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防衛省も文書改ざんか 共産・穀田氏が外務委員会で追及 2018.3.31 日刊ゲンダイ / 政権が変わって書き換えられたなら、防衛政策の変更だ。天木直人

2018-04-01 22:47:15 | 平和 戦争 自衛隊

防衛省も文書改ざんか 共産・穀田氏が外務委員会で追及

 
 改ざんは財務省だけではなかった――。

 共産党の穀田恵二国対委員長は30日の衆院外務委員会で、防衛省統合幕僚監部が2012年7月に作成した文書に関し、「森友と同じ改ざんの疑いがある」と述べた。文書は沖縄の米軍基地を陸上自衛隊が共同使用することを検討する内容だ。

 穀田氏は独自入手したとする防衛省作成の文書と、同省が情報開示請求に対して提出した同じ題名の「日米の『動的防衛協力』について」という文書を比較し、削除されている部分があると指摘。穀田氏が入手した文書には「検討会の実績」「今後の予定」が書かれたページが抜けていたという。

 穀田氏は山本朋広防衛副大臣に「意図的な削除か」などと質問したが、山本副大臣は「(穀田氏が入手した文書は)対外的に明らかにしたものではないので真贋が分からない」とし、開示文書を「全ページがそろっており、抜け落ちているものはない」と疑惑を否定した。

 

 

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政権が変わって書き換えられたなら、防衛政策の変更だ。

 

政権が変わって書き換えられたなら、防衛政策の変更だ。

 新党憲法9条 http://kenpo9.com/archives/3494

 森友文書の書き換えが、「あってはならないことだ」、「民主主義の危機だ」と、与党も野党もすべての識者も、そしてすべてのメディアも、口をそろえて大騒ぎしていた時、私は他省庁の文書に書き換えが見つかったらどうなるのだろうと思って見ていた。

 そうしたら、やはりというか、当然というか、他の省庁でも文書書き換えが見つかったらしい。

 今日の各紙が小さく報じている。

 政府は30日の閣議で、厚労省で2007年と2014年に決裁文書の書き換えがあったとする答弁書を決定したという。

 希望の党の小宮山泰子議員の質問主意書に回答するためらしい。

 ところが驚いたことに、どこがどう書き換えられたかには触れてない。

 しかも、「現時点で把握している限り」であり、「他にこうした例があるか調査中だ」としている。

 ということは他にもいくらでもあるということだ。

 しかし、それ以上小宮山議員が追及する気配はない。

 聞きっぱなしだ終わるだろう。

 私がもっと驚いたのは、共産党の穀田恵二議員が30日の衆院外務委員会で追及した防衛省の文書書き換え疑惑だ。

 すなわち防衛省統合幕僚監部が2012年に作成した文書が、2015年に共産党が入手した同じ文書と比べ、削除された部分があり、これは改ざんの疑いがあると追及したらしい。

 これに対し山本朋広防衛副大臣は、共産党がどういう経路でその文書を入手したのか明らかでないので真贋について答えるのは困難だと逃げた。

 しかし、この改ざん疑惑は、決して逃がしてはならないほど深刻な書き換えである。

 なぜなら、その文書は民主党政権下であった2012年7月に統幕防衛計画部が作成した日米防衛協力に関する文書であるからだ。

 政権が変わって書き換えられたなら、防衛政策の変更だ。

 その変更は国会で堂々と議論した上で政策の変更として国民の前に明らかにされなければいけない。

 もし民主党政権がその文書に書かれている内容を決済しているのであれば、当時の民主党の主要議員は、自民党政権にその変更の理由を国会で問いただすべきだ。

 もし民主党政権がその文書に関与していなければ、自衛隊幹部の文民統制違反である。

 政権が再び自民党に戻ったから、都合の悪いところを改ざんした疑いがある。

 この防衛省文書の書き換え疑惑は、国家の防衛政策に関わることだから森友文書改ざんよりはるかに深刻だ。

 森友文書改ざんより大騒ぎしなければいけない問題だ。

 しかし、誰もこれ以上追及しないだろう。

 森友文書改ざんで手一杯であるからだ。

 防衛政策は誰も関心がなく、追及し甲斐がないから、メディアも騒がないからだ。

 もしこのまま防衛省の文書書き換え疑惑が忘れ去る事になれば、もはやため息が出る現実と言う事になる

 

 

 

 


