉が付きやすく

する工夫が進化してきているはずです。

そう考えながら花を写しています。


托卵をたくらむカッコウ

2020-06-26 18:18:16 | 山野の鳥

カッコウが渡ってきた5月の下旬、草原は一時、カッコウ、カッコウとにぎや

かになります。この時、オスが必死になってメスを巡る争いを展開しているよ

うです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           ★ 托卵をたくらむカッコウ ★

カッコウは一つのテリトリーに雌1羽に数羽の雄が性的なチームをつくります。

6月上旬はそんな時期です。雄が目立つ木の上で鳴くと、託卵されてたまるかと

託卵されるノビタキやシマセンニュウ、コヨシキリの雄が追いかけます。

雄の帰りが遅いと営巣中の雌も巣を離れる機会が出てきます。じっとようすを

伺っていたカッコウの雌はその隙に数秒で卵を産み落とすと言われています。

メスがハマナスの枯れ木に止まり、托卵する相手の巣を探しています。じっと

動かず周りを観察しています。動かないとカッコウを探すのは大変です。草むら

入り待っているとオスが近くで鳴くことがあります。その時にメスが移動し

ます。

移動して行くメスは遠目では見つけずらい草むらに行き、枯れた灌木の枝に止

まります。けっして鳴きません。じっとして動かず。それを見計らい接近します。

メスは真剣です。ゆっくり近寄れば、寄れるんです。

こんな時、オスも鳴きません。近くにいて様子を窺っています。ただ、目立つ

ようなところ、草地よりも高い目立つような木の中に止まっています。

メスは周りをきょろきょろ見回し、托卵相手の動きを追っています。時々、

近くに小鳥がやってきても動かず見ています。

托卵はカッコウにとり、子供を残す大事業です。まず仮親の子が犠牲になります。

しかし、托卵が見つかれば、後から産み付けられた卵が巣から蹴り出されること

なります。

カッコウはこれを避けるために巧妙なトリックを複数、習得しています。

卵の色合いを托卵の対象になる鳥の卵と一致させ、見破られないようにしてい

ます。

また、卵の産み付けが驚くほどに早く、見つからないようにします。草むらに

飛び込んで、すぐに出てくるような時間です。エサになる毛虫を捕っているのか

と、見間違うくらいのはやわざです。

研究によるとメスはこの時に「クワックワックワックワッ」という声を上げる

そうです。

この声がプレデターのハイタカの「キッキッキッキッ」という鳴き声に似て聴

こえるらしい。その周波数において似ていなくもないそうです。

このタカに似た鳴き声、仮親となる鳥の注意を巣からそらし、自分自身の安全を

守る方へ向かわせることで、托卵の成功率をさらに上げていると言っています。

そんなこと考えながら、カッコウの様子、楽しいんでいます。


ショウドウツバメの飛行

2020-06-25 22:38:12 | 山野の鳥

巣つくり中のショウドウツバメは崖の上に作った巣から出たり入ったり。巣の

前の海岸の上を飛びまわり、時に森の方へ飛んでいきます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★ ショウドウツバメの飛行 ★

ショウドウツバメの飛ぶ一瞬の姿を収めようとカメラを向けてみました。レンズ

カメラの総重量は2キロ以上、上を向け狙っていると左の腕がマヒ状態になる

ほどです。

ツバメより小さく、方向転換が激しく、なかなか追跡できません。風向きと、

彼らの行動パターンを頭に入れ、焦点キャッチを試みるのですが、カメラもなか

なか反応してくれません。

それでも数を打てば、当たることあります。3時間も粘り抜きました。太陽の

光がどんどん変わってくるので焦りました。

崖の巣の周辺では餌になる虫は飛んでいないので、巣に帰ってくるときに速度を

落とす時に何とか焦点が合います。

メスをオスが3、4羽で追いかけたり、2羽で飛びまわったり、飛行姿だけでも

研究の対象になりそうです。