佐川氏が証人喚問で陥った「悪魔の証明」という罠 2018.3.30 大前 治弁護士

2018-04-01 15:42:31 | 森友学園疑惑

 

佐川氏が証人喚問で陥った「悪魔の証明」という罠

なぜその証言を信用できないか
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/55046  2018.3.30

森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざんの問題で、3月27日に衆参両院でおこなわれた財務省の佐川宣寿・前理財局長の証人喚問。

「刑事訴追の恐れ」を理由とする証言拒否によって辛くも逃げきったようにみえるが、佐川氏の証言には隠れた「落とし穴」があった。

この証言は信用できるのか。安倍政権や大阪府の思惑(過去記事参照)も視野に入れつつ、私たちが冷静な目で判断することが求められている。

〔PHOTO〕gettyimages

自信満々の「悪魔の証明」で窮地に…

佐川氏の証人喚問の特徴は、刑事訴追の恐れがあるとして40回以上も証言を拒否しながら、一方で「首相官邸からの指示はなかった」と自信満々で言い切ったところにある。

このように、「なかった」という事実を証明することを「悪魔の証明」という。不存在を証明するには、全ての存在事実を調査し尽さなければならない。それは事実上不可能であるから、こう呼ばれる。

佐川氏は、自信満々でこの「悪魔の証明」をやってしまったのである。それが自分を苦しめることに気付いているだろうか。

首相側からの指示が「なかった」という証言は、「私は、文書改ざんに最初から最後まで全面的にかかわっていたから、不存在を証明できる立場にある」という前提があって初めて信用できる。

とすると、佐川氏は文書改ざんの全面的な実行者あるいは主犯格に近い立場であることを自認しているに等しい。

首相の指示がないのに、勝手に自分たちが文書を改ざんした。そのことを認めて重い罪を背負う供述をしたことになる。

 

議員への反論で、また墓穴を掘る

この点について江田健司衆議院議員は、「もしあなたが、この改ざん問題に関与していないとすれば、そんな(理財局以外の者は誰もかかわっていないという)断言答弁はできないはず」と糺した。

悪魔の証明の不合理を突く指摘である。

これに対し佐川氏は、「官邸や本省から指示があれば私に報告があるはずだが、なかった」と言ってのけた。だから私は不存在を証明できるのだ、という佐川氏の言い分である。

しかし、これは佐川氏の証言の不合理性をさらに強めている。

〔PHOTO〕gettyimages

なぜなら、首相官邸からの指示がなかったという根拠を、「報告を受けていない」という一点に絞り込んでしまったからである。しかも、報告を受けるという受け身の姿勢にあったことを自白している。

これでは、全ての存在事実を精査したから悪魔の証明をできるという前提が崩れてしまう。佐川氏の証言が根底から信用できなくなってしまう。

この証言によって佐川氏が僅かでも有利になるとすれば、「私が報告を受けていないところで、首相からの指示があったかもしれない」という余地があるところである。

要するに、「私は悪くない。首相と部下が悪いのだ」という逃げ方である。

しかし、佐川氏がそんな逃げ口上を意図したとは思えない。やはり、意図しないままに自ら不利な証言をしてしまった、というところであろう。

「首相から指示された」と言うはずがない

野党が強く求めて実現した証人喚問であったが、証言拒否の繰り返しによって「不発に終わった」とか「佐川氏は逃げ切った」という評価も散見される。

しかし、それは見当違いである。

そもそも、佐川氏が国会で「首相から指示されました」と言うはずがない。

もし、野党議員が「佐川氏に自白させて謝罪させる」ことを目標としたのであれば、その戦略は誤りであり見通しが甘すぎる。

先ほどの江田議員の質問をみれば、さすがにそんな甘い見通しではなかったと分かる。証言拒否を予測して、的確に準備された質問であった。

 

また、小池晃参議院議員は、佐川氏が昨年2月に国会で改ざん前の文書に基づいて答弁をしていた事実を指摘し、その文書には財務局が森友学園を訪問したことが書いてあるから、それを知らなかったと国会で答弁していたのは虚偽にあたるのではないかと指摘した。

この質問は、自白させることを目的としていない。客観的証拠との整合性を論理的に問う質問である。しかも、刑事訴追の可能性は皆無であるから、佐川氏は正面から回答せざるを得ない。

ところが佐川氏は、自分の補佐人(熊田彰英弁護士)から耳打ちを受けて、証言を拒否した。

それでも小池議員の質問は見事に目的を達成した。佐川氏の供述の不自然性を国民に理解させることに成功したからである。

大切なのは「自白したか否か」ではない

佐川氏は証人尋問をうまく逃げきったとはいえない。自信満々の「悪魔の証明」で墓穴を掘り、証言拒否の繰り返しによって多数の事実を隠していることが浮き彫りになった。

大切なのは、佐川氏の供述態度を見渡して、その証言が信用に値するものか否かを私たち自身が的確に判断することにある。

私は弁護士として日常的に裁判にかかわっており、法廷で相手側に尋問して証言させることもある。

そのときに、相手側が「私が嘘をついてました」と土下座をする場面は絶対にないと心得ている。むしろ、相手側は最後まで嘘をつくであろうとさえ予測して準備をする。

だからこそ、相手側へ質問をするときには、「本当のことを話させる」ことを目標にせず、「分かりやすく見抜ける嘘をつかせる」ことを目標とする。

一例を示してみよう。

法廷で「あの人が殺人犯です。夕日が東に沈む方向に、ハッキリ見ました」と証言する目撃者に対して、どう質問するべきだろうか。

「あなたは間違っている! 夕日は東には沈まないはずだ!」などと法廷で論争をする必要はない。

「あなたは、自分の目撃が絶対に正しいと思っているのですね」と尋ねたうえで、「太陽が東に沈むのを間違いなく見たのですね」と言う。それだけで質問を終わらせてよい。

これをみた裁判官は、証人が嘘をついていると分かるはずだ。

今回の佐川氏の証人喚問も同じように、論理性や客観的証拠との整合性によって真偽を判断できる。佐川氏が自白をしたかどうかは重要ではない。

重要案件について前任者から十分な引継ぎを受けていない。決裁者として関係文書を詳細に検討していない。それでも首相や本省からの指示はなかったと断言できる。

そんな佐川氏の証言を信用できるのか。私たちの判断が問われている。

野党議員にも警鐘を鳴らしたい

野党議員にも警鐘を鳴らしたい。

3月23日と26日に相次いで野党議員が籠池泰典氏(森友学園前理事長)に面会して、その直後に拘置所の出口で会話内容を発表したことに、私は危うさを感じた。

籠池氏の証言は本当に信用できるか。それに全面的に依拠して安倍政権を追及できるだけの価値があるのか。

籠池氏の自白に依りかからず、客観的証拠との整合性から政権を追い詰めることに注力すべきではないか。野党は、足元をすくわれないよう真摯に再検討するべきである。

〔PHOTO〕gettyimages

私が弁護士であるがゆえの心配過剰かもしれないが、黙秘権が保障されている被告人が国会議員による「調査の対象」とされたことにも危惧を覚えた。

籠池氏には「話す権利」もあるが「黙秘する権利」もある。それが事実上侵害される事態が心配である。

しかも、勾留が長期にわたっていることへの批判を打ち消すかのように、「籠池氏は元気そうで、血色もよかった」という国会議員の発言も報道された。

面会を終えてすぐに、テレビカメラの前でそんなことを言う国会議員は、一体何のために面会をしたのか。

籠池氏を批判する与党の国会議員が、彼との面会のために行列を作る事態が起きたら、野党議員はそれを批判できるのか。

これは、一般人との自由な面会を認めるか否かの問題ではない。国会議員による調査という名目ならば何をしてもよいのかという問題である。

事実を解明するには、そのための手続の正当性・公正性が求められる。そのことは与野党を問わず全ての国会議員が肝に銘ずるべきである。

 

 

 

 

 


NGO活動を攻撃し、AV強要対応に反対した、杉田水脈議員の国会質問に抗議します。2018.3.28 -人権は国境を越えて-弁護士伊藤和子のダイアリー

2018-04-01 07:10:25 | 命 人権 差別

人権は国境を越えて-弁護士伊藤和子のダイアリー

・・・・・・・・・・・女性弁護士として、国境を越えた人権活動に取り組むNGOの事務局長として、日々遭遇する出来事・論考・お勧めイベントなどをご紹介します。  日本でも世界でも、私がなくしたいことは、最も深刻な人権侵害、それは、罪なき人々の命が犠牲になること、女性が暴力の犠牲になること、子どもが売られて、搾取されること。


http://worldhumanrights.cocolog-nifty.com/blog/2018/03/post-f430.html

2018年3月28日 (水)

NGO活動を攻撃し、AV強要対応に反対した、杉田水脈議員の国会質問に抗議します。

2018年3月9日の衆議院内閣委員会において、杉田水脈衆議院議員が質疑に立ち、
NGOヒューマンライツ・ナウの活動や取り組んでいる課題に触れた質問をしました。
この内容は以下、「衆議院インターネット審議中継」にて確認することができます。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=47874&media_type=fp


その内容は驚くほど攻撃的で、議員としての見識を疑うものです。
要するにHRNは反日団体であり、AV強要の被害など疑わしいし、大した件数もないので、政府が取り組みをすることに強く反対する、という内容でした。
最近の報道では警察庁がAV強要関連で100人以上を検挙したとの報道があり、改めて被害の深刻さを政治が認識し、弱い立場に置かれた女性たちのために尽力してほしいし、心ある政治家は党派を超えて取り組んでいただいているのに本当に遺憾です。
杉田議員の質問・指摘には下記のとおり重大な問題が含まれており、看過できないと考え、抗議を行うことにしました。

1 事実と異なる言及について

(1)  杉田衆議院議員は質疑で、ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)について「日本軍が慰安婦というのが性奴隷であったとかといったことを国連などを通じて世界に捏造をばらまくということをすごく熱心にやっている団体がこのヒューマンライツ・ナウなんですね。」と発言しています。
  「捏造」とは実際になかったことを故意に事実のように仕立て上げることですが、当団体は「捏造」に該当する行動を行ったことはありません。
  HRNはいわゆる「従軍慰安婦問題」に関し、見解の表明を行っていることは事実ですが、その前提となっている事実関係は、河野談話、日本の政府関与のもと設立されたアジア女性基金が残した「デジタル記念館 慰安婦問題とアジア女性基金」に記載された事実 、国連人権機関からの各種勧告、レポートです。
HRNは2006年に設立された国際人権NGOであり、設立時には既に上記談話、アジア女性基金等の研究結果、国連人権機関からの勧告、レポートの多くは公表されていました。当団体は、国際人権NGOとして、これら、日本政府や関係機関が調査した事実に依拠して国際法に基づく解決を求めた各種提言を行ってきたものです。
HRN独自に新たな事実を公表したり、まして仕立て上げたことはありません。
杉田議員が当団体について国会の審議にあたり、「捏造」という言葉で誹謗中傷したことは極めて遺憾と言わざるを得ません。

(2)  また杉田議員は、質疑のなかで、AV強要をされたと嘘をついた女性が「相談に行ったのがヒューマンライツ・ナウだった。こういうことがすごくたくさんある」と発言していますが、当団体は相談支援事業を行っておらず、事実に反する発言と言わざるを得ません。

(3)  以上のような当団体に対する事実と異なる言及は、当団体に対する名誉失墜・業務妨害につながるものです。
事実、杉田議員の質問を聞いたとして、HRNに対し、「天罰が下ります」等と予告する脅迫的メールが届いており、軽視することはできません。

2 HRNないし支援団体に対する事実に反する不当なレッテル貼りについて

杉田衆議院議員は、「JKビジネスとかAVの出演強要とかはあってはならない」としつつ、「先ほども言ったように、日本をおとしめるプロパガンダに使おうとする人たちが明らかにいて、その人たちの言うことを聞いてこれは書いてますよね」と述べており、この言及に先立ち当団体について指摘されていることから見れば、杉田議員はHRNを「日本をおとしめるプロパガンダに使おうとする人たち」と指摘したものと受け取れます。
また、杉田議員は、「AV女優の強要とかJKビジネスとかはこんなに日本で問題になっているから、だから防止月間をやらなければならないということが、これが海外には、だから、昔日本は慰安婦という性奴隷を持っていたんだと言われてもおかしくないです。まさしく、その意図を持ってこの団体はこういうふうなことをやっている」と指摘しています。これはこの言及に先立ち団体名を指摘された、HRNないし「ポルノ被害と性暴力を考える会」(PAPS)を指摘したものと受け取れます。

さらに杉田議員は「反日のプロパガンダに対して、どのような手立てをとっていただけるのか」とも指摘しています。
しかし、HRNないしPAPSが「日本をおとしれるプロパガンダ」「反日のプロパガンダ」をしているというのは明らかに事実に反する言いがかりであり、何らの根拠もないものであって強く抗議します。
そして、HRNやPAPS、人身取引被害者サポートセンターライトハウスがAV出演強要被害問題について取り組んでいるのは、この問題が女性に対する極めて深刻な被害をもたらす人権侵害であり、若年女性を被害から防止・救済することが急務だからにほかならず、「反日のプロパガンダ」に利用する「意図を持ってこの団体はこういうふうなことをやっている」等というのは明らかに事実に反するものです。

国会という場において、何の証拠にも基づかず、民間団体を名指しして、レッテル貼りをして攻撃することが果たして許されるでしょうか。
若年女性に日々発生し、深刻な相談が相次いでいる出演強要被害を救済するために日々奔走し、尽力している当団体や支援団体の活動を何らの根拠もなく愚弄するこのような発言は到底許されません。
 そもそも、国会議員が民間団体に対し、「反日」などとレッテルを張って攻撃すること自体が異常であり、現に慎むべきことです。

3 AV出演強要被害と従軍慰安婦問題に関する言及について

杉田議員は、HRNの調査報告書に基づいて政府がAV出演被害に対する対策を行うのは問題である、日本を貶めるプロパガンダ活動のためにAV出演強要問題を利用している、等と主張していますが、明らかに誤解があります。
AV出演強要被害は現在、日本の若年女性の間で被害が広がっている、深刻な女性に対する暴力であり、HRNおよび民間の支援団体は、被害者の声と深刻な被害の実相を真摯に受け止め、政府に対し対応を求めてまいりました。
こうした被害の根絶を求める民間団体の活動は、従軍慰安婦問題とは何らの関係もなく、日本を貶めるプロパガンダでもないことは明らかです。
AV出演強要被害については、国会の場でも審議がされ、2016年6月には内閣府が調査を閣議決定、2017年3月に政府の緊急対策策定、2017年5月に政府方針の決定がなされています。

HRNは2017年3月にニューヨークにおいて、AV出演強要被害問題に関して、国連女性の地位委員会パラレルイベントを開催いたしましたが、日本政府ニューヨーク国連代表部大使(当時)をパネリストとしてお呼びし、被害根絶について有意義な討議が行われています。
現在、日本政府は被害防止のために強力な取り組みを推進されており、私たちはこうした政府の動きを歓迎し、被害根絶への一層の取り組みを求め、政府各機関と協力する姿勢で取り組んでいます。
こうしたなかにあって、被害根絶に関する民間の取り組みを貶めようとする杉田議員の発言は極めて遺憾です。

4 被害者に対するセカンドレイプにつながりかねない言及について

杉田議員は前述のとおり、AV強要をされたと嘘をついた女性が「相談に行ったのがヒューマンライツ・ナウだった。こういうことがすごくたくさんある」と発言し、あたかも当団体が把握した被害の実態が信用できないかのような印象を与える結果となっています。
しかし、議員発言の根拠となる産経新聞ウェブ版の杉田水脈氏のコラムによれば、その女性が「嘘をついた」とするのは、一人の関係者からの一方的な情報に過ぎないことが認められます。
 
当該記事では、「男性の話がすべて事実なのかどうかは分かりません。女性の方は「だまされてAV撮影を強要された」などと全く違う説明をしています。」と記載していたにも関わらず、国会質問では「嘘をついた」と断定しています。かつ、当該記事では一人の関係者との会話とされていることが、国会質問では「こういうことがすごくたくさんある」と断定されています。

  AV出演強要問題を巡っては、勇気を出して声をあげた女性に対するセカンドレイプ的な誹謗中傷や、被害がなかったかのような非難が巻き起こり、そのことが被害者である若年女性らが被害を申告しにくく、被害が闇に葬られがちな現状を生んでいます。

  およそ国会質問において、明確な根拠もない一方的な会話に基づき、AV出演強要被害が被害者のでっちあげにより作出されたものであるかのように、「こういうことがすごくたくさんある」と言及することは、深刻な人権侵害である出演強要被害を過小評価する結果につながりかねず、極めて不見識と言わざるを得ません。

5 AV出演強要被害を過小評価ないし疑問視する一連の発言について
 
 杉田議員はAV出演強要被害に関する相談件数が少ないことを繰り返し指摘し、AV出演強要防止月間を「絶対にやめるべきだ」「デメリットがあまりにも大きい」「デメリットのほうが絶対に大きくないですか」と質問しています。
   さらに、「この職業につきたいという女性はすごく多いんですよ、引く手あまたで。すごく狭き門なんだそうです。」「わざわざ嫌がる女の子を無理やり出して、そんなことをすると、必ずその業者は潰れるわけで」「やっているようなところはすごく少さいので、それよりは、というようなところの事例のほうがすごくたくさんあるんですね」「だから、必ずしも相談件数が、全部が全部本当にだまされて、それに出さされて、すごいひどい被害にあった子たちばかりではない」等と指摘しており、あたかも支援団体へ相談件数の多くが、実際には出演強要の被害ではないかのような指摘を繰り返しされています。

  しかしながら、AV出演強要の被害の標的となるのは、抵抗力の弱い、若年女性たちです。性被害のなかでもとりわけ深刻なAV出演強要被害において、被害にあった女性たちは自らを責め、PTSDに苦しみ、なかなか声をあげることが困難な状況にあり、その状況は社会問題化した今日も続いています。
  杉田議員の発言は、こうした被害者が声をあげたり相談に臨むことが容易ではないことへの理解に著しく欠けています。さらに、公的機関による相談対応が始まったばかりであり、かつ若年女性が公的機関に訪れるのはハードルが高いことへの理解にも欠けています。

  こうした一方で、支援団体には近年、多数の相談が被害者から寄せられ、相談件数は数百件に及んでいます。また、多くの若年女性が意に反する性的撮影の被害にあっていることは、内閣府男女共同参画局が実施した調査からも明らかです。
  杉田議員の質問に対し野田聖子大臣が的確に答弁されたとおり、政府はAV出演強要被害に対し、深刻な女性に対する暴力と位置付け、政府一丸となった対応をとられています。
  こうしたなか、政権与党の議員からこのような被害者、被害実態への理解に欠ける心無い質問が出ることは極めて遺憾です。

6 NGOの国連に対する活動への報復や抑制について

  杉田議員が民間人権団体の名前を名指しして攻撃したことは、民間団体が慰安婦問題をはじめとする国内の人権課題について国連等国際社会に訴える活動自体への攻撃というべきものです。政権与党の一員である国会議員が正式な内閣委員会の質疑でこのような発言をしたことは重大です。

  まず、杉田議員は、複数の団体やイベント名を具体的に指摘して、慰安婦問題に関する取り組みについてすべてがあたかも「捏造」「反日」であると決めつけるような質問を行っています。しかし、従軍慰安婦問題が歴史的事実として存在したことは否定できない歴史の事実であり、河野談話でも確認され、その基本的立場は歴代内閣においても承継されています。慰安婦制度そのものが「捏造」でないことは明確です。

  にも関わらず、女性の権利に関心を寄せる民間団体が、慰安婦問題についてイベントを開催したり、イベントに参加すること自体を敵視し、慰安婦問題に関する民間の諸活動そのものを「捏造」「プロパガンダ」「反日」であるかのように指摘・攻撃する杉田議員の質問は、重大な誤解を与え、国民の正当な言論活動を委縮・沈黙させる危険性をはらむものであり、今後繰り返されてはならないと考えます。
  加えて、民間団体がNGOとして国連の人権機関に対して情報提供を行うことは広く推奨される活動であり、そのことを理由に民間の団体・個人が不利益を受けることは国連で報復(Reprisal)として問題視され、許されないこととされています。

  国連人権理事会24会期の決議24(A/HRC/RES/24/24) は、人権分野で国連に協力した団体・個人に対するいかなる報復措置(Reprisal)や脅迫(intimidation)を許さないとして、国連加盟国に対し、こうした事態の発生を防止する適切な措置を講ずるよう求めています。
同決議は日本政府を含む賛成多数により国連人権理事会で可決されており、政権与党として、この決議の趣旨に反する国会での言動を放置すべきではありません。

また、杉田議員の「NGOの国際的な表現活動を抑え込む必要があるのではないか」との質問も表現の自 由に対する重大な脅威というべきものです。この点について政府側答弁者は、表現の自由として保障されるとの適切な答弁をされましたが、与党席からこれに抗議するヤジがあったとも報告されており、こうした事態は深刻といわざるを得ません。

 こうした院内の発言を放置することは、民間団体・NGOの活動の自由への萎縮効果をもたらし、エスカレートする危険性をはらむものであり、到底t看過することはできません。
 

そこで、HRNは文書で正式に自由民主党および衆議院内閣委員会に抗議を送りました。
適切な対応がなされることを期待します